149 / 298
だるま
7
しおりを挟む
食事を終えた健太は、和也の携帯に電話を掛けた。
「もしもし、健太か?」
電話に出た和也の声は元気がなかった。心身共に疲れているのだろう。
飯なんか食ってた場合じゃない。健太は心がずきりと痛んだ。
「…まだ、遥ちゃん探してるんだろ?体は大丈夫か?」
「…あぁ、大丈夫だ」
とても大丈夫そうには思えない声で、和也は答えた。
「…帰ってこいよ…警察に任せてくれないか?」
和也の体を心配しているのもあるが、健太はそうして欲しかった。自分は動けずにいる。申し訳ない気持ちでいっぱいなのだ。
「…そうだな…明日辺り帰るよ」
宛もなく探している和也のため息が聞こえた。
「…ごめんな和也」
健太は自分のせいで遥が誘拐されていると心底思っている。それは心からの謝罪だった。
「…前にも言ったけど、お前のせいじゃないからな…悪いのは全部犯人なんだ」
「…あぁ」
その言葉に健太は救われた気がした。
「じゃあ、電話切るぞ…行かなきゃいけない所あるんだ…じゃあな、またな」
和也は電話を切った。
健太が電話の切れた携帯電話を暫く見詰めていると、着信を知らせるメロディーが流れた。画面に沢尻先生と表示している。沢尻の携帯からの電話だ。健太は電話に出た。
「もしもし、健太です」
「もしもし、健太君。元気かい?」
沢尻の声は明るく、陽気な感じがする。
沈んだ心を癒さすような声だ。
「はい、元気です」
健太は今できる精一杯元気な声で答えた。
「いいかい、元気があればなんでも出来るんだよ。分かったかい」
「はい…ありがとうございます」
「演技でもいいから明るくしてるんだよ。演技がいずれ本当になるからね」
幼い頃、信頼していた沢尻に言われ、健太は本当にそうなる気がした。
「分かりました…ありがとうございます」
「じゃあ、また電話するね。明るくしてるんだよ」
沢尻は最後まで陽気な感じで電話を切った。
健太は元気を少し貰えた気がした。そして、心から沢尻に感謝した。
電話を終えた沢尻は窓辺に立ち、部屋の中から外の様子を伺った。
外は暗くなっている。月明かりが木々達を優しく照らしている。
「もしもし、健太か?」
電話に出た和也の声は元気がなかった。心身共に疲れているのだろう。
飯なんか食ってた場合じゃない。健太は心がずきりと痛んだ。
「…まだ、遥ちゃん探してるんだろ?体は大丈夫か?」
「…あぁ、大丈夫だ」
とても大丈夫そうには思えない声で、和也は答えた。
「…帰ってこいよ…警察に任せてくれないか?」
和也の体を心配しているのもあるが、健太はそうして欲しかった。自分は動けずにいる。申し訳ない気持ちでいっぱいなのだ。
「…そうだな…明日辺り帰るよ」
宛もなく探している和也のため息が聞こえた。
「…ごめんな和也」
健太は自分のせいで遥が誘拐されていると心底思っている。それは心からの謝罪だった。
「…前にも言ったけど、お前のせいじゃないからな…悪いのは全部犯人なんだ」
「…あぁ」
その言葉に健太は救われた気がした。
「じゃあ、電話切るぞ…行かなきゃいけない所あるんだ…じゃあな、またな」
和也は電話を切った。
健太が電話の切れた携帯電話を暫く見詰めていると、着信を知らせるメロディーが流れた。画面に沢尻先生と表示している。沢尻の携帯からの電話だ。健太は電話に出た。
「もしもし、健太です」
「もしもし、健太君。元気かい?」
沢尻の声は明るく、陽気な感じがする。
沈んだ心を癒さすような声だ。
「はい、元気です」
健太は今できる精一杯元気な声で答えた。
「いいかい、元気があればなんでも出来るんだよ。分かったかい」
「はい…ありがとうございます」
「演技でもいいから明るくしてるんだよ。演技がいずれ本当になるからね」
幼い頃、信頼していた沢尻に言われ、健太は本当にそうなる気がした。
「分かりました…ありがとうございます」
「じゃあ、また電話するね。明るくしてるんだよ」
沢尻は最後まで陽気な感じで電話を切った。
健太は元気を少し貰えた気がした。そして、心から沢尻に感謝した。
電話を終えた沢尻は窓辺に立ち、部屋の中から外の様子を伺った。
外は暗くなっている。月明かりが木々達を優しく照らしている。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる