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運命の人
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「じゃあ、次はしのはらけんた君が何処に居るのか、神様に聞くね!」
霞は振り子を紙の上に垂らした。
「霞、もう聞いちゃ駄目」
すみれは霞の手を掴み、振り子を静止させた。
「えー!何で?」
霞は頬を膨らませた。
すみれは霞の目を優しげに見詰めた。
「運命の人っていうのはね、自分で見付けるものなの…天使だけ運命の人を見付けられたら不公平でしょ?」
「…うん」
すみれの言葉が響いたようだ。
「運命の人は、霞が大人になった時に見付かるからね…それでも見付からなかったら、神様に聞いてもいいわよ」
「うん!分かった!」
大人になったらダウジングしても良いと聞き、霞の元気は戻った。
「小羽君!お外で遊ぼう!」
霞は小羽の手を掴み、リビングの窓を開け、庭に駆け出した。それから二人は時間を忘れたように庭で遊んだ。
日は陰り、空は茜色に染まり始めている。
すみれはリビングの窓から顔を出し、無邪気に遊ぶ子供達に声を掛けた。
「霞、小羽君、そろそろ家に入りなさい」
「はーい!小羽君行こう!」
「…うん」
小羽は遊び足りないのか、元気がない様子だ。
家の中に入った二人はストーブに手を翳した。外で冷えた小さな手に温もりが蘇る。
「小羽君、そろそろ帰ろうね。お家の人が待ってるよ」
体を温め終わった頃合いを見計らって、すみれが声を掛けた。
「……」
小羽は無言で霞の手を取ると握り締めた。その顔は今にも泣き出しそうだ。
「…小羽君、帰ろうね」
すみれは小羽の頭の上に優しく手を置いた。
「…うん」
「じゃあ、玄関まで送るね」
すみれはリビングのドアを開け、霞と手を繋ぐ小羽を優しい目で見詰めた。
霞は小羽の手を引き、リビングのドアを潜り抜けた。小羽のその小さな手は、微かに震えている。しかし、手を繋ぐ霞はそれを気にできなかった。
「じゃあね」
「また来てね」
二人に見送られ、小羽は新垣家を後にした。その足は隣にある自宅に向かっている。しかし、その足取りは、何かを拒むようにゆっくりとしている。
玄関前に辿り着いた小羽は、ドアノブを握ろうとはしなかった。ただ、黙って玄関前で俯いている。
体が震えている。それは寒さのせいばかりではなさそうだ。
「ガチャ」
玄関のドアが不意に開いた。
「おっと!…坊主か」
ドアから出てきたのは、両耳にピアスを付けている痩せている若い男だ。
「元気か坊主?」
男は小羽の頭に手を起き、乱暴に髪を掻き乱した。小羽は俯いたまま、されるがままだ。
「じゃあな」
反応を示さない小羽にその言葉を残し、男は去って行った。
小羽は僅かに顔を上げた。ドアは男が開いたままで閉じられてはいない。
「…ただいま」
小羽はか細い声を上げると、家の中に入って行った。
霞は振り子を紙の上に垂らした。
「霞、もう聞いちゃ駄目」
すみれは霞の手を掴み、振り子を静止させた。
「えー!何で?」
霞は頬を膨らませた。
すみれは霞の目を優しげに見詰めた。
「運命の人っていうのはね、自分で見付けるものなの…天使だけ運命の人を見付けられたら不公平でしょ?」
「…うん」
すみれの言葉が響いたようだ。
「運命の人は、霞が大人になった時に見付かるからね…それでも見付からなかったら、神様に聞いてもいいわよ」
「うん!分かった!」
大人になったらダウジングしても良いと聞き、霞の元気は戻った。
「小羽君!お外で遊ぼう!」
霞は小羽の手を掴み、リビングの窓を開け、庭に駆け出した。それから二人は時間を忘れたように庭で遊んだ。
日は陰り、空は茜色に染まり始めている。
すみれはリビングの窓から顔を出し、無邪気に遊ぶ子供達に声を掛けた。
「霞、小羽君、そろそろ家に入りなさい」
「はーい!小羽君行こう!」
「…うん」
小羽は遊び足りないのか、元気がない様子だ。
家の中に入った二人はストーブに手を翳した。外で冷えた小さな手に温もりが蘇る。
「小羽君、そろそろ帰ろうね。お家の人が待ってるよ」
体を温め終わった頃合いを見計らって、すみれが声を掛けた。
「……」
小羽は無言で霞の手を取ると握り締めた。その顔は今にも泣き出しそうだ。
「…小羽君、帰ろうね」
すみれは小羽の頭の上に優しく手を置いた。
「…うん」
「じゃあ、玄関まで送るね」
すみれはリビングのドアを開け、霞と手を繋ぐ小羽を優しい目で見詰めた。
霞は小羽の手を引き、リビングのドアを潜り抜けた。小羽のその小さな手は、微かに震えている。しかし、手を繋ぐ霞はそれを気にできなかった。
「じゃあね」
「また来てね」
二人に見送られ、小羽は新垣家を後にした。その足は隣にある自宅に向かっている。しかし、その足取りは、何かを拒むようにゆっくりとしている。
玄関前に辿り着いた小羽は、ドアノブを握ろうとはしなかった。ただ、黙って玄関前で俯いている。
体が震えている。それは寒さのせいばかりではなさそうだ。
「ガチャ」
玄関のドアが不意に開いた。
「おっと!…坊主か」
ドアから出てきたのは、両耳にピアスを付けている痩せている若い男だ。
「元気か坊主?」
男は小羽の頭に手を起き、乱暴に髪を掻き乱した。小羽は俯いたまま、されるがままだ。
「じゃあな」
反応を示さない小羽にその言葉を残し、男は去って行った。
小羽は僅かに顔を上げた。ドアは男が開いたままで閉じられてはいない。
「…ただいま」
小羽はか細い声を上げると、家の中に入って行った。
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