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こんぶ

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新井 香龍

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六月某日

「ねぇー、見たぁ?新作のあの映画ー」

「あぁー、見た見た。見たわー。あれほんっとにつまんねーよなぁ」

キャハハと高らかに笑う声が聞こえてくる。
必然的に俺はそっちを見てしまう。

「うわ、新井がこっち見てるんですけど」

「キメぇーどっか行けよ」

「クソオタクー消えろよぉ~」

「なぁ?オラァ!」

バン!と俺の机を蹴りとばされる。

「なんか言えや…あぁ!?」

「……」

「ちっ、シカトかよ」

「もういいやお前」

俺、新井 香龍は現在高校2年生…なんだが、この高校に入って一年で、まぁ要するに去年から、俺はイジメの対象となっていた。
故にイジメの対処方の一つとして無視するということを覚えた。
そうすると殴られないのだ。
実際は震えが止まらないほど怖いけれど。

キーンコーンカーンコーン

放課後

自宅に帰る。とは言っても賃金が低いアパートに一人暮らしなのだが。

学校からは徒歩で10分くらいのところにある。

いつも家に着くとこの場面を思い出す。
あれは二年前、家でのことだ。

「香龍…」

「何?母さん」

「…私はね…貴方に…」

「うん?」

「一人暮らしして欲しいの」

家族は妹を含め全会一致で俺の一人暮らしを望んでいた。

あそこまで悲しかったことは、今までの人生で初めてだった。

「出てけ」

「キメェんだよ、正直」

「邪魔」



家族からも追放された俺って一体何なんだろう。 
そうこう考えてる内に家に着いた。
鞄を机にドサッと置く。

イジメとは怖いものだ。
ヒエラルキーの層の高い者はより有利に。逆に低い者はただやられる一方。出来レースとかいう次元の話ではなく、そういう構図なのだ。
教師だって無視する。
善意で助けようとする奴なんてもってのほかいない。
「はぁ…」

高校2年にもなってコレかよ。ハァ、俺の人生って何だ?

もう、死のうかな。

と、邪な考えが頭をよぎる。

「いや、死…は駄目だろ」

いや…本当にそうか?生きてて何の価値がある?俺に…何の価値がある?

友人もいなければ家族もいない。

何もない俺にとって。

自殺したって、誰も…




「人生って何が起こるか分からないものだよ」



亡くなった爺さんの言葉だ。

ありふれた言葉なのに、何故がとても重く思えたのはなんでだろう?

死ぬのは駄目だ。
人生って何が起きるか分かんないものな。
もしかしたら明日俺に彼女が出来るかもしれない。
もしかしたら最近流行りの異世界に転移するのかもしれない。
もしかしたら最近流行りのタピオカジュースになれるかもしれない…
そう考えると心がポジティブになってきた。
「よっしゃ!逞しく生きてやるぜ!」

明日も学校がある。少し憂鬱だ。
ーでも、それを乗り越えれば俺は…

行かなくちゃな。

嫌な思いは少し胸に残るが、それを乗り越えた自分の姿を想像して、嫌な思いを振り切ってやった。

数時間後

さてと。

パジャマに着替えて寝るか。

そうして、着替えて、布団に入る。

「フゥ…グゥーグゥー」

布団とは文明の利器だ。ここまで快適なものを俺は知らない…
ふかふかすぎてあっという間に寝てしまった。

ぞくぞく、と、鳥肌が体を奔った。


















________
______
____
__

ーん?

何処だここ?
目をつぶっているからよく分からないが。
頭もボーッとするし。
うーん、なんか…どっかに…いる?

「ファーァ、眠っ」

欠伸をしながら目を開けるとー

「──は?」

なんだこれ。
夢か。

なんで森の中にいるんだ!?



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