βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

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“運命”じゃないから…

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洋一side

「、…洋一…ッ、」

―――また…項…噛んでる…

洋一が快楽と疲労とで蕩け切った思考の中で
命が自分の項に甘く噛みついているのを感じ
シーツを強く握りしめながら
項から伝わる命の熱い吐息と、脳を痺れさせるような甘い痛みに
洋一は身体を震わせ、涙を流す…

―――やっぱり…命さんが欲しているのは俺じゃなくて――


   Ω…なの…?

執拗なまで自分の項を噛んでくる命に対し
洋一は抱かれているにも関わらず
項からくる痛みと共に、後から後から湧いてくる不安に洋一は怯える…

命は本当は自分では無く“運命”…
即(すなわ)ちΩを望んでいるのではないか――と…

勿論、命が自分の事を想ってくれているのは洋一にも痛いほど分かっている…
分かってはいるけれども――


『ごめんなさい洋一…私――運命の番を見つけちゃったの…
 だから私達――もう別れましょう…』


―――やっぱり…命さんも要の様に“運命”には…逆らえない…?

“運命の番”を見つけたと言って自分から離れていった要の事を思いだし

洋一はシーツを握る力を強くしながら
とうとうと溢れだす涙を命に見られたくなくて、シーツに顔を埋める…

―――命さんも…いずれ要の様に“運命の番”に出会って――


   俺から…離れちゃう…?


そう考えると洋一は益々悲しくなって
シーツに顔を埋めたまま命に気づかれぬよう咽(むせ)び泣く…

―――俺がΩじゃないから…

洋一が自分がΩじゃないから
命も要の様に自分から離れるのではと怯えだしたその時

命が洋一の項を噛みながら、低い唸り声を上げながら
更に激しく洋一のナカを穿ち始め

もう何度も絶頂を迎え、敏感になっている洋一の身体は
これ以上の刺激に耐えきれずに
ナカを激しく穿つ命のモノをキュウゥゥッと締め付けながら洋一は絶頂を迎え

それと同時に洋一が意識を失う寸前


「…ごめ…、あきら…さん…おれ…Ωじゃ…な…て…ッ、」


―――βの俺じゃ…どう足掻いても命さんの“運命”にはなり得ない…から…


洋一は泣きながら命にそう呟くと
完全に意識を手放した…
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