魔王は将来の夢を探している

とまと

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ジゼルという少女

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だんだん空が暗くなる頃、我は薄暗い自室のベッドで目覚める。
昇るのは太陽ではなく月。

豪華絢爛なベッドから起き上がり窓の外を見上げる。

「今宵は満月か…」

しかし美しい月を見ている余裕はなかった。

「魔王様!お目覚めでございましょうか?すぐにでも報告をしたいことがございます。」

自室の扉の向こうから聞こえるは我に仕える魔族の声。

「…すぐ行く。しばし待て。」

我は魔王だ。
魔王に寝癖などがあってはならぬ…自室の鏡の前で身支度を整える。

扉を開け、部屋のその前に跪くこの幼く見える少女こそ我を呼んだ張本人である。
見た目こそは幼いがこれでも立派な魔族。
銀色の髪から僅かに覗く赤い目は我の姿を見上げ、小さき口を開いた。

「お呼び建てしてしまいすみません。皆大広間に集まっております。」

人間の言葉でいうコウモリの化物である彼女の声はとても愛らしい。

しかし考えてほしい。
なぜこの幼さで我を呼べるほどの位置にこの少女がいるのかを。

「わかった。ジゼルご苦労」

大広間へと歩みを進める我の後ろを歩くジゼル。
はじめてジゼルを見たものはその可憐さに騙されることだろう。

我はジゼル以上に無慈悲で悲しい生き物は見たことがない。

----------

あたしは大家族の末娘として生まれた。
あたしの一族は魔族のなかでも小柄な方で、パパのように稀に大きな者もいるけれど基本的には皆小さい姿をしている。

人間達がどうぶつを食らうように、あたし達もにんげんを食らう。

小さい者が多い一族では1人で狩りをするのは無理。
だからまず先に1人集落に潜入してから集団で襲うのが当たり前。
あたしの家族も同じで、あたしはいつも潜入をする役目だった。

「あれ?あなた1人?お父さんは?お母さんは?」

ある村の近く。
そろそろ夕刻が迫る頃、座り込んでいたあたしに話しかけてくるのは茶色の髪が綺麗なおねーさん。

「おとーさんもおかーさんもいないの…」

「夜は魔物がでるし危ないわ。とりあえず今日は私の家に来なさい。」

手を引かれそのおねーさんの家へと一緒に。

「あなたお名前は?私は※※※※※※っていうのよ」

名前なんてどうでもいい。
だってどうせすぐに食べてしまうのだもの。
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