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誕生
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結婚してからも、雅治は成実を心から愛せなかった。成実の人を思いやらない、自己中心的な考えが好きになれなかったのだ。二人は仮面夫婦と言われる関係になってしまった。そして雅治は静香と出会った。
静香は自分が妊娠していると分かった時、雅治の前から姿を消した。無論それは、雅治との子供だ。
静香は雅治の家庭を壊したくなかった。だから、お腹の子供と二人で生きていく事を決めたのだ。
静香は幼い頃に相次いで親を亡くしている。母方の祖母に育てられたが、その祖母も高校を卒業する頃に亡くしている。頼れる親族も友人もいない。一人で産まれてくる子供を育てるしかなかった。
静香は東京から離れた土地で、独り暮らしを始めた。築四十年は経っている、劣化の目立つ安アパートだ。縁もゆかりもない土地にある。高校を卒業するまで住んでいた土地で暮らさなかったのは、雅治の事を考えての事だ。雅治は静香の故郷を知っている。可能性は少ないかもしれないが、自分を探してくるかもしれない。それを考えての事だった。
静香は産まれてきた子供に、雅史という名前を付けた。元気な男の子だ。
そこそこの蓄えはあった。しかし、無限ではない。働かなければ数年で底を突くだろう。手の掛かる子供を抱え、静香は内職を始めた。
雅史は唯一の家族。静香はいつでも愛情を注いだ。
内職の給料は、家賃程にしかならなかった。貯金を切り崩しながらの生活は、豊かではなかっただろう。しかし、笑顔の絶えない家庭だった。二人は幸せに暮らしていた。
雅史が三歳の誕生日を迎えた。それから数日後。玄関のドアが叩かれた。
ドアを開けると、そこには雅治が立っていた。妻と別れ、会社を辞めた雅治は、ずっと静香を探していたのだ。
そこまで自分を愛してくれていたなんて、知らなかった。嬉しかった。静香は雅治の気持ちを受け入れ、親子三人の生活が始まった。
雅史は初めて見る雅治に直ぐに懐いた。本能で父親だと分かったのだろう。
雅治はアパートから近くにある、土建屋に勤め始めた。慣れない肉体労働は辛かったようだが、大切な家族の為に精一杯働いた。
雅史は八歳になった。その誕生日、雅治がこの世を去った。医者の話によれば死因は急性心不全との事だ。
棺桶の中の雅治は安らかな顔をしていた。息をしない。動かない。その安らかな顔は微動だにしない。雅史は思った。美しい。
悲しみは何一つ感じなかった。ただ、美しいとしか思わなかったのだ。この日を境に、雅史は猫や鳩などを捕まえ、殺し始めた。
幼いながらに、やってはいけない事だと自覚していた。しかし、死に顔が見たい欲求は止まらなかったようだ。雅史は誰にも悟られる事なく、その行為を幾多も繰り返した。
静香は自分が妊娠していると分かった時、雅治の前から姿を消した。無論それは、雅治との子供だ。
静香は雅治の家庭を壊したくなかった。だから、お腹の子供と二人で生きていく事を決めたのだ。
静香は幼い頃に相次いで親を亡くしている。母方の祖母に育てられたが、その祖母も高校を卒業する頃に亡くしている。頼れる親族も友人もいない。一人で産まれてくる子供を育てるしかなかった。
静香は東京から離れた土地で、独り暮らしを始めた。築四十年は経っている、劣化の目立つ安アパートだ。縁もゆかりもない土地にある。高校を卒業するまで住んでいた土地で暮らさなかったのは、雅治の事を考えての事だ。雅治は静香の故郷を知っている。可能性は少ないかもしれないが、自分を探してくるかもしれない。それを考えての事だった。
静香は産まれてきた子供に、雅史という名前を付けた。元気な男の子だ。
そこそこの蓄えはあった。しかし、無限ではない。働かなければ数年で底を突くだろう。手の掛かる子供を抱え、静香は内職を始めた。
雅史は唯一の家族。静香はいつでも愛情を注いだ。
内職の給料は、家賃程にしかならなかった。貯金を切り崩しながらの生活は、豊かではなかっただろう。しかし、笑顔の絶えない家庭だった。二人は幸せに暮らしていた。
雅史が三歳の誕生日を迎えた。それから数日後。玄関のドアが叩かれた。
ドアを開けると、そこには雅治が立っていた。妻と別れ、会社を辞めた雅治は、ずっと静香を探していたのだ。
そこまで自分を愛してくれていたなんて、知らなかった。嬉しかった。静香は雅治の気持ちを受け入れ、親子三人の生活が始まった。
雅史は初めて見る雅治に直ぐに懐いた。本能で父親だと分かったのだろう。
雅治はアパートから近くにある、土建屋に勤め始めた。慣れない肉体労働は辛かったようだが、大切な家族の為に精一杯働いた。
雅史は八歳になった。その誕生日、雅治がこの世を去った。医者の話によれば死因は急性心不全との事だ。
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