【R18】大好きなあなたからは卒業したくありません

おうぎまちこ(あきたこまち)

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 覚悟を決めて、彼に抱かれたくせに、一抹の不安がよぎる。

(どうしよう、赤ちゃんが出来ちゃったら……)

 すると、額に貼りついた髪を梳きながら、スヴェイン団長が優しい口調で告げてきた。

「ミレイユ、君の許可なくごめん……不安にさせてしまった」

「いいえ、私が望んだことですから――あっ……」

 すると、彼に唇を塞がれてしまった。
 そうして、青い瞳でこちらを覗き込んできながら、彼は口を開く。
 
「責任はとる。順番は前後してしまったけれど、俺と結婚してくれ、ミレイユ」

「え?」

 突然のスヴェイン団長の申し出に、私は戸惑ってしまった。

「そんな、中に出してしまったからですか? スヴェイン団長は優しすぎます……私がわがままを言ったからなら、気になさらなくても……」

 真面目な彼に罪悪感を抱かせたのなら申し訳がないと思ったのだ。

「いいや、そうじゃないんだ、ミレイユ」

 秘する場所は繋がりあったまま、彼は続けた。

「街の噂なのかもしれないが……君は勘違いしているんだ。前の恋人は、俺よりも贅沢な暮らしが良いと言って、俺を捨てていったんだ。彼女には『貴方は優しい。だけど、優しいだけだ』と言われたんだ」

「団長、そうだったんですね」

「だけど、いつも俺にパンを届けてくれる君は、『貴方の優しさで救われている人も多いと思います』と言ってくれたね。そうして、自分もその一人だと」

 そう言われると、以前彼にそんなことを言った気がした。

「俺以上に優しい君のおかげで、傷心の俺の心は癒されていったんだ。どんどん君に惹かれていったよ。好きなんだ、ミレイユ。どうか、毎日、僕のためにパンを焼いてはくれないか?」

 真摯な彼の眼差し。

「……はい、スヴェイン団長、助けていただいた頃から、私も貴方が大好きです……!」

 優しい彼はまた、今までで一番極上の口づけを私に落としてきた。



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