280 / 298
自分
15
しおりを挟む
「…可能性はあるかもしれませんね…あの事件をもう一度詳しく調べる必要がありそうですね…新垣さん、他に共犯はいますか?」
田宮は視線を霞に変えた。
「…は、はい…今、聞いてみます」
霞が疲労困憊しているのは、その顔を見れば明らかだ。その様子に気付いた健太が、霞を心配そうに見ている。
「霞さん…大丈夫ですか?」
「…大丈夫です」
霞がにっこりと笑った。だが、辛そうだ。
「…他の犯人の…名前…は?」
重くなった腕で、霞はクリスタルの振り子を紙の上に垂らした。
「……?」
全ての平仮名を黙読した霞は困惑した。
「…他の犯人の…な…まえは?」
霞はクリスタルの振り子に、同じ質問を投げ掛けた。しかし、振り子は答える事はなかった。
「…できない」
霞は悲しそうに呟いた。
「えっ?…できないとは?」
田宮は困惑している。
霞がポツリと呟いた。
「…ダウジングが…できないんです」
「えっ?」
田宮と健太が、驚きの声を上げた。
「わ、わたしの…名前は?」
霞は自分の名前をクリスタルの振り子に尋ねた。しかし、クリスタルの振り子は、何の反応も示さなかった。
「やっぱり…力が無くなってる」
霞はクリスタルの振り子を握り締め、天井を仰いだ。
これ程までに、連続してダウジングをやった事のない霞の精神力は限界だった。そのせいで力を失ったのかもしれない。
「…霞さん」
健太は切なそうに霞を見詰めている。
「…ありがとうございました…後は我々が事件に絡んだ全ての人間を見付け出します…新垣さん、お疲れのようですから、横になれる部屋を用意します。そちらでゆっくり休んでから、ご自宅までお送りしますね」
田宮はそう言うと、席を立ち、部屋を出て行った。
「…ごめんね、霞さん」
部屋に霞と二人きりになった健太は、申し訳無さそうに頭を下げた。
「…ううん…わたしこそごめんね…こんな事、今までなかったのに」
霞の無理して笑う姿が痛々しい。健太は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
田宮が利根川を連れ、部屋に戻ってきた。
「今、部屋を用意させてますので、こちらに来てください」
田宮が告げた。
「…ありがとう…ございます」
霞は椅子から立ち上がった。そしてゆっくりと、田宮が立つドアに向かって歩き出した。
「霞さん」
その重々しい足取りを見て、健太は横から霞の肩を抱えた。
田宮は視線を霞に変えた。
「…は、はい…今、聞いてみます」
霞が疲労困憊しているのは、その顔を見れば明らかだ。その様子に気付いた健太が、霞を心配そうに見ている。
「霞さん…大丈夫ですか?」
「…大丈夫です」
霞がにっこりと笑った。だが、辛そうだ。
「…他の犯人の…名前…は?」
重くなった腕で、霞はクリスタルの振り子を紙の上に垂らした。
「……?」
全ての平仮名を黙読した霞は困惑した。
「…他の犯人の…な…まえは?」
霞はクリスタルの振り子に、同じ質問を投げ掛けた。しかし、振り子は答える事はなかった。
「…できない」
霞は悲しそうに呟いた。
「えっ?…できないとは?」
田宮は困惑している。
霞がポツリと呟いた。
「…ダウジングが…できないんです」
「えっ?」
田宮と健太が、驚きの声を上げた。
「わ、わたしの…名前は?」
霞は自分の名前をクリスタルの振り子に尋ねた。しかし、クリスタルの振り子は、何の反応も示さなかった。
「やっぱり…力が無くなってる」
霞はクリスタルの振り子を握り締め、天井を仰いだ。
これ程までに、連続してダウジングをやった事のない霞の精神力は限界だった。そのせいで力を失ったのかもしれない。
「…霞さん」
健太は切なそうに霞を見詰めている。
「…ありがとうございました…後は我々が事件に絡んだ全ての人間を見付け出します…新垣さん、お疲れのようですから、横になれる部屋を用意します。そちらでゆっくり休んでから、ご自宅までお送りしますね」
田宮はそう言うと、席を立ち、部屋を出て行った。
「…ごめんね、霞さん」
部屋に霞と二人きりになった健太は、申し訳無さそうに頭を下げた。
「…ううん…わたしこそごめんね…こんな事、今までなかったのに」
霞の無理して笑う姿が痛々しい。健太は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
田宮が利根川を連れ、部屋に戻ってきた。
「今、部屋を用意させてますので、こちらに来てください」
田宮が告げた。
「…ありがとう…ございます」
霞は椅子から立ち上がった。そしてゆっくりと、田宮が立つドアに向かって歩き出した。
「霞さん」
その重々しい足取りを見て、健太は横から霞の肩を抱えた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる