65 / 298
罰
10
しおりを挟む
「ご苦労様、もう帰っていいぞ」
顔見知りなのだろう。利根川の言葉を受け、制服警官は敬礼をした後、帰って行った。
健太はポケットから鍵を取り出した。
「あっ、鍵は開いてますよ」
どうやら健太の部屋を鑑識が調べた後、鍵を掛けられなかった為、警官が立っていたようだ。
「では、何かありましたら、至急ご連絡下さい」
利根川はそう言うと、日村を連れて車に戻った。
部屋に入った健太の視界にテーブルが入った。上に置いてあった犯行文は無くなっている。
健太は部屋の中を見渡した。約束ノートも破り開けた封筒も姿形がない。警察が持って帰ったのだろう。
健太はうなだれるように座り込み、両肘をテーブルに付き、頭を抱えた。
頭の中で、遥があどけなく笑っている。叫びそうになるのを、ぐっと堪えた。
一時間程そうしていた。健太はようやく頭を上げた。
スーツのポケットから携帯電話を取り出した。そして携帯電話を見詰めたまま、動かなくなった。何かを考えているのだろう。
顔付きが変わった。決意したようだ。健太は和也に電話を掛けた。
「…和也…すまない」
七回目のコールで電話に出た和也に、健太は心にある言葉を口にした。
「…どうして謝るんだ?」
和也の声は掠れている。きっと遥の事を想い、泣き叫んでいたのだろう。
「…犯行文の内容、聞いたか?」
「…あぁ」
「犯人は俺に恨みがある人間だ…俺のせいで遥ちゃんは」
「お前のせいじゃない!…お前は何もしちゃいないだろ?」
和也は遮るように、健太に続きの言葉を言わせなかった。
「…」
憎んでいい筈だ。しかし、和也は自分を憎んではいない。その優しさに触れ、健太は言葉が出なかった。
「健太…お前も気を付けろよ…犯人はお前を狙ってくるかもしれないからな」
「…あぁ、ありがとう」
涙が込み上げてきた。
「…じゃあ、遥ちゃん探しに行くから電話切るぞ」
顔見知りなのだろう。利根川の言葉を受け、制服警官は敬礼をした後、帰って行った。
健太はポケットから鍵を取り出した。
「あっ、鍵は開いてますよ」
どうやら健太の部屋を鑑識が調べた後、鍵を掛けられなかった為、警官が立っていたようだ。
「では、何かありましたら、至急ご連絡下さい」
利根川はそう言うと、日村を連れて車に戻った。
部屋に入った健太の視界にテーブルが入った。上に置いてあった犯行文は無くなっている。
健太は部屋の中を見渡した。約束ノートも破り開けた封筒も姿形がない。警察が持って帰ったのだろう。
健太はうなだれるように座り込み、両肘をテーブルに付き、頭を抱えた。
頭の中で、遥があどけなく笑っている。叫びそうになるのを、ぐっと堪えた。
一時間程そうしていた。健太はようやく頭を上げた。
スーツのポケットから携帯電話を取り出した。そして携帯電話を見詰めたまま、動かなくなった。何かを考えているのだろう。
顔付きが変わった。決意したようだ。健太は和也に電話を掛けた。
「…和也…すまない」
七回目のコールで電話に出た和也に、健太は心にある言葉を口にした。
「…どうして謝るんだ?」
和也の声は掠れている。きっと遥の事を想い、泣き叫んでいたのだろう。
「…犯行文の内容、聞いたか?」
「…あぁ」
「犯人は俺に恨みがある人間だ…俺のせいで遥ちゃんは」
「お前のせいじゃない!…お前は何もしちゃいないだろ?」
和也は遮るように、健太に続きの言葉を言わせなかった。
「…」
憎んでいい筈だ。しかし、和也は自分を憎んではいない。その優しさに触れ、健太は言葉が出なかった。
「健太…お前も気を付けろよ…犯人はお前を狙ってくるかもしれないからな」
「…あぁ、ありがとう」
涙が込み上げてきた。
「…じゃあ、遥ちゃん探しに行くから電話切るぞ」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる