ミッション

こんぶ

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日本編

でんきライオン 1

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ミッシェルはそれが当たり前であるように、悠然と刀を腰に仕舞いこんだ。

「何を見ているの?」

「あ、いや、何でも無いわ」

アンネはミッシェルに見とれてしまう。

あんなに圧倒的な戦いをした人が味方についている。

ここまで安心できる事は無いだろう。

そこでアンネはミッシェルに提案を出す。

「ねぇ、ミッシェルちゃん。他のチームと合流しない?」

「…いやよ」

「へ?」

「いや、別に他のチームと会うのはいいのだけれど…あの男と会うのが嫌」

「あの男?」

「リーダー気取りの奴よ」

「ぁー。アライの事ね」

「ええ。私はああ言う人が嫌いなのよ。大した強さもないのに、その場をしきる無能がね」

「そんなことないと思うけど…」

「私の方こそそんなことないと思うけど。海面から魚たちが上がってきた時、あり得ないくらい動揺してたくせに。一流の達人は、あのくらいじゃ動揺しないわよ」

「…そ、そうかも知れないけど…ミッシェルちゃんの方が強いかも知れないけど…でも、あの人は、絶対悪い人じゃないと思うよ」

「何故そう言える?根拠は?」

「うーん、と、特にはないけど…」

「ほらね」

「で、でも前回の時とか…」

「あー、いいわ。そんなの。聞いても意味がないし。私一人でも余裕でクリア出来るみたいだし」

「クリア?」

「これはミッションのようなもの。そうでしょ?だったらクリアと言うのが妥当じゃない?」

「そ、そうかも」

「…はぁ。で、貴女結局ついてくるの?」

「え、あ、うん」

「そう…」

短くきって、ミッシェルは歩き出した。
それにくっついていくように、アンネもミッシェルについていった。

大分歩いた頃、腕輪から音がした。

『ピピッ、残り三十分』

「三十分もあるのね。余裕だわ」

「えー。そうかな?まだそれらしいボスが出てないけど…」

「ボス?きっとさっき私が倒した奴がボスだったんでしょ?」

「…そうかなぁ?」

アンネは一抹の不安を抱えていた。

何か、とても嫌な予感を。

「どうしたの?そんなに不安そうな顔をして」

「あ、うん。なんか嫌な予感がしてさ」

「はぁ?もう。私が居るから大丈夫なのに…それに、証拠はあるわ。これを見て」

「?」

ミッシェルは黒刀の持ち手部分をカチッと押す。

すると剣先からブウンと映像が空中に映し出された。

「すごい…」

「これにはね、エリアと敵の位置が分かるようになっているの。ほら」

「?」

「敵が、でしょ?」

「あ、」


え?

アンネは疑問に思った。



敵が居ないなら何故、まだ帰れないんだ?、と。

それはつまり、ミッションは続いていると言うことの証明であり─


『ピーーーッ』

と、黒刀から音が鳴る。


「?何?」

そして、再び空中に映された映像を見ると─


「いる…」

「…」

「一匹だけ、いる」

アンネは確信した。
そいつがボスであることを。

「ここから近いわね。私が行ってくる」

「え?ちょ」

「大丈夫よ、只の一匹だけ」

「わ、私も…」

「いいから」

パンと肩に手を置かれる。

「絶対に邪魔しないで」

「…」

アンネは何も言うことが出来なかった。言葉は喉元で詰まって胃の中へ吸い込まれていく。

そうして、ミッシェルは歩いていってしまった。

ボスに一人で挑むなんて無謀だ。

だが、アンネには少し希望があった。

彼女ならば。

ミッシェルならば勝ってくれるのではないかという、希望が。

「少し、見てみようかしら」

アンネはミッシェルが歩いていった方へ歩を進めた。

──────────────────



ミッシェルは歩いていく。

黒刀のマップと敵位置を確認しながら歩いてきた。

そして、たどり着いた。

すぐそこに敵はいる。

さっさと首を撥ねて終わらせようと思った時だった。


そいつは立った。


「…」

その見た目はライオンのようである。

しかし体長は八から九メートルはある。

それがむくりと直立、二足歩行する。

勇壮な顔ではあるが、両目が著しく離れていて、まるで手作りのらいおん人形と言われても不思議では無い、とそう思わされてしまうような見た目をしていた。

その目が右へ左へぐりぐりと回るようにして動く。

そして、急に口をパカッと開けて─

『ぶぇっぶえっっふえっふっえっえっえっえっはっはっはっはっほっほほほほあっはふはひひひはあはうふふふふふぶふぶふぶふふふふふふふふふふふふふふどぅふふふすしすふうううふふふううふふ』

と、狂ったように笑い出したのだ。

その笑いは止まらず、ライオンは涎をまき散らしながら笑い続けた。

『あっふぶぶぁはっふっぁっうっはっほっふふあはあはひひひ』

「─」

今だ!

そう思い、ミッシェルは思いっきり刀を振り抜いた。

それは、ライオンに出来た隙であった。

流石にミッシェルと言えども今の行動には、気持ち悪さを感じ得なかった。

それは、人間の根源から嫌悪感を抱かせるような笑い。

そんなものは、ミッシェルだってすぐに捨てたかった。

「─ッ!」

だが、その刀は届かず。

ライオンは、手で当たり前のように握って受け止めていた。

「ふふ?ふふふふ!あは。おばえが!」

そして、ライオンはカッと、ミッシェルを睨んだかと思うと、ミッシェルの目の前に、


ドッゴオオオン!!

と、爆発音がした。

いや、ミッシェルはこの音を知っていた。

落雷である。


ミッシェルの目の前は焼けた木がぷしゅううと音を出しながら燃えていた。

「…どんな電力よ…」

ライオンはその体に電気を纏わせていた。

体中に、ビリビリと電気が飛び散っている。

『バァン!!!』

ライオンがそう叫ぶと─



ドゴォオンォンドォンォンドォンゴンバゴン!!!!!!


ライオンの周りに、轟音と共にまたもや雷が落ちた。

その数は一つなどでは無く、数十にも及ぶ。

しかも、木では無い部分も落雷の跡があった。

避雷針の意味が、全くと言っていいほど無い。

『ふふふ、うふふふぶふぁふふすすするふふひひあはっ』

その声は、ミッシェルを不安の地獄に落とすには、充分であった。

『ふふ、うふふふふふふ』


ライオンとの戦いが始まる。


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