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第3話 あばら家と一握りの薬草
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三日目の朝、霧が濃かった。
村の屋根がぼんやりと霞み、空気はひんやりしている。
小屋の外ではピルカが尻尾を振りながら跳ね回り、植えられたばかりの薬草の芽の間を器用に避けて走り回っていた。
リオネルはそれを眺めながら、手のひらに伸び始めた葉を軽くなぞる。
「順調だな。水の魔力が戻ったのが効いている」
昨日直した井戸の水は、村の人々にとって久しぶりの“清らかな水”だったようだ。
朝まだきから水を汲みに来る人が絶えず、子どもたちは桶を持って笑い合っていた。
そんな姿を見ると、胸の奥が温かくなった。
リオネルは古びた棚から空き瓶を取り出し、薬草の下拵えを始める。
村の北の丘に自生していた「青蘭草」を干して粉にし、温泉の湯気で蒸した「銀葉草」を混ぜ合わせる。
これで初歩的な回復膏が作れる。
錬金術とは、魔術でも科学でもない。
自然と命の調和を調える仕事だ、とリオネルは常々思っていた。
王都にいた頃は誰も理解しようとしなかった。効率、即効性、利益。
だが、癒しとは時間と信頼の積み重ねでしか得られないものだ。
小さな火鉢に火を入れ、器を温める。
ほどなくして、薬草の匂いが部屋に広がった。
湿り気のある香ばしい香りに包まれ、ピルカまでくしゃみをした。
「ふふ、どうやら少し刺激が強かったか」
昼前、扉を叩く音がした。
出てみると、そこにいたのはガルドと十歳くらいの少女だった。
少女の右腕には包帯が巻かれ、袖まで血が滲んでいる。
「すまねぇリオネルさん、こいつが森で木の根に引っかかってな」
「すぐに中へ」
リオネルは少女の腕をそっと抱えて小屋に迎えた。
包帯を外すと、赤く腫れた皮膚の下に深い切り傷。
けれど傷口はきれいで、感染の兆候はない。
「痛むかい?」
「うん、ちょっと……」
「すぐ楽になる」
リオネルは作りかけの薬膏を取り、杖の先でそっと光を灯した。
淡い蒼光が薬に染み込み、ぽたりと傷口に落ちる。
少女は目を見開いた。
薬が肌になじんでいくと、痛みが引いていくのがわかるのだろう。
やがて表情が緩み、ほっとしたような息を漏らした。
「熱が引いてきたな……これで大丈夫だ」
「ほんとに? もう痛くない!」
笑顔を見せる少女に、ガルドが安堵の息をついた。
「助かったよ。こんなに早く治るとは思わなかった」
「まだ完全ではないが、あとは自然に任せるだけだ」
リオネルは包帯を巻き直し、少女の頭を軽く撫でた。
その手の温かさに、少女は恥ずかしそうに笑った。
その後、村に彼の噂が広がるのに時間はかからなかった。
「錬金術師が怪我を治した」
「井戸が蘇った」
「夜明けに薬草が光った」
それは誇張も混ざっていたが、どれも村人たちに希望を与えていた。
「リオネルさん、畑の端っこがまだ空いてる。そこを使ってみないか?」と老人が言えば、
「薬草だけじゃなく作物も育ててくれ」と農夫が笑う。
リオネルはその期待を受け止め、村のあばら家を借りて、そこを“錬金の工房”にすることにした。
村のはずれ、壊れた倉庫のような一軒家は、いまにも風で崩れそうだった。
屋根は抜け、壁には苔が這っている。
だが内部は思いのほか丈夫で、柱はまだ生きていた。
「この程度ならどうにでもなるさ」
彼は工具を借り、木屑を払い、窓枠を繕った。
ガルドをはじめ数人の男たちも手伝いに来てくれる。
皆、久々に「何かを作る」時間を取り戻したように、生き生きとしていた。
「ここの板は換えた方がいいな。あんた、釘はあるか?」
「一応ある。だが、錬金術で補強もできる」
リオネルは掌を掲げる。
魔力が淡い光を帯び、古い木材がぎゅっと締まるように固定された。
男たちが一斉にどよめく。
「なんだそりゃ、便利すぎる!」
「大工いらずじゃねぇか!」
リオネルは苦笑した。
「本来は小屋を作る技術も大事だよ。魔法だけに頼ってはいけない」
それでも作業は順調に進み、二日後にはすっかり住める場所になった。
壁には棚を付け、薬草や素材を並べ、中央には調合台を据えた。
「錬金工房リステル」――村人たちはそう名付けた。
初めての来客は、片脚を引きずった青年だった。
牛車が転び、荷を引く獣に蹴られたという。
足首は腫れあがり、痛みで顔をしかめている。
診察台代わりにした木の机に座らせ、リオネルは杖を軽く当てた。
骨の形、血の流れ、肉の色まで彼の目に映る。
「骨には異常なし、腱が伸びているだけだ。三日安静に」
リオネルは乾燥させた「アレン草」を砕き、油と蜂蜜を混ぜて塗布した。
独特の甘い香りが工房に漂う。
「冷たく感じるだろう? それでいい」
青年は驚いたように頷き、怪我した足を曲げ伸ばしてみる。
痛みが薄れたらしく、顔が緩む。
「……王都の寺院でもこんな治療はしてくれなかった」
「彼らは祈るのが仕事だ。私は混ぜるのが仕事だよ」
二人の間に笑いが生まれる。
その笑いが、村の空気を少しずつ変えていった。
日が暮れるころ、モルドが姿を見せた。
ゆっくりと杖を突き、出来上がった工房を眺めて目を細める。
「見違えたねぇ……。まるで昔の薬師の家みたいだ」
「ありがとうございます。もう少し整えば、村全体の薬も作れます」
「そうかい……。なら、この村もまだ終わっちゃいないねぇ」
モルドの声には、滲むような感慨があった。
リオネルは風の匂いと土の香りを吸い込み、微笑んだ。
「一つ頼みがあるんだよ」
「何でしょう」
「子どもたちに、薬草を教えてやってくれないか? 次の世代がこの土地を守れるように」
リオネルは少し考え、それからゆっくり頷いた。
「ええ、もちろん」
数日後、薬草教室が開かれた。
工房の横の畑に子どもたちが集まり、リオネルは一つひとつ植物を示して説明していく。
「これは銀葉草。昼に摘むと力が弱い。朝霧が残るうちに収穫するといい。
こっちはアレン草、根を煎じると熱冷ましになる」
子どもたちは熱心に頷き、土を掘り、手を汚しながら笑っている。
ピルカもその間を駆け回り、畑に新しい活気が満ちた。
ガルドが腕を組んで見守りながらぽつりと呟く。
「すげぇな。笑ってるやつらが増えた」
「笑いは良い薬ですよ」
リオネルの言葉に、ガルドは少し照れくさそうに笑った。
その日の夕暮れ、空は茜色に染まり、村中に焼いたパンの匂いが立ち込めた。
年長の女たちが工房に差し入れを持ってきてくれる。
「これで晩ご飯にでもしな。あんたがいて、助かってるよ」
リオネルは礼を言いながら、窓から外を眺めた。
子どもたちが夕日に照らされ、薬草畑の中を走り回っている。
その光景に、胸がじんわりと温かくなる。
あばら家はもう、住まいであり、癒しの場となった。
リオネルの手で一度命を失った土地が、確かに息を吹き返しつつある。
「守り神も、きっと笑っているだろう」
リオネルが呟くと、ピルカが小さく鳴いた。
風が吹き抜け、薬草の葉が優しく揺れる。
光に包まれたその瞬間、彼は王都を離れてきた理由を、ようやく心から肯定できた。
彼は再び火を灯し、炉の前に立つ。
まだ作りたい薬がある。守りたい笑顔がある。
それだけで十分だ。
夜になり、森の奥からフクロウの声が響いた。
新しい村の灯が、漆黒の闇にぽつりと温かく光を放っていた。
村の屋根がぼんやりと霞み、空気はひんやりしている。
小屋の外ではピルカが尻尾を振りながら跳ね回り、植えられたばかりの薬草の芽の間を器用に避けて走り回っていた。
リオネルはそれを眺めながら、手のひらに伸び始めた葉を軽くなぞる。
「順調だな。水の魔力が戻ったのが効いている」
昨日直した井戸の水は、村の人々にとって久しぶりの“清らかな水”だったようだ。
朝まだきから水を汲みに来る人が絶えず、子どもたちは桶を持って笑い合っていた。
そんな姿を見ると、胸の奥が温かくなった。
リオネルは古びた棚から空き瓶を取り出し、薬草の下拵えを始める。
村の北の丘に自生していた「青蘭草」を干して粉にし、温泉の湯気で蒸した「銀葉草」を混ぜ合わせる。
これで初歩的な回復膏が作れる。
錬金術とは、魔術でも科学でもない。
自然と命の調和を調える仕事だ、とリオネルは常々思っていた。
王都にいた頃は誰も理解しようとしなかった。効率、即効性、利益。
だが、癒しとは時間と信頼の積み重ねでしか得られないものだ。
小さな火鉢に火を入れ、器を温める。
ほどなくして、薬草の匂いが部屋に広がった。
湿り気のある香ばしい香りに包まれ、ピルカまでくしゃみをした。
「ふふ、どうやら少し刺激が強かったか」
昼前、扉を叩く音がした。
出てみると、そこにいたのはガルドと十歳くらいの少女だった。
少女の右腕には包帯が巻かれ、袖まで血が滲んでいる。
「すまねぇリオネルさん、こいつが森で木の根に引っかかってな」
「すぐに中へ」
リオネルは少女の腕をそっと抱えて小屋に迎えた。
包帯を外すと、赤く腫れた皮膚の下に深い切り傷。
けれど傷口はきれいで、感染の兆候はない。
「痛むかい?」
「うん、ちょっと……」
「すぐ楽になる」
リオネルは作りかけの薬膏を取り、杖の先でそっと光を灯した。
淡い蒼光が薬に染み込み、ぽたりと傷口に落ちる。
少女は目を見開いた。
薬が肌になじんでいくと、痛みが引いていくのがわかるのだろう。
やがて表情が緩み、ほっとしたような息を漏らした。
「熱が引いてきたな……これで大丈夫だ」
「ほんとに? もう痛くない!」
笑顔を見せる少女に、ガルドが安堵の息をついた。
「助かったよ。こんなに早く治るとは思わなかった」
「まだ完全ではないが、あとは自然に任せるだけだ」
リオネルは包帯を巻き直し、少女の頭を軽く撫でた。
その手の温かさに、少女は恥ずかしそうに笑った。
その後、村に彼の噂が広がるのに時間はかからなかった。
「錬金術師が怪我を治した」
「井戸が蘇った」
「夜明けに薬草が光った」
それは誇張も混ざっていたが、どれも村人たちに希望を与えていた。
「リオネルさん、畑の端っこがまだ空いてる。そこを使ってみないか?」と老人が言えば、
「薬草だけじゃなく作物も育ててくれ」と農夫が笑う。
リオネルはその期待を受け止め、村のあばら家を借りて、そこを“錬金の工房”にすることにした。
村のはずれ、壊れた倉庫のような一軒家は、いまにも風で崩れそうだった。
屋根は抜け、壁には苔が這っている。
だが内部は思いのほか丈夫で、柱はまだ生きていた。
「この程度ならどうにでもなるさ」
彼は工具を借り、木屑を払い、窓枠を繕った。
ガルドをはじめ数人の男たちも手伝いに来てくれる。
皆、久々に「何かを作る」時間を取り戻したように、生き生きとしていた。
「ここの板は換えた方がいいな。あんた、釘はあるか?」
「一応ある。だが、錬金術で補強もできる」
リオネルは掌を掲げる。
魔力が淡い光を帯び、古い木材がぎゅっと締まるように固定された。
男たちが一斉にどよめく。
「なんだそりゃ、便利すぎる!」
「大工いらずじゃねぇか!」
リオネルは苦笑した。
「本来は小屋を作る技術も大事だよ。魔法だけに頼ってはいけない」
それでも作業は順調に進み、二日後にはすっかり住める場所になった。
壁には棚を付け、薬草や素材を並べ、中央には調合台を据えた。
「錬金工房リステル」――村人たちはそう名付けた。
初めての来客は、片脚を引きずった青年だった。
牛車が転び、荷を引く獣に蹴られたという。
足首は腫れあがり、痛みで顔をしかめている。
診察台代わりにした木の机に座らせ、リオネルは杖を軽く当てた。
骨の形、血の流れ、肉の色まで彼の目に映る。
「骨には異常なし、腱が伸びているだけだ。三日安静に」
リオネルは乾燥させた「アレン草」を砕き、油と蜂蜜を混ぜて塗布した。
独特の甘い香りが工房に漂う。
「冷たく感じるだろう? それでいい」
青年は驚いたように頷き、怪我した足を曲げ伸ばしてみる。
痛みが薄れたらしく、顔が緩む。
「……王都の寺院でもこんな治療はしてくれなかった」
「彼らは祈るのが仕事だ。私は混ぜるのが仕事だよ」
二人の間に笑いが生まれる。
その笑いが、村の空気を少しずつ変えていった。
日が暮れるころ、モルドが姿を見せた。
ゆっくりと杖を突き、出来上がった工房を眺めて目を細める。
「見違えたねぇ……。まるで昔の薬師の家みたいだ」
「ありがとうございます。もう少し整えば、村全体の薬も作れます」
「そうかい……。なら、この村もまだ終わっちゃいないねぇ」
モルドの声には、滲むような感慨があった。
リオネルは風の匂いと土の香りを吸い込み、微笑んだ。
「一つ頼みがあるんだよ」
「何でしょう」
「子どもたちに、薬草を教えてやってくれないか? 次の世代がこの土地を守れるように」
リオネルは少し考え、それからゆっくり頷いた。
「ええ、もちろん」
数日後、薬草教室が開かれた。
工房の横の畑に子どもたちが集まり、リオネルは一つひとつ植物を示して説明していく。
「これは銀葉草。昼に摘むと力が弱い。朝霧が残るうちに収穫するといい。
こっちはアレン草、根を煎じると熱冷ましになる」
子どもたちは熱心に頷き、土を掘り、手を汚しながら笑っている。
ピルカもその間を駆け回り、畑に新しい活気が満ちた。
ガルドが腕を組んで見守りながらぽつりと呟く。
「すげぇな。笑ってるやつらが増えた」
「笑いは良い薬ですよ」
リオネルの言葉に、ガルドは少し照れくさそうに笑った。
その日の夕暮れ、空は茜色に染まり、村中に焼いたパンの匂いが立ち込めた。
年長の女たちが工房に差し入れを持ってきてくれる。
「これで晩ご飯にでもしな。あんたがいて、助かってるよ」
リオネルは礼を言いながら、窓から外を眺めた。
子どもたちが夕日に照らされ、薬草畑の中を走り回っている。
その光景に、胸がじんわりと温かくなる。
あばら家はもう、住まいであり、癒しの場となった。
リオネルの手で一度命を失った土地が、確かに息を吹き返しつつある。
「守り神も、きっと笑っているだろう」
リオネルが呟くと、ピルカが小さく鳴いた。
風が吹き抜け、薬草の葉が優しく揺れる。
光に包まれたその瞬間、彼は王都を離れてきた理由を、ようやく心から肯定できた。
彼は再び火を灯し、炉の前に立つ。
まだ作りたい薬がある。守りたい笑顔がある。
それだけで十分だ。
夜になり、森の奥からフクロウの声が響いた。
新しい村の灯が、漆黒の闇にぽつりと温かく光を放っていた。
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