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こんぶ

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日本編

でんきライオン 5

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香龍は目にも止まらぬ速度でライオンを殴り抜く。するとライオンは途轍もない力に押され負け、吹っ飛んで行く。しかし、ライオンの反射神経と体力は尋常ではない。故にその程度の攻撃ではダメージを負っているようには見えなかった。ライオンは吹っ飛んでいる中で体勢を整え、地面に落ちる。そして、その吹っ飛んでいる威力を利用して、超高速で駆けだした。しかし、今の香龍は、こと速さならライオンに負けることはないだろう。香龍も、ライオンと同じ方へ駆けだす。すると二人の距離はだんだんと縮まってくる。二人の走る速さに周りの木々は倒れ、途轍もない風が森全体を駆け巡る。そして、ぐんぐんとライオンに近づいた香龍は、いつしかライオンと並んでいた。そして、ついにはライオンの前に飛び出した。そして、ライオンを上空に蹴り上げた。仮にこれがソンや京香だったら当たりもしなかっただろうが、今の香龍の異常な速さはいくらライオンとて、回避出来なかった。香龍の右足が綺麗にライオンの腹に直撃して、ライオンはぐるんと回りながら空に舞う。しかし、ライオンも一筋縄では無かった。空中で体勢をかえ、ピッと香龍に指を指した。

「…!」

香龍は恐らくアレが来るだろうと、構えて…

ゴロゴロ…ゴロォン!!


「来た」

それは、雷だった。
雷は香龍を目がけて落ちてくる。幾つも幾つも…それは地面に落ちる直前に閃光を放ち、爆音と衝撃を森全体に与える。
その速さは、今の香龍と、殆ど互角であった。
「ふっ、はっ」

香龍は落雷を避ける。本来は香龍より高い木々に当たるはずだが、ライオンは雷を操れるようで、香龍のみにピントを合わせて雷を落とすことが出来た。

しかし、香龍はその全てを避けきる。

上半身を斜めにして、尋常じゃない瞬発力で。

そして、香龍は雷を避けきった後、未だに空中にいるライオンに向けて、片手を突き出した。

ここからライオンまでは相当な距離がある。接近戦はできない筈だが…

「はっ」

すると香龍は、その突き出した手から何かを出した…
ライオンは微妙に遅れた反応でそれを避ける。
しかし、それはライオンを掠めた。

「…ふふっ?ふふふ」

ライオンの体を掠めた部分は、なんと無くなっていた。
消滅である。

「…ふふふふ!」

ライオンは、空中で移動を始める。

「何でもありだな…」

ライオンは少し離れた所にしゅるしゅると落ちていった。

しかし、香龍から言わせてもらえばこれはチャンスでしか無かった。

「行くぜ」

香龍は両手を突き出した。
そして、次の瞬間──


「おらオラオラオラ!」

その両手から大量の不可視の何かを撃ち出した。

それは、木々を貫通し、ライオンのいた方向へと進む。

何度も何度も…

いつしか、前方に見える木が無くなった所で、気づいた。

ライオンがまだいると言うことに。

「ふ…ふふ」

たてがみはボサボサになり、流石にライオンも疲れたと言った様子で息が荒く、しかしライオンはせいぜい数カ所、体に貫通があっただけである。

「…すげぇな…」

「…ふふふ」

二人の間に一瞬、静寂が訪れた。
まるで時が止まったかのように。

「…っ」

だんと香龍は踏み出した。

ライオンとの距離が縮まる。
しかし、ライオンはその事を予想していたのか、後のに入る。

しかし、香龍はそんなことを気にはしなかった。

「おんらぁ!」

と、泉を殴りつければ泉の水が全て散りゆくから…

「え?」

香龍の目の前には香龍に指を指すライオンの姿があった。

そして、驚いた事に、今度の雷は──

「…ぶっ!」

ライオンの指先から出て来たのだ。

流石に香龍は避けきれず、直撃する。

香龍な体はズサササと背中が地面を引きずりながら、だんだんと減速していった。

「…ハァーッ、ハァーッ」

流石に今度ばかりは駄目かと思ったがそうでは無かった。

何とかこの装甲が耐えてくれた様だ。

「…ぅ…」

「?」

人の声がしたので、その方へ香龍は向いてみると、驚きの光景があった。、

そこには、京香がいたのだ。
京香は悲しい目をしてから、少し迷うようにして言った。

「…もぅ、もう、やめてくれ…香龍…もともと、私達が悪かったじゃないか。それに、あれに、あんなのに勝てるのか?」

香龍はそれに力強く応えた。

「勝ってみせるさ。そう誓ってやる。勝てなかったら殺されてもいい」

そう言って香龍は指切りをしようと手を出すが──

「勝てなかったら殺されるって、そもそも君が負けた時点で皆死ぬようなものだよ…もう無理だ…勝てないよ…あんなの、この世の化け物だ…」

その姿は初めて香龍がこのミッションを行ったときとそっくりで、何故か被って見えてしまった。

「えぇ、そうよ──」

「─?」

「本当に、本当に勝てるの?無理でしょう。大した根拠も力も無いのに」

と、左腕を無くしたミッシェルがそう言った。

そうか、ここは避難所か…

「確かに根拠は無いかもな。でも、勝てるとか負けるとかそう言う話じゃない」

「そう言う話だ!戦かは無くちゃいけない理由なんてない!」

京香は、必死にそう言った。

「そうかもな。生きる死ぬの話だよ…やっぱり。でもさ、俺は…俺は守りたいものが出来た。京香とか、佐賀とか…それにミッシェル、お前もな」

「…守るだけって、そんな甘っちょろい理由だけで戦うわけ?すぐに殺されるわよ。そんなんじゃ」

「…そうと決まった訳じゃない。大した根拠も無いのに言うもんじゃないよ…」

と、言い返すように、ミッシェルにそう返した。


「それにさ、京香…」

「?」

「俺達、今日付き合ったんだぜ?じゃあ、生きないといけないだろ。それに、俺の彼女だったら、俺を…この新井香龍を信じてくれ」

「香龍…」

「なぁ?」

「ぅ、ぅううう。うううう、わかっ、…わかっ、た…うぅう、うぅう、はー、はーっううう」

「そんなに泣かないで…大丈夫だ…実は俺、負ける景色が一度も見えたことないんだ」

「大きな嘘つきね…でも…賭けるしか無さそうだわ」

「その通りだ。俺に賭けるしか、もう選択肢は無い」

「…った。分かったよ…香龍…」

「そうか」

「じゃあ!指切りだ!」

「あぁ」

そして香龍と京香は指切りをした。

「さてと…」

香龍は立ち上がり、勇ましく歩を進めた。

「じゃ、いっちょ行きますか」

──────────────────

香龍は歩を進め、ライオンの目の前に出る。

「ふふふふ?」

「オラオラオラ!」

二人は邂逅した。

その途端、香龍は両手から不可視の攻撃を放つ。

「オラオラオラ!」

しかし、それをもう慣れたと言わんばかりに、悠然と躱すライオン

「ふふふ」

まるで、この程度か、とあざ笑っているかのようだ。

「らあっ!」

今度はライオンの下に撃った。その瞬間、ライオンは地面が抉れた事により、体勢を崩す。

「オラオラオラ!」

咄嗟の判断で、ライオンは体に電気の幕を覆った。

その判断は正しく、香龍の手から放たれる不可視の攻撃を、一応は防いだ。しかし、その途轍もない威力にライオンは吹っ飛ぶ。
しかし、ライオンは吹っ飛ぶ事にさえ慣れたとも言わんばかりに、空中で体をひねり、香龍の方を見た。
そして、高速で指から雷を出す。

「ふっ、ほっ」

香龍は二つの蛇行する雷を避ける。

辺り一面の木々は焼きただれ、切断され崩れ落ちる。

そして、ライオンは姿勢を再び戻した。

地面に着地する。

「っ!」

来る…と、そう香龍は予感した。

そしてその通り、ライオンは香龍に対して向かってきた。香龍に殴りかかる。何度も何度も高速で。
香龍はそれらをいなし横にずらすが─

「っ?」

反応しきれず、ライオンの膝蹴りが腹の装甲にぶつかる。
そして、今度は香龍が吹き飛んだ。

「ふん!」

地面に腕を突き立てて、吹き飛ばない様にするが、

「うっ、うおっ!?うおおおおおお」

地面がががががと削れていき、香龍の体はバンバンと何度も地面をバウンドする。

「っはぁ!」

吹っ飛んだ先は、ライオンが見えないくらい離れてしまっていた。

しかし向こうの方に、雷で木々をなぎ倒し、俺を見つけようとするライオンの姿を発見した。

「行くぞっ!!」

ダッダッダッと香龍は駆け出し、加速する。どんどんどんどん加速する。そして、最高速度まで到達した瞬間──

「っらぁ!!」

メキメキメキと、ライオンの横腹に拳を入れる。

「ふぶふふふ!?」

ライオンは驚いたようにし、またしても吹っ飛んでいった。

しかし、その威力は先の比ではない。

最高速度まで上げた拳だ。
速度は力である。

「ぶっふふっ」

ライオンは香龍よりも何度もバウンドし、地面を削りながら、超高速で岩の山へと体を突き刺した。

そして、その威力で落ちてきた落石によって体を押しつぶされる。

そして、それを隙と見た香龍は、両手を突き出し…

「オラオラオラ!」

しかし、それと同時に香龍に何かが降り注いだ。

「っぐぁぁっ!?」

それは今までに無いほどの威力の落雷であった。

(あいつ…瓦礫の中でも雷を落とせるのか)

それを受けた香龍は体からぷしゅううと煙を出す。

「!」

瓦礫の中から血だらけのライオンが立ち上がって出てきた。

そして、辺りの岩を持ち上げる。

「ふっふふふふふふふ!!!」

ライオンはその大量の岩を、香龍に投げつけてきた。その速度は普通の人間なら当たっただけで、体ごと吹っ飛ぶであろう速度と質量があった。

しかし、そんなことは今の香龍には通じない。

「っらぁああ!!」

大量の岩を叩き落とす。

今度は、ライオンが一抱えするので精一杯の巨大な岩を、ぐんと投げられた。それは、避ける場所がないほど巨大で、圧巻されるものがあった。

バコンと香龍の体はその岩に押し潰される。

しかし、香龍の体は今は装甲によって守られている。

大した傷も無く、その岩の上から香龍は出てきた。

「行くぞぉ!」

香龍とライオンは示し合わせたように駆けだす。

香龍は走っている最中、両手から大量の不可視の攻撃をしかける。

しかしライオンも走りながらそれを回避する。

何度も何度も、ハイスピードな戦いが続く。

途中、大きめの川があったが、二人の速さでその水の上を走るという荒業もした。

超スピードで攻撃し、避ける、の繰り返しを、森の中を駆け回りながらしていた。

それにより、森中の至る所で自然災害でも起こったのか?という程の破壊があった。


「おんらぁ!」

しかし速さは香龍の方が上。

それにより、ライオンは再び香龍の攻撃を受けてしまう。

「ぶふぅ!」

ライオンの背中に大きな切り傷ができた。

「ぶふふっ」

ライオンは宙を舞う。
その時だった。

ライオンの体に異変が起きた。

両の手を合わせ合唱のようにし、静かにそれは舞い降りた。

「っ、は?」

それは、今までとは比べものにならないほどの電力で、電圧で、空から落ちてきた。

その落雷の範囲は少なくとも半径10mはあっただろう。

また、威力も今までとは段違いであった。

それが落ちたとき、音はしなかった。
あったのは、静寂だった。
そして、空が眩しく光っただけだった。


しかし、香龍のいた場所は──

巨大な隕石でも落ちたかのように、クレーターが出来上がっていた。

「ふふ、ふふーっ、ふふ」

ライオンは満身創痍、疲れ切った表情でその黒い装甲に近づく。

そして、ぱくりと、香龍の入ったスーツごと丸呑みした。

「ふふっ、ふふふふふふふ」

ライオンは不敵に笑う。
それは、勝利の笑いだった。


「ふふふふふふふふふふふふ」

絶望の、笑いだった。


香龍は、死んだ…

































「てめーがな」

「ふふふふふぶぶっ!?!?」

香龍は後の背中の傷口からライオンの体に手を入れた。

そして、体の中をかき回し──


「グアッッ!!」

「ウッ!!」

ライオンが香龍の腹を裂いた。

それでも香龍は止まらない。

「っはぁぁああああ!!」

死ぬ気でそれを探しだし、見つけ、握った──

「っらぁああああ」

「ッグァアアアアア」

ライオンは聞いたこともないような超咆哮をし、森全土が震撼した。そして無茶苦茶に暴れ回り、

「っああああああ!!」

ぶちゅりと、何かが潰れる音がした。

「ぐ…あ…あ、」

ライオンは、その場に倒れ込んだ。



『勝利、生還権72日分獲得。帰還』

しかし、香龍は帰還出来そうにも無かった。

香龍の体は腹からどす黒い内臓がはみ出ていて、血の噴出が止まらない。動脈が切れたのだ。

「──」

すぅーっと、香龍の意識が薄くなっていった。

「───ぅ、香龍っ!」

「…」

香龍のそばに、片腕、片脚をなくした京香がいた。

「生きろ!香龍っ!いぎでぐれっ!!約束じだじゃだいがっ!ぅぁあああ!!!」

泣き叫ぶ京香がいた。


んだよ。









「あー」







俺って生きる価値が、あったんだな。








さようなら。

ありがとう。

*****








「と、カッコイイ去り方をしておいて何だ、普通に生きてるぞ」

「…」

そこには、目を丸くした京香の姿があった。

「ていうか、いっつも生徒会室にいるのか?会長は…っと!?」

京香は、俺に抱きついていた。


「おっ、おい。こんな所でまずいだろ!」

「…ばかやろー」

「…馬鹿野郎だな」

香龍も、京香を抱きしめた。

「そうだよな」

俺達、生き残ったんだ、と。

香龍は、生きている幸せを噛みしめた──

*****

























『グェ?』
















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