【R18】愛するあなたのためならば、悪女にだってなってみせます!

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
21 / 26
本編

21※

しおりを挟む



 ベッドがギシギシと鳴り響く。
 ぐちゅぐちゅと水音の間隔も狭まっていく。
 目の前がチカチカしてきた。

「はあ……っ……そろそろ、良いかな?」

「はいっ……お願いしますっ……」

 そうしてパチュンと肌同士がぶつかり合った。
 ウルフ陛下がぶるりと震えると同時に、熱が下半身に渦巻いていく。
 何度か内側の壁に先端を擦りつけられた。
 脚の間から、じわじわと愛し合った跡が溢れていく。

(なんだろう。陛下でいっぱいで幸せ……)

「最高に良かったよ」

 しっとりと汗で肌同士が張り付き合った。
 ウルフ陛下がいつもの偉そうな態度ではなく、少しだけ子犬のように尋ねてくる。

「なあ、マリー。君の方こそ、俺で良かった? まあ、愛しのジュリーお姉様に顔だけは似てる俺だ。悪くはないのかな?」

「確かにジュリーお姉様に似ていますけど、今の陛下は精悍な顔つきになっていて、まるで別人です――お姉様が化粧したら似てるかなとは思いますけれど」

「……?」

「迎えに来てもらった時に気づきました。私がジュリーお姉様だと思っていた荷馬車の男の子は、陛下だったんですね?」

「やっと気づいたのかよ。気づくのが遅いんだよ!」
 
 怒っている風だが、照れているのだろう。
 そうして彼が口づけて来た。
 互いの想いを確認し合って抱きしめ合う。

「そうそう小さい頃誘拐されそうになっていた俺を助けたって、自覚はなかったみたいだね? 今度は助けることが出来て良かったぜ……」

「じゃあ、陛下は最初っから全部分かってて?」

「もちろん。最初にお前を迎えに行った時から全部計画の内だよ。君が暗殺計画だって言いはじめたのには、ジュリーも驚いていたみたいだけどな。だから言っただろう? ジュリーと俺は共謀者だってな」

「だって、言ってくれなきゃ分かんないですよ!」

「言われなくたって気づいてほしかったんだよ!」

 彼がまた私の内側で大きくなってきた。


「――愛してるぜ、俺の可愛い子ウサギちゃん――さて、これから毎日激しく乱してやるぜ」

「ひええええっ……!」

「不満はないけど、もうちょっと色気のある声になってくれたら嬉しいかな?」


 ちなみにおバカさんだと言われていた私だったけれども、ジュリーお姉様に実はしつけられていたようで、お妃教育はほとんど問題なく過ごせていたらしい。
 刺繍の方で貿易も活発になったということで、私の評価は知らぬ間に上がった。
 そもそも陛下が初めて受け入れた女性だったこともあって、宰相と取り巻き以外からの評価は元々良かったそうだ。
 愛するジュリーお姉様のいらっしゃる修道院には頻繁に顔を出して交流を続けた。


 以降、後宮を廃止した初代陛下の正妃として――狼みたいな陛下との間に子どもにたくさん恵まれて、仲睦まじい治世を歩むことが出来たのだった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話

下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。 御都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。 王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。 それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。 貧しかった少女は番に愛されそして……え?

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

婚約者の番

ありがとうございました。さようなら
恋愛
私の婚約者は、獅子の獣人だ。 大切にされる日々を過ごして、私はある日1番恐れていた事が起こってしまった。 「彼を譲ってくれない?」 とうとう彼の番が現れてしまった。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...