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第2章 同居人との距離――咬――
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しおりを挟む「ちょっ……やめなさい、天狼……!」
自由の効かない蘭花の身体の上に、天狼が覆いかぶさっている。
彼女の藍色の裳の中へと、彼の大きな手が伸びた。
かと思うと、彼女の張りのある太腿を大きく撫ではじめる。
ぞくぞくとした感覚が駆け抜けていく。
「あっ、やぁっ……やめなさいっ……んんっ……」
「言っただろう? 私が話した内容が本当かどうか確かめようと――」
彼の話した内容とは――。
(天狼と交われば加護を受けて、身体の疼きは治まるし、妖にも付け狙われなくなる。だけど、それは一時的なものでしかなくて……完全にこの体質を治すためには――)
――彼の子を孕むしかない。
「ひあっ……!」
いつの間にか、下半身から裳は取り払われてしまっていた。
絹で作ってあった下着もはぎ取られてしまう。
かと思えば、すぐに彼の指が、花弁を割り入り、赤い突起の周囲を弄りはじめた。
「あっ、やめっ……あっ、あ……」
「嫌だいやだと言うが、君の身体はもう私を欲して仕方がないようにみえる」
「なっ……!」
羞恥により、蘭花の頬にさっと朱が差した。
ただでさえ満月の夜が近く、下半身が疼いてしまっている。
彼の指が、膨れ上がった突起をゆるりと撫でるたびに、じわじわと下の口から蜜が溢れだしているのだ。
「あっ……ぁ……こんなの、わたしの……意思じゃない……!」
蘭花は黄金の瞳を釣り上げ、天狼をきっと睨みつけた。
天狼の碧の瞳を見ると、身体が彼の言いなりになって動けなくなってしまうのだ。
「ああ、我が花嫁は、相変わらず強情だ――」
(相変わらず、ですって……?)
何やら今日は気がかりなことばかりを、天狼は口にしている気がする。
「少し触れただけで、もうこんなに淫らな蜜を溢れさせているではないか」
蘭花の蜜に濡れた指をぬるぬると天狼は動かした。
次第に彼の指の動作が速くなっていき、蘭花は金糸雀のような嬌声を上げ続けた。
「ふあっ、あっ、あんっ、やだっ、あっ、あ……」
淫核を責め立てられた蘭花の頭の中が、真っ白になっていく。
眉をひそめた彼女は、かろうじて力の入る指先で、床の上に落ちる裳を握りしめた。
「そろそろ果てそうだな――」
「あっ、あ、そんなにしちゃっ……身体が変っ……あっ、ああっ――!」
閃光のような快感が蘭花に走る。
しなやかな背をのけぞらせながら、蘭花の口から艶やかな悲鳴がほとばしった。
彼女の全身はびくびくと痙攣をはじめる。
脚の間からは、大量の愛蜜が流れ落ちていった。
「あ――は……」
「やはり、愛らしく鳴くじゃないか……我が花嫁は」
くすりと笑う天狼に対し、蘭花は屈辱を感じた。ただでさえ紅潮していた彼女の頬が、紅梅のように真っ赤に染まっていく。
「やめて! そういう言い方をするのは――!」
「まだ、叫ぶ元気が残っているようだな――それでは――」
「きゃっ……!」
肩で息をする彼女の、ひくひくと痙攣を続ける狭穴に、天狼が長い中指をぬるりと侵入させる。
異物の侵入に対し、彼女の身体はびくんと跳ねた。
「っ……もう、やめっ……ひあんっ……」
「約束だっただろう? 我が花嫁になると――たとえ約束などなかったところで、私と君は運命共同体だがな――」
そう言うと、彼は彼女に顔を近づける。
野生の獣のように、彼の舌が彼女の舌をぺろりと舐めた。
彼の碧の瞳が底なしの深い湖の色のように暗くて、蘭花の身体はぞくりと震える。
「蘭花――君がどれだけ嫌だと言おうと、私の命運を変えた責任はとってもらわないといけない」
「命運――どういう――ふあっ……あっ、やだっ、そこっ、だめ、だめっ、だめったら……――!」
彼の指が彼女の内壁を弄ると、あられもない潮を噴き出した。
天狼が顔にかかった滴を、艶めかしい舌遣いで嬲る。
そんな様子を、息をきらした蘭花は黙って見ていた。
「なんで、こんな目にばっかり……」
涙を潤ませながら、蘭花が天狼に抗議しようとした。
その時――。
「もし――この家に、高名な占星術師がいると伺いました――どうか中に招いてはいただけませんか?」
――小屋の戸の方から、女の声が聴こえたのだった。
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