6 / 25
6※
しおりを挟む
「それは……」
焦燥が胸の中に湧き上がる。
頭の中では理解できても、感情が追いつかない。
そうして、咄嗟に出てきた言葉は――。
(せめて……妻に……してもらえたなら……)
その時――。
「――いつまでも貴方が純真無垢なままのようで本当に良かった……だって――」
「え?」
清一郎が昔のように相貌を和らげ、慈しむように椿のことを見ているではないか。
いよいよ少女時代に戻ったようで、胸がきゅうっと疼いてしまう。
昔と変わらないところの残っている清一郎。
今の状況を受け入れたくなくて、心の均衡を保とうとしただけかもしれないが――。
妻にしたいと言われたわけではない。
だけど、いつか見た活動写真のような恋物語のように――彼が自分のことを求めてくれているのではないかと――彼女は心の奥底で淡い期待を抱いてしまう。
そうして――。
椿の顔を柔らかく撫でながら、彼が放ってきた言葉は――。
「穢しがいがあるからな……」
――椿はそれ以上何も言えなくなった。
清一郎は恍惚とした表情を浮かべながら、ネクタイを緩めて一番上の釦を外すと、流線を描く鎖骨と鍛え抜いた胸板が露わになる。
均整のとれた体つきに思わず見とれている間に、彼が彼女の袂を乱暴に乱した。
「きゃッ……!」
淡く白い乳房がまろびでて、彼の視線に晒される。
それだけでも恥ずかしいのに、着物の裾と襦袢を割ってきた彼の大きな手が、彼女の太股を撫で始めた。
「あッ……清一郎……こんな車の中で……やめて……」
だが、彼の愛撫が止むことはなかったし、乱暴に帯は解かれ続ける。
抵抗むなしく、開かれた両脚の間は――。
「ああ、恐怖によるものか快楽のせいか……もうこんなに蜜を溢れさせているのか……」
「あ……」
羞恥を感じる間もなく、ベルトを解いた下衣を寛げた彼の、そそり立つ巨根が彼女の蜜口の上をヌルヌルと蠢きはじめた。
「ふあッ……ああッ、あッ……」
言い様のない快楽が走り、椿の口から嬌声が漏れ出る。
これから何が起こるのか分からないが――身の危険が待ち構えていることには、さすがの椿も気付いていた。
そうして、純潔の襞に守られた入り口に、獣の先端が宛がわれる。
「なあ、椿姫……。ガキの頃に助けて俺を哀れんでやったぐらいに、貴女は思っているんだろう?」
「それは……そうなんじゃ……」
祖父からの援助のおかげで、彼は役者として大成しつつあったし、何より衣食住にも困らなかっただろう。
だが――。
「俺としては、男に生まれてきたのに、男に触れられて――正直虫唾が走ったよ……」
え――?
彼の云わんとする意味は――。
けれども、それ以上、彼に何かを尋ねることは出来なかった。
――復讐の焔を宿す瞳が、黒い瞳をのぞき込んでくると、彼女はその場で動けなくなってしまう。
両手首を彼の両手に掴まれると、カタカタと全身が小刻みに揺れ動いた。
背中に車のタイヤが駆け抜けていく振動を少しだけ感じる。
「だから、決めていたんだ、ずっと……」
彼女を奮い立たせていたのは、公家の血筋による矜持か――。
「何……を……?」
清一郎がゆるりと口を吊り上げた。
「あの男の代わりに――俺が貴女のことを貪りつくしてやろう……ってな……」
愉悦を浮かばせる清一郎が椿に向かって続ける。
「さあ、はじめようか――褥の上じゃあない、この場所で……生涯、俺に初めて抱かれたこの日を忘れられないように――お前の身体に俺を刻みつけてやろう……」
焦燥が胸の中に湧き上がる。
頭の中では理解できても、感情が追いつかない。
そうして、咄嗟に出てきた言葉は――。
(せめて……妻に……してもらえたなら……)
その時――。
「――いつまでも貴方が純真無垢なままのようで本当に良かった……だって――」
「え?」
清一郎が昔のように相貌を和らげ、慈しむように椿のことを見ているではないか。
いよいよ少女時代に戻ったようで、胸がきゅうっと疼いてしまう。
昔と変わらないところの残っている清一郎。
今の状況を受け入れたくなくて、心の均衡を保とうとしただけかもしれないが――。
妻にしたいと言われたわけではない。
だけど、いつか見た活動写真のような恋物語のように――彼が自分のことを求めてくれているのではないかと――彼女は心の奥底で淡い期待を抱いてしまう。
そうして――。
椿の顔を柔らかく撫でながら、彼が放ってきた言葉は――。
「穢しがいがあるからな……」
――椿はそれ以上何も言えなくなった。
清一郎は恍惚とした表情を浮かべながら、ネクタイを緩めて一番上の釦を外すと、流線を描く鎖骨と鍛え抜いた胸板が露わになる。
均整のとれた体つきに思わず見とれている間に、彼が彼女の袂を乱暴に乱した。
「きゃッ……!」
淡く白い乳房がまろびでて、彼の視線に晒される。
それだけでも恥ずかしいのに、着物の裾と襦袢を割ってきた彼の大きな手が、彼女の太股を撫で始めた。
「あッ……清一郎……こんな車の中で……やめて……」
だが、彼の愛撫が止むことはなかったし、乱暴に帯は解かれ続ける。
抵抗むなしく、開かれた両脚の間は――。
「ああ、恐怖によるものか快楽のせいか……もうこんなに蜜を溢れさせているのか……」
「あ……」
羞恥を感じる間もなく、ベルトを解いた下衣を寛げた彼の、そそり立つ巨根が彼女の蜜口の上をヌルヌルと蠢きはじめた。
「ふあッ……ああッ、あッ……」
言い様のない快楽が走り、椿の口から嬌声が漏れ出る。
これから何が起こるのか分からないが――身の危険が待ち構えていることには、さすがの椿も気付いていた。
そうして、純潔の襞に守られた入り口に、獣の先端が宛がわれる。
「なあ、椿姫……。ガキの頃に助けて俺を哀れんでやったぐらいに、貴女は思っているんだろう?」
「それは……そうなんじゃ……」
祖父からの援助のおかげで、彼は役者として大成しつつあったし、何より衣食住にも困らなかっただろう。
だが――。
「俺としては、男に生まれてきたのに、男に触れられて――正直虫唾が走ったよ……」
え――?
彼の云わんとする意味は――。
けれども、それ以上、彼に何かを尋ねることは出来なかった。
――復讐の焔を宿す瞳が、黒い瞳をのぞき込んでくると、彼女はその場で動けなくなってしまう。
両手首を彼の両手に掴まれると、カタカタと全身が小刻みに揺れ動いた。
背中に車のタイヤが駆け抜けていく振動を少しだけ感じる。
「だから、決めていたんだ、ずっと……」
彼女を奮い立たせていたのは、公家の血筋による矜持か――。
「何……を……?」
清一郎がゆるりと口を吊り上げた。
「あの男の代わりに――俺が貴女のことを貪りつくしてやろう……ってな……」
愉悦を浮かばせる清一郎が椿に向かって続ける。
「さあ、はじめようか――褥の上じゃあない、この場所で……生涯、俺に初めて抱かれたこの日を忘れられないように――お前の身体に俺を刻みつけてやろう……」
13
あなたにおすすめの小説
結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる
狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。
しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で………
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く
紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる