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第4章 レードヴァルドの過去
第15話 レードヴァルドの過去(後編)⑥
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「そうか、良かった!」
「はい」
嬉しそうな彼を見ていたら、なんだかイリスも嬉しくなってくる。
(これから先もずっとレードヴァルド様と一緒に過ごせるかもしれない!)
隣国シュトラール王国での新たな旅路について考えるだけで、イリスの胸が期待で弾んだ。とはいえ、難題は……
「貴殿の心配ごとはラシーヌ侯爵のことか?」
イリスは少々戸惑ったが、しばらくすると頷いた。
「そうか、それならば俺が説得をしよう」
「レードヴァルド様が説得、ですか? 旦那様を?」
「ああ、そうだ。話が拗れないように気をつけよう」
「ですが、お母様がなんと言うのか?」
すると、レードヴァルドが続けた。
「イリス殿の母親は城で侍女として働いていたと言っていたな?」
「ええ、そうです」
「だとすれば、もしかすると、俺も顔ぐらいは知っている人物かもしれない。元々シュトラールは大きな国ではないからな」
「あ……」
イリスもレードヴァルドに言われてから気づいた。
「イリス殿の母親は体調を崩しているんだったな。俺も顔を合わせていないが、せっかくだから、侯爵に頼んで顔を合わせて説得してみよう」
「さすがにお母様の説得は、私が……だけど、お母様が屋敷の外に出るのを旦那様が許すのかどうかが心配です。お義父様は、私が屋敷を出ていくならばお母様を酷い目に遭わせると告げてきたこともあるのです。領民の皆だって酷い目に遭うのではないか心配です」
「それなら、やはり俺の出番だろう。イリス殿をラシーヌ侯爵領から連れ出す際に、イリス殿の母親の安全が保障されるように盟約を結ぶのみだ。ラシーヌ侯爵は体面を気にするところがある、シュトラール王国との関係が悪くなるようなことはしてこないさ」
「そうでしょうか?」
「ああ、どうか信じてほしい」
レードヴァルドはそれだけ告げると、イリスの頬に優しい口づけを落としてくる。
そうして、彼は彼女のことを優しく抱きしめてきた。
「レードヴァルド様」
イリスとしては懸念点もあったが、レードヴァルドの言うことならば信じられる気がした。
彼の体温が気持ち良くて、だんだんと眠たくなってくる。
「俺も陛下に対して正式な手順を踏んでから色々と……」
何やらぶつぶつ話しているレードヴァルドはまだ眠らないようだ。
眠気に勝てないイリスは挨拶をして眠りに就くことにした。
「レードヴァルド様、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。イリス殿が国王陛下以外で生きる道しるべになってくれたんだ、ありがとう」
その晩、レードヴァルドに抱きしめながらイリスは幸せな夢の中へと落ちて行ったのだった。
「はい」
嬉しそうな彼を見ていたら、なんだかイリスも嬉しくなってくる。
(これから先もずっとレードヴァルド様と一緒に過ごせるかもしれない!)
隣国シュトラール王国での新たな旅路について考えるだけで、イリスの胸が期待で弾んだ。とはいえ、難題は……
「貴殿の心配ごとはラシーヌ侯爵のことか?」
イリスは少々戸惑ったが、しばらくすると頷いた。
「そうか、それならば俺が説得をしよう」
「レードヴァルド様が説得、ですか? 旦那様を?」
「ああ、そうだ。話が拗れないように気をつけよう」
「ですが、お母様がなんと言うのか?」
すると、レードヴァルドが続けた。
「イリス殿の母親は城で侍女として働いていたと言っていたな?」
「ええ、そうです」
「だとすれば、もしかすると、俺も顔ぐらいは知っている人物かもしれない。元々シュトラールは大きな国ではないからな」
「あ……」
イリスもレードヴァルドに言われてから気づいた。
「イリス殿の母親は体調を崩しているんだったな。俺も顔を合わせていないが、せっかくだから、侯爵に頼んで顔を合わせて説得してみよう」
「さすがにお母様の説得は、私が……だけど、お母様が屋敷の外に出るのを旦那様が許すのかどうかが心配です。お義父様は、私が屋敷を出ていくならばお母様を酷い目に遭わせると告げてきたこともあるのです。領民の皆だって酷い目に遭うのではないか心配です」
「それなら、やはり俺の出番だろう。イリス殿をラシーヌ侯爵領から連れ出す際に、イリス殿の母親の安全が保障されるように盟約を結ぶのみだ。ラシーヌ侯爵は体面を気にするところがある、シュトラール王国との関係が悪くなるようなことはしてこないさ」
「そうでしょうか?」
「ああ、どうか信じてほしい」
レードヴァルドはそれだけ告げると、イリスの頬に優しい口づけを落としてくる。
そうして、彼は彼女のことを優しく抱きしめてきた。
「レードヴァルド様」
イリスとしては懸念点もあったが、レードヴァルドの言うことならば信じられる気がした。
彼の体温が気持ち良くて、だんだんと眠たくなってくる。
「俺も陛下に対して正式な手順を踏んでから色々と……」
何やらぶつぶつ話しているレードヴァルドはまだ眠らないようだ。
眠気に勝てないイリスは挨拶をして眠りに就くことにした。
「レードヴァルド様、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。イリス殿が国王陛下以外で生きる道しるべになってくれたんだ、ありがとう」
その晩、レードヴァルドに抱きしめながらイリスは幸せな夢の中へと落ちて行ったのだった。
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