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本編

20※

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「ギル……んっ……」

 また彼がそっと口づけてくる。
 しばらく衣服越しに、慣れた手つきで身体を擦られた。
 そうして、いつの間にか私は衣服を全て剥ぎ取られてしまっていた。
 口づけや花園への愛撫で、既に秘所は濡れてしまっていて、気恥ずかしい。

「ルイーズ、綺麗だ……」

 彼が口づけはじめた。

「あっ……あんっ……あっ……」

 全身の肌を吸われ、肌にくまなく花びらが散った頃には、身体が火照ってしまっていた。
 彼がまとっていた衣服を脱ぎ捨てる。
 そうして、ぐちゃぐちゃに濡れてしまった花弁を割られ、先端を宛がわれる。
 心臓がバクバクと音を立て、頭がおかしくなりそうだ。

「ルイーズ……痛くないようにするから」

「ギル……ああっ……!」

 彼の熱杭が蜜口を穿つ。
 みちみちと純潔の襞が破られていく。
 途中、ギルフォードが眉をひそめていた。

「力を抜けって言っても、どうやら無理のようだな……」

 彼の逞しく育った背にぎゅっとしがみつく。
 何度も彼が口づけてきた。
 ずぶずぶと猛る全てを飲み込んだ後、止めていた息をはっと吐き出す。

「……はっ……」

 痛みはあるが、雨のようなキスのせいだろうか――想像したほどの痛みはなかった。
 彼の勇根を全て飲み込んでいるので、下腹部にものすごい圧迫感を感じる。
 彼も息を吐く。
 結合部がぐちゅんと鳴った。

「はあ……ひどく熱いな……なあ、ルイーズ、痛みはないか? ……っ……」

 先ほどからギルフォードの様子がおかしい気がするが、気のせいではないようだ。

「ギル、大丈夫……?」

「え? ああ、お前の締め付けが激しくて、何度か果てかけてるだけだ」

「果て……?」

「まあ、あまり気にするなよ。一応、今日はここまでにしておいてやるか」

 そうして、そっと唇を重ねられる。

「初めて男を受け入れて、感想はどうだ?」

「え? そんなこと聞いてくるなんて、相変わらずデリカシーがないわ……」

 ふっと視線をそらした。
 顔を真っ赤にして答える。

「よく分からない」

「……そうかよ」

 ギルフォードがやれやれといった調子でため息を吐く。
 彼が何度も私の髪を撫でてきた。

「俺は――」

 ちらりと彼を見上げた。
 暗い部屋の中、彼の金の髪と青い瞳が、月明かりに照らされて幻想的だった。


「今まで生きてきた中で、最高に幸せだよ……ルイーズ……」


 意地悪なんかじゃない、とても愛おしそうに彼が微笑んでくる。

(――あ……)

 心臓がドクンと跳ねた。

(なんでそんなに嬉しそうなの……)

 勘違いして傷つきたくなかったはずなのに……。
 だけど、本当の婚約関係になると決めたからだろうか。

「ルイーズ。俺のために菓子を作ってくれよ……毎日でも食べてやるよ」

「毎日食べたら太るわよ」

「身体を鍛えてるから、毎日食べても太らねぇよ」

 軽口を叩き合っていると、彼が口づけてくる。

「これからもまた、子どもの頃みたいにずっと一緒だな……ルイーズ」

 お互いに緊張していたからだろうか、汗びっしょりになっていて、抱きしめ合うと肌が張り付き合った。

(なんだろう、すごく幸せ……)

 素直に彼にそうだとは言えないけれども……。

 ひどく幸せな気持ちのまま、彼の腕の中で、その日は眠りに就いたのだ。

 ――学生時代のひと悶着や、どうしてギルフォードが薔薇を持ってうろついていたのかなんて忘れて。



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