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17話
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これからは考えて行動しようと反省してから数日後。俺は図書室に向かっていた。理由は簡単、俺が今日の図書当番だからである。ちなみに、一人で当番をする初めての日だ。今週の金曜からは、高校生になって初めて経験するテストが始まるわけで。多分利用者は今日もいないだろうから、仕事が終わったら早く家に帰ろう。俺は図書室に辿り着き、扉をガラッと開けた。
「あ……」
そこにはすでに一人の生徒がいた。カウンターの椅子に座り本を読んでいる。その生徒は、俺が扉を開けた音に反応して顔を上げた。ぱちりと音がしそうなほど、俺はその生徒としっかり目が合ってしまった。
「えっと、」
「待ってたよ、一ノ瀬くん。ああ、ごめんね、図書委員でもないのにカウンターに座っちゃって」
「奥に椅子はあるけど、あそこからじゃ君が来たかどうか分からなそうだったから」と、彼は困ったように笑った。俺は戸惑い、どんな返事をすればいいのか分からなかった。彼は読んでいた本を閉じ、椅子から立ち上がった。自然な足取りで俺の方に近寄ってくる。
「もしかして、俺のこと知らない? じゃあ、自己紹介するよ」
俺の前に来たその生徒は、ニコリと笑ってそう言った。彼が頭一つ分俺よりも高いからか、自然と俺は見上げる形になる。かっこいい人だなと思うと同時に、その笑顔からなぜか迫力を感じてしまい、俺は心臓のあたりがキュッとなった。
「俺は笹浪寿人。よろしくね、一ノ瀬くん」
*
黒く綺麗な髪に、くっきりとした二重の目。鼻筋は高く、眉も整っていて、正に「イケメン」と言っていいだろう。どこかで見た顔だと思ったけど、名前を聞いて思い出した。笹浪寿人先輩は、生徒会長を務める人である。確か入学式ではステージの上に上がって挨拶をしていた。生徒会長の弟が同じ学年にいると教えてくれたのは誰だったか。いや、今は関係ないか。目の前の状況に集中しよう。
(まず、この人が生徒会長の笹浪先輩であることは分かった……)
しかし、彼の正体が分かったからと言って、今の状況の理由までは分からない。そもそも先輩、俺の名前呼んだよな? なんで知ってるんだ? 考えられるとすれば、例えば委員会関係の用事があるとか……いや、それでも俺のことを知ってるのは謎だな。笹浪先輩は、俺が「委員会のことで何か用事ですか」と聞くと、きょとんとした後に「違うよ」と言ってふっと笑った。
「君に会いに来たんだ」
「……は?」
笹浪先輩は何が楽しいのか、くすくすと笑っている。まるで夢の中で会うご先祖様みたいだ。
「俺、邦俊と友だちなんだ。君も知ってるだろ? 図書委員長の宇野邦俊。あいつから君のこと教えてもらってさ、会いたくなっちゃって、今日の当番が君だって聞いたから待ってたんだよ」
「はぁ」
なんて言えばいいんだろう。お礼でも伝えればいいのだろうか。混乱する俺に笹浪先輩は顔を寄せ、首あたりで鼻をすんと鳴らした。
「え、なに」
「うん、やっぱり君だ」
笹浪先輩は満足げだった。俺はと言うと、完全に置いて行かれている。先輩に言われたことの半分も理解していないし、先輩の行動の意味も分からない。俺は恐怖に似た気持ちになりながら、笹浪先輩を見上げた。怪しく光る先輩の目が弧を描く。
「ね、一ノ瀬くん。君サキュバスだろ?」
声に高揚を滲ませて、笹浪先輩はそう言い放った。
「あ……」
そこにはすでに一人の生徒がいた。カウンターの椅子に座り本を読んでいる。その生徒は、俺が扉を開けた音に反応して顔を上げた。ぱちりと音がしそうなほど、俺はその生徒としっかり目が合ってしまった。
「えっと、」
「待ってたよ、一ノ瀬くん。ああ、ごめんね、図書委員でもないのにカウンターに座っちゃって」
「奥に椅子はあるけど、あそこからじゃ君が来たかどうか分からなそうだったから」と、彼は困ったように笑った。俺は戸惑い、どんな返事をすればいいのか分からなかった。彼は読んでいた本を閉じ、椅子から立ち上がった。自然な足取りで俺の方に近寄ってくる。
「もしかして、俺のこと知らない? じゃあ、自己紹介するよ」
俺の前に来たその生徒は、ニコリと笑ってそう言った。彼が頭一つ分俺よりも高いからか、自然と俺は見上げる形になる。かっこいい人だなと思うと同時に、その笑顔からなぜか迫力を感じてしまい、俺は心臓のあたりがキュッとなった。
「俺は笹浪寿人。よろしくね、一ノ瀬くん」
*
黒く綺麗な髪に、くっきりとした二重の目。鼻筋は高く、眉も整っていて、正に「イケメン」と言っていいだろう。どこかで見た顔だと思ったけど、名前を聞いて思い出した。笹浪寿人先輩は、生徒会長を務める人である。確か入学式ではステージの上に上がって挨拶をしていた。生徒会長の弟が同じ学年にいると教えてくれたのは誰だったか。いや、今は関係ないか。目の前の状況に集中しよう。
(まず、この人が生徒会長の笹浪先輩であることは分かった……)
しかし、彼の正体が分かったからと言って、今の状況の理由までは分からない。そもそも先輩、俺の名前呼んだよな? なんで知ってるんだ? 考えられるとすれば、例えば委員会関係の用事があるとか……いや、それでも俺のことを知ってるのは謎だな。笹浪先輩は、俺が「委員会のことで何か用事ですか」と聞くと、きょとんとした後に「違うよ」と言ってふっと笑った。
「君に会いに来たんだ」
「……は?」
笹浪先輩は何が楽しいのか、くすくすと笑っている。まるで夢の中で会うご先祖様みたいだ。
「俺、邦俊と友だちなんだ。君も知ってるだろ? 図書委員長の宇野邦俊。あいつから君のこと教えてもらってさ、会いたくなっちゃって、今日の当番が君だって聞いたから待ってたんだよ」
「はぁ」
なんて言えばいいんだろう。お礼でも伝えればいいのだろうか。混乱する俺に笹浪先輩は顔を寄せ、首あたりで鼻をすんと鳴らした。
「え、なに」
「うん、やっぱり君だ」
笹浪先輩は満足げだった。俺はと言うと、完全に置いて行かれている。先輩に言われたことの半分も理解していないし、先輩の行動の意味も分からない。俺は恐怖に似た気持ちになりながら、笹浪先輩を見上げた。怪しく光る先輩の目が弧を描く。
「ね、一ノ瀬くん。君サキュバスだろ?」
声に高揚を滲ませて、笹浪先輩はそう言い放った。
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