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11月のお祭り⑦
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休日の学校は誰もいない…………わけではなく勿論職員室に行けば誰かいるだろうが、普段とは違った暗いつめたい感じがする。
「まさかサンダルまで用意してるとは」
俺達はそんな寒いトイレで着替えを終えると教室へと戻った。すると中ではまた何やら新しいことを始めていた。
「おい、今度はなにやってんだ」
「ゆ、ゆうとくん、これ」
赤井さんはそう言って虫眼鏡みたいなもんを渡してきた。よく見るとそれは円に持ち手がついて中に紙? 布? よく分からないが薄いものがはられていた。
「あれ、なんだっけこれ」
「あ、これ僕知ってるよ」
「そうなん? 絶対見たことあるんだけど思いだせん」
俺はなんとも歯がゆい、もどかしい気がしてうねうねとうねっていると見せてくれた赤井さんが教えてくれた。
「金魚すくい、知ってる?」
「そうか! 知ってる知ってる。あれだよね、それでえーと金魚をすくうんでしょ?」
にこにこしながらぶんぶんと頭を振っているのでどうやら当たったらしい。金魚すくいか、勿論知ってはいるけれどやったことはない。
「ぐぅぅぅぅ…………あがぁぁぁぁぁぁ!!!」
「な、なんだよ!」
先にその金魚すくいをやっていためぐるが急に大声をあげた。そして穴の空いたすくうやつ? を放り投げている。どうやら上手く出来なくて爆発したようだ。
「なんだめぐる、こんなことも出来ないのか?」
「う、うっさいわね、じゃああんたもやってみなさいよ!」
俺はめぐるが渡してきた虫眼鏡(仮)を受け取ると改めて見直してみた。
「確かにうすいな。これですくえんのか?」
ぶつぶつ言いながらも虫眼鏡(仮)を潜水させていく。破れないように慎重に金魚の下に持っていくと俺は勢いよくすくいあげた。
「はあぁ!」
「おぉ!」
みんなの視線が俺のすくいあげたものに注がれる。
「おぉ! ぉ……………………穴、あいてるね」
「なにぃ!?」
確かに確認するとそこに金魚の姿はなく大きな穴だけがあいていた。くそっ、思ったより難しいな。
「アはははははぁーはーあはははははは」
横でめぐるはこれでもかと言わんばかりに笑い転げていた。
「そこまで笑うことないだろ、初めてなんだから」
「そ、そうね…………ごめ、あはっ…………、ごめんなさい」
なんか謝られてんのにすげぇムカつくんだけど。俺だけなのかなそう思うの。
「先輩、ちょっとそこにある虫眼鏡改をとってもらっていいですか」
「え、むしめ……あぁこれね、はい」
先輩から受け取ると俺は鋭く構え精神の統一に入った。すべてを感じろ、無になるんだ俺。隣のニヤニヤした顔は気にするな。
そんなよく分からない雰囲気にのまれたのか、みんなが息を飲んでみまもった。そして、
「ハアァァァ!」
思いっきり突っ込んですくいあげた。そしてそこには…………またしても大きな穴だけだった。
「あ? は、あははははははぁぁぁ」
それをみてまた笑い出すめぐる。だが見ておけよこれが俺の実力だ。確かに穴はあいているが問題はそこじゃない上だ。
「え、あれ」
先輩がそれに気づいたようで天井付近を指差した。そこにはなんと舞い上がった金魚がいるではないか。
「あらよっと」
俺が水の入った容器を下に持っていくとポチャンと落ちて泳ぎ始めた。
「な、なによそれ!?」
「おぉーすごいね佑斗君」
「でしょ? めぐる、俺は一匹すくったかんな」
めぐるに向けて最大の笑顔で言ってやった。どうやら相当悔しいようでうぅぅぅ、と唸っているけど反論はしてこない。
「美羽! ちょっとそれ取って」
赤井さんに虫眼鏡(仮)を取ってもらうとまたやりはじめた。だけどやっぱり上手くいかないようで騒いでいる。俺達はそんなめぐるを見て苦笑いをするしかなかった。
そんななかふと、俺は窓の外を見た。もう集まったのが15時ごろだったこともありすっかり暗くなっている。今さらだが一体どうやってこんな時間までこの教室を借りることができたんだろうか。
まだ金魚と格闘しているめぐるをみる。どうせ、色々と適当な事をいって無理やり納得させたんだろうなぁ。まぁ、そこがあいつの長所と言われればそれまでなんだけど、あ……また、失敗してる。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」
あぁ、またみるみる不機嫌に……。と、視界に一瞬白い物がうつった。再び窓の外を見ると雪が降り始めていた。
「雪、か…………」
16年前から始まった原因不明の冬。と、ほとんどの人は思っている。でも、実際はなにかが起こらなければこんなことにはならない。
「知っているのは……………………か、」
ん、俺今変なこと言ったような気がする。変なパーティーのせいで俺までおかしくなったら笑えない。そろそろコツでも教えやるかとめぐるにやさしく声をかえた。
「まさかサンダルまで用意してるとは」
俺達はそんな寒いトイレで着替えを終えると教室へと戻った。すると中ではまた何やら新しいことを始めていた。
「おい、今度はなにやってんだ」
「ゆ、ゆうとくん、これ」
赤井さんはそう言って虫眼鏡みたいなもんを渡してきた。よく見るとそれは円に持ち手がついて中に紙? 布? よく分からないが薄いものがはられていた。
「あれ、なんだっけこれ」
「あ、これ僕知ってるよ」
「そうなん? 絶対見たことあるんだけど思いだせん」
俺はなんとも歯がゆい、もどかしい気がしてうねうねとうねっていると見せてくれた赤井さんが教えてくれた。
「金魚すくい、知ってる?」
「そうか! 知ってる知ってる。あれだよね、それでえーと金魚をすくうんでしょ?」
にこにこしながらぶんぶんと頭を振っているのでどうやら当たったらしい。金魚すくいか、勿論知ってはいるけれどやったことはない。
「ぐぅぅぅぅ…………あがぁぁぁぁぁぁ!!!」
「な、なんだよ!」
先にその金魚すくいをやっていためぐるが急に大声をあげた。そして穴の空いたすくうやつ? を放り投げている。どうやら上手く出来なくて爆発したようだ。
「なんだめぐる、こんなことも出来ないのか?」
「う、うっさいわね、じゃああんたもやってみなさいよ!」
俺はめぐるが渡してきた虫眼鏡(仮)を受け取ると改めて見直してみた。
「確かにうすいな。これですくえんのか?」
ぶつぶつ言いながらも虫眼鏡(仮)を潜水させていく。破れないように慎重に金魚の下に持っていくと俺は勢いよくすくいあげた。
「はあぁ!」
「おぉ!」
みんなの視線が俺のすくいあげたものに注がれる。
「おぉ! ぉ……………………穴、あいてるね」
「なにぃ!?」
確かに確認するとそこに金魚の姿はなく大きな穴だけがあいていた。くそっ、思ったより難しいな。
「アはははははぁーはーあはははははは」
横でめぐるはこれでもかと言わんばかりに笑い転げていた。
「そこまで笑うことないだろ、初めてなんだから」
「そ、そうね…………ごめ、あはっ…………、ごめんなさい」
なんか謝られてんのにすげぇムカつくんだけど。俺だけなのかなそう思うの。
「先輩、ちょっとそこにある虫眼鏡改をとってもらっていいですか」
「え、むしめ……あぁこれね、はい」
先輩から受け取ると俺は鋭く構え精神の統一に入った。すべてを感じろ、無になるんだ俺。隣のニヤニヤした顔は気にするな。
そんなよく分からない雰囲気にのまれたのか、みんなが息を飲んでみまもった。そして、
「ハアァァァ!」
思いっきり突っ込んですくいあげた。そしてそこには…………またしても大きな穴だけだった。
「あ? は、あははははははぁぁぁ」
それをみてまた笑い出すめぐる。だが見ておけよこれが俺の実力だ。確かに穴はあいているが問題はそこじゃない上だ。
「え、あれ」
先輩がそれに気づいたようで天井付近を指差した。そこにはなんと舞い上がった金魚がいるではないか。
「あらよっと」
俺が水の入った容器を下に持っていくとポチャンと落ちて泳ぎ始めた。
「な、なによそれ!?」
「おぉーすごいね佑斗君」
「でしょ? めぐる、俺は一匹すくったかんな」
めぐるに向けて最大の笑顔で言ってやった。どうやら相当悔しいようでうぅぅぅ、と唸っているけど反論はしてこない。
「美羽! ちょっとそれ取って」
赤井さんに虫眼鏡(仮)を取ってもらうとまたやりはじめた。だけどやっぱり上手くいかないようで騒いでいる。俺達はそんなめぐるを見て苦笑いをするしかなかった。
そんななかふと、俺は窓の外を見た。もう集まったのが15時ごろだったこともありすっかり暗くなっている。今さらだが一体どうやってこんな時間までこの教室を借りることができたんだろうか。
まだ金魚と格闘しているめぐるをみる。どうせ、色々と適当な事をいって無理やり納得させたんだろうなぁ。まぁ、そこがあいつの長所と言われればそれまでなんだけど、あ……また、失敗してる。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」
あぁ、またみるみる不機嫌に……。と、視界に一瞬白い物がうつった。再び窓の外を見ると雪が降り始めていた。
「雪、か…………」
16年前から始まった原因不明の冬。と、ほとんどの人は思っている。でも、実際はなにかが起こらなければこんなことにはならない。
「知っているのは……………………か、」
ん、俺今変なこと言ったような気がする。変なパーティーのせいで俺までおかしくなったら笑えない。そろそろコツでも教えやるかとめぐるにやさしく声をかえた。
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