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第2話 崩れかけた村との出会い
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朝の光が、薄い霧を透かして村に降り注いでいた。
小鳥たちの声が木々の向こうから聞こえ、濡れた葉が風に揺れるたびに雫が落ちる。
リオネルは背伸びをして、かすかに軋む背骨の音に苦笑した。
宿代わりの小屋の片隅には、昨夜植えた薬草の芽が、小さくもまっすぐに伸びていた。
その健気さが、不思議と心を軽くしてくれる。
彼は膝をついてそっと土を触った。
朝露と混じった土の冷たさ、そして新しい生命の感触。
まるで、「ここにいてもいい」と土が語りかけてくれているようだった。
「おお……あんた、本当に芽を出しちまったのか!」
驚いた声に顔を上げると、昨日案内してくれた男、ガルドが立っていた。
大柄な体に日焼けした肌。無骨だが、悪意のない目をしている。
「昨夜、ほんの少し種を撒いてみただけさ。土地がまだ生きている証拠だよ」
「いやぁ……信じられねぇな。ここんとこ三年、何も育たなかったんだぞ」
ガルドは頭を掻き、目の前の双葉を眺める。
リオネルは笑って、指先についた土を軽く払った。
「魔力の流れが歪んでいたんだ。ここの土は悪くない。ただ、精霊の加護が薄れている」
「精霊、ねぇ……。もう、そんなものがいるなんて信じるやつ、ほとんどいねえよ」
「信じるかどうかより、感じるかどうかさ」
リオネルの言葉に、ガルドはぽかんと口を開け、そして照れたように笑った。
「まあ、何でもいい。あんたの手なら、この村を少しは変えられるかもしれねえな。
そうだ、村長に会ってみたらどうだ? 村の中心の古い屋敷だ。少しでも力を貸してくれるなら、歓迎してくれるだろう」
「村長?」
「ああ。名はモルド婆さんだ。見た目はちょっと怖えが、根は優しい」
ガルドに道を教えてもらい、リオネルは村の中央へと向かった。
村は静かだった。
道端に倒れかけた柵、潰れた屋根、穴の開いた窓。
何より人の姿が少ない。
すれ違う者も、どこか疲れた顔をしていた。
子どもたちは木の実を拾い、大人たちは川辺で洗濯や修理をしている。
それでも笑い声はあった。沈黙の中に、確かな生の気配がある。
(まだ、間に合うかもしれない)
リオネルは胸の内で小さく呟いた。
朽ちかけてはいるが、終わってはいない村。
再生のための力が、まだどこかに眠っている気がした。
屋敷は、想像以上に古かった。
蔦の絡まった木造の建物で、壁は割れ、扉は片方しかない。
中からは薪の燃える音が聞こえる。
ノックをすると、しばらくして中から杖をついた小柄な老婆が現れた。
「おや、お前さんが昨夜来たという錬金術師かい?」
「はい。リオネルと申します。ご挨拶をと思いまして」
老婆はしばし無言で彼を見つめ、やがて静かに頷いた。
「入んなさい。どうせ客なんて滅多に来ん。茶ぐらいは出すよ」
壁の隙間から差す光が、埃の粒を照らしていた。
リオネルは差し出された椅子に腰を掛け、湯気の立つ薬草茶を受け取った。
「モルド婆さんと呼ばれてる。ここの村長をやっとるが、名ばかりだ。
王都への税すらまともに払えん村で、立派なもんじゃねえ」
「それでも、あなたがいなければ村は消えていたでしょう」
「ふん、あんた、人の扱いが上手いね」
モルドは目尻に皺を寄せて笑ったが、その手は細く震えていた。
茶の香りに混じって、乾ききった空気と古い木の匂いが鼻をかすめる。
「ここの土地は、昔から薬草がよく育つ。だが、数年前から病が流行った。森の魔獣が現れ、精霊樹が倒れた。その頃から、何もかも枯れてしまってね」
「なるほど。魔力の循環が断たれたんですね」
「え?」
「精霊樹は自然の魔力を集めて循環させる力を持っています。倒れれば、周囲の土は眠ってしまう。薬草も育たない」
モルドはぽつりと呟いた。
「……やっぱり、精霊の加護がなくなったのか」
リオネルは頷いた。
「幸い、小さな芽は出ました。まだ完全に死んではいません。少し手を加えれば、再び息を吹き返すでしょう」
「本当かい?」
「ただし、時間はかかります。すぐに結果は出ません。それでも、この村で暮らすつもりなら、やってみたい」
モルドはしばらく黙っていた。
瞳の奥に光が戻るのを、リオネルは見逃さなかった。
「……お前さん、変わってるねぇ。王都の錬金術師なんて、皆が利益と名誉ばかり追ってるのに」
「私も元はそうでした。だが、疲れただけですよ」
「ふふ、そうかい。なら、この村でもう一度始めな。必要なものは……まあ、無いけどね」
軽く笑うその声は、どこか懐かしく優しかった。
その日、リオネルは村の周辺を歩き、土地の状態を確かめた。
森の入口に近い場所では、倒木が多く、根が持ち上がっている。
土に触れると、明らかに魔力の流れが偏っていた。
「ここが原因か……」
根元には黒ずんだ痕があり、触れると冷たい気がする。
魔獣が暴れた跡か、それとも呪いか。
その時、小さな鳴き声がした。
振り向くと、泥まみれの小犬が木陰から顔を出していた。
骨ばってはいるが、こちらを警戒しつつも尻尾を振っている。
「やあ、君もこの村の住人かい?」
リオネルはしゃがみこみ、手を差し出した。
犬は最初こそ後ずさりしたが、やがてゆっくり近づき、手の匂いを嗅いでから舐めた。
「ふふ、いい子だ。……名前、ないのか?」
首輪もない。放棄された飼い犬か、それとも野生化したのかもしれない。
「よし、今日からお前はピルカだ」
犬は小さく鳴いて、嬉しそうに尻尾を振った。
その様子を見ていたガルドが呆れ顔で近づく。
「動物まで拾うのかよ。あんた、ほんと変わってるな」
「こいつも村の一員さ。命あるものは、皆癒す価値がある」
ガルドは「まあ好きにしな」と笑いながら帰っていった。
リオネルはピルカを抱え、小屋に戻る。
肩に温もりが伝わるたび、胸の奥の空洞が少しずつ埋まっていくような気がした。
翌朝、村の広場に人が集まっていた。
モルドとガルドを中心に、十数人の村人たちが集まり、リオネルの説明を聞いている。
「この村の再生には、薬草畑と井戸の修復が必要です。水が清ければ、土地の魔力も戻ります」
「井戸か……十年前に底が抜けてから使ってねぇんだ」と誰かが言う。
「では、私が見てみましょう」
リオネルは古い井戸に近づき、覗き込んだ。
底には黒い水がたまっており、不快な臭いが立ち上る。
手を翳して小さく呪文を唱えると、水面が淡く光り、内部の構造が映し出された。
「……やはり。封印の魔紋が歪んでいる。これが原因です」
「封印?」
「この井戸は精霊樹からの魔力を受けていた。それを保つための紋章が腐食している」
リオネルは錬金術の道具を取り出し、土と石を混ぜて光を走らせる。
複雑な紋様が井戸の縁に浮かび、静かに輝き始めた。
「おいおい、何だあれ」「氷か? いや、光ってるぞ」
村人たちがざわめく中、光はゆっくり井戸の中へ溶けていった。
やがて、黒ずんでいた水が澄んだ青色に変わる。
「直った……のか?」
「一時的だが、これで水は使えます。しばらくすれば、魔力の流れも安定するでしょう」
モルドが目を細め、深く頭を下げた。
「ありがとうよ、リオネル。村の水が戻るなんて、誰も信じてなかった」
「礼などいりません。私もここで暮らす以上、この村が元気でいてくれた方がありがたいですから」
ピルカが足元で吠え、尻尾を振った。
それが合図のように、村人たちの笑い声があがった。
その日の夕暮れ、リオネルは再び森へ向かった。
手に杖を持ち、井戸から汲んだ水を少し持ち帰る。
傷ついた大地にそれを注ぐと、微かな光が広がる。
「これで少しは良くなるといいが」
ふと、風が吹いた。
葉の擦れる音とともに、どこからか囁くような声が聞こえた。
――ありがとう。――
誰の声かわからない。だが優しく、温かい響きだった。
リオネルは静かに目を閉じ、杖を握りしめた。
かすかに笑みを浮かべる。
「さて、次は畑の再生だな」
森の奥で、光る虫が一匹、彼の足元を照らした。
その淡い光が、崩れかけた村の未来を、確かに照らしているようだった。
小鳥たちの声が木々の向こうから聞こえ、濡れた葉が風に揺れるたびに雫が落ちる。
リオネルは背伸びをして、かすかに軋む背骨の音に苦笑した。
宿代わりの小屋の片隅には、昨夜植えた薬草の芽が、小さくもまっすぐに伸びていた。
その健気さが、不思議と心を軽くしてくれる。
彼は膝をついてそっと土を触った。
朝露と混じった土の冷たさ、そして新しい生命の感触。
まるで、「ここにいてもいい」と土が語りかけてくれているようだった。
「おお……あんた、本当に芽を出しちまったのか!」
驚いた声に顔を上げると、昨日案内してくれた男、ガルドが立っていた。
大柄な体に日焼けした肌。無骨だが、悪意のない目をしている。
「昨夜、ほんの少し種を撒いてみただけさ。土地がまだ生きている証拠だよ」
「いやぁ……信じられねぇな。ここんとこ三年、何も育たなかったんだぞ」
ガルドは頭を掻き、目の前の双葉を眺める。
リオネルは笑って、指先についた土を軽く払った。
「魔力の流れが歪んでいたんだ。ここの土は悪くない。ただ、精霊の加護が薄れている」
「精霊、ねぇ……。もう、そんなものがいるなんて信じるやつ、ほとんどいねえよ」
「信じるかどうかより、感じるかどうかさ」
リオネルの言葉に、ガルドはぽかんと口を開け、そして照れたように笑った。
「まあ、何でもいい。あんたの手なら、この村を少しは変えられるかもしれねえな。
そうだ、村長に会ってみたらどうだ? 村の中心の古い屋敷だ。少しでも力を貸してくれるなら、歓迎してくれるだろう」
「村長?」
「ああ。名はモルド婆さんだ。見た目はちょっと怖えが、根は優しい」
ガルドに道を教えてもらい、リオネルは村の中央へと向かった。
村は静かだった。
道端に倒れかけた柵、潰れた屋根、穴の開いた窓。
何より人の姿が少ない。
すれ違う者も、どこか疲れた顔をしていた。
子どもたちは木の実を拾い、大人たちは川辺で洗濯や修理をしている。
それでも笑い声はあった。沈黙の中に、確かな生の気配がある。
(まだ、間に合うかもしれない)
リオネルは胸の内で小さく呟いた。
朽ちかけてはいるが、終わってはいない村。
再生のための力が、まだどこかに眠っている気がした。
屋敷は、想像以上に古かった。
蔦の絡まった木造の建物で、壁は割れ、扉は片方しかない。
中からは薪の燃える音が聞こえる。
ノックをすると、しばらくして中から杖をついた小柄な老婆が現れた。
「おや、お前さんが昨夜来たという錬金術師かい?」
「はい。リオネルと申します。ご挨拶をと思いまして」
老婆はしばし無言で彼を見つめ、やがて静かに頷いた。
「入んなさい。どうせ客なんて滅多に来ん。茶ぐらいは出すよ」
壁の隙間から差す光が、埃の粒を照らしていた。
リオネルは差し出された椅子に腰を掛け、湯気の立つ薬草茶を受け取った。
「モルド婆さんと呼ばれてる。ここの村長をやっとるが、名ばかりだ。
王都への税すらまともに払えん村で、立派なもんじゃねえ」
「それでも、あなたがいなければ村は消えていたでしょう」
「ふん、あんた、人の扱いが上手いね」
モルドは目尻に皺を寄せて笑ったが、その手は細く震えていた。
茶の香りに混じって、乾ききった空気と古い木の匂いが鼻をかすめる。
「ここの土地は、昔から薬草がよく育つ。だが、数年前から病が流行った。森の魔獣が現れ、精霊樹が倒れた。その頃から、何もかも枯れてしまってね」
「なるほど。魔力の循環が断たれたんですね」
「え?」
「精霊樹は自然の魔力を集めて循環させる力を持っています。倒れれば、周囲の土は眠ってしまう。薬草も育たない」
モルドはぽつりと呟いた。
「……やっぱり、精霊の加護がなくなったのか」
リオネルは頷いた。
「幸い、小さな芽は出ました。まだ完全に死んではいません。少し手を加えれば、再び息を吹き返すでしょう」
「本当かい?」
「ただし、時間はかかります。すぐに結果は出ません。それでも、この村で暮らすつもりなら、やってみたい」
モルドはしばらく黙っていた。
瞳の奥に光が戻るのを、リオネルは見逃さなかった。
「……お前さん、変わってるねぇ。王都の錬金術師なんて、皆が利益と名誉ばかり追ってるのに」
「私も元はそうでした。だが、疲れただけですよ」
「ふふ、そうかい。なら、この村でもう一度始めな。必要なものは……まあ、無いけどね」
軽く笑うその声は、どこか懐かしく優しかった。
その日、リオネルは村の周辺を歩き、土地の状態を確かめた。
森の入口に近い場所では、倒木が多く、根が持ち上がっている。
土に触れると、明らかに魔力の流れが偏っていた。
「ここが原因か……」
根元には黒ずんだ痕があり、触れると冷たい気がする。
魔獣が暴れた跡か、それとも呪いか。
その時、小さな鳴き声がした。
振り向くと、泥まみれの小犬が木陰から顔を出していた。
骨ばってはいるが、こちらを警戒しつつも尻尾を振っている。
「やあ、君もこの村の住人かい?」
リオネルはしゃがみこみ、手を差し出した。
犬は最初こそ後ずさりしたが、やがてゆっくり近づき、手の匂いを嗅いでから舐めた。
「ふふ、いい子だ。……名前、ないのか?」
首輪もない。放棄された飼い犬か、それとも野生化したのかもしれない。
「よし、今日からお前はピルカだ」
犬は小さく鳴いて、嬉しそうに尻尾を振った。
その様子を見ていたガルドが呆れ顔で近づく。
「動物まで拾うのかよ。あんた、ほんと変わってるな」
「こいつも村の一員さ。命あるものは、皆癒す価値がある」
ガルドは「まあ好きにしな」と笑いながら帰っていった。
リオネルはピルカを抱え、小屋に戻る。
肩に温もりが伝わるたび、胸の奥の空洞が少しずつ埋まっていくような気がした。
翌朝、村の広場に人が集まっていた。
モルドとガルドを中心に、十数人の村人たちが集まり、リオネルの説明を聞いている。
「この村の再生には、薬草畑と井戸の修復が必要です。水が清ければ、土地の魔力も戻ります」
「井戸か……十年前に底が抜けてから使ってねぇんだ」と誰かが言う。
「では、私が見てみましょう」
リオネルは古い井戸に近づき、覗き込んだ。
底には黒い水がたまっており、不快な臭いが立ち上る。
手を翳して小さく呪文を唱えると、水面が淡く光り、内部の構造が映し出された。
「……やはり。封印の魔紋が歪んでいる。これが原因です」
「封印?」
「この井戸は精霊樹からの魔力を受けていた。それを保つための紋章が腐食している」
リオネルは錬金術の道具を取り出し、土と石を混ぜて光を走らせる。
複雑な紋様が井戸の縁に浮かび、静かに輝き始めた。
「おいおい、何だあれ」「氷か? いや、光ってるぞ」
村人たちがざわめく中、光はゆっくり井戸の中へ溶けていった。
やがて、黒ずんでいた水が澄んだ青色に変わる。
「直った……のか?」
「一時的だが、これで水は使えます。しばらくすれば、魔力の流れも安定するでしょう」
モルドが目を細め、深く頭を下げた。
「ありがとうよ、リオネル。村の水が戻るなんて、誰も信じてなかった」
「礼などいりません。私もここで暮らす以上、この村が元気でいてくれた方がありがたいですから」
ピルカが足元で吠え、尻尾を振った。
それが合図のように、村人たちの笑い声があがった。
その日の夕暮れ、リオネルは再び森へ向かった。
手に杖を持ち、井戸から汲んだ水を少し持ち帰る。
傷ついた大地にそれを注ぐと、微かな光が広がる。
「これで少しは良くなるといいが」
ふと、風が吹いた。
葉の擦れる音とともに、どこからか囁くような声が聞こえた。
――ありがとう。――
誰の声かわからない。だが優しく、温かい響きだった。
リオネルは静かに目を閉じ、杖を握りしめた。
かすかに笑みを浮かべる。
「さて、次は畑の再生だな」
森の奥で、光る虫が一匹、彼の足元を照らした。
その淡い光が、崩れかけた村の未来を、確かに照らしているようだった。
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