βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

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どんなに求めても…

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もうどれくらい経っただろうか…

「ぁ…はぁッ…あ…」

二人が交わり続けて数時間…
洋一の匂いは元の匂いに戻り、薬の効果はとっくに切れているにも関わらず
二人の興奮は冷めやらず…
それどころかもっともっとと互いを求めてベッドの上で蕩け切る

「あはぁッ…、ッ、い、い…、そこ…ンン…もっと…、」

うつ伏せで、シーツをギュッと握りしめながら
洋一の腰が更なる快感を求めて強請る様に緩やかに揺れ

「、…洋一…ッ、」

カリ…と――
命が洋一の項を甘く噛みながら
強請る洋一の腰に合わせて命が緩やかな動作でナカを穿ち続ける…

「、ッ、あきら、さん…、はっ…あ”ぁッ、ン、…あき、らさん…っ、」

洋一がシーツに顔を埋めながらいやいやをするように頭を振り
項とナカからくる刺激に泣きながら身悶え
命は一度顔を上げ、悲痛な表情で洋一の項に視線を移す…

―――ッ…どうして…

洋一の項は命が何度も何度も噛んだせいで歯形が幾重にも重なって
青痣のように変色しかかり、見るからに痛々しい事に…

―――どうして…洋一は…Ωじゃないんだ…っ、

命は再び洋一の項に噛みつき
やるせない思いを洋一にぶつけるかのよう
再び洋一のナカを穿つ動きを激しくさせていく…

―――こんなにも…
   こんなにも俺は洋一が欲しくて仕方が無いのにどうして…っ!

普段命はΩを嫌悪し、見下していた部分があった…
それは自分がαで、Ωはそんな自分を誘惑し陥れようとするだけの
卑しい存在としか見ていなかったから…

それなのに今…命はその嫌っていたΩ性を渇望する…

欲してやまない洋一に…

―――とんだ笑い話だ…俺はあれほどΩを忌み嫌っていたくせに…
   洋一が欲しいと自覚した途端…洋一がΩである事を望むだなんて…

命は自分の掌を返した思考に洋一の項に噛みついたまま苦笑を浮かべる…

―――洋一がΩだったなら…
   今すぐにでも番って洋一を自分だけのモノに出来るのに…!

しかし洋一はΩではなくβ…
誰とも番う事はなく…
誰のモノにもならない…

それはつまり――命と洋一がどんなに深く愛し合ったところで
洋一がβである以上、番というαとΩの間のみに存在する強い絆は
αである命とβである洋一の間には生まれず…
それ故に、洋一が命のモノであり続けるという確証は無く…
これから先、洋一が他の誰かのモノになる可能性だってあるわけで――

―――駄目だ…、駄目だそんなの耐えられない…っ!

それに気づいた命は酷い焦燥感を覚え
命は洋一の項を噛んだまま獣のような低い唸り声を上げると
その焦燥感を打ち消そうとするかのように洋一のナカを穿つ抽挿を更に激しくし
より強く洋一を求め――

「あっ、あっ、あっ、キちゃ…っ、あ”ぁあッ、またっ、キちゃう…ッ」
「…ッ、うぅ”ぅ…ッ、」

耐えきれずにイった洋一のナカが命のモノをキュウゥゥッと締め付け
命もつられて何度目とも分から無い熱い欲望を洋一のナカに注ぎこむ…

すると洋一がシーツを強く握りしめ、顔をシーツに埋めたまま
泣きながら小声で呟いた…





「…ごめ…、あきら…さん…おれ…Ωじゃ…な…て…ッ、」
「ッ!!!」





それを聞いた命は噛んでいた洋一の項から口を離し
洋一は泣いたまま意識を手放した…
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