198 / 298
ここから
1
しおりを挟む
「…小羽君」
小羽に抱き締められた霞は、戸惑いの声を洩らした。しかし、直ぐにその体に蘇った。幼き日の小羽の温もりが。
無意識だった。幼き日にそうしていたように、霞は優しく小羽を抱き返した。
小羽が我に返った。
「…霞ちゃん?」
小羽は抱き締める腕を解き、霞の顔を見詰めた。
「…お帰り、小羽君」
霞は笑顔を浮かべ、大粒の涙を流した。
「…ごめんね…霞ちゃん」
小羽も大粒の涙を流し、体を震わせている。
「…中に入って…話しよう」
霞は震える小羽の手を取り、部屋の中へと導いた。
長い間、沈黙が続いた。その沈黙を破ったのは、俯いている小羽だった。
「…霞ちゃん…ごめんね…霞ちゃんの運命の人の命を奪って」
絞り出すように出した小羽の声は震えている。
「…小羽君のせいじゃないよ…小羽君、辛かったのに…気付いてあげられなくて、ごめんね」
霞は小羽が約束ノートに洗脳されていた事を知っていた。それは当時、幾度もテレビで報道されていたからだ。霞はその当時から自分を責めていた。一番親しかった自分が気付かなかった事を責めていたのだ。
小羽が顔を上げた。
「なんで霞ちゃんが謝るの?…霞ちゃんの運命の人を殺してしまった僕が悪いんだ…幼かったとはいえ…本当にごめんなさい」
本心なのだろう。小羽は頭を深く下げた。
「…小羽君は悪くない…全部あの人のせいだよ…幼い小羽君を傷付け、心までずたぼろにした」
優の顔を思い浮かべた霞は、真剣な表情を浮かべている。
「…でも…でも、僕は霞ちゃんの大切な人を」
「あの謙太君は、私の運命の人じゃないよ」
小羽の言葉を遮った霞は、優しげに微笑んだ。
「えっ?…でも…」
小羽の脳裏に、霞がダウジンクした日の事が鮮明に蘇った。
小羽に抱き締められた霞は、戸惑いの声を洩らした。しかし、直ぐにその体に蘇った。幼き日の小羽の温もりが。
無意識だった。幼き日にそうしていたように、霞は優しく小羽を抱き返した。
小羽が我に返った。
「…霞ちゃん?」
小羽は抱き締める腕を解き、霞の顔を見詰めた。
「…お帰り、小羽君」
霞は笑顔を浮かべ、大粒の涙を流した。
「…ごめんね…霞ちゃん」
小羽も大粒の涙を流し、体を震わせている。
「…中に入って…話しよう」
霞は震える小羽の手を取り、部屋の中へと導いた。
長い間、沈黙が続いた。その沈黙を破ったのは、俯いている小羽だった。
「…霞ちゃん…ごめんね…霞ちゃんの運命の人の命を奪って」
絞り出すように出した小羽の声は震えている。
「…小羽君のせいじゃないよ…小羽君、辛かったのに…気付いてあげられなくて、ごめんね」
霞は小羽が約束ノートに洗脳されていた事を知っていた。それは当時、幾度もテレビで報道されていたからだ。霞はその当時から自分を責めていた。一番親しかった自分が気付かなかった事を責めていたのだ。
小羽が顔を上げた。
「なんで霞ちゃんが謝るの?…霞ちゃんの運命の人を殺してしまった僕が悪いんだ…幼かったとはいえ…本当にごめんなさい」
本心なのだろう。小羽は頭を深く下げた。
「…小羽君は悪くない…全部あの人のせいだよ…幼い小羽君を傷付け、心までずたぼろにした」
優の顔を思い浮かべた霞は、真剣な表情を浮かべている。
「…でも…でも、僕は霞ちゃんの大切な人を」
「あの謙太君は、私の運命の人じゃないよ」
小羽の言葉を遮った霞は、優しげに微笑んだ。
「えっ?…でも…」
小羽の脳裏に、霞がダウジンクした日の事が鮮明に蘇った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる