【R18】愛するあなたのためならば、悪女にだってなってみせます!

おうぎまちこ(あきたこまち)

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本編

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 窓の外から月の光が淡く差し込む。
 私の上に跨るウルフィウス陛下の漆黒の髪から光が淡く零れた。
 彼のにやりと笑う顔が、やけに煽情的で心臓がドキドキと跳ねる。

「さぁて、たっぷり可愛がってやるよ」

 手慣れた手つきで、夜着を脱がされていく。
 ウルフ陛下が衣服をベッドの上にパサリと脱ぎ捨てる。
 緩やかなカーブを描く鎖骨と、鍛え抜かれた逞しい胸板。全身にほどよくついた筋肉に、一瞬心を奪われてしまった。
 気づけば、お互い裸になっていて、私は思わず悲鳴を上げる。

「きゃあっ! 何をするんですか、ウルフ陛下! 私は寝間着がないと眠れないんです!服を脱がされたら、眠ることに集中できません!」

「……」

 陛下が眉をひそめた。

「後宮に入って、側妃になったわけだけど……本気で言ってる?」

 どうやら機嫌が悪そうだ。
 蛇に睨まれた蛙状態で、縮こまってしまう。
 どうやら私の反応は、ちょっとばっかし普通ではないようだと悟った。
 それ以上に、異性と一緒に裸同士で過ごすだなんて、動揺が激しすぎる。

「とりあえず陛下と一緒に寝なさいってだけ教えられていて……」

「愛するジュリーお姉様と、『夫との夜の嗜み』みたいな話はしていないのかな、マリー嬢は?」

「お姉様と一緒に過ごしている時に、男の人の話をするわけないじゃないですか! でも、周りからは陛下と一緒に眠ったら、世継ぎに恵まれることもあるかもしれませんと教えられました。裸で寝るとは思いませんでしたけれど……」

「過保護、ここに極まれり……ってか……はあ、まあ良いや。お膳立てしてやってるんだから、これぐらいは自分でちゃんと教えろってことだな」

 ウルフ陛下が独り言ちている。

(お膳立て?)
 
 気を取り直したのか、凛々しく甘い顔つきに戻った彼が私に問いかけてきた。

「マリー嬢は、痛いのは平気かな?」

「わざわざ自分から痛くなる趣味はないですけど……多少は平気ですかね?」

「大丈夫、俺、子供の頃から色々仕込まれてて上手だからさ――痛くないようにしてあげるから――今日だけ痛いのを我慢したら、明日からは気持ち良いだけだから」

「ええっ……! そんな急に! 痛いのは別の日が良いです! いやむしろ、ずっと痛くない方が良いです!」

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