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8 男女交際とは
しおりを挟む軽口を叩く彼の在学中には、彼のファンクラブまであったという。だから、卒業した今でも、彼は学校の有名人と言える。
「そういうこと言うのもやめてください」
ツンとした口調でレイナが一蹴すると、アヤトは苦笑いを浮かべる。
「相変わらず、つれないね。俺たち、一応、いわゆる男女交際をする仲なんじゃないのかな?」
彼の問いに、レイナは歯噛みした。
レイナの出す条件通りの大学に、アヤトが合格することが出来たら交際する――。
そう彼女が約束してしまったがために、彼と付き合うことになってしまった。
レイナはアヤトの相手をせずに、そのまま校門から家路に向かって歩みを進めた。そんな彼女を追いかけて、彼は少し離れた位置から付いて来る。
(いつになったら、飽きてくれるのかしら――?)
――早く私に飽きてほしい。
腹立たしくなってきた私は、その怒りをぶつけるかのように、アヤトへと話し掛けた。
「先輩の周囲にはたくさん女性がいらっしゃるでしょう? なんで私なんですか?」
そう問いかけると、アヤトは破顔しながらレイナに告げる。
「レイナ、君じゃなきゃダメなんだ」
少しだけレイナは怯む。
彫刻のように美しい青年にそう言われたからだろうか、異性とのやりとりに慣れていないせいだろうか、即答することが出来なかった。
しばらく経ってから、彼女はなんとか返答した。
「……答えに……なっていません」
『あんたなんてアヤトさんから遊び相手だと思われてるんだからね!!』
先程遭遇した女子生徒の甲高い声を思い出す。
(騙されたらダメよ……)
そう言い聞かせ、首を横に振った。
結局彼は、私が住んでいるアパートまでついてきたのだった――。
そうして、家に入る私を見送ると去って行く。
男女交際とは言い難い関係がしばらく続いた。
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