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第5章 兄弟からのプロポーズ
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しおりを挟むその後、美桜は出社して無事に仕事を滞りなく進めていた。
昼休みに入り、準備していたお弁当を食べた後、化粧室で歯磨きを済ませる。たまたま、給湯室近くを通った際に、自販機の前にいつぞやの男性職員たちが会話をはじめた。
「おいおい、ネットニュース見たかよ?」
「見た見た、あの冷徹……じゃなくて御影社長、いよいよ結婚するみたいだな」
ドキン。
美桜の心臓が跳ね上がる。
思わず柱の陰に隠れてしまった。
(恭司さんが結婚……?)
どうしようもなく動揺してしまった。
男性職員たちが話を進める。
「本当かな? だってネットの情報だろう?」
「いやいや、だって俺、あの人が女性と一緒に歩いているの見たもん」
「え? そうなのか……!?」
恭司が一緒に歩いていた女性。
もしかすると、自分のことなのだろうか?
(だって、最近いつも一緒に過ごしているのは私だったし……)
ドキドキドキドキ。
心臓が期待で高鳴っていく。
そうして、男性社員が口を開いた。
「そうなんだよ。昨日、たまたま京都駅で見たんだ。俺も遊びに行ってたんだけど、ちょうどすれ違ってさ。着物のすごく綺麗な女性」
――美桜は衝撃を受けた。
(京都駅? 着物のすごく綺麗な女性?)
胸がざわついて落ち着かない。
(昨日は恭司さん、関西に出張だって話していた。取引先の相手がたまたま女性だっただけよ)
美桜は何度か深呼吸をすると気持ちを落ち着ける。
「ほら、見てみろよ。WEBに写真も載ってるぜ」
「あの人、顔出しNGだったろう? 写真載せても大丈夫なのか? 載せたやつ、マジで殺されそう……」
心臓が落ち着かない。
彼らの言う通り、そもそも恭司は写真掲載を拒んでいたはずなのだ。
だから、WEBに掲載されている写真だって虚偽のものかもしれない。
どうにも落ち着かない気持ちを落ちつけたくて、震える指で検索してみることにした。
(御影、社長、結婚……)
調べたら、すぐにヒットした。
今日の昼のニュースのようだ。
けれども、そこに掲載されていたのは……。
(そんな……)
確かに――恭司が女性と一緒に食事をしている姿だった。
彼が昨日来ていたスーツで間違いない。
美桜の瞳が涙で潤む。
(恭司さん、私と別れた後に、別の女性と会ってたのかな?)
美桜はシュンと俯いてしまった。
なんだか気分が上がらない。
黒猫ミオとの世話を通じてだいぶ距離が近づいたような気がしていたのだけれど……。
(……浮かれすぎていたのかも)
そもそも分不相応だと自分で分かっていたのに。
「いよいよ結婚か、まあ、めでたいな」
「事業拡大のためになら結婚するんだろう? 相手は旧華族の……」
それ以上は耳に入ってこなかった。
男性職員たちの会話を耳にして塞ぎこんでしまった。
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