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転生したらビート板だった件
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あぁ、もう駄目だろう。
俺は助からない。
さっき包丁で背中を刺された。
それから大分たった。刺した犯人はどこかに行ってしまったようだ。
家に入られた。所謂、強盗殺人というやつだろう。
もう手足の感覚がろくにない。
胸の辺りが、さっきまでは焼けるように熱かったはずなのに、今では寒い。
赤い液体が、体を覆うように床に流れていく。
これ、全部俺の…
「血か…」
最後に、誰にも看取られず、死ぬのか。
母さん、もっと親孝行…したかっ…た。
◇
「…?」
暗い…なんだ…ここは。
いや、これは…
「あらぁ、どこいったからしら…あ、あったわ」
目の前に女の人と、明るい日差しが差し込んだ。
「…??おーい」
呼びかけてみる。
俺、助かったのか?
いや、確実にしんだよな?
こんな人知らないし。
ていうか、誰?
「よし、これ出しましょう」
…は?
◇
どうやら俺は転生したらしい。
しかし、人間としてではなく、ビート板として!
「…転生したらビート板ってどういうこと!?」
叫んでも誰も気付いてくれない。
いや、他のビート板は生きてないからな。
だけど…うーん。発生器官が無いからか。
前代未聞だよなぁ。
ビート板って。
しかも、一週間で売れないっていうね。
「…んん?」
いかついオッサンが店に入ってきた。
「ビート板、ビート板…」と、言いながら俺の方へ歩いていきた。
おっ、かってくれるのか?
話は少し変わるが、もちろん今はビート板が売れる時期、夏である。
そのせいか、男の肌も少し汗ばんでいた。
そして、その男は俺のことをとってくれた。
「…これ下さい」
「220円です」
「はい」
…俺安っ。
◇
そして俺は、中学校へ運ばれた。
どうやらあの男は中学校の教師だったようだ。
「…」
俺はプールにあるビート板の一つとなった。
話によると、俺の分のビート板が紛失したので、その分を買ってきたらしい。
多分、客観的に見れば俺は不幸のように見えるだろう。しかし、そう感じてはいない。
何故なら、生きているだけで俺は嬉しかったから。
スライムになれなくても、俺は別に良い。
…いゃぁ、それでも、まぁ結構最高だけどね?
水泳が苦手な女子生徒が俺をプールに浮かせて…そして抱きついてくるのだから。
ふふふふふ…それは最高だ。
そして、ある日のこと。
「…んじゃ、今日はビート板を使った授業をするぞー!」
生徒全員にビート板が渡される。
俺の相手は男だった。ちぇ!
そして、その男は呆けた顔をしていた。
アホみたいな顔だなぁ、と思っていると…
「…あれ?あれあれ」
俺は水に浮いている事に気がついた。
「先生!たけしくんが持っていたビート板だけプールを漂っています!」
「な、なんだって、救出部隊、はやく!」
…俺は今、プールのど真ん中に、一人漂っていた。
皆から注目されていた。
「これじゃあ、まるで」
ビート板から始まる異世界生活じゃないか。
「…」
突っ込み不在の恐怖を知った。
「救出部隊!救出に成功しました」
「よし!」
俺はまたあのアホ面の男子生徒に渡された。
「…ふぅ」
そうして、たるい人生が続いた。
数年経ったある日、気付く。
自分が想像以上にボロボロになっていることに。
「…そろそろか」
そして予想したとおり、その数ヶ月後、俺は廃棄された。
「…」
まぁ、色々あったけど、楽しい一生でした。
我が生涯に、一点の悔い無し。
「うわぁぁぁあ!」
そして俺は焼却炉に入れられた。
俺は助からない。
さっき包丁で背中を刺された。
それから大分たった。刺した犯人はどこかに行ってしまったようだ。
家に入られた。所謂、強盗殺人というやつだろう。
もう手足の感覚がろくにない。
胸の辺りが、さっきまでは焼けるように熱かったはずなのに、今では寒い。
赤い液体が、体を覆うように床に流れていく。
これ、全部俺の…
「血か…」
最後に、誰にも看取られず、死ぬのか。
母さん、もっと親孝行…したかっ…た。
◇
「…?」
暗い…なんだ…ここは。
いや、これは…
「あらぁ、どこいったからしら…あ、あったわ」
目の前に女の人と、明るい日差しが差し込んだ。
「…??おーい」
呼びかけてみる。
俺、助かったのか?
いや、確実にしんだよな?
こんな人知らないし。
ていうか、誰?
「よし、これ出しましょう」
…は?
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しかし、人間としてではなく、ビート板として!
「…転生したらビート板ってどういうこと!?」
叫んでも誰も気付いてくれない。
いや、他のビート板は生きてないからな。
だけど…うーん。発生器官が無いからか。
前代未聞だよなぁ。
ビート板って。
しかも、一週間で売れないっていうね。
「…んん?」
いかついオッサンが店に入ってきた。
「ビート板、ビート板…」と、言いながら俺の方へ歩いていきた。
おっ、かってくれるのか?
話は少し変わるが、もちろん今はビート板が売れる時期、夏である。
そのせいか、男の肌も少し汗ばんでいた。
そして、その男は俺のことをとってくれた。
「…これ下さい」
「220円です」
「はい」
…俺安っ。
◇
そして俺は、中学校へ運ばれた。
どうやらあの男は中学校の教師だったようだ。
「…」
俺はプールにあるビート板の一つとなった。
話によると、俺の分のビート板が紛失したので、その分を買ってきたらしい。
多分、客観的に見れば俺は不幸のように見えるだろう。しかし、そう感じてはいない。
何故なら、生きているだけで俺は嬉しかったから。
スライムになれなくても、俺は別に良い。
…いゃぁ、それでも、まぁ結構最高だけどね?
水泳が苦手な女子生徒が俺をプールに浮かせて…そして抱きついてくるのだから。
ふふふふふ…それは最高だ。
そして、ある日のこと。
「…んじゃ、今日はビート板を使った授業をするぞー!」
生徒全員にビート板が渡される。
俺の相手は男だった。ちぇ!
そして、その男は呆けた顔をしていた。
アホみたいな顔だなぁ、と思っていると…
「…あれ?あれあれ」
俺は水に浮いている事に気がついた。
「先生!たけしくんが持っていたビート板だけプールを漂っています!」
「な、なんだって、救出部隊、はやく!」
…俺は今、プールのど真ん中に、一人漂っていた。
皆から注目されていた。
「これじゃあ、まるで」
ビート板から始まる異世界生活じゃないか。
「…」
突っ込み不在の恐怖を知った。
「救出部隊!救出に成功しました」
「よし!」
俺はまたあのアホ面の男子生徒に渡された。
「…ふぅ」
そうして、たるい人生が続いた。
数年経ったある日、気付く。
自分が想像以上にボロボロになっていることに。
「…そろそろか」
そして予想したとおり、その数ヶ月後、俺は廃棄された。
「…」
まぁ、色々あったけど、楽しい一生でした。
我が生涯に、一点の悔い無し。
「うわぁぁぁあ!」
そして俺は焼却炉に入れられた。
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