あなたに忘れられない人がいても――公爵家のご令息と契約結婚する運びとなりました!――

おうぎまちこ(あきたこまち)

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「アメリア!」

「エドワード! ジェシカ! どうしたの一体?」

 部屋の中にいたのは、同い年の幼馴染エドワード・ヴィンセントとジェシカ・ヴィンセントの二人だった。
 エドワードは黒髪に青い瞳をしたエキゾチックな青年、ジェシカもよく似た見た目の女性だ。
 小さい頃によく遊んだ記憶がある双子の兄妹だが、私の生家が没落したこともあり、彼と交流する機会はめっきり減っていた。
 だけど、時折、彼らが私に手紙を送ってくれたのを覚えている。

「アメリアが結婚すると聞いて、会いに来たんだよ」
 
 爽やかにエドワードは笑った。
 物静かで理知的な青年だ。
 生真面目な彼は、優男のシャーロック様とは違う層の貴婦人たちに人気が出てそうだなと、なんとなく思ってしまう。

「お祝いに来たのよ、アメリア」

 ジェシカも嬉しそうに笑う。

「まさかアメリアが、社交界でも有名なシャーロック様と結婚になるなんて、子どもの頃には想像もつかなかったな」

「うんうん、アメリア、お兄様だけじゃなくてわたくしもよ。本当にびっくりしてる。あれだけ派手な女性関係だったシャーロック様も、今は物静かにしていると評判なんだから」

 最近のシャーロック様の女性関係がどうなっているのか知らなかったので驚いてしまった。

「ああ、羨ましいわ~~独身時代は遊びまわっていた殿方が、奥様にだけ一途だなんて、夢があるじゃない……!」

 ジェシカは両手を組んでうっとりとしていた。
 彼女は兄のエドワードと比較するとミーハーな気質である。

 ふと、シャーロック様の言葉が脳裏に浮かんだ。


『俺も君を好きになれるかもしれない。そういう期待があった方が、愛のない結婚よりも夢があるとは思わないかい?』

 鼓動が高鳴っていく。

(まさか……まさか、ね……)

 その後、久しぶりに会ったエドワードとジェシカとは、昔話に花を咲かせた。
 他愛もない世間話だったけれど、子どもの頃に還ったような気持ちで楽しく感じた。


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