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第6章 初めての恋
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明治時代に建設したという建築物らしく、どことなく古めかしい洋館の雰囲気を醸している。
けれども、和風の要素もあったりして、いわゆるモダンな建築物のようだ。
こんな巨大な屋敷があるなんて、観光名所以外ではあまり見たことがなかったので、度肝を抜かされてしまった。
(ここが……新宮グループの本家)
戦後に財閥解体がおこなわれているので、今はいわゆるグループ企業になっているようだが、日本の政治にも影響のある旧財閥として有名な新宮家。その本家に、こんな形で足を踏み入れることになるなんて……。
美桜は再びゴクリと唾を飲み込んだ。
(もっと楽しい気分の時だったら、喜んだだろうけれど、今はそんな気分になれない)
そうして、建物の正面玄関に接近すると、車はゆっくりと停車した。
父が先に降りると、順一のために助手席の扉を開けてやる。
そうして、順一が美桜の座る座席側の扉を開いた。
「さあ、美桜ちゃん、降りてや」
そうして、彼が彼女に向かって手を差し伸べてきたが……。
「結構です」
美桜は順一の手を取らずに車を降りた。
すると、彼が眉を八の字にしながら肩をすくめてくる。
「美桜ちゃんに嫌われてもうたね」
そばに父がいることも忘れて、美桜はキッパリと返した。
「嫌なことばかりされて、好きになれと言われても難しいです」
「ほんま、ええ人のフリして生きてもええことないなあ。損な役回りばっかりや。素直に生きるのが一番やな」
順一が苦笑いをしていた。
その時。
彼の背後――三メートルはありそうな扉がギギイッと重たい音を立てながら開いた。
建物の中から一人の女性が姿を現す。
紺色の色無地の着物を金帯で締めており、腕の中に白猫を抱いた女性が姿を現した。
黒髪を低めの位置でまとめており、キリリとした釣り目の綺麗な女性だ。赤い紅を差したぼってりした唇が特徴的である。
「その娘が順一さんがずっと気に入っていたとかいう梅田の娘さん?」
何やら女性から不躾な視線を感じてしまった。
「美桜、お前の義理の母親になる御方だ。頭を下げなさい」
父に言われて、美桜は無理やり頭を下げさせられた。
順一が説明してくれる。
「新宮環、僕の母さんや」
どうやら女性は新宮順一の母のようだ。
つまるところ……。
(恭司さんの義母に当たる女性)
新宮環はどことなく冷たい雰囲気を醸している。
どこか人を蔑むような瞳で美桜のことを見ながら告げてきた。
「なんや貧相で、順一が子どもの頃に飼うてた黒猫に似てはるわ。あの忌まわしい譲之助さんのもう一人の子どもと育ててた汚らわしい黒猫にな」
けれども、和風の要素もあったりして、いわゆるモダンな建築物のようだ。
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父が先に降りると、順一のために助手席の扉を開けてやる。
そうして、順一が美桜の座る座席側の扉を開いた。
「さあ、美桜ちゃん、降りてや」
そうして、彼が彼女に向かって手を差し伸べてきたが……。
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すると、彼が眉を八の字にしながら肩をすくめてくる。
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順一が苦笑いをしていた。
その時。
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建物の中から一人の女性が姿を現す。
紺色の色無地の着物を金帯で締めており、腕の中に白猫を抱いた女性が姿を現した。
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