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第2話 追放先はS級危険地帯『死の荒野』でした(実は神野菜の宝庫)
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翌朝。
俺は鳥のさえずりではなく、温かくて重たい『もふもふ』の感触で目を覚ました。
「ん……重い……」
目を開けると、そこには黒い毛皮の壁があった。
視線を上げると、巨大な狼の寝顔。
昨日、俺の畑の番犬(ペット)になったブラックフェンリルのポチだ。
俺を風除けにするかのように、体を丸めて寄り添って寝ている。
S級魔物の寝顔とは思えないほど、無防備で穏やかな顔だ。
鼻提灯まで出ている。
「おい、ポチ。朝だぞ」
俺が脇腹を軽くポンポンと叩くと、ポチは「ふあぁ」と人間臭いあくびをして、大きな目をぱちくりと開けた。
そして俺の顔を見るなり、尻尾をバタンバタンと地面に打ち付けて喜びを表現し、ザラザラの舌で俺の頬を舐め回してくる。
「わかった、わかったから! 顔中ベトベトだ!」
俺は笑いながらポチを押しのけ、体を起こした。
昨夜はたまたま見つけた岩陰で、毛布にくるまって寝ただけだったが、意外と熟睡できた。
ポチが湯たんぽ代わりになってくれたおかげだろう。
「さて、まずは畑の様子を見るか」
俺は伸びをして、昨夜作った畑へと向かった。
一晩経って、どうなっているか心配だったが――。
「……嘘だろ?」
俺は我が目を疑った。
そこには、昨日よりもさらに成長し、ジャングルのように生い茂ったトマ大根の森が広がっていた。
真っ赤な実が鈴なりになり、地面からは極太の大根が競い合うように頭を出している。
「成長早すぎないか? 俺のスキルバフがかかっているとはいえ、一晩でこれは……」
俺は一本のトマ大根を引き抜き、観察してみる。
昨日食べたものより、さらに色艶が良く、魔力が濃縮されている感じがする。
鑑定スキル(農業専用)を発動してみる。
【極上のトマ大根】
品質:SSS
説明:死の荒野の特異な魔力を吸収し、突然変異を起こした野菜。一口食べれば万病が治り、二口食べれば魔力が溢れ出す。市場価値は測定不能。国家予算レベル。
「国家予算……?」
とんでもない評価が出てしまった。
俺は首を傾げた。
確かに俺の【農業】スキルはレベル99だが、普通の土地でここまで品質が跳ね上がることはないはずだ。
俺はしゃがみ込み、地面の土を手に取った。
昨日は気づかなかったが、この土、表面は乾燥して赤茶けているが、少し掘ると漆黒の、宝石のようにきらめく層が出てくる。
「もしかして、この『死の荒野』って……」
俺はクワを手に取り、少し離れた手つかずの地面を掘ってみた。
カキン、と硬い音がして、何かの根っこに当たった。
枯れ木のように見えるが、引き抜いてみると、根の先端が金色に輝いている。
【黄金人参(仮死状態)】
説明:神代の時代に絶滅したとされる幻の野菜。不老長寿の秘薬の材料となる。高濃度の魔力溜まりでしか育たない。
さらに別の場所を掘る。
【マンドラゴラ・エンペラー(睡眠中)】
説明:引き抜くと歌う。その歌を聞いた者は至福の眠りにつく。非常に美味だが、調理難易度は神級。
俺は次々と出てくる鑑定結果に、冷や汗が止まらなくなった。
ここは『死の荒野』なんて生易しい場所じゃない。
ここは、あまりにも地脈の魔力が強すぎて、普通の植物が育たずに枯れてしまう『魔素過多』の土地だったのだ。
人間で言えば、栄養ドリンクの原液に浸かっているようなもので、普通なら中毒死してしまう。
だが、俺の【農業】スキルには『土壌調整』と『品種改良』の効果がある。
俺が手を入れることで、暴走していた魔力が植物に適した形に変換され、結果として、他ではあり得ない『神話級野菜』が育つ最強の農地へと変貌したのだ。
「なるほどな……。ここは、俺にとっての約束の地(エルドラド)だったわけだ」
レオナルドたちは、俺を死地に追いやったつもりだったろうが、結果的に俺に最高の環境をプレゼントしてくれたことになる。
感謝状でも送りたい気分だ。
「よし、現状把握は完了。となると、次は生活基盤だな」
いつまでも野宿というわけにはいかない。
ここには凶悪な魔物も出るし、何より雨風をしのげる家が欲しい。
俺は周囲を見渡した。
建材になりそうなものは……。
遠くに、枯れ木の森が見える。
あそこなら木材が手に入るかもしれない。
「ポチ、ちょっと散歩に行くぞ」
俺が声をかけると、ポチは嬉しそうに吠えて、俺を背中に乗せてくれた。
S級魔物の背中は広くて安定感抜群だ。
俺たちは風を切って荒野を疾走した。
◇
一方、その頃。
アレンの頭上には、今日も謎の球体『タマ』がふわりと浮かんでいた。
早朝からアレンがポチと戯れ、畑で驚愕し、独り言を呟いている様子は、余すことなく世界中に生配信されていた。
『おはよう、農民ニキ』
『朝からポチがかわいすぎる』
『あの赤い野菜、鑑定結果が見えたけどヤバくね? 国家予算レベルって書いてあったぞ』
『マジかよ。あれを昨日、犬のエサにしてたのか……』
『犬のエサ(国宝)』
『この人、自分の価値に全く気づいてないなw』
『そこがいいんだよ』
コメント欄は朝から活況を呈していた。
特に、魔道具に詳しい学者や、王侯貴族の間でこの配信が話題になり始めていた。
「死の荒野で農業が可能」という事実は、これまでの常識を覆す大発見だからだ。
しかし、そんな世間の喧騒とは無縁の場所で、不機嫌な朝を迎えている者たちがいた。
王都の高級宿屋に泊まっている勇者レオナルドたちだ。
「おい、なんだこのスープは! 味が薄いぞ!」
「パンもパサパサね。喉が渇いちゃうわ」
朝食のテーブルで、レオナルドと聖女マリアが文句を言っていた。
宿の主人が申し訳なさそうに頭を下げる。
ここは王都でも指折りの料理店を兼ねた宿だ。料理の質は決して低くない。
だが、彼らの舌は、アレンの作る『バフ飯』――最高級素材を使い、スキル補正で旨味が極限まで引き出された料理に慣れきっていたのだ。
「ちっ、アレンの奴がいなくなってから、飯が不味くて仕方ねえ」
「アレンくん、スープの温度調節とか上手でしたものね……」
賢者のガイルがコーヒーを啜りながら、ぼそりと言った。
「あいつの淹れるコーヒーは、魔力回復効果があったのだがな。これを飲んでも目が覚めん」
「私の筋肉も、なんだか張りがなくなってきた気がするわ」
武闘家のリンも自分の二の腕をつまんで溜息をつく。
「ええい、うるさい! たかが飯係がいなくなったくらいで、だらしないことを言うな!」
レオナルドはナイフを皿に叩きつけた。
内心では、彼自身も体の重さを感じていた。
これまでは一晩寝れば全回復していた疲労が、今朝はまだ残っている。
アレンのマッサージと特製ドリンクがないせいだとは認めたくなかった。
「行くぞ! 今日は『迷いの森』で中ボス狩りだ。サクッと倒して、俺たちの実力を再確認するぞ!」
レオナルドは無理やり仲間たちを急かして宿を出た。
街を歩いていると、すれ違う人々が何やら興奮した様子で話しているのが聞こえてきた。
「見たか? あの配信」
「ああ、死の荒野の開拓者だろ? すげえよな」
「一晩で森を作ったらしいぜ」
「ポチが可愛いんだよなぁ」
レオナルドは眉をひそめた。
「なんだ? 配信? 死の荒野だと?」
一瞬、アレンの顔がよぎったが、すぐに打ち消した。
あんな無能が、あんな地獄で生きていけるはずがない。今頃は魔物の餌食になっているはずだ。
たまたま物好きな冒険者が、無謀な挑戦をしているのだろう。
「くだらん。他人の動向など気にしている暇はない」
レオナルドたちは街の喧騒を背に、ダンジョンへと向かった。
自分たちの冒険が、これからどれほど困難なものになるかも知らずに。
◇
場面は戻って、死の荒野。
俺とポチは、枯れ木の森に到着していた。
一見すると、立ち枯れた白い木々が並ぶ不気味な森だ。
だが、俺の【農業】スキル(派生:林業)で見ると、宝の山に見えた。
「これは……『アイアンウッド』の古木か。硬度は鉄以上、でも加工すれば軽い。最高建材じゃないか」
乾燥した気候のおかげで、木材は最高の状態で乾燥・熟成されていた。
虫食いひとつない。
普通なら加工に専用の工場が必要なレベルの硬い木だが、俺にはこれがある。
「いくぞ、ポチ。伐採だ!」
俺はクワを構えた。
クワは本来、土を耕すものだが、俺の認識では『農作業に必要な道具』はすべて農具カテゴリに含まれる。
つまり、開墾のために木を切る行為も農業の一部だ。
よって、このクワは今、最強の斧でもある。
「ふんっ!」
カァァァン!
軽いスイングでクワを振るうと、太さ一メートルはあるアイアンウッドが、まるで豆腐のようにスパッと切断された。
断面はツルツルに磨き上げられている。
『コメント:は?』
『コメント:アイアンウッドって、ミスリル製の斧でも刃こぼれする硬さだぞ?』
『コメント:それを泥だらけのクワで一撃www』
『コメント:豆腐かな?』
『コメント:もはや驚くのも疲れてきたw』
俺は次々と木を切り倒していく。
ポチがそれを咥えて、拠点まで運んでくれる。
連携プレーもばっちりだ。
必要な木材が揃ったところで、俺は拠点に戻った。
いよいよ建築だ。
「設計図は……頭の中にある」
俺は地面にクワで線を引いた。
イメージするのは、ログハウス風の平屋。
大きな窓と、広い土間、そしてポチ専用の寝床スペースも確保する。
「スキル発動――【高速加工】【建材組み立て】!」
俺が木材に手を触れると、魔力が流れ込み、木材がひとりでに動き出した。
切り込みが入り、凹凸が噛み合い、パズルのように組み上がっていく。
農業を行うには納屋や温室が必要になることが多い。
そのため、俺のスキルツリーには『小屋作成』という項目があったのだ。
それをレベル99まで極めた結果、それは『小屋』の範疇を超えた建築スキルになっていた。
ガガガガガッ! ドォォォン!
数分後。
そこには、木の温もりと重厚感を兼ね備えた、立派な邸宅が完成していた。
釘を一本も使わない、宮大工も裸足で逃げ出す伝統工法のような仕上がりだ。
屋根には耐久性の高い魔物の皮(道中で襲ってきた巨大トカゲのもの)を加工して葺いてある。
「よし、完成! 名付けて『ほのぼの農園ハウス』だ!」
俺が満足げに腰に手を当てると、ポチが「ワンッ!」と吠えて、一番に家の中に飛び込んでいった。
気に入ってくれたようだ。
俺も中に入る。
アイアンウッドの香りが心地よい。
家具がないのが寂しいが、それはこれから作っていけばいい。
とりあえず、部屋の隅にある暖炉(石を積み上げて即席で作った)に火を入れる。
パチパチと薪が爆ぜる音が、部屋を暖かく包み込む。
「さて、家もできたし、腹ごしらえにするか」
俺はリュックから、昨日収穫したトマ大根と、先ほど狩った巨大トカゲ(バジリスク亜種らしい)の肉を取り出した。
水は魔法で出せるし、鍋も持っている。
「今日はトマ大根とバジリスク肉のポトフ風煮込みだ」
クワを包丁代わりに(何でも切れるので便利だ)食材をカットし、鍋に投入。
調味料は塩くらいしかないが、素材の味が強烈なので問題ない。
コトコトと煮込むこと数分。
部屋中に、とてつもなく食欲をそそる香りが充満した。
「できたぞ、ポチ」
皿に取り分けると、ポチは待ちきれない様子で尻尾を振っている。
俺も一口啜る。
「……美味いッ!」
口に入れた瞬間、バジリスクの濃厚な脂の旨味と、トマ大根の爽やかな酸味が絶妙に絡み合う。
体がポカポカと熱くなり、指先まで力がみなぎる。
ステータス画面を見ると、『毒耐性:完全』『皮膚硬化:中』『体力自動回復:大』などのバフがずらりと並んだ。
どうやらバジリスクを食べたことで、その特性を取り込んだらしい。
「これ、店で出したら金貨何枚になるんだろうな……」
俺は苦笑しながら、ポチと一緒に鍋を空にした。
食後、満腹になった俺は、ポチの背中にもたれかかってくつろいでいた。
窓の外はもう夜だ。
荒野の夜空は、不気味な紫色の雲が晴れ、満天の星空が広がっていた。
俺が浄化したエリアだけ、空気が澄んでいるせいかもしれない。
ふと、ずっと俺の周りを飛んでいるタマを見た。
相変わらず淡く光っている。
「お前も腹減るのか? 魔力で動いてるのか?」
タマを指先でつつくと、空中に半透明のウィンドウのようなものが投影された。
『ピロリン♪ 視聴者数が10,000人を突破しました』
『初配信ボーナス:ギフトポイントが集計されました』
『現在のポイントで、以下のアイテムと交換可能です』
【調味料セット】【ふかふかベッド】【お風呂作成キット】【通信機能の拡張】
「……は?」
俺は目をぱちくりさせた。
視聴者? 配信? ギフト?
文字の羅列が理解できない。
ウィンドウには、流れるような文字の滝が表示されている。
『うまそううううう!』
『飯テロやめろw』
『バジリスクってAランク魔物だぞ、それを雑魚みたいに……』
『家建てるの一瞬すぎてワロタ』
『ログハウス素敵! 住みたい!』
『アレンきゅん、こっち見てー!』
「え、これ……誰かの声か?」
俺が呟くと、コメントが一斉に反応した。
『気づいた!?』
『やっと気づいたか!』
『そうです、世界中が見てますよ!』
『王都から見てるぞー!』
『エルフの里からも見てます!』
「世界中……が見てる?」
俺はタマを見つめ、そして自分の顔が青ざめていくのを感じた。
無人島生活のつもりだったのに、まさかの全世界生中継?
ということは、俺がポチのお腹に顔をうずめて「もふもふ最高~」とか言ってたのも、全部筒抜けだったってことか!?
「うわああああああ! 聞いてないぞタマ!」
俺の絶叫が、夜の荒野に響き渡った。
しかし、そのリアクションさえも視聴者には大ウケだった。
『照れてるw』
『反応が初々しい』
『もっとやっていいのよ』
『とりあえずスパチャ(投げ銭)代わりの魔力送っとくわ』
タマが激しく明滅する。
どうやら、俺の平穏なスローライフは、初日からすでに崩壊していたらしい。
一方、その頃の王都。
ボロボロになってダンジョンから帰還した勇者レオナルドたちは、酒場のテレビ画面で、温かいスープを飲んで幸せそうな俺の顔を見ていた。
そして、その横に流れる『勇者パーティよりこっちの方が勇者じゃね?』というコメントを見て、レオナルドは持っていたグラスを握り潰した。
「アレン……貴様ァ……!」
俺と勇者たちの格差は、たった一日で絶望的なまでに開いてしまっていた。
(第3話へ続く)
俺は鳥のさえずりではなく、温かくて重たい『もふもふ』の感触で目を覚ました。
「ん……重い……」
目を開けると、そこには黒い毛皮の壁があった。
視線を上げると、巨大な狼の寝顔。
昨日、俺の畑の番犬(ペット)になったブラックフェンリルのポチだ。
俺を風除けにするかのように、体を丸めて寄り添って寝ている。
S級魔物の寝顔とは思えないほど、無防備で穏やかな顔だ。
鼻提灯まで出ている。
「おい、ポチ。朝だぞ」
俺が脇腹を軽くポンポンと叩くと、ポチは「ふあぁ」と人間臭いあくびをして、大きな目をぱちくりと開けた。
そして俺の顔を見るなり、尻尾をバタンバタンと地面に打ち付けて喜びを表現し、ザラザラの舌で俺の頬を舐め回してくる。
「わかった、わかったから! 顔中ベトベトだ!」
俺は笑いながらポチを押しのけ、体を起こした。
昨夜はたまたま見つけた岩陰で、毛布にくるまって寝ただけだったが、意外と熟睡できた。
ポチが湯たんぽ代わりになってくれたおかげだろう。
「さて、まずは畑の様子を見るか」
俺は伸びをして、昨夜作った畑へと向かった。
一晩経って、どうなっているか心配だったが――。
「……嘘だろ?」
俺は我が目を疑った。
そこには、昨日よりもさらに成長し、ジャングルのように生い茂ったトマ大根の森が広がっていた。
真っ赤な実が鈴なりになり、地面からは極太の大根が競い合うように頭を出している。
「成長早すぎないか? 俺のスキルバフがかかっているとはいえ、一晩でこれは……」
俺は一本のトマ大根を引き抜き、観察してみる。
昨日食べたものより、さらに色艶が良く、魔力が濃縮されている感じがする。
鑑定スキル(農業専用)を発動してみる。
【極上のトマ大根】
品質:SSS
説明:死の荒野の特異な魔力を吸収し、突然変異を起こした野菜。一口食べれば万病が治り、二口食べれば魔力が溢れ出す。市場価値は測定不能。国家予算レベル。
「国家予算……?」
とんでもない評価が出てしまった。
俺は首を傾げた。
確かに俺の【農業】スキルはレベル99だが、普通の土地でここまで品質が跳ね上がることはないはずだ。
俺はしゃがみ込み、地面の土を手に取った。
昨日は気づかなかったが、この土、表面は乾燥して赤茶けているが、少し掘ると漆黒の、宝石のようにきらめく層が出てくる。
「もしかして、この『死の荒野』って……」
俺はクワを手に取り、少し離れた手つかずの地面を掘ってみた。
カキン、と硬い音がして、何かの根っこに当たった。
枯れ木のように見えるが、引き抜いてみると、根の先端が金色に輝いている。
【黄金人参(仮死状態)】
説明:神代の時代に絶滅したとされる幻の野菜。不老長寿の秘薬の材料となる。高濃度の魔力溜まりでしか育たない。
さらに別の場所を掘る。
【マンドラゴラ・エンペラー(睡眠中)】
説明:引き抜くと歌う。その歌を聞いた者は至福の眠りにつく。非常に美味だが、調理難易度は神級。
俺は次々と出てくる鑑定結果に、冷や汗が止まらなくなった。
ここは『死の荒野』なんて生易しい場所じゃない。
ここは、あまりにも地脈の魔力が強すぎて、普通の植物が育たずに枯れてしまう『魔素過多』の土地だったのだ。
人間で言えば、栄養ドリンクの原液に浸かっているようなもので、普通なら中毒死してしまう。
だが、俺の【農業】スキルには『土壌調整』と『品種改良』の効果がある。
俺が手を入れることで、暴走していた魔力が植物に適した形に変換され、結果として、他ではあり得ない『神話級野菜』が育つ最強の農地へと変貌したのだ。
「なるほどな……。ここは、俺にとっての約束の地(エルドラド)だったわけだ」
レオナルドたちは、俺を死地に追いやったつもりだったろうが、結果的に俺に最高の環境をプレゼントしてくれたことになる。
感謝状でも送りたい気分だ。
「よし、現状把握は完了。となると、次は生活基盤だな」
いつまでも野宿というわけにはいかない。
ここには凶悪な魔物も出るし、何より雨風をしのげる家が欲しい。
俺は周囲を見渡した。
建材になりそうなものは……。
遠くに、枯れ木の森が見える。
あそこなら木材が手に入るかもしれない。
「ポチ、ちょっと散歩に行くぞ」
俺が声をかけると、ポチは嬉しそうに吠えて、俺を背中に乗せてくれた。
S級魔物の背中は広くて安定感抜群だ。
俺たちは風を切って荒野を疾走した。
◇
一方、その頃。
アレンの頭上には、今日も謎の球体『タマ』がふわりと浮かんでいた。
早朝からアレンがポチと戯れ、畑で驚愕し、独り言を呟いている様子は、余すことなく世界中に生配信されていた。
『おはよう、農民ニキ』
『朝からポチがかわいすぎる』
『あの赤い野菜、鑑定結果が見えたけどヤバくね? 国家予算レベルって書いてあったぞ』
『マジかよ。あれを昨日、犬のエサにしてたのか……』
『犬のエサ(国宝)』
『この人、自分の価値に全く気づいてないなw』
『そこがいいんだよ』
コメント欄は朝から活況を呈していた。
特に、魔道具に詳しい学者や、王侯貴族の間でこの配信が話題になり始めていた。
「死の荒野で農業が可能」という事実は、これまでの常識を覆す大発見だからだ。
しかし、そんな世間の喧騒とは無縁の場所で、不機嫌な朝を迎えている者たちがいた。
王都の高級宿屋に泊まっている勇者レオナルドたちだ。
「おい、なんだこのスープは! 味が薄いぞ!」
「パンもパサパサね。喉が渇いちゃうわ」
朝食のテーブルで、レオナルドと聖女マリアが文句を言っていた。
宿の主人が申し訳なさそうに頭を下げる。
ここは王都でも指折りの料理店を兼ねた宿だ。料理の質は決して低くない。
だが、彼らの舌は、アレンの作る『バフ飯』――最高級素材を使い、スキル補正で旨味が極限まで引き出された料理に慣れきっていたのだ。
「ちっ、アレンの奴がいなくなってから、飯が不味くて仕方ねえ」
「アレンくん、スープの温度調節とか上手でしたものね……」
賢者のガイルがコーヒーを啜りながら、ぼそりと言った。
「あいつの淹れるコーヒーは、魔力回復効果があったのだがな。これを飲んでも目が覚めん」
「私の筋肉も、なんだか張りがなくなってきた気がするわ」
武闘家のリンも自分の二の腕をつまんで溜息をつく。
「ええい、うるさい! たかが飯係がいなくなったくらいで、だらしないことを言うな!」
レオナルドはナイフを皿に叩きつけた。
内心では、彼自身も体の重さを感じていた。
これまでは一晩寝れば全回復していた疲労が、今朝はまだ残っている。
アレンのマッサージと特製ドリンクがないせいだとは認めたくなかった。
「行くぞ! 今日は『迷いの森』で中ボス狩りだ。サクッと倒して、俺たちの実力を再確認するぞ!」
レオナルドは無理やり仲間たちを急かして宿を出た。
街を歩いていると、すれ違う人々が何やら興奮した様子で話しているのが聞こえてきた。
「見たか? あの配信」
「ああ、死の荒野の開拓者だろ? すげえよな」
「一晩で森を作ったらしいぜ」
「ポチが可愛いんだよなぁ」
レオナルドは眉をひそめた。
「なんだ? 配信? 死の荒野だと?」
一瞬、アレンの顔がよぎったが、すぐに打ち消した。
あんな無能が、あんな地獄で生きていけるはずがない。今頃は魔物の餌食になっているはずだ。
たまたま物好きな冒険者が、無謀な挑戦をしているのだろう。
「くだらん。他人の動向など気にしている暇はない」
レオナルドたちは街の喧騒を背に、ダンジョンへと向かった。
自分たちの冒険が、これからどれほど困難なものになるかも知らずに。
◇
場面は戻って、死の荒野。
俺とポチは、枯れ木の森に到着していた。
一見すると、立ち枯れた白い木々が並ぶ不気味な森だ。
だが、俺の【農業】スキル(派生:林業)で見ると、宝の山に見えた。
「これは……『アイアンウッド』の古木か。硬度は鉄以上、でも加工すれば軽い。最高建材じゃないか」
乾燥した気候のおかげで、木材は最高の状態で乾燥・熟成されていた。
虫食いひとつない。
普通なら加工に専用の工場が必要なレベルの硬い木だが、俺にはこれがある。
「いくぞ、ポチ。伐採だ!」
俺はクワを構えた。
クワは本来、土を耕すものだが、俺の認識では『農作業に必要な道具』はすべて農具カテゴリに含まれる。
つまり、開墾のために木を切る行為も農業の一部だ。
よって、このクワは今、最強の斧でもある。
「ふんっ!」
カァァァン!
軽いスイングでクワを振るうと、太さ一メートルはあるアイアンウッドが、まるで豆腐のようにスパッと切断された。
断面はツルツルに磨き上げられている。
『コメント:は?』
『コメント:アイアンウッドって、ミスリル製の斧でも刃こぼれする硬さだぞ?』
『コメント:それを泥だらけのクワで一撃www』
『コメント:豆腐かな?』
『コメント:もはや驚くのも疲れてきたw』
俺は次々と木を切り倒していく。
ポチがそれを咥えて、拠点まで運んでくれる。
連携プレーもばっちりだ。
必要な木材が揃ったところで、俺は拠点に戻った。
いよいよ建築だ。
「設計図は……頭の中にある」
俺は地面にクワで線を引いた。
イメージするのは、ログハウス風の平屋。
大きな窓と、広い土間、そしてポチ専用の寝床スペースも確保する。
「スキル発動――【高速加工】【建材組み立て】!」
俺が木材に手を触れると、魔力が流れ込み、木材がひとりでに動き出した。
切り込みが入り、凹凸が噛み合い、パズルのように組み上がっていく。
農業を行うには納屋や温室が必要になることが多い。
そのため、俺のスキルツリーには『小屋作成』という項目があったのだ。
それをレベル99まで極めた結果、それは『小屋』の範疇を超えた建築スキルになっていた。
ガガガガガッ! ドォォォン!
数分後。
そこには、木の温もりと重厚感を兼ね備えた、立派な邸宅が完成していた。
釘を一本も使わない、宮大工も裸足で逃げ出す伝統工法のような仕上がりだ。
屋根には耐久性の高い魔物の皮(道中で襲ってきた巨大トカゲのもの)を加工して葺いてある。
「よし、完成! 名付けて『ほのぼの農園ハウス』だ!」
俺が満足げに腰に手を当てると、ポチが「ワンッ!」と吠えて、一番に家の中に飛び込んでいった。
気に入ってくれたようだ。
俺も中に入る。
アイアンウッドの香りが心地よい。
家具がないのが寂しいが、それはこれから作っていけばいい。
とりあえず、部屋の隅にある暖炉(石を積み上げて即席で作った)に火を入れる。
パチパチと薪が爆ぜる音が、部屋を暖かく包み込む。
「さて、家もできたし、腹ごしらえにするか」
俺はリュックから、昨日収穫したトマ大根と、先ほど狩った巨大トカゲ(バジリスク亜種らしい)の肉を取り出した。
水は魔法で出せるし、鍋も持っている。
「今日はトマ大根とバジリスク肉のポトフ風煮込みだ」
クワを包丁代わりに(何でも切れるので便利だ)食材をカットし、鍋に投入。
調味料は塩くらいしかないが、素材の味が強烈なので問題ない。
コトコトと煮込むこと数分。
部屋中に、とてつもなく食欲をそそる香りが充満した。
「できたぞ、ポチ」
皿に取り分けると、ポチは待ちきれない様子で尻尾を振っている。
俺も一口啜る。
「……美味いッ!」
口に入れた瞬間、バジリスクの濃厚な脂の旨味と、トマ大根の爽やかな酸味が絶妙に絡み合う。
体がポカポカと熱くなり、指先まで力がみなぎる。
ステータス画面を見ると、『毒耐性:完全』『皮膚硬化:中』『体力自動回復:大』などのバフがずらりと並んだ。
どうやらバジリスクを食べたことで、その特性を取り込んだらしい。
「これ、店で出したら金貨何枚になるんだろうな……」
俺は苦笑しながら、ポチと一緒に鍋を空にした。
食後、満腹になった俺は、ポチの背中にもたれかかってくつろいでいた。
窓の外はもう夜だ。
荒野の夜空は、不気味な紫色の雲が晴れ、満天の星空が広がっていた。
俺が浄化したエリアだけ、空気が澄んでいるせいかもしれない。
ふと、ずっと俺の周りを飛んでいるタマを見た。
相変わらず淡く光っている。
「お前も腹減るのか? 魔力で動いてるのか?」
タマを指先でつつくと、空中に半透明のウィンドウのようなものが投影された。
『ピロリン♪ 視聴者数が10,000人を突破しました』
『初配信ボーナス:ギフトポイントが集計されました』
『現在のポイントで、以下のアイテムと交換可能です』
【調味料セット】【ふかふかベッド】【お風呂作成キット】【通信機能の拡張】
「……は?」
俺は目をぱちくりさせた。
視聴者? 配信? ギフト?
文字の羅列が理解できない。
ウィンドウには、流れるような文字の滝が表示されている。
『うまそううううう!』
『飯テロやめろw』
『バジリスクってAランク魔物だぞ、それを雑魚みたいに……』
『家建てるの一瞬すぎてワロタ』
『ログハウス素敵! 住みたい!』
『アレンきゅん、こっち見てー!』
「え、これ……誰かの声か?」
俺が呟くと、コメントが一斉に反応した。
『気づいた!?』
『やっと気づいたか!』
『そうです、世界中が見てますよ!』
『王都から見てるぞー!』
『エルフの里からも見てます!』
「世界中……が見てる?」
俺はタマを見つめ、そして自分の顔が青ざめていくのを感じた。
無人島生活のつもりだったのに、まさかの全世界生中継?
ということは、俺がポチのお腹に顔をうずめて「もふもふ最高~」とか言ってたのも、全部筒抜けだったってことか!?
「うわああああああ! 聞いてないぞタマ!」
俺の絶叫が、夜の荒野に響き渡った。
しかし、そのリアクションさえも視聴者には大ウケだった。
『照れてるw』
『反応が初々しい』
『もっとやっていいのよ』
『とりあえずスパチャ(投げ銭)代わりの魔力送っとくわ』
タマが激しく明滅する。
どうやら、俺の平穏なスローライフは、初日からすでに崩壊していたらしい。
一方、その頃の王都。
ボロボロになってダンジョンから帰還した勇者レオナルドたちは、酒場のテレビ画面で、温かいスープを飲んで幸せそうな俺の顔を見ていた。
そして、その横に流れる『勇者パーティよりこっちの方が勇者じゃね?』というコメントを見て、レオナルドは持っていたグラスを握り潰した。
「アレン……貴様ァ……!」
俺と勇者たちの格差は、たった一日で絶望的なまでに開いてしまっていた。
(第3話へ続く)
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