幼馴染で両片思い-ハナの少女とソラの少年-

mia

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幼馴染の抱き枕役

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3話

 レオは腕を私の腰にぐるっと回し、そのまま引き寄せた。バランスを崩して倒れ込む私のことを受け止めるようにして待ち構えていたレオは、その腕の中に私を抱き込んで満足そうに喉を鳴らしている。まるで大きな猫ね。
 変声期がまだ来ていないレオの声は、少年特有の高めの綺麗なソプラノだ。シャラシャラと綺麗な音を響かせる鈴のようなその声が、顔の横から聞こえてくる。

「んー...んぅ...」
「ちょ、ちょっと!レオ?」
「あれ、かやぁ...なぁに...?」
「なぁに?じゃないわよ!こ、この体制恥ずかしいからやめてちょうだい」

 レオにしては珍しく、本当にぐっすり寝ていたようで未だに夢の世界から戻ってきていない。警戒心の強い子だから私の前以外では決して無防備になったりしない、と私の両親やメイドたちは言うけれど、本当かしら?私の前では逆に寝ている姿しか見せてくれないほどの眠り姫(王子)なのだが...。きっとどこでも寝れるのよあの子。この前私が本読んでたらその木の上で熟睡して落ちてきたことがあったもの。

 夢と現実の狭間でゆらゆら揺れているレオは、さっきよりは現実よりにいるようだが、まだ反応は鈍く、気持ちよさそうに微睡んでいる。私の下で。
 引き寄せられた時にレオの体に乗り上げてしまって、今の私たちの密着度はとても高い。薄く開いた目から見えている瞳や、時々私と目が合う度にふへ、とゆるゆると表情を崩し柔らかな笑みを浮かべるレオは、13歳とは思えぬ色気を纏っている。不本意ながら、少しだけ、すこーしだけドキドキしてしまっていて...寝起きのレオは、とても心臓に悪い。レオはいつもこうなのだ。私のことを女とみていないからこういうことをできるに違いないわ。
 ある意味、信用されているのよね。私はきっと、姉のように、妹のように思われてる。レオは素敵な紳士だからほかの女の子にこんな事するなんて有り得ないし、ますますそう思えてきてしまって...、なんだかモヤモヤする。

「カヤ、カヤ?難しい顔をしてどうしたの?」
「...何でもないわ。もう、レオってば全然起きないんだもの。それに今日は私まで巻き込まれたし!」
「んー、これ自分で言っていいのかわかんないけどさ。割といつも、毎日のようにカヤは巻き込まれてるよね?」
「うるさいわね、分かってるならやめなさいよっ」

 別に毎日のように流されてレオと一緒に二度寝してるわけじゃないわよ。ないったらないわよ!

「だってカヤの匂いとか、華奢なのに女の子らしい柔らかい身体とか...抱きしめてるとすごく安心するんだよ。もう俺はカヤなしじゃ安眠できない体にされてしまったんだ」
「ばか!変なこと言わないでよね。私が悪いみたいじゃない。あなた割とどこでも寝てるわよ?」

 私が見てる限りあなたはずっと寝てばかりいるわよ。ちゃんと起きてる時間の方が少ないんじゃないのかしら?どうせ私と会ってない時も寝てるんでしょうし。私が居なくても安眠してるに違いないわ。

「...本当に、カヤの前以外で寝る事なんてほとんど無いんだけどね」
「え?ごめんなさい、今何か言ったかしら?」
「んー?なんでもない、それよりカヤ。今日はやけに積極的だね、俺の事押し倒すなんて~!」

 キャッ!とでも言うように自分の体を抱きしめて恥じらうように...いえ、一見そう見えるだけで実は内心私のことをからかって遊んでいるということは、もう分かってるのよ。私だって学ぶの。成長するのよ。

「貴方が私の事引き寄せてきたんでしょう?もう。私はそんな見え透いた罠に引っかかるほど子供じゃないわ!」

 自信満々に答えた私をさらに面白いものを見る目で下から見上げてくるレオ。もう隠すこともしなくなった幼馴染を見て、今ならここから降りれるんじゃないかとふと思った。

ぐいっ

「ちょっと、何勝手に離れようとしてんの?俺の抱き枕なんだからおとなしくしててよね」
「勝手に変な役に任命しないでくれる?」

 私に拒否権は無いのかしら。...なさそうね。

 



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