学童職員、小学生になる。

ぽんた

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「“こはるちゃん”って呼んで良い?」

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「そんな、大したことしてないよ?」
「でも、凄く嬉しかったの。本当にありがとう!」

学くんからすると大した事じゃなかったとしても、私からするととても大きな事。

「私も、何かお返し出来たらいいんだけどな。」
「んー…。杉田さんさ、夏休みの宿題どこまでやってる?」
「作文以外終わったよ。」
「えっ、すごい!!じゃあうつさs」
「写すのは駄目だな~。」
「…ってのは冗談で!教えて欲しいな。
おれ勉強苦手だからさ…。」
「勿論!良いよ!」

学童の職員になる前は、中学の英語の教師を2年だけだけどやっていたし、
中学の教師を辞めてから塾の講師もやっていたから、子供に勉強を教えるのは大得意だ。

「それとね、お願い…があるんだけど…
その…良いかな…?」
「良いよ。どうしたの?」

「“こはるちゃん”って呼んで良い?」
「!」

まさかのお願いに、少しだけドキッとした。
私の本当の名前は“真帆”だけど、
咄嗟に考えた“こはる”って名前がこんなに馴染むと思わなかった。

「杉田さんとさ、その、もっと仲良くなりたいな…って思ってさ…。」

学くんのその気持ちがとても嬉しかった。

「勿論!良いよ。」
「!ありがとう!!」
「私も、長田くんの事、学くんって呼んで良い?」
「うん!!」

“真帆”の時はずっと学くんって呼んでいたし、そっちの方が呼び馴染みがある。
それに私も、学くんともっと仲良くなりたいと思った。

「あ」
「どうしたの?」

スマホを見ると、陽菜ちゃんからメッセージが来ていた。

『急にいなくなっちゃってごめんね!!
空くんと村越くんも一緒にいるから、花火が終わったらそっち行くね!』

「良かった。3人共一緒に居るんだね。」

安心してメッセージを返す。

「あ、そっか!もうすぐ花火だ。
結構すごいんだよ!」
「へぇ!そうなんだ。」
「ここからでも見えるはず。確かこっちかな?」

学くんが指さした方向から、
ドーンと花火の音がした。
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