約束ノート

村上未来

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誕生

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 享年二十五歳。西園寺瑠奈はこの世を去った。神社の階段から転げ落ち、頭部を強打した瑠奈は、病院に運ばれた。しかし、手術の甲斐なく息を引き取った。
 瑠奈は臓器ドナー提供カードを所持していた。瑠奈の臓器は、様々な人に提供された。救われた命がある。沢尻もその内の一人だ。
 瑠奈の人生は波乱に満ち溢れていた。他に類を見ないと言っても、過言ではないかもしれない。
 西園寺雅治と木村静香が愛し合った。その末に産まれたのが瑠奈だ。
 病院で産声を上げた瑠奈の股間には、可愛らしいものが付いていた。

「おめでとうございます。男の子です」

 分娩室で助産師がそう告げた。
 産んだばかりの我が子を、静香は愛しそうに抱き寄せた。
 瑠奈が産まれた瞬間、雅治は家で妻の成実と過ごしていた。不倫の末に産まれた子。それが瑠奈だ。
 静香が働いていた銀座のクラブに、雅治が客として来た。座るだけで五万円は取られる、高級なクラブだ。
 初めて静香を見た瞬間、雅治は恋に落ちた。それは静香も同じだった。しかし、雅治の口から妻がいる事を聞かされた静香は、自分の気持ちに蓋をした。
 恋は理屈ではない。二人は関係を持った。お互い遊びではなく、本気で愛しあった。
 静香は雅治の家庭を壊す気などなかった。しかし、いけない恋だと知りながらも、何度も愛を確かめ合った。
 雅治の妻の成実の父親は、会社を経営していた。一代で築き、海外にも進出し、急成長を遂げた会社だ。雅治の父親は、その会社の子会社の社長をしていた。
 雅治は、親の強い勧めで成実と結婚した。成実が雅治に好意を抱いたのだ。雅治は気持ちがないまま成実と結婚した。
 二人の結婚生活は、決して幸せと言えるものではなかった。新婚当初は成美は雅治にベタ惚れだったが、年々気持ちは冷めていったようだ。
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