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それでも尚、及ばない
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少年は空を駆ける。
そして、一定の高さまで到達した後、次元を分断した。
「次元破壊」
めりめりめりと少年を覆うようにして周囲の空間が破壊されていき、歪み、捻れる。
「よっ」
少年は右手を軽く振った。
それにそって、赤い線が出来る。
「よし、次元破壊成功…あとは…」
少年は両手を合わせた。
「──開門…天界への道」
次元の破壊…とは正確に言えば、数多にある世界と世界の境界線を無理やりねじあけているだけである。
本来は不可能なそれも、少年からすればどうと言うことは無かった。
少年は天界への門を開き、その中へ入った。
「お、眩しいねぇ…」
少年は目をつむった。
ちなみに眩しいという次元の話ではなく、もし仮にここに人間がいれば瞬きをする間に蒸発するだろう光量である。
「…流石に眩しいし、元の姿に戻るか…」
少年は、《天災》と呼ばれていた頃の姿へと戻った。
黒い瘴気を身に纏う。
そうすると、まったく何も感じなくなった。
「さてと、天界には、それなりにやりがいのある奴がいるといいが…」
◇
天使には階級がある。
三つの階級からなり、下位、中位、上位の三つがある。
その中でも、下位では
《天使》
《大天使》
《権天使》
中位では、
《能天使》
《力天使》
《主天使》
上位では、
《座天使》
《智天使》
《熾天使》
の、以上九の段階に分けることが出来る。
その中でも、最も強い《熾天使》の一体、ラファエルは特にやることもなく、天界をさまよっていた。
しかし、そんな時に見つける。
「…?子供…」
しかも、人の子ではないか。
「ねぇ、坊や、もしかして迷子…?」
たまにいるのだ。千年単位で天界に紛れてしまう神隠しの子が。
「お姉さんが返してあげようか?」
「いらないよ…それよりも天神はいるかい?いるのなら連れてきて欲しいのだがね」
「て、天神様…?」
何故天神様を呼ぶのだろうか、とラファエルは不思議に思う。
天神は天使よりも上位の存在であり、天使が神に昇華した姿である。
「て、天神様…少しついてきてくれませんか?」
「?良いけど、どうしたのかしら、ラファエルが頼み事なんて」
天神はウキウキした様子でラファエルについていく。
「あの~、あの子供が天神様に会いたいと…」
「子供~?」
天神はウキウキでラファエルの指差した方向を向き──
「…」
「天神様…?」
「嫌…最悪…なんで、よりにもよって…」
「どうしたのですか?」
「何であれがここにいるのよぉ!?」
「!?」
天神のそのあわてぶりに驚くラファエル。
それもそうだ。例え世界が数個消滅したところで、眉一つ動かさず、いつもの調子で、あらら~、と言っていた天神がここまで取り乱しているのだ。
「…創造神様に…はやく連絡しないと…」
天神は急いで創造神のもとへ飛行し──
「見つけた」
バンッ
──と、上から黒い少年が振ってくる。
そして、少年は顔をびきりと引き攣らせると、黒き瘴気をにじませながら言った。
「逃がさないよ」
天神は後悔した。
「──っあぁあぁあぁぁぁ!!」
「重力波」
少年は指を前に突き出し、天神にそれを当てた。
「ぶほっ!?」
何て言う威力だろうか。
たかだか重力波如きが、少年にかかれば神にダメージを与えるほどとなる。
「…天神も弱くなったね~、ではさようなら。慈愛」
慈愛。
其の名の通り、神を殺す慈愛。
受ければどんな存在だろうと、消滅必須の攻撃。だが…
「ん?…あれ、生きてる…」
天神は自分が生きていることを確認する。
「それは少し違うぞ、天神」
少年は天神の首に手刀を突っ込みながら言った。
「か、は、ごふぉ」
天神には、出血や呼吸と言った概念が無い。代わりに、魂という非実体のものが体の代わりをなすのだ。
本来、魂に傷をつけるというのは不可能である。反物質だろうが核爆弾だろうが、隕石だろうが、なにであれ魂に傷をつけるというのは無理だ。
同じ神同士でも、魂に傷をつけることは出来ない。
しかし、少年は手刀だけで天神の魂を傷つけていた。
先程の『慈愛』も、実際には天神の実体を消滅させただけである。
まぁ、天神の実体を消滅させるだけでも、宇宙何十個を同時に破壊するほどのエネルギーが必要なのだが。
「魂破壊…これを使えるのは冥府の王と僕だけだ…しかし、どういう心遣いかな?創造神…」
「なんだ?私が出て来たのは間違いか…」
「なに…代わりにこの天神が半壊しただけだがね。しかし、実体を消滅させてすぐに再生とは、流石は創造神だ。すべての神の起源なだけはある。だが創造神…僕のこれに耐えられるかな?」
少年はまず『時間停止』をした。
そして、まず左手に『存在消滅』の球を。
右手に魂破壊のさらに上位、破壊(原初)を発動させる。
そして、その二つを同時に創造神に投げる。
「──解除」
時間停止が、解除された。
「──!」
創造神の目の前には二つの球がある。
「──爆裂」
そして、それは爆発し──
「か、はっ」
「おお!流石は創造神…これを受けて生きているなんてなぁ…でも、張り合い無いなぁ…天界では君が最強だろ?ったく…じゃ、今度はあそこに行くか…」
少年は横たわる創造神を無視して、新たに能力を発動させた。
「──開門!獄門」
そう言いながら、少年はどこからとも無く赤い鎌をとりだし、ザクッと空間を裂いた。
「最後の置き土産だ!完全修復…じゃあね」
破壊された天神、創造神はすべての傷が癒える。もちろん魂も、だ。
そうして、少年は赤黒い空間へ飛び込んだ。
「…創造神でも僕には及ばなかったか…」
──ちなみに少年は、本当は力の1%程度しか使っていなかった。
「…なんというか…」
少年は、赤黒い空間へ入る直前、ぽつりと呟いた。
「──虚しい」
そして、一定の高さまで到達した後、次元を分断した。
「次元破壊」
めりめりめりと少年を覆うようにして周囲の空間が破壊されていき、歪み、捻れる。
「よっ」
少年は右手を軽く振った。
それにそって、赤い線が出来る。
「よし、次元破壊成功…あとは…」
少年は両手を合わせた。
「──開門…天界への道」
次元の破壊…とは正確に言えば、数多にある世界と世界の境界線を無理やりねじあけているだけである。
本来は不可能なそれも、少年からすればどうと言うことは無かった。
少年は天界への門を開き、その中へ入った。
「お、眩しいねぇ…」
少年は目をつむった。
ちなみに眩しいという次元の話ではなく、もし仮にここに人間がいれば瞬きをする間に蒸発するだろう光量である。
「…流石に眩しいし、元の姿に戻るか…」
少年は、《天災》と呼ばれていた頃の姿へと戻った。
黒い瘴気を身に纏う。
そうすると、まったく何も感じなくなった。
「さてと、天界には、それなりにやりがいのある奴がいるといいが…」
◇
天使には階級がある。
三つの階級からなり、下位、中位、上位の三つがある。
その中でも、下位では
《天使》
《大天使》
《権天使》
中位では、
《能天使》
《力天使》
《主天使》
上位では、
《座天使》
《智天使》
《熾天使》
の、以上九の段階に分けることが出来る。
その中でも、最も強い《熾天使》の一体、ラファエルは特にやることもなく、天界をさまよっていた。
しかし、そんな時に見つける。
「…?子供…」
しかも、人の子ではないか。
「ねぇ、坊や、もしかして迷子…?」
たまにいるのだ。千年単位で天界に紛れてしまう神隠しの子が。
「お姉さんが返してあげようか?」
「いらないよ…それよりも天神はいるかい?いるのなら連れてきて欲しいのだがね」
「て、天神様…?」
何故天神様を呼ぶのだろうか、とラファエルは不思議に思う。
天神は天使よりも上位の存在であり、天使が神に昇華した姿である。
「て、天神様…少しついてきてくれませんか?」
「?良いけど、どうしたのかしら、ラファエルが頼み事なんて」
天神はウキウキした様子でラファエルについていく。
「あの~、あの子供が天神様に会いたいと…」
「子供~?」
天神はウキウキでラファエルの指差した方向を向き──
「…」
「天神様…?」
「嫌…最悪…なんで、よりにもよって…」
「どうしたのですか?」
「何であれがここにいるのよぉ!?」
「!?」
天神のそのあわてぶりに驚くラファエル。
それもそうだ。例え世界が数個消滅したところで、眉一つ動かさず、いつもの調子で、あらら~、と言っていた天神がここまで取り乱しているのだ。
「…創造神様に…はやく連絡しないと…」
天神は急いで創造神のもとへ飛行し──
「見つけた」
バンッ
──と、上から黒い少年が振ってくる。
そして、少年は顔をびきりと引き攣らせると、黒き瘴気をにじませながら言った。
「逃がさないよ」
天神は後悔した。
「──っあぁあぁあぁぁぁ!!」
「重力波」
少年は指を前に突き出し、天神にそれを当てた。
「ぶほっ!?」
何て言う威力だろうか。
たかだか重力波如きが、少年にかかれば神にダメージを与えるほどとなる。
「…天神も弱くなったね~、ではさようなら。慈愛」
慈愛。
其の名の通り、神を殺す慈愛。
受ければどんな存在だろうと、消滅必須の攻撃。だが…
「ん?…あれ、生きてる…」
天神は自分が生きていることを確認する。
「それは少し違うぞ、天神」
少年は天神の首に手刀を突っ込みながら言った。
「か、は、ごふぉ」
天神には、出血や呼吸と言った概念が無い。代わりに、魂という非実体のものが体の代わりをなすのだ。
本来、魂に傷をつけるというのは不可能である。反物質だろうが核爆弾だろうが、隕石だろうが、なにであれ魂に傷をつけるというのは無理だ。
同じ神同士でも、魂に傷をつけることは出来ない。
しかし、少年は手刀だけで天神の魂を傷つけていた。
先程の『慈愛』も、実際には天神の実体を消滅させただけである。
まぁ、天神の実体を消滅させるだけでも、宇宙何十個を同時に破壊するほどのエネルギーが必要なのだが。
「魂破壊…これを使えるのは冥府の王と僕だけだ…しかし、どういう心遣いかな?創造神…」
「なんだ?私が出て来たのは間違いか…」
「なに…代わりにこの天神が半壊しただけだがね。しかし、実体を消滅させてすぐに再生とは、流石は創造神だ。すべての神の起源なだけはある。だが創造神…僕のこれに耐えられるかな?」
少年はまず『時間停止』をした。
そして、まず左手に『存在消滅』の球を。
右手に魂破壊のさらに上位、破壊(原初)を発動させる。
そして、その二つを同時に創造神に投げる。
「──解除」
時間停止が、解除された。
「──!」
創造神の目の前には二つの球がある。
「──爆裂」
そして、それは爆発し──
「か、はっ」
「おお!流石は創造神…これを受けて生きているなんてなぁ…でも、張り合い無いなぁ…天界では君が最強だろ?ったく…じゃ、今度はあそこに行くか…」
少年は横たわる創造神を無視して、新たに能力を発動させた。
「──開門!獄門」
そう言いながら、少年はどこからとも無く赤い鎌をとりだし、ザクッと空間を裂いた。
「最後の置き土産だ!完全修復…じゃあね」
破壊された天神、創造神はすべての傷が癒える。もちろん魂も、だ。
そうして、少年は赤黒い空間へ飛び込んだ。
「…創造神でも僕には及ばなかったか…」
──ちなみに少年は、本当は力の1%程度しか使っていなかった。
「…なんというか…」
少年は、赤黒い空間へ入る直前、ぽつりと呟いた。
「──虚しい」
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