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第6話 保健室での二度目の情事(前編)※ はるかside
私・阿倍野はるかが副担任を勤めているクラスの中で、陰キャだといじられがちだった竹下桃李くん。
でも、本当の彼はとても喧嘩の強いイケメンだった。
どうして彼がわざわざ分厚い眼鏡をかけて、前髪を長くしているのかは分からない。
そんな竹下くんに、処女を奪われてから約一週間が過ぎてしまった――。
この一週間のうち、何度か竹下くんと顔を合わせたけれど、私も何も言わないし、彼も何かを言ってくる様子もない。
(よく誰かが言っていた、一度きり――ではなく、一夜限りの過ちだったのよ……気にしちゃダメ……)
一夜のうちに、何度も抱かれてしまったので、一度きりの過ちだとは言い切れなかった。
(一夜限りの過ち……私は教師なんだから)
自分にそう言い聞かせようとするが、どうしても頭に竹下くんのことが浮かんできてしまう情けない自分がいる。
気を抜くと、公園のむせ返る土の匂いに、彼に弄られた際のぞくぞくとする肌の感覚、そして彼の熱っぽい声を思い出してしまった――。しかも、あってはならないことだが、子宮が疼くような感覚まで起きてしまう。
(最近、竹下くんのことを思い出して寝不足気味だわ……)
寝不足がたたって、少し体調も悪かった。
そんな時――。
「阿倍野先生」
教室から職員室についた私に向かって、声をかける人物がいた。
「渋谷先生」
落ち着いた物腰に、穏やかな口調、明るい印象を持つ凛々しい顔立ちの男性教師・渋谷ひかり先生だ。最近三十歳を迎えたらしい。おそらくこの高校が男子高校ではなく女子高だったら、彼はかなり人気を博したと思われた。
「最近少しミスが多いけど、しっかり者の阿倍野先生らしくないな。学校関係か私生活で何かあった?」
渋谷先生が、あまりに的確に私の悩みを当ててしまってきているので、少しだけ動揺してしまう。
「渋谷先生、申し訳ありません……」
「いやいや、僕は阿倍野先生を責めたいわけじゃないんだ。ただ、最近様子が変だから心配しちゃって。体調が悪いんだったら、もう放課後だし、保健室のベッドでも借りて休んで来たら良いよ――」
「そんな――でも、本来使用するはずの生徒に申し訳ないです……」
「良いからさ、行っておいでよ」
渋谷先生に促されて、私は放課後の保健室に向かうことになった。
※※※
保健室に入ると、まずは独特な消毒薬の匂いが鼻についた。そして最近入り始めた冷房の音だけが聴こえてくる。
(養護の先生が、いらっしゃらない……)
壁のボードに貼ってあるカレンダーを見ると、どうやら不在日のようだ。
彼がいつも座っている机を見ると、「名簿に名前を記載したうえで、ベッドは自由にお使いください」と記載されていた。
(生徒は部活に行っているか、もう帰っている頃の時間ね……渋谷先生にも言われたことだし、せっかくだから、ベッドを使わせてもらおうかな)
ベッドは三台並んでおり、それそれの間を仕切るように大きなカーテンがかかっている。
そのうちの一台、窓際にある白いベッドを、私は使用することにした。長いカーテンを閉め切り、ベッドの中を見られないようにしてから、横になる。
(少し眠ったら、調子が良くなるかしら……)
そんなことを思っていると、窓とカーテン越しにかかる西陽で気持ち良くなっていって、次第に眠気が近づいてきた。
私がうとうとしていると――。
ガラリと、保健室が開く音が聴こえる。
すぐに、鍵がかかるような金属音がした。
少しぼんやりした頭の中で考える。
(誰――? 生徒かしら――? それとも、もしかして渋谷先生が私の様子を見に来てくれたのかしら――?)
ジャッと少しだけ乱暴にカーテンが開かれたため、いよいよしっかりと目を開ける。
そこにいたのは――。
「竹下くん――?」
長い前髪に、分厚い眼鏡、夏の制服である白いシャツに黒いズボンを履いた少年――竹下くんが、カーテンで仕切られた空間の中に入ってきたのだった。
「先生が保健室に入って行ってるのが見えたから――具合が悪いのかなって心配で――」
竹下くんは私の右隣りに歩いてくる、そうして、私に顔を近づける。眼鏡越しに子犬のような瞳で、竹下くんが私の目をのぞいてくる。
(顔が、近い――)
「せ、先生は大丈夫だから――竹下くんは、私のことは良いからお家に帰って」
確か彼は帰宅部のはずだった。だから、私は帰宅を促したのだが――。
「はるか先生のことが心配だから、俺は帰らないよ。なんなら職員寮まで俺が送る」
「そんなっ! 生徒にそんなこと頼めないわ――竹下くんがこのままここにいるんじゃ、私はベッドで休めない……良いから帰ってちょうだい」
身体を起こした私は、彼に必死に訴えてみる。
竹下くんは、少しだけ寂しそうな表情を浮かべているから、ちょっとだけ胸が痛んだ。
「先生はこの一週間、ちょっと寝不足なだけなの――だから――」
そう、私は眠れていないだけなのだ。具合が悪いのも、睡眠不足が原因なのだから――。
(竹下くんのことを考えて眠れないだなんて絶対に言えないけど――)
すると――。
「ねえ、はるか先生」
身体を覆っていた白い布団を剥がれる。
ぎしっと、私が眠るベッドが軋む音が聴こえた。
「眠れないのって――俺のせい――?」
いつの間にか、竹下くんがベッドの上に乗り上げていた――。
「ち、違う――竹下くん、離れてちょうだい――きゃっ――」
ベッドの上に座った状態だった私の視界が反転する。
いつの間にか、竹下君が私の身体の上に馬乗りになっていた。
「ねえ、先生、本当のこと教えてよ――」
「本当に、君のことを考えていたわけじゃないのよ――それに、先週のことは忘れてほしいの」
竹下くんが私に顔を近づけてくるものだから、私は慌てて彼から顔をそむけた。
彼が息を呑むのが分かる。
(もしかしたら、竹下君を傷つけた――? でも、今後の自分たちのためにもこうやって一緒の空間に二人きりになるのは良くない気がする――)
顔を背け続ける私に、竹下くんは声をかけてくる。
「俺は、この一週間、ずっと先生のことで頭がいっぱいだった――」
(――――!)
「ねえ、先生――」
おもむろに、彼は私のスカートの間に手を伸ばしてきた――。
「きゃっ――竹下くん、ダメよ――」
「先生のここ、ストッキング越しにも分かるぐらい、ぐちゃぐちゃに濡れてるよ――」
彼に図星をさされて、私は頬が赤らむのを感じた。
自分でもずっと気づいていた――。
彼が保健室の中に現れた頃、彼が近づいてきただけなのに、秘部から蜜が溢れ出し、下着を濡らしてしまっていることに――。
「先生、本当のことを話して――」
彼はそういうと、シャツ越しに私の胸を揉みしだき始めた。
「んっ……あ、あんっ、あ、ああ――――」
窓の向こうから、野球部の掛け声や応援部の声援、吹奏楽部の音色が聴こえる中、私は保健室のベッドの上で、あられもない声を上げ始めたのだった――。
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