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ギアスの手がピタリと止まった。
「どうか、一人で悪者になろうとしないでください……!」
「メイベル、何を言って……?」
そうして、決意の眼差しを彼に向けて、凛とした声で告げた。
「あなたに協力致します、そうしてあなたを自由にしてみせます」
ギアスが瞠目した。
「何を、だ……」
「あの文書についてです」
キリリとした瞳を向けると、ギアスが絶句した。
「なっ……何を馬鹿なことを……! メイベル、第一王女のお前にあんな真似は……」
なぜか目の前の彼は、赤くなったり青くなったりしている。
そこで得心がいった。
(やはり、隣国の敵を炙りだすための囮作戦なのね……)
もしかすると、今、この部屋に私が来ているところだって、敵は察知しているのかもしれないのだ。
「いいえ、ギアス、私はこの国の王女メイベル・オーギュスト。これまで役に立たない王女だと言われてきましたが、国のため、覚悟を決めます」
――何よりも貴方のためだとは敢えて言わなかった。
ギアスと国のために役立てることがあるのなら協力したい。
そう思って告げたけれど、彼がなぜか少しだけ寂しそうに見えるのは、どうしてだろうか。
「メイベル、そうか、君という人は……。俺との婚姻も国のため……そうか、そうだな……」
なぜか掌で両眼を隠している。
しばらくすると乾いた笑みを零した後、いつものキリリとした表情に戻ったギアスが、そっと窓を閉めた。
「俺たちの声が聞かれたら困る」
その言葉を聞いて確信する。
(やはり、スパイが近くにいるというのね……)
あやうくおかしな婚約解消宣言をして、彼を困らせてしまうところだった。
(気を引き締めなきゃ……誰が聴いているかも分からないのよ……)
自分の迂闊さを呪っていると、ギアスがしゃがみ込んで数枚の紙きれを拾った。
そうして、立ち上がった彼が私を横抱きにすると、移動を始める。
「メイベル、俺に協力すると言ったな」
「ええ、もちろんです、ギアス。あなたが愛する人と幸せになるよう解放して……あなたを自由にしてさしあげます」
気づけば、彼のベッドへと連れて行かれて、そっと壊れ物のように横にされた。
「あ……」
「だったら……」
ギシリと音を立てて、彼がベッドの上に乗り上げてくると、私の上に馬乗りになる。
なんだかやけに下腹に熱い何かが触れてくるけれど、なんだろうか。
「この書類に書いてある通りに振舞ってほしい、そうして俺を解放……いいや、自由にしてくれ、メイベル」
書面に記載された内容を見て、今度は私が絶句したのだった。
「どうか、一人で悪者になろうとしないでください……!」
「メイベル、何を言って……?」
そうして、決意の眼差しを彼に向けて、凛とした声で告げた。
「あなたに協力致します、そうしてあなたを自由にしてみせます」
ギアスが瞠目した。
「何を、だ……」
「あの文書についてです」
キリリとした瞳を向けると、ギアスが絶句した。
「なっ……何を馬鹿なことを……! メイベル、第一王女のお前にあんな真似は……」
なぜか目の前の彼は、赤くなったり青くなったりしている。
そこで得心がいった。
(やはり、隣国の敵を炙りだすための囮作戦なのね……)
もしかすると、今、この部屋に私が来ているところだって、敵は察知しているのかもしれないのだ。
「いいえ、ギアス、私はこの国の王女メイベル・オーギュスト。これまで役に立たない王女だと言われてきましたが、国のため、覚悟を決めます」
――何よりも貴方のためだとは敢えて言わなかった。
ギアスと国のために役立てることがあるのなら協力したい。
そう思って告げたけれど、彼がなぜか少しだけ寂しそうに見えるのは、どうしてだろうか。
「メイベル、そうか、君という人は……。俺との婚姻も国のため……そうか、そうだな……」
なぜか掌で両眼を隠している。
しばらくすると乾いた笑みを零した後、いつものキリリとした表情に戻ったギアスが、そっと窓を閉めた。
「俺たちの声が聞かれたら困る」
その言葉を聞いて確信する。
(やはり、スパイが近くにいるというのね……)
あやうくおかしな婚約解消宣言をして、彼を困らせてしまうところだった。
(気を引き締めなきゃ……誰が聴いているかも分からないのよ……)
自分の迂闊さを呪っていると、ギアスがしゃがみ込んで数枚の紙きれを拾った。
そうして、立ち上がった彼が私を横抱きにすると、移動を始める。
「メイベル、俺に協力すると言ったな」
「ええ、もちろんです、ギアス。あなたが愛する人と幸せになるよう解放して……あなたを自由にしてさしあげます」
気づけば、彼のベッドへと連れて行かれて、そっと壊れ物のように横にされた。
「あ……」
「だったら……」
ギシリと音を立てて、彼がベッドの上に乗り上げてくると、私の上に馬乗りになる。
なんだかやけに下腹に熱い何かが触れてくるけれど、なんだろうか。
「この書類に書いてある通りに振舞ってほしい、そうして俺を解放……いいや、自由にしてくれ、メイベル」
書面に記載された内容を見て、今度は私が絶句したのだった。
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