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日本編
でんきライオン 5
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香龍は目にも止まらぬ速度でライオンを殴り抜く。するとライオンは途轍もない力に押され負け、吹っ飛んで行く。しかし、ライオンの反射神経と体力は尋常ではない。故にその程度の攻撃ではダメージを負っているようには見えなかった。ライオンは吹っ飛んでいる中で体勢を整え、地面に落ちる。そして、その吹っ飛んでいる威力を利用して、超高速で駆けだした。しかし、今の香龍は、こと速さならライオンに負けることはないだろう。香龍も、ライオンと同じ方へ駆けだす。すると二人の距離はだんだんと縮まってくる。二人の走る速さに周りの木々は倒れ、途轍もない風が森全体を駆け巡る。そして、ぐんぐんとライオンに近づいた香龍は、いつしかライオンと並んでいた。そして、ついにはライオンの前に飛び出した。そして、ライオンを上空に蹴り上げた。仮にこれがソンや京香だったら当たりもしなかっただろうが、今の香龍の異常な速さはいくらライオンとて、回避出来なかった。香龍の右足が綺麗にライオンの腹に直撃して、ライオンはぐるんと回りながら空に舞う。しかし、ライオンも一筋縄では無かった。空中で体勢をかえ、ピッと香龍に指を指した。
「…!」
香龍は恐らくアレが来るだろうと、構えて…
ゴロゴロ…ゴロォン!!
「来た」
それは、雷だった。
雷は香龍を目がけて落ちてくる。幾つも幾つも…それは地面に落ちる直前に閃光を放ち、爆音と衝撃を森全体に与える。
その速さは、今の香龍と、殆ど互角であった。
「ふっ、はっ」
香龍は落雷を避ける。本来は香龍より高い木々に当たるはずだが、ライオンは雷を操れるようで、香龍のみにピントを合わせて雷を落とすことが出来た。
しかし、香龍はその全てを避けきる。
上半身を斜めにして、尋常じゃない瞬発力で。
そして、香龍は雷を避けきった後、未だに空中にいるライオンに向けて、片手を突き出した。
ここからライオンまでは相当な距離がある。接近戦はできない筈だが…
「はっ」
すると香龍は、その突き出した手から何かを出した…
ライオンは微妙に遅れた反応でそれを避ける。
しかし、それはライオンを掠めた。
「…ふふっ?ふふふ」
ライオンの体を掠めた部分は、なんと無くなっていた。
消滅である。
「…ふふふふ!」
ライオンは、空中で移動を始める。
「何でもありだな…」
ライオンは少し離れた所にしゅるしゅると落ちていった。
しかし、香龍から言わせてもらえばこれはチャンスでしか無かった。
「行くぜ」
香龍は両手を突き出した。
そして、次の瞬間──
「おらオラオラオラ!」
その両手から大量の不可視の何かを撃ち出した。
それは、木々を貫通し、ライオンのいた方向へと進む。
何度も何度も…
いつしか、前方に見える木が無くなった所で、気づいた。
ライオンがまだいると言うことに。
「ふ…ふふ」
たてがみはボサボサになり、流石にライオンも疲れたと言った様子で息が荒く、しかしライオンはせいぜい数カ所、体に貫通があっただけである。
「…すげぇな…」
「…ふふふ」
二人の間に一瞬、静寂が訪れた。
まるで時が止まったかのように。
「…っ」
だんと香龍は踏み出した。
ライオンとの距離が縮まる。
しかし、ライオンはその事を予想していたのか、後の泉に入る。
しかし、香龍はそんなことを気にはしなかった。
「おんらぁ!」
と、泉を殴りつければ泉の水が全て散りゆくから…
「え?」
香龍の目の前には香龍に指を指すライオンの姿があった。
そして、驚いた事に、今度の雷は──
「…ぶっ!」
ライオンの指先から出て来たのだ。
流石に香龍は避けきれず、直撃する。
香龍な体はズサササと背中が地面を引きずりながら、だんだんと減速していった。
「…ハァーッ、ハァーッ」
流石に今度ばかりは駄目かと思ったがそうでは無かった。
何とかこの装甲が耐えてくれた様だ。
「…ぅ…」
「?」
人の声がしたので、その方へ香龍は向いてみると、驚きの光景があった。、
そこには、京香がいたのだ。
京香は悲しい目をしてから、少し迷うようにして言った。
「…もぅ、もう、やめてくれ…香龍…もともと、私達が悪かったじゃないか。それに、あれに、あんなのに勝てるのか?」
香龍はそれに力強く応えた。
「勝ってみせるさ。そう誓ってやる。勝てなかったら殺されてもいい」
そう言って香龍は指切りをしようと手を出すが──
「勝てなかったら殺されるって、そもそも君が負けた時点で皆死ぬようなものだよ…もう無理だ…勝てないよ…あんなの、この世の化け物だ…」
その姿は初めて香龍がこのミッションを行ったときとそっくりで、何故か被って見えてしまった。
「えぇ、そうよ──」
「─?」
「本当に、本当に勝てるの?無理でしょう。大した根拠も力も無いのに」
と、左腕を無くしたミッシェルがそう言った。
そうか、ここは避難所か…
「確かに根拠は無いかもな。でも、勝てるとか負けるとかそう言う話じゃない」
「そう言う話だ!戦かは無くちゃいけない理由なんてない!」
京香は、必死にそう言った。
「そうかもな。生きる死ぬの話だよ…やっぱり。でもさ、俺は…俺は守りたいものが出来た。京香とか、佐賀とか…それにミッシェル、お前もな」
「…守るだけって、そんな甘っちょろい理由だけで戦うわけ?すぐに殺されるわよ。そんなんじゃ」
「…そうと決まった訳じゃない。大した根拠も無いのに言うもんじゃないよ…」
と、言い返すように、ミッシェルにそう返した。
「それにさ、京香…」
「?」
「俺達、今日付き合ったんだぜ?じゃあ、生きないといけないだろ。それに、俺の彼女だったら、俺を…この新井香龍を信じてくれ」
「香龍…」
「なぁ?」
「ぅ、ぅううう。うううう、わかっ、…わかっ、た…うぅう、うぅう、はー、はーっううう」
「そんなに泣かないで…大丈夫だ…実は俺、負ける景色が一度も見えたことないんだ」
「大きな嘘つきね…でも…賭けるしか無さそうだわ」
「その通りだ。俺に賭けるしか、もう選択肢は無い」
「…った。分かったよ…香龍…」
「そうか」
「じゃあ!指切りだ!」
「あぁ」
そして香龍と京香は指切りをした。
「さてと…」
香龍は立ち上がり、勇ましく歩を進めた。
「じゃ、いっちょ行きますか」
──────────────────
香龍は歩を進め、ライオンの目の前に出る。
「ふふふふ?」
「オラオラオラ!」
二人は邂逅した。
その途端、香龍は両手から不可視の攻撃を放つ。
「オラオラオラ!」
しかし、それをもう慣れたと言わんばかりに、悠然と躱すライオン
「ふふふ」
まるで、この程度か、とあざ笑っているかのようだ。
「らあっ!」
今度はライオンの下に撃った。その瞬間、ライオンは地面が抉れた事により、体勢を崩す。
「オラオラオラ!」
咄嗟の判断で、ライオンは体に電気の幕を覆った。
その判断は正しく、香龍の手から放たれる不可視の攻撃を、一応は防いだ。しかし、その途轍もない威力にライオンは吹っ飛ぶ。
しかし、ライオンは吹っ飛ぶ事にさえ慣れたとも言わんばかりに、空中で体をひねり、香龍の方を見た。
そして、高速で指から雷を出す。
「ふっ、ほっ」
香龍は二つの蛇行する雷を避ける。
辺り一面の木々は焼きただれ、切断され崩れ落ちる。
そして、ライオンは姿勢を再び戻した。
地面に着地する。
「っ!」
来る…と、そう香龍は予感した。
そしてその通り、ライオンは香龍に対して向かってきた。香龍に殴りかかる。何度も何度も高速で。
香龍はそれらをいなし横にずらすが─
「っ?」
反応しきれず、ライオンの膝蹴りが腹の装甲にぶつかる。
そして、今度は香龍が吹き飛んだ。
「ふん!」
地面に腕を突き立てて、吹き飛ばない様にするが、
「うっ、うおっ!?うおおおおおお」
地面がががががと削れていき、香龍の体はバンバンと何度も地面をバウンドする。
「っはぁ!」
吹っ飛んだ先は、ライオンが見えないくらい離れてしまっていた。
しかし向こうの方に、雷で木々をなぎ倒し、俺を見つけようとするライオンの姿を発見した。
「行くぞっ!!」
ダッダッダッと香龍は駆け出し、加速する。どんどんどんどん加速する。そして、最高速度まで到達した瞬間──
「っらぁ!!」
メキメキメキと、ライオンの横腹に拳を入れる。
「ふぶふふふ!?」
ライオンは驚いたようにし、またしても吹っ飛んでいった。
しかし、その威力は先の比ではない。
最高速度まで上げた拳だ。
速度は力である。
「ぶっふふっ」
ライオンは香龍よりも何度もバウンドし、地面を削りながら、超高速で岩の山へと体を突き刺した。
そして、その威力で落ちてきた落石によって体を押しつぶされる。
そして、それを隙と見た香龍は、両手を突き出し…
「オラオラオラ!」
しかし、それと同時に香龍に何かが降り注いだ。
「っぐぁぁっ!?」
それは今までに無いほどの威力の落雷であった。
(あいつ…瓦礫の中でも雷を落とせるのか)
それを受けた香龍は体からぷしゅううと煙を出す。
「!」
瓦礫の中から血だらけのライオンが立ち上がって出てきた。
そして、辺りの岩を持ち上げる。
「ふっふふふふふふふ!!!」
ライオンはその大量の岩を、香龍に投げつけてきた。その速度は普通の人間なら当たっただけで、体ごと吹っ飛ぶであろう速度と質量があった。
しかし、そんなことは今の香龍には通じない。
「っらぁああ!!」
大量の岩を叩き落とす。
今度は、ライオンが一抱えするので精一杯の巨大な岩を、ぐんと投げられた。それは、避ける場所がないほど巨大で、圧巻されるものがあった。
バコンと香龍の体はその岩に押し潰される。
しかし、香龍の体は今は装甲によって守られている。
大した傷も無く、その岩の上から香龍は出てきた。
「行くぞぉ!」
香龍とライオンは示し合わせたように駆けだす。
香龍は走っている最中、両手から大量の不可視の攻撃をしかける。
しかしライオンも走りながらそれを回避する。
何度も何度も、ハイスピードな戦いが続く。
途中、大きめの川があったが、二人の速さでその水の上を走るという荒業もした。
超スピードで攻撃し、避ける、の繰り返しを、森の中を駆け回りながらしていた。
それにより、森中の至る所で自然災害でも起こったのか?という程の破壊があった。
「おんらぁ!」
しかし速さは香龍の方が上。
それにより、ライオンは再び香龍の攻撃を受けてしまう。
「ぶふぅ!」
ライオンの背中に大きな切り傷ができた。
「ぶふふっ」
ライオンは宙を舞う。
その時だった。
ライオンの体に異変が起きた。
両の手を合わせ合唱のようにし、静かにそれは舞い降りた。
「っ、は?」
それは、今までとは比べものにならないほどの電力で、電圧で、空から落ちてきた。
その落雷の範囲は少なくとも半径10mはあっただろう。
また、威力も今までとは段違いであった。
それが落ちたとき、音はしなかった。
あったのは、静寂だった。
そして、空が眩しく光っただけだった。
しかし、香龍のいた場所は──
巨大な隕石でも落ちたかのように、クレーターが出来上がっていた。
「ふふ、ふふーっ、ふふ」
ライオンは満身創痍、疲れ切った表情でその黒い装甲に近づく。
そして、ぱくりと、香龍の入ったスーツごと丸呑みした。
「ふふっ、ふふふふふふふ」
ライオンは不敵に笑う。
それは、勝利の笑いだった。
「ふふふふふふふふふふふふ」
絶望の、笑いだった。
香龍は、死んだ…
「てめーがな」
「ふふふふふぶぶっ!?!?」
香龍は後の背中の傷口からライオンの体に手を入れた。
そして、体の中をかき回し──
「グアッッ!!」
「ウッ!!」
ライオンが香龍の腹を裂いた。
それでも香龍は止まらない。
「っはぁぁああああ!!」
死ぬ気でそれを探しだし、見つけ、握った──
「っらぁああああ」
「ッグァアアアアア」
ライオンは聞いたこともないような超咆哮をし、森全土が震撼した。そして無茶苦茶に暴れ回り、
「っああああああ!!」
ぶちゅりと、何かが潰れる音がした。
「ぐ…あ…あ、」
ライオンは、その場に倒れ込んだ。
『勝利、生還権72日分獲得。帰還』
しかし、香龍は帰還出来そうにも無かった。
香龍の体は腹からどす黒い内臓がはみ出ていて、血の噴出が止まらない。動脈が切れたのだ。
「──」
すぅーっと、香龍の意識が薄くなっていった。
「───ぅ、香龍っ!」
「…」
香龍のそばに、片腕、片脚をなくした京香がいた。
「生きろ!香龍っ!いぎでぐれっ!!約束じだじゃだいがっ!ぅぁあああ!!!」
泣き叫ぶ京香がいた。
んだよ。
「あー」
俺って生きる価値が、あったんだな。
さようなら。
ありがとう。
*****
「と、カッコイイ去り方をしておいて何だ、普通に生きてるぞ」
「…」
そこには、目を丸くした京香の姿があった。
「ていうか、いっつも生徒会室にいるのか?会長は…っと!?」
京香は、俺に抱きついていた。
「おっ、おい。こんな所でまずいだろ!」
「…ばかやろー」
「…馬鹿野郎だな」
香龍も、京香を抱きしめた。
「そうだよな」
俺達、生き残ったんだ、と。
香龍は、生きている幸せを噛みしめた──
*****
『グェ?』
「…!」
香龍は恐らくアレが来るだろうと、構えて…
ゴロゴロ…ゴロォン!!
「来た」
それは、雷だった。
雷は香龍を目がけて落ちてくる。幾つも幾つも…それは地面に落ちる直前に閃光を放ち、爆音と衝撃を森全体に与える。
その速さは、今の香龍と、殆ど互角であった。
「ふっ、はっ」
香龍は落雷を避ける。本来は香龍より高い木々に当たるはずだが、ライオンは雷を操れるようで、香龍のみにピントを合わせて雷を落とすことが出来た。
しかし、香龍はその全てを避けきる。
上半身を斜めにして、尋常じゃない瞬発力で。
そして、香龍は雷を避けきった後、未だに空中にいるライオンに向けて、片手を突き出した。
ここからライオンまでは相当な距離がある。接近戦はできない筈だが…
「はっ」
すると香龍は、その突き出した手から何かを出した…
ライオンは微妙に遅れた反応でそれを避ける。
しかし、それはライオンを掠めた。
「…ふふっ?ふふふ」
ライオンの体を掠めた部分は、なんと無くなっていた。
消滅である。
「…ふふふふ!」
ライオンは、空中で移動を始める。
「何でもありだな…」
ライオンは少し離れた所にしゅるしゅると落ちていった。
しかし、香龍から言わせてもらえばこれはチャンスでしか無かった。
「行くぜ」
香龍は両手を突き出した。
そして、次の瞬間──
「おらオラオラオラ!」
その両手から大量の不可視の何かを撃ち出した。
それは、木々を貫通し、ライオンのいた方向へと進む。
何度も何度も…
いつしか、前方に見える木が無くなった所で、気づいた。
ライオンがまだいると言うことに。
「ふ…ふふ」
たてがみはボサボサになり、流石にライオンも疲れたと言った様子で息が荒く、しかしライオンはせいぜい数カ所、体に貫通があっただけである。
「…すげぇな…」
「…ふふふ」
二人の間に一瞬、静寂が訪れた。
まるで時が止まったかのように。
「…っ」
だんと香龍は踏み出した。
ライオンとの距離が縮まる。
しかし、ライオンはその事を予想していたのか、後の泉に入る。
しかし、香龍はそんなことを気にはしなかった。
「おんらぁ!」
と、泉を殴りつければ泉の水が全て散りゆくから…
「え?」
香龍の目の前には香龍に指を指すライオンの姿があった。
そして、驚いた事に、今度の雷は──
「…ぶっ!」
ライオンの指先から出て来たのだ。
流石に香龍は避けきれず、直撃する。
香龍な体はズサササと背中が地面を引きずりながら、だんだんと減速していった。
「…ハァーッ、ハァーッ」
流石に今度ばかりは駄目かと思ったがそうでは無かった。
何とかこの装甲が耐えてくれた様だ。
「…ぅ…」
「?」
人の声がしたので、その方へ香龍は向いてみると、驚きの光景があった。、
そこには、京香がいたのだ。
京香は悲しい目をしてから、少し迷うようにして言った。
「…もぅ、もう、やめてくれ…香龍…もともと、私達が悪かったじゃないか。それに、あれに、あんなのに勝てるのか?」
香龍はそれに力強く応えた。
「勝ってみせるさ。そう誓ってやる。勝てなかったら殺されてもいい」
そう言って香龍は指切りをしようと手を出すが──
「勝てなかったら殺されるって、そもそも君が負けた時点で皆死ぬようなものだよ…もう無理だ…勝てないよ…あんなの、この世の化け物だ…」
その姿は初めて香龍がこのミッションを行ったときとそっくりで、何故か被って見えてしまった。
「えぇ、そうよ──」
「─?」
「本当に、本当に勝てるの?無理でしょう。大した根拠も力も無いのに」
と、左腕を無くしたミッシェルがそう言った。
そうか、ここは避難所か…
「確かに根拠は無いかもな。でも、勝てるとか負けるとかそう言う話じゃない」
「そう言う話だ!戦かは無くちゃいけない理由なんてない!」
京香は、必死にそう言った。
「そうかもな。生きる死ぬの話だよ…やっぱり。でもさ、俺は…俺は守りたいものが出来た。京香とか、佐賀とか…それにミッシェル、お前もな」
「…守るだけって、そんな甘っちょろい理由だけで戦うわけ?すぐに殺されるわよ。そんなんじゃ」
「…そうと決まった訳じゃない。大した根拠も無いのに言うもんじゃないよ…」
と、言い返すように、ミッシェルにそう返した。
「それにさ、京香…」
「?」
「俺達、今日付き合ったんだぜ?じゃあ、生きないといけないだろ。それに、俺の彼女だったら、俺を…この新井香龍を信じてくれ」
「香龍…」
「なぁ?」
「ぅ、ぅううう。うううう、わかっ、…わかっ、た…うぅう、うぅう、はー、はーっううう」
「そんなに泣かないで…大丈夫だ…実は俺、負ける景色が一度も見えたことないんだ」
「大きな嘘つきね…でも…賭けるしか無さそうだわ」
「その通りだ。俺に賭けるしか、もう選択肢は無い」
「…った。分かったよ…香龍…」
「そうか」
「じゃあ!指切りだ!」
「あぁ」
そして香龍と京香は指切りをした。
「さてと…」
香龍は立ち上がり、勇ましく歩を進めた。
「じゃ、いっちょ行きますか」
──────────────────
香龍は歩を進め、ライオンの目の前に出る。
「ふふふふ?」
「オラオラオラ!」
二人は邂逅した。
その途端、香龍は両手から不可視の攻撃を放つ。
「オラオラオラ!」
しかし、それをもう慣れたと言わんばかりに、悠然と躱すライオン
「ふふふ」
まるで、この程度か、とあざ笑っているかのようだ。
「らあっ!」
今度はライオンの下に撃った。その瞬間、ライオンは地面が抉れた事により、体勢を崩す。
「オラオラオラ!」
咄嗟の判断で、ライオンは体に電気の幕を覆った。
その判断は正しく、香龍の手から放たれる不可視の攻撃を、一応は防いだ。しかし、その途轍もない威力にライオンは吹っ飛ぶ。
しかし、ライオンは吹っ飛ぶ事にさえ慣れたとも言わんばかりに、空中で体をひねり、香龍の方を見た。
そして、高速で指から雷を出す。
「ふっ、ほっ」
香龍は二つの蛇行する雷を避ける。
辺り一面の木々は焼きただれ、切断され崩れ落ちる。
そして、ライオンは姿勢を再び戻した。
地面に着地する。
「っ!」
来る…と、そう香龍は予感した。
そしてその通り、ライオンは香龍に対して向かってきた。香龍に殴りかかる。何度も何度も高速で。
香龍はそれらをいなし横にずらすが─
「っ?」
反応しきれず、ライオンの膝蹴りが腹の装甲にぶつかる。
そして、今度は香龍が吹き飛んだ。
「ふん!」
地面に腕を突き立てて、吹き飛ばない様にするが、
「うっ、うおっ!?うおおおおおお」
地面がががががと削れていき、香龍の体はバンバンと何度も地面をバウンドする。
「っはぁ!」
吹っ飛んだ先は、ライオンが見えないくらい離れてしまっていた。
しかし向こうの方に、雷で木々をなぎ倒し、俺を見つけようとするライオンの姿を発見した。
「行くぞっ!!」
ダッダッダッと香龍は駆け出し、加速する。どんどんどんどん加速する。そして、最高速度まで到達した瞬間──
「っらぁ!!」
メキメキメキと、ライオンの横腹に拳を入れる。
「ふぶふふふ!?」
ライオンは驚いたようにし、またしても吹っ飛んでいった。
しかし、その威力は先の比ではない。
最高速度まで上げた拳だ。
速度は力である。
「ぶっふふっ」
ライオンは香龍よりも何度もバウンドし、地面を削りながら、超高速で岩の山へと体を突き刺した。
そして、その威力で落ちてきた落石によって体を押しつぶされる。
そして、それを隙と見た香龍は、両手を突き出し…
「オラオラオラ!」
しかし、それと同時に香龍に何かが降り注いだ。
「っぐぁぁっ!?」
それは今までに無いほどの威力の落雷であった。
(あいつ…瓦礫の中でも雷を落とせるのか)
それを受けた香龍は体からぷしゅううと煙を出す。
「!」
瓦礫の中から血だらけのライオンが立ち上がって出てきた。
そして、辺りの岩を持ち上げる。
「ふっふふふふふふふ!!!」
ライオンはその大量の岩を、香龍に投げつけてきた。その速度は普通の人間なら当たっただけで、体ごと吹っ飛ぶであろう速度と質量があった。
しかし、そんなことは今の香龍には通じない。
「っらぁああ!!」
大量の岩を叩き落とす。
今度は、ライオンが一抱えするので精一杯の巨大な岩を、ぐんと投げられた。それは、避ける場所がないほど巨大で、圧巻されるものがあった。
バコンと香龍の体はその岩に押し潰される。
しかし、香龍の体は今は装甲によって守られている。
大した傷も無く、その岩の上から香龍は出てきた。
「行くぞぉ!」
香龍とライオンは示し合わせたように駆けだす。
香龍は走っている最中、両手から大量の不可視の攻撃をしかける。
しかしライオンも走りながらそれを回避する。
何度も何度も、ハイスピードな戦いが続く。
途中、大きめの川があったが、二人の速さでその水の上を走るという荒業もした。
超スピードで攻撃し、避ける、の繰り返しを、森の中を駆け回りながらしていた。
それにより、森中の至る所で自然災害でも起こったのか?という程の破壊があった。
「おんらぁ!」
しかし速さは香龍の方が上。
それにより、ライオンは再び香龍の攻撃を受けてしまう。
「ぶふぅ!」
ライオンの背中に大きな切り傷ができた。
「ぶふふっ」
ライオンは宙を舞う。
その時だった。
ライオンの体に異変が起きた。
両の手を合わせ合唱のようにし、静かにそれは舞い降りた。
「っ、は?」
それは、今までとは比べものにならないほどの電力で、電圧で、空から落ちてきた。
その落雷の範囲は少なくとも半径10mはあっただろう。
また、威力も今までとは段違いであった。
それが落ちたとき、音はしなかった。
あったのは、静寂だった。
そして、空が眩しく光っただけだった。
しかし、香龍のいた場所は──
巨大な隕石でも落ちたかのように、クレーターが出来上がっていた。
「ふふ、ふふーっ、ふふ」
ライオンは満身創痍、疲れ切った表情でその黒い装甲に近づく。
そして、ぱくりと、香龍の入ったスーツごと丸呑みした。
「ふふっ、ふふふふふふふ」
ライオンは不敵に笑う。
それは、勝利の笑いだった。
「ふふふふふふふふふふふふ」
絶望の、笑いだった。
香龍は、死んだ…
「てめーがな」
「ふふふふふぶぶっ!?!?」
香龍は後の背中の傷口からライオンの体に手を入れた。
そして、体の中をかき回し──
「グアッッ!!」
「ウッ!!」
ライオンが香龍の腹を裂いた。
それでも香龍は止まらない。
「っはぁぁああああ!!」
死ぬ気でそれを探しだし、見つけ、握った──
「っらぁああああ」
「ッグァアアアアア」
ライオンは聞いたこともないような超咆哮をし、森全土が震撼した。そして無茶苦茶に暴れ回り、
「っああああああ!!」
ぶちゅりと、何かが潰れる音がした。
「ぐ…あ…あ、」
ライオンは、その場に倒れ込んだ。
『勝利、生還権72日分獲得。帰還』
しかし、香龍は帰還出来そうにも無かった。
香龍の体は腹からどす黒い内臓がはみ出ていて、血の噴出が止まらない。動脈が切れたのだ。
「──」
すぅーっと、香龍の意識が薄くなっていった。
「───ぅ、香龍っ!」
「…」
香龍のそばに、片腕、片脚をなくした京香がいた。
「生きろ!香龍っ!いぎでぐれっ!!約束じだじゃだいがっ!ぅぁあああ!!!」
泣き叫ぶ京香がいた。
んだよ。
「あー」
俺って生きる価値が、あったんだな。
さようなら。
ありがとう。
*****
「と、カッコイイ去り方をしておいて何だ、普通に生きてるぞ」
「…」
そこには、目を丸くした京香の姿があった。
「ていうか、いっつも生徒会室にいるのか?会長は…っと!?」
京香は、俺に抱きついていた。
「おっ、おい。こんな所でまずいだろ!」
「…ばかやろー」
「…馬鹿野郎だな」
香龍も、京香を抱きしめた。
「そうだよな」
俺達、生き残ったんだ、と。
香龍は、生きている幸せを噛みしめた──
*****
『グェ?』
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そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
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さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
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