【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者

おうぎまちこ(あきたこまち)

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ハネムーン後日談

3 ギルフォードside※

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 奥深く抉った後、彼女の身体を浮かせた。すると、彼女の肉襞が自分を離すまいと、きゅうっと締め付けてきた。
 あまりの愛おしさにギルフォードの先端から雫がまた溢れる。
 先に果てては恰好がつかない。
 腰を揺り動かし、彼女の身体を上下させた。
 悦ぶ彼女の媚態に心が躍る。いつの間にか彼だけでなく、彼女も身体を弾ませていた。

「腰を揺らして、可愛いな、ルイーズ……」

「揺らしてなんかっ……っ……あっ……あんっ……」

 座席が軋む間隔がギシギシと狭まっていく。
 ぐちゅぐちゅと淫秘な水音と懊悩な声とが車内に奏でられた。

「ギル、もっと……あんっ、あっ、はっ、あっ、あっ、あ……」

「ルイーズ……あんまり、可愛いこと言うなよ」

 ルイーズを快楽の高みまで突き上げる。
 ギルフォードの頭の中に甘美な痺れが駆け抜け、熱杭が律動をはじめた。彼自身も果てた。欲望は留まるところを知らず、ぶるりと震えたギルフォードは、愛しいルイーズの中に断続的に精を放つ。
 ひくつく花襞に熱くしめつけられ、最後の一滴まで絞り出した。
 愛し合った跡が二人の肌を零れ落ちていく。
 恍惚とした表情を浮かべるルイーズに、愉悦を浮かべたギルフォードは口づけた。そっと唇を交わし合う。

「ギル、どうしよう……」

「ああ、わりぃ、汚しちまったな……」

 馬車の座席を汚して心配そうにしている妻を安心させるように、彼は彼女の頭を撫でた。

「――大丈夫だ。こんなこともあろうかと準備はしてある」

 車内の隅に、彼女の替えのドレスを置いてある。
 彼女は怪訝そうな表情を浮かべる。

「準備していたの?」

「ああ」

 いついかなる時も、こういった事態になることを予測して――けれども、愛しいルイーズに恥はかかせないように、ギルフォードは手を打っていた。

「困った顔も怒った顔も、もちろん堪らないがな……」

「ん? ギル、何か言った? ねえ、そう言えば、ご友人からもらった封筒の中身はなぁに?」

 妻の質問にギルフォードはぎくりとした。
 つとめて平静に返答する。

「ああ、これか? まあ、仕事が捗るための道具みたいなものだよ?」

 嘘はついていない。
 友人からもらったのは、隣国で彼女が紹介された際の新聞の切り抜きだ。自国では手に入らないものを頼んでとってもらっていた。
 職場のデスクの上に、写真と一緒に飾ろうと思っていたのだ。

(ルイーズに見られているみたいで、ちゃんと仕事をしねぇといけない気になる)

 先日、彼女が悲しむぐらいなら、いっそバレてもいいと思っていたが――やはりまだ、ためらいがあった。

「ほら、そろそろ馬車が着くぞ。着替えて宿に戻ろう」

 そうして、妻のドレスを新しいものに着替えさせる。
 馬車を降りる間際に、御者に頼んでいたものを受け取る。
 そうして、彼女に手渡した。

「ルイーズ、お前にこれを」

 大輪の紅い薔薇だ。

「ギル……! これも貴方が準備してくれていたの?」

「ああ、俺の妻になってくれた礼だよ」

「嬉しいわ、ありがとう……」

 ルイーズの声が弾むと、ギルフォードの胸も高鳴った。
 薔薇の花束に顔を埋める彼女を抱きかかえ、馬車を後にする。

(よし、今度も成功だ……! 旅行中も成功し続けてみせる……!)

 甘い香りが漂う中、ギルフォードはルイーズに告げた。

「いつまでも愛している……お前は、俺の最愛の女だよ」

 自身の欲望を満たすことと、彼女の幸福を天秤にかけながら――。

 いつでもスマートなふりをしながら――。

 新婚旅行は惜しみない努力の結果、最高の成果を得た。

 これから先もずっと、ギルフォードはルイーズを愛し続け、そうしてまた、愛を請い続けるのだった。




※ここまでお読みいただきありがとうございました(^^)
ムーンライトに昨晩思いついた二人のSSを投稿しています。
ご感想いただいたので、春先になるかもしれませんが、また後日談を書けたらと思っています。
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