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22(アルファポリス版)
しおりを挟む翌朝。
ギアスの部屋で目を覚ました。
彼よりも先に起きた私は、部屋の中に散らばっている書類を拾うことにした。
一枚目に手をかけようかという時、彼が目を覚ます。
「待て、メイベル、俺が拾うから!」
「きゃっ……!」
動揺した彼が私に飛び掛かってくる。
びっくりした私の手から他の用紙も飛んでいき、ひらひらと舞っていく。
結局、とある書類が私の目に飛び込んできた。
既視感を覚える。
「あ、やっぱり……! これはギアスが昔書いてた……物語の……」
いわゆる小説だが……
男女の営みについても書いてあるから官能小説というやつだろうか?
はたまた、めくるめく妄想?
(子どもの頃はこんな破廉恥な場面はありませんでしたが……)
几帳面にも書類の端から端までびっしりと文字で埋まっている。
背後にいるギアスはといえば……
あまりの動揺に石化してしまったかのように動けなくなった。
振り仰ぐと、やはり渋面を浮かべている。
かと思いきや、きりっとした普段のイケメンに戻った。
と思わせて、眉根をぎゅっと絞る。
(動揺が激しいみたいですわね……)
そうして、彼は唐突に早口で喋りはじめた。
「すまない、お前も知っての通り、子どもの頃から、こういいったものを書くのが好きで……だが、しかし、いわゆる夢小説というやつばかりではなく……」
彼が固まっている間に落ちている話をチラチラ覗いてしまったが、内容は私との恋物語ばかりだったし、昨晩の彼の心の声を踏まえても、彼の言っていることは本当のことなのだろう。
(実名で書かれても、普通のご令嬢だったら驚いてしまうかもしれません……)
しかも官能小説だと、なおのこと、何を自分で想像してるんだお前はとなりそうだ。
けれども、私は子どもの頃から彼の考える話が好きだったので、むしろ……
変態だと思われるかもしれないが、ちょっとだけ嬉しかった。
(やっぱりギアスは浮気をするような男性ではなかったのですね)
とはいえ……
「だったら、あの時の令嬢はなんだったのでしょう?」
「あの時の令嬢?」
「この間、見たのです、貴方が珍しく微笑んでいるものだから誤解してしまったのです」
「ああ、もしかして、あの文官のことか? 彼女には書き溜めていた話を製本してもらおうと思っていたんだ」
「え……?」
「俺たちのことを観察するのが趣味だからって、イラストを描いてきて装丁まで担当してくれることになっていたんだ。そのイラストのお前があまりに愛らしく…だが、そんなに心配させるんだったら、お前に話してからの方が良かったな」
そんなオチだったとは……!
(イラストの私が愛らしいから、ギアスは笑っていたのね……)
そう思うとなんだか気恥ずかしい。
「彼女はむしろ味方だったのですね。他のご令嬢たちがいつも色々言ってくるものだから……」
「他のご令嬢?」
「ええ、私とは違って綺麗な人たちばかりで……」
その時……突然ギアスに抱き寄せられた。
あまりにも強い力で苦しいぐらいだ。
「ギアス……?」
「メイベル、俺が……お前以外の女のことを考えるわけないだろう」
「あ……」
「俺の頭の中は、いつだって、お前のことだけでいっぱいだ」
まるで胸の中に薔薇でも咲いたかのようだった。
気づけば、彼の心の声のようなものは聴こえなくても、なんとなく不器用な彼の気持ちが分かるようになってきたのだった。
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