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団長&副団長 × アミル

悪戯ですませるなら ★

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 部屋を出ようとした団長を呼び止める。

「団長は外へ戻るんですか?」

「いや? 逃げた男の報告も早く欲しいし町に留まるつもりだ」

 団長に声を掛けると野営地には戻らないと返ってくる。
 それもそうか、すぐに次の動きに入るかもしれないんだし。そう思ったアミルとは思惑が違ったようで団長がカイルの首元に手を伸ばした。

「この不埒者を野放しにしておいたら危険だろうしな」

 襟を掴む団長にカイルがうんざりした顔を見せる。

「勘弁してくださいよ団長、俺本気で発散しないと危ないですよ。
 今日は相手が相手だから気い使ったし」

 騎士相手に戦闘を行ったカイルは魔獣討伐とは違い相手に致命傷を負わせないという制約に神経を尖らせていたという。
 不穏な気配を纏うカイルが僕の目を覗き込む。
 いつもよりピリピリした空気に危機感を覚えながら視線を受け止める。

「俺の発散に付き合ってよアミル。
 いつもみたいな酷いことはしないからさ」

 酷いことをしていた自覚はあるんだなと眉間にシワを寄せる団長を無視してアミルの耳に囁く。

「本気でダメ。
 悪戯しかしないから助けて」

 聞いたことのない懇願にカイルの目を見る。
 冗談めかした台詞、だけど瞳の奥に見えた本音に了承が口を突いていた。

「わかりました」

「アミル!」

 団長から上がった批難の声に胸をぎゅっと掴まれた気持ちを覚える。
 けれど、今のカイルを放っておいたら良くない。直感でしかないけれどそう思った。

「あっ……」

 アミルの了承と共にカイルの手が腰に伸びてきた。
 腰を抱き寄せられ耳元に唇が寄せられる。

「俺のベルト外してくれる?」

「え、あ」

 抱きしめられるような格好に目を白黒させ視線をさ迷わせる。
 怒りと驚愕がないまぜになった団長と視線が合う。
 寄せた眉は批難を、見開かれた瞳は驚愕を示していて、その瞳がゆっくりと怒りに染まっていく。胸は痛みを訴えているのに視線が逸らせなかった。
 早く、と急かされる混乱のまま手を動かしベルトを外していく。解放されたペニスが腰に押し付けられる感触。カイル自身の手で包み込まれているため直接の感覚ではないけれど、その存在をまざまざと感じさせられていた。
 手で慰めてほしいのかとよぎったけど何も言わないカイルにじっとしたままでいる。
 ふっと耳をくすぐる吐息に首を竦めると団長から注がれる視線の険しさが増し、びくりと震える。
 アミルの反応にカイルが耳元に囁く。

「団長、どんな顔してる?」

「怒ってます」

 カイルがアミルに腰を押し付ける度に怒りの形相が深くなっていく。

「怒ってる? 嫉妬の目を向けてるの間違いじゃない?」

「そんなわけ……」

 否定する僕へ本当に?と吹き込むカイル。
 よく見てなよと囁く声に混じった興奮に、じわりと体温が上がった気がした。

「あ……っ」

 カイルの手が制服の裾を捲り上げて肌に触れる。
 ほら見て、と誘う声に顔を上げると苦し気に顔を歪めた団長が目に入った。
 アミルが受け入れているからか止める声はない。なのに、見苦しいとも言わず部屋を出てもいかない。

「んぅ……っ」

 ただ見つめるだけの団長の様子にまさかと思いながら快感に小さく声を漏らすと、楽しげな吐息が耳元をくすぐった。

「団長に見られるのそんなに好き?」

 俺に弄ばれてる姿でも、と囁き肌を撫でる。
 指先が肌を伝う感触に震え、受け止める視線に熱が増していくのを感じ息が上擦っていく。

「ダメ……」

「ん? ダメじゃないでしょ」

「これ以上は悪戯で済まないからっ」

 ゆるりと煽られる興奮がアミルの身体にも変化を与えていく。
 こんな状況に昂ってしまうなんてと思いながらも淫らな身体はままならない。
 早くこの状況を終わらせないとマズイと危機感ばかりが募った。

「その反応イイね。 んー、残念。
 もっともっと乱して団長にアミルの淫らなところ見せてあげたいのに」

 冗談でないことがわかるから必死で首を振る。
 その快楽を求めていることを否定できなくても団長にこれ以上軽蔑されたくない。
 硬くなり始めた箇所へカイルの手が押し付けられる。

「やぁっ……」

 手の甲でぐり、と押され刺激に高ぶっていくのがわかる。団長の前で、こんな……。

「ふ……、その顔、最高」

 もっと団長に見せて、と囁くカイルはアミルがどうすれば昂るかを熟知している。
 ダメなのに。そう思えば思うほど簡単に身体は昂り快感を拾っていく。

「――!」

 びくんっ、と大きく震えたアミルへカイルの白濁が放たれた。
 ほとんどはカイルの手に収まったけれど、いくつかの飛沫はアミルへも飛び散る。

 はあっ、と吐息を零すカイルが口に笑みを乗せアミルの耳に齧りついた。
 ついでにアミルのも出しとく?との囁きを乗せて。

「いらないからっ!」

 全力で否定してカイルから身を離し汚れた箇所を清めていく。
 同様に身を整えるカイルから視線を外し、扉の近くで凍り付いたように動かない団長へと視線を向ける。
 酷いところを見せて申し訳ないと思いながら団長、と呼びかけると大きく肩を震わせた。
 後ろめたいことでもあるようなその動きにアミルが首を傾げていると、服の乱れを直したカイルがアミルの肩に腕を乗せ視線を誘導するように指をある箇所へ向けた。

 団長の、制服の上からでもわかる大きな膨らみに向けて。
 思わず息を呑む。団長が、目の前で送られた行為に昂りを覚えていた?
 カイルの『嫉妬じゃなくて?』という声が蘇る。
 羞恥に顔を赤くする団長へカイルが笑いを含んだ声を飛ばす。

「団長も発散させていった方がいいんじゃないですか」

 揶揄する声に団長が激高した。

「お前と一緒にするな!
 一人でする!」

 大きな音を立て閉められた扉に首を竦めると悪びれないカイルが耳元で呟いた。

「『アミルで』とは言ってないのにね」

 おかしそうに笑うカイルへ溜息を吐く。
 どうしてわざわざ団長を揶揄うのか。

「それ絶対に言わない方がいいですよ」

 多分本気で殴られると思う。
 怖いね、と答えた声にはまだ笑いが残っていた。


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