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〜春夏秋冬家・兄弟〜
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恵の事件解決後、新たな依頼人が
探偵事務所『ソムリエ』を訪れていた。
事務所の扉をノックする音が聞こえて季楽羅が
扉に近寄り、
「は~い」
扉をノックした人物に答えて扉を開けた。
そこには、黒髪ツーブロヘアーの男性がいて
「兄さんいる?」
突然、聞いてきて強引気味に中に入って来た。
男性は中に入り、東を見た途端、
「久しぶり!、兄さん」
そう言い、東は男性を見て
「久しぶりだね。蒼流」
微笑んで言葉を返した後、
「急にどうした?」
質問すると男性は
「実は、依頼を頼みたいんだけど」
相談した。東は
「詳しく話を聞きたいから、一旦ここに座って」
そう言って近くのソファに座らせて
東は男性が座ったソファの真正面ソファに座ると
季楽羅が近寄り、
「あの~、東さん。この方は?」
質問してきて、東が
「彼は、弟の春夏秋冬 蒼流(ひととせそうる)」
紹介して季楽羅は
「東さん、弟がいたんですか!?」
驚いて聞き、東は
「ああ。」
一言、言って頷いた。すると蒼流が
「ねぇ兄さん、この可愛い子誰?」
唐突に聞いてきて東は
「僕の助手の愛乃紅 季楽羅」
紹介した。蒼流はニヤけた顔で
「もしかして兄さんの彼女?」
煽るように聞くと東は
「ところで、依頼って何?」
蒼流からの煽り言葉を無視して聞いた。蒼流は
「えーっと、僕に彼女ができないのは、
なぜですか?」
そう聞き、東は
「それ嘘だよね」
呆れた声で言うと蒼流は
「やっぱり、分かっちゃうかぁー」
そう言い、季楽羅が話に入ってきた。
「蒼流さんも東さんの眼の事、知ってるんですね」
「もしかして季楽羅ちゃんも兄さんの眼の事、
知ってるの!?」
「はい」
「初めて聞いた時は、びっくりしたでしょ」
「はい、最初は信じられなかったけど一緒に生活
するうちに、だんだん東さんの事が分かって
いったんです」
そう言うと蒼流は東に質問した。
「じゃぁ兄さん、季楽羅ちゃんの最期とか
見ちゃったの?」
「いや....見てない」
東は嘘を言った。その後、東は
「蒼流、そろそろ依頼の件、聞かせてくれる?」
そう聞き、蒼流は
「あ、そうだった」
依頼の事を思い出して話し始めた。
「最近、学校で怪しい現場を目撃したんだけど」
そう言ってスマホを見せた。スマホの画面には
学校の教師らしき人と生徒が何かを取引してる
写真が映っていた。写真を見た季楽羅が
「これ何を渡してるんですか?」
質問すると東が
「薬物」
咄嗟に呟いて、蒼流が
「さすが兄さん、一目見て分かっちゃうとは」
褒めると季楽羅が
「薬物!?」
2人の会話中の言葉に驚き、
「どうしてそんな物を」
そう言うと東が
「おそらく教師側は金目当て、学生側は勉強や
人間関係が嫌になって違法に逃げたか、
もしくは出来心、興味本位ってとこかな」
推理を言い、蒼流が
「そこまで推理できるとは、やっぱり
IQ200超えはスゴいね!」
感心して褒めると東は
「つまり、これを僕に解決してほしいって事か」
そう言い、蒼流は
「うん。僕のクラスメイトや親友まで、この教師に
薬物をすすめられて、どんどん依存していって
おかしくなっちゃって....」
落ち込んだ表情で言うと東は
「分かった。この依頼お受けします」
承諾した。蒼流が
「でも、どうするの?」
そう聞くと東は
「まずは情報集めのための調査が必要だな」
そう言い、季楽羅を見つめて
「よし季楽羅!、潜入調査だ」
咄嗟に言うと季楽羅は
「え?」
言葉の理解が追いつかなかった。
翌日、蒼流はなぜか季楽羅と登校していた。
蒼流が
「潜入調査なんて大丈夫かなぁ?、うちの教師に
バレたら何て言われるか」
不安声と表情で言うと季楽羅が
「確かに。それに潜入調査なんて私むいてないし、
20歳で年齢が蒼流さんと近いからって理由な
だけで」
そう言い、蒼流が
「そうだよね、しかも兄さんこそ、まだ24歳で
ギリギリ大学生に見えると思うけどなぁー」
そう話していると背後から
「おはよう蒼流ー!」
挨拶する声が聞こえた。振り返ると蒼流と同じ
大学の学生たちがいて、蒼流は
「おはよう健人、翼、梨奈」
挨拶を返すと片耳ピアスでセンター分けヘアーの
男性が
「あれ?、蒼流もしかして彼女?」
ニヤけながら聞くと蒼流は
「ちげぇよ、兄さんの彼女らしき人だよ」
そう言うとツインテールの女性が
「蒼流、兄貴いたの?」
そう聞き、蒼流は
「言ってなかったっけ?」
疑問口調で聞くとツインテールの女性は
「初耳だよ、今度紹介して!、蒼流に似てたら
顔は良いでしょ」
そう言い、蒼流が
「はいはい」
呆れ苦笑いしながら言って、異変に気づいて
「そういえば竜也は?」
質問すると学生3人は黙り込んだ。蒼流は3人の
様子を見て察して
「....そっか」
一言発して
「じゃぁ....また教室でな」
そう言い、季楽羅と先に学校に向かった。そして
学校に着くと季楽羅が
「あの~、さっきの竜也さんって」
気になって聞き、蒼流は
「竜也は薬物に手出しちゃって、依存しすぎて
おかしくなって、その後は....僕も知らない」
落ち込んだ暗い表情で言うと季楽羅が
「この事件、絶対に解決させましょう!」
そう言って蒼流を励ました。その後、2人は
教室に入り、授業開始時刻になり、教師が
入ってきたが、教師は東だった。東を見た蒼流と
季楽羅は立ち上がって指差して
「ええーーー!??」
驚いて叫ぶと東は
「君たち静かに!。もう授業時刻ですよ」
注意して2人を座らせて
「今日、鶴賀先生が体調不良で休みなので、私が
代理で来ました。相沢です。よろしく
お願いします」
自己紹介と挨拶を言うと季楽羅と蒼流は納得いかない顔をしていたが、他の学生は
「めっちゃイケメン!」「超カッコいい!」
「私、タイプ!」
口々に言っていた。そして授業が終わった後、
東が退室すると季楽羅と蒼流が東の元に駆け寄り、
「何で東さんがここにいるんですか!?」
「兄さんどうやって入ったの!?」
そう聞くと東は
「こっそり潜入したんだよ。人手は多い方が
良いから」
そう言い、季楽羅が
「確かにそうですけど....」
不機嫌気味な表情で言うと東が
「それで蒼流、薬物を渡してる教師って普段
どこにいるの」
そう聞き、蒼流は
「だいたい、いつも科学室にいるけど」
そう言うと東は
「分かった。僕は科学室に向かう。季楽羅は
その教師がどんな人なのか学生に聞いていって、
蒼流は科学室方面に誰か来ないか見張ってて」
指示して、科学室に向かおうとすると蒼流が
「待って兄さん」
呼び止めて、
「科学室の場所分かるの?」
そう聞くと東は
「大丈夫。ここに来る前にこの学校の地図含めて
全情報暗記したから」
そう言って科学室の方へ向かった。東が科学室に
入ると白衣を着た中年男性教師がいた。東は
教師に近づき、
「あなたが亀谷先生ですか?」
そう聞くと中年教師は
「はい。そうですが、あなたは?」
質問して、東は
「相沢です」
偽名を名乗り、亀谷は
「見ない顔ですが、あなたうちの学校の教師
ですか?」
疑うように聞くと東は
「はい。もちろんです」
嘘を言った後、亀谷は質問した。
「ところで相沢先生はどうしてここに?、どうか
されましたか」
「何か用が無いと来ちゃいけないんですか?、
私はただ、あなたとお話がしたくて
来ただけですよ」
「そうですか、お話とは何ですか」
「最近、学生の間で流行ってる事、何かご存知
ですか?」
「いえ、知りません」
「ドラッグという物が流行ってるらしいですよ」
「そ、そう....なんですか」
亀谷は若干動揺しながら言うと東が
「化学専門の教師なのにドラッグを知らないん
ですか?」
そう聞き、亀谷は
「いえ、もちろん知ってますよ」
そう言うと東は
「じゃぁ、どうして私が今話した学生の間で
流行ってる事に怒らなかったんですか」
強い眼力で聞き、亀谷は
「それは.....」
不安の表情で一言呟いて黙り込むと東が
「まあ、学生が勝手にやってる事だから私たち
教師には関係ないですよね」
笑顔で言うと亀谷は安堵の表情になり、
「そうですよね」
そう言った。そして、東は
「では、失礼しました~」
そう言い、科学室を出た。その後、潜入調査は
終わって事務所に帰り、東は入手した情報を
まとめて推理していたが、急に閃いて
「季楽羅、明日から活躍してもらうよ」
そう伝えて作戦会議を始めた。それから再び、
翌日も潜入調査を行い、1週間後に季楽羅に交渉を
してもらった。放課後になり、季楽羅1人で
科学室に行って亀谷に
「先生、私に希望をください」
そう言うと亀谷は季楽羅に小さな黒いケースを
渡した。その瞬間、
「バッチリ撮れましたよ、亀谷先生」
そう言う声が聞こえて、声の方向を見ると亀谷と
季楽羅の方にスマホを向けていた東がいた。亀谷は
「相沢先生、どうしてここに」
そう言うと東は
「ずっと隠れてたんですよ、あなたの犯行を
この眼で確認するために」
そう言い、亀谷が
「それで、何を撮ったと言うんですか」
焦るように聞くと東が
「あなたが生徒に薬物を渡す光景ですよ」
そう言い、亀谷は笑い出して
「何を言ってるんですか、私は薬物なんて
渡していませんよ」
そう言って、季楽羅がケースを開けて中身を
見ながら
「え!?」
疑い声で驚いた。東が近寄って確認し、
中に入ってたのは錠剤の薬のような物だった。
東が、その錠剤薬を確かめると眉を寄せて
「これは、サプリ?」
そう言った。亀谷は
「これを生徒に渡しただけでどうなるんですか?、
逮捕でもされるんですか?」
煽るように聞くと東は
「いや違う」
目線をそらして呟き、科学室の後ろにあった
ボードをどかして、その後ろにある本棚も
どかした。そこには隠し扉があり、東が扉を
開けようとした瞬間、亀谷が焦りながら
「やめろぉ!」
叫んで走って止めようとしたが、東はすぐに
扉を開けて部屋の中をスマホで撮った。東が
「これは、いったい何ですか~?」
煽るように言いながら大量に生えていた植物を
眼で観察して確かめた。東は
「これはチョウセンアサガオ、こっちはコカノキ、
こちらはセージ、そしてこっちはトリカブト、
こんなにも様々な危険植物を育てて
何をしていたんですか?」
そう聞くと亀谷は
「私は生物学の教師だ!、生徒に世の中には
こんな危ない植物がある事を教えていただけだ!」
若干焦りながら怒鳴ると東は
「僕に嘘は通用しませんよ」
そう言い、ある動画を見せた。その動画には、
亀谷が学生に薬物注射を打つ映像が映っていた。
他にも、たくさんの動画を見せて閲覧した動画
全てに亀谷が学生に薬物を飲ませる映像や薬物を
大量に渡す映像が映っていた。亀谷は
「こんなもの、どうやって」
そう言い、東は
「この校内の至る所にカメラを仕掛けさせて
もらいました。そのカメラには、あなたの犯した
罪が全て映っています。諦めて一緒に警察へ
行きましょう」
そう言うと亀谷は
「クソーー!!」
悔しがり、
「お前、何者だ」
質問した。東は
「僕は、眼異探偵です」
名乗ると季楽羅が東に近寄り、
「やったね東さん!、今回も見事解決!」
上機嫌に言い、2人でハイタッチをした。
そして、東が
「では、亀谷先生。一緒に警察へ行きましょうか」
そう言うと亀谷は
「もう何もかも終わりだ。動画が世間に出回って、
教師生活だけじゃなくて人生が終わるんだ」
絶望すると東が
「大丈夫です。ちゃんと罪を償えば、もう一度
やり直せます」
そう言ったが、亀谷は
「そんなの嘘だ、俺は、もうお終いだーー!」
狂ったように叫び出して、東は咄嗟の判断で
右眼を閉じて未来の光景を見た。その光景は、
亀谷が錠剤薬を大量摂取していて、東が
(まさか!)
そう思い、右眼を開けて左眼を閉じると亀谷が
科学室ではなく、外で頭から血を流して
死んでいる光景が見えた。そして、東が左眼を
開けて両眼で見た瞬間、亀谷が薬の入った瓶を
取り出して薬を大量摂取しようとしたが、事前に
未来を見ていた事で東は瞬時に動き、薬が入った
瓶を蹴り飛ばした。すると亀谷は科学室の窓から
飛び降りる勢いで窓際に走って行ったが、
東は一瞬で追いついて亀谷の側頭部に蹴りを
当てて気絶させた。その後、東は床に散らばった
瓶に入っていた薬を見て、匂うとベラドンナで
あると分かって亀谷を警察に連れて行き、事件は
解決した。
東と季楽羅は蒼流と事務所に帰り、蒼流が
「ありがとう兄さん!」
お礼を言い、東は
「ああ。その代わり報酬は多く貰うよ」
そう言うと蒼流は
「ええー、兄さん金貰わなくても腐る程
持ってるじゃん」
そう言い、東は
「安心しろ、冗談だよ」
笑いながら言った。
翌日、季楽羅が
「東さーん、今日は新作ケーキ作ったんですけど
食べてくれますか?」
そう聞くと東は
「ああ。ぜひ頂くよ」
そう言った。すると事務所の扉をノックする音が
聞こえて、季楽羅が扉の方に向かい、
「は~い」
そう言って、扉を開けると金髪オールバックで
怖顔の男性が
「東さんっ!」
焦った様子で入って来た。東が、男性を見て
「お久しぶりです、武尊さん」
そう言い、男性は
「ご無沙汰です!、東さん」
そう言うと季楽羅が扉を閉めて近寄り、
「東さん、この方は?」
質問して、東は
「この人は、鷹虎 武尊(たかとらたける)さん」
紹介した。武尊は季楽羅に
「初めまして!、東さんの女ですか」
そう言うと季楽羅は
「いやいや、違いますよ~」
顔を赤くして照れながら言った。そして、東が
「ところで武尊さん、どうしたんですか?」
質問すると武尊は
「愛梨が....」
震える声で言い、東は
「愛梨ちゃんに何かあったんですか!?」
そう言うと武尊は
「実は、3年前と同じ....」
そう言い、東は
(3年前.....まさか!)
勘づいて、
「あの時と同じ事件が?」
疑うように呟くと武尊は
「....はい」
そう言い、東は武尊に話を聞いた。武尊は
「今日も組みの奴らとカチコミに出てて香織も
今日は外に出てて愛梨を1人で家に置いてたんで
すけど、俺が帰ると愛梨がいなかったんです。
香織と一緒に出掛けたのかと思って電話したんで
すが、愛梨は一緒じゃないと言われて胸騒ぎが
して夜になっても帰ってこなくて家のポストを
見たら手紙と携帯があって、紙には赤字で『お前
の娘を貰う』って書いてたんです。そして、
1日ごとに娘の声を聞かせてやるが、13日後は
絶対に聞けと書いてました」
話し終えると東が
「あの時と全く同じですね」
そう言い、
「その手紙と携帯はありますか?」
手掛かりとして聞くと武尊は手紙と携帯を渡した。
東は2つを受け取って
「今日は、ひとまず帰って休んでください」
そう言うと武尊は
「でもっ!....」
不安な声で言いかけて、東は
「大丈夫です。愛梨ちゃんは僕が絶対に助けます」
そう言い、武尊を家に帰らせた。その後、
東は推理を始めたが、手掛かりが少なくて
悩んでいると季楽羅が
「あの~、東さん。今の話どうゆう事ですか?」
そう聞いてきて、東が
「武尊さんは一度、僕の依頼者になった人なんだ」
そう言うと季楽羅は
「え?」
一言発して、東は武尊との過去を話し出した。
「3年前、武尊さんの奥さんが同じ犯行で誘拐
された。その時も手紙と携帯が置いてあって
見ると、この手紙と全く同じ内容だった」
「でも犯人は、どうして1日ごとに電話をしたん
ですか?、居場所を教えるため?」
「いや。奥さんの断末魔を聞かせるためだよ。
電話をかけて奥さんの爪をペンチで剥いで
いったんだ」
それを聞いた季楽羅は言葉が出なかった。
沈黙が続いた後、季楽羅が
「どうして、13日後は聞かなきゃ
いけなかったんですか?」
恐る恐る聞くと東は
「爪を剥ぎ終わっていて焼却炉に入れて本当の
断末魔を聞かせるため」
そう教えて、季楽羅は
「でも、だったら何で13日後に?」
震える声で聞くと東は
「10日間で爪は剥ぎ終わって11日、12日で
眼球を潰すから....」
そう言うと季楽羅は
「そんな事が3年前に」
怯えながら言い、東は
「季楽羅が、ここに来たのは2年前だからね」
そう言うと季楽羅が
「奥さんは、助かったんですか?」
不安な表情で聞き、東は
「ああ。ギリギリ10日目で救えたよ」
そう言った。季楽羅は
「もしかして今回も、また同じ犯人が!?」
そう言い、東は
「いや、それはあり得ない。今犯人は捕まってる
から」
そう言うと季楽羅は
「そういえば武尊さんって、どんな人なんですか?
怖い雰囲気の人でしたけど」
そう言い、東が
「武尊さんは、極道だよ」
そう教えた。季楽羅は
「極道!?、そんな人に慕われてるなんて、東さん
スゴいですね!」
褒めると東は
「事件を解決して以来、なぜかスゴく仲良く
なっちゃって」
嬉しそうに言い、季楽羅が
「東さんって、ホントに何者ですか?」
そう聞くと東は
「僕は、ただの眼異探偵だよ」
そう言い、
「それはそうと、この事件をどう解決するかだ」
そう言って考え始めた。すると季楽羅が
「3年前と同じ解決法なら」
そう言いかけて、東は
「おそらく無理だと思う」
そう言い、季楽羅が
「どうしてですか?」
質問すると東は
「実は、その犯人は移動していたんだ。
キャンピングカーを使って、その中で香織さんを
傷つけていた」
そう言い、季楽羅は
「どうやって分かったんですか?」
そう聞くと東は
「音だよ。キャンピングカーは普通の車と
少し音が違ってるんだ。そして武尊さんの車も
エンジン音が特殊だったから武尊さんの車を
走らせて犯人と電話を繋げたまま犯人の車と
すれ違った瞬間の音を聞き逃さずに捕まえたんだ」
そう話すと季楽羅が
「どうやって、すれ違えたんですか?、犯人の車が
どこを走っているかなんて分からないはずだし」
そう言い、東は
「香織さんの声を聞かせるなら武尊さんの家の
周囲を走ってると思って2、3日見張り、
同じ場所を同じ車が走ってる事を確認して、
その車に目をつけて捕まえたんだ。捨て身の選択
だったけど僕が警察に変装して車を停まらせて
免許証チェックや内装チェックとか言って
犯人たちを車から出して、その瞬間を狙って
犯人たちに1撃ずつ浴びせて香織さんを助けた」
そう話し、季楽羅が
「じゃぁ、どうして今回はその方法が使えないと
思ったんですか?」
質問すると東は
「今回拐われたのは愛梨ちゃんだ。7歳の子供
1人にキャンピングカーを使うとは思えないし、
まず第1に移動犯なのかも分からない」
そう言い、季楽羅が
「じゃぁ、どうすれば....」
暗い表情で言うと東は
「でも絶対に助ける」
そう誓った。
翌日、東と季楽羅は武尊の家に行き、犯人からの
電話を待った。そして、電話がきて
『鷹虎さん、今からあんたの娘の声、聞かせて
やるよ』
そう言われた直後、
『うわぁーーー、痛い痛いっ、痛いよーー、
パパーーー、ママーーー』
子供の悲鳴が聞こえた。それを聞いた武尊は
激怒して
「やめろっ!!」
怒鳴ると犯人が
「それじゃぁ、また明日ー」
そう言い、電話が切れた。香織が
「東さん!、愛梨を助けてください!」
震える声で言うと東は
「今の数分で分かった事は、相手が変声機
(ボイスチェンジャー)を使っていた事だけ。
前回の犯人はそんな物使ってなかった」
そう呟き、推理を始めて
(それに車の揺れる振動音が聞こえなかった。
今回は屋内?)
そう考えて
「そういえば、前回の犯人は鷹虎 武尊と呼んでま
したが、今回の相手は鷹虎さんと言ってました。
何か心当たりはありませんか?」
そう聞くと武尊は
「いいえ、全く」
そう言い、東は悩んだ。その日は結局何も解けず、
事務所に帰った。
翌日になり、再び東と季楽羅は武尊の家に行き、
犯人との電話が終わり、東が推理をしたが、
何も解けず事務所に帰って考えて蒼流を呼んだ。
そして、3日目は東と季楽羅と蒼流の3人で行き、
蒼流が
「お久しぶりです、武尊さん」
挨拶して、武尊は
「ご無沙汰です!、蒼流さん」
そう言うと季楽羅が
「お2人知り合いだったんですか?」
そう聞き、武尊が
「はい。東さんの弟なので」
そう言って
「ところで今日は、なぜ蒼流さんまで?」
そう聞くと東が
「蒼流に協力してもらおうと思って連れてきたん
です」
そう言い、蒼流が何かの準備を始めた。そして
犯人から電話がきて、いつもの内容で終わると
東が
「蒼流、どうだった」
そう聞くと蒼流は
「ごめん、ダメだった」
謝ると東は
(妨害電波を出してたか)
そう考えると武尊が
「東さん、これはいったい」
質問してきて、東が
「犯人が電話してくる時の電波を拾って場所を
特定しようと思ったんですが、相手が妨害電波を
出してたのでダメでした」
そう言い、蒼流が
「僕、学校でこの分野専門だから機械類は強い方
なんですけど、妨害されたらさすがに手が
出せないです」
悔しそうに言うと武尊は
「そうすか....」
落ち込んで、東たちは事務所に帰り、作戦を
考えていると蒼流が
「そういえば兄さん、桜兄に協力してもらおっ!」
そう言い、東が
「今、紫桜は海外だから無理だろ」
そう言うと蒼流は
「兄さん知らないの?、桜兄帰って来たんだよ!」
そう言い、東は
「本当か!?」
そう聞くと蒼流は
「もし、僕が嘘ついてたら分かるでしょ」
苦笑いしながら言い、季楽羅が
「あの~、2人とも誰の話をしてるんですか?」
そう聞くと蒼流が
「兄さん、季楽羅ちゃんに桜兄の事話してないの?」
質問して、東は
「そういえば、話した事なかったね」
そう言うと蒼流は季楽羅に
「僕たちには、もう1人兄弟がいるの」
教えると季楽羅は
「え!?、もう1人いたんですか!?」
驚いて聞き、東が
「ああ。」
一言発して、
「それで蒼流、紫桜帰って来てるのか?」
そう聞き、蒼流が
「うん。久しぶりに帰ってきたから今は日本巡り
してると思う」
そう言うと東は
「今すぐ連絡しよう」
そう言ってスマホで誰かに電話をかけ始めた。
2時間後、事務所の扉をノックする音が聞こえて
東が扉を開けると金髪ロングで髪型は
センター分けポニーテールの筋肉質でガタイが
良い男性がいた。男性は
「久しぶり、兄さん」
そう言って中に入って来た。男性は季楽羅を見ると
「whoareyou?」
英語を言い、季楽羅が
「初めまして。愛乃紅 季楽羅です」
自己紹介すると男性は
「私は、春夏秋冬 紫桜(ひととせしおう)です。
nicetomeetyou」
自己紹介と挨拶をして握手した。季楽羅は
「よろしくお願いします。ところで紫桜さんは
何されてる方なんですか?、海外にいたって
聞いたんですけど」
そう言い、紫桜は
「通訳・翻訳、小・中・高校の日本語教師として
行ってました」
そう言うと東が
「紫桜、帰って来てさっそくで悪いが、お前の
力が必要だ」
そう言い、紫桜は
「仕方無いなぁー、後で美味い飯奢ってね」
そう言って、ソファに座って東から話を聞いた。
そして、季楽羅が蒼流に
「どうして東さん、紫桜さんの力が必要
なんですか?」
そう聞くと蒼流が
「それは、たぶん明日分かるよ」
そう言った。
4日目は、東と季楽羅と紫桜と蒼流で武尊の家
に行き、犯人から電話がくるのを待った。数分後、
電話がきて内容は全く同じだったが、通話が
終わった途端、紫桜が
「understood」
英語を言い、突然外に出てどこかに走り出して
東と蒼流と季楽羅がついて行き、着いた先は
使われていない廃ビルだった。そこに4人で入り、
紫桜が突然拍手をしながら叫び出すと男が
4人出てきた。男の1人が
「何だお前?」
そう聞くと紫桜は
「鬼さん、こっちだ~」
そう言い出してどこかに走り出した。男4人は
「待てこらー!」「ふざけんなぁー」
怒声で言いながら追いかけた。その隙に
隠れていた東たちはビルの奥に行った。すると
1人の少女の泣き声が聞こえた。声の方に
隠れながら行くと1人の男がナイフを持って
少女の隣にいた。それを確認した3人は行動して
蒼流が目の前に出て
「その子を離せ!」
そう言い、男は
「誰だお前!」
そう聞いていると背後から東に殴られて気絶した。
そして季楽羅が少女に近寄り、
「お嬢ちゃん大丈夫!?」
不安声で心配しながら聞くと少女は季楽羅の
腕の中で涙を流して
「怖かったよーー」
泣き叫ぶと季楽羅は
「もう大丈夫だよ」
優しい声で言い、少女を抱き締めた。その後、
東が蒼流に合図を出すと蒼流が
「クリアーーーー」
そう叫んで男4人から逃げていた紫桜が突然足を
止めて振り返り、ゴツい筋肉腕で男4人を一瞬で
薙ぎ払った。そして、紫桜は
「solution」
英語を言った。その後、パトカーがきて男5人は
警察に連れて行かれて少女は武尊と香織と再会
して3人で涙を流して抱き合った。武尊は
「東さん、本当にありがとうございました!」
お礼を言って事件は解決した。
それから事務所に帰り、季楽羅が
「紫桜さん、あの時どうして分かったんですか?」
そう聞くと蒼流が
「桜兄は人の何百倍も耳が良いんだ」
そう言い、季楽羅が
「でも、それでどうして分かったんですか?」
そう聞くと蒼流が
「電話で犯人や愛梨ちゃんの声を聞いてる間、
他の音を聴き取ってたんだよ」
そう言い、季楽羅は
「もしかして他の物音や車の走行音だけで
分かったんですか!?」
驚いて聞くと蒼流が
「うん!、うちの兄たちは視力と聴力がエグい
からね、兄さんは反則級の眼球持ちで桜兄は
人並み外れた耳を持ってるんだ~」
自慢気に言った。すると紫桜が
「それじゃぁ兄さん、美味い飯食いに行こっか!」
嬉しそうに言い、4人でレストランに向かった。
入店すると良い匂いがただよっていた。
席に座り、料理を注文して4人で美味しく頂いた。
食べ終わって帰ろうとした時、東が店員を呼んで
「シェフを呼んでください」
そう伝えて、店員はシェフを呼びに行った。
東を見ていた季楽羅が
「どうしたんですか?、東さん」
そう言い、蒼流が
「そうだよ兄さん、シェフ呼んでどうすんの?」
そう聞いてると茶髪オールバックで片耳ピアスを
した男性が近寄って来た。その男性を見た途端、
東は
「久しぶりだな、亜蘭」
そう言うと男性は
「ああ。久しぶり!、兄貴」
そう言った。それを聞いた蒼流が男性を見て
「えぇ!?、亜蘭!、久しぶり」
そう言い、男性が
「久しぶり!、蒼兄」
そう言うと東が
「なぁ、紫桜お前わざとこの店選んだだろ」
そう聞き、紫桜は東とは目を合わさず、
「何の事?」
とぼけた表情で聞くと東は
「僕に嘘は通用しないよ」
そう言い、季楽羅が
「あの~、この方お知り合いなんですか?」
質問すると東が
「彼は、春夏秋冬 亜蘭(ひととせあらん)
僕らの弟だよ」
紹介して、季楽羅は
「えぇ!?、4人兄弟なんですか!?」
驚いて聞くと亜蘭が季楽羅を見て
「誰?、お前」
そう聞き、東が
「彼女は、僕の助手の愛乃紅 季楽羅」
紹介すると亜蘭は
「兄貴、助手なんか雇ったの?」
そう聞き、東が
「ああ。そうだけどお前こそ自分の店持ってた
んだな」
そう言うと亜蘭は
「まあな。長い間会ってなかったから俺の味
忘れてるかと思ったけど覚えてたんだな!」
嬉しそうに言い、蒼流が
「当たり前じゃん、兄さんは一度覚えたものは
忘れないんだから」
そう言うと亜蘭が
「でも、蒼兄は分かってなかったな」
煽るように言い、蒼流は
「ごめん、僕鈍いから。でもスゴく美味し
かったよ!」
そう言うと亜蘭は
「当たり前だろ!、世界1のシェフが作ったん
だから」
自画自賛しつつ、自慢気に言った。すると東が
「ところで紫桜、なぜここに連れて来た」
そう聞き、紫桜は
「久しぶりに兄弟で集まりたくなっちゃってさ」
そう言うと東は
「なるほどな」
渋々納得して、
「亜蘭、とても美味だった。ごちそうさま」
お礼を伝えると亜蘭は
「おう!、またいつでも食べに来てくれよ」
満足気な表情で言った。その直後、店の厨房で
悲鳴が聞こえて、声に気づいた東たちは
奥の厨房に向かい、そこで眼に入ったものは
料理人が1人泡を吹いて倒れている光景だった。
亜蘭が
「樹!」
名を呼んで近寄ろうとしたが、東が
「待て亜蘭!」
呼び止めて辺りを見渡して状況確認して
「これは、殺人未遂事件だ」
そう言った。それを聞いた季楽羅と蒼流と紫桜は
疑い気味な表情で驚き、亜蘭が
「殺人未遂、事件?」
そう言い、蒼流が東に
「どうゆう事、兄さん」
そう言うと東は
「散らかった食器と料理が、ヒントだよ」
そう言い、床に散らばっている食器と料理を
指差した。すると亜蘭が
「誰だ!、樹をこんな目にあわせた奴は」
怒鳴ると東が
「落ち着け亜蘭、推理して必ず犯人を見つけて
みせるよ」
そう言って、
「まずは救急車を呼んで、店を閉めて今日来た客
を帰さないで厨房にいた料理人を集めて」
指示していった。数分後、救急車がきて
倒れていた料理人は運ばれて他の料理人を集めて
亜蘭が
「まず今日、樹と同じ時間帯のシフトだった奴
誰だ」
質問すると3人の料理人が亜蘭の前に立ち、亜蘭が
「明里、叶太、直紀、お前ら樹と一緒にいて誰が
こんな事したのか見てねぇのか?」
そう聞き、3人は首を左右に振って
「見てません」
そう言ったが、東は一瞬で気づいて
「犯人は、あなたですね」
1人の料理人(直紀)を指差して、そう言った。
亜蘭は
「直紀が?」
疑いの表情で言うと直紀は
「違う!、僕は何も知らない!」
必死に言い、東が
「僕に嘘は通用しませんよ」
そう言うと亜蘭は
「本当に....お前が、やったのか?」
疑いながら聞いた。直紀は
「違います!、僕じゃありません!、亜蘭さん
こんな奴の言う事信用するんですか」
そう言うと亜蘭は
「ああ。もちろん信じるぜ、兄貴の眼は全てを
見破るからなぁ」
そう言い、直紀は
「違う!、本当に僕じゃない!、だいたい何で
根拠も無く嘘だって言える!」
そう言うと亜蘭が
「お前、いい加減認めろ」
そう言いかけ、東が
「亜蘭!、直紀さんの言う通りだ。嘘が見える
なんて言っても何の根拠にもならないし、
誰も信じる訳が無い」
そう言った。亜蘭は
「じゃぁ、どうすんだよ」
そう聞くと東は
「亜蘭、お前の力貸してくれ」
そう言い、全員で現場に行き、散らかっていた
料理を見て、東が
「これならお前が謎解いてくれるだろ」
そう言うと亜蘭が閃いて
「なるほどな」
そう言い、亜蘭は料理を匂い出して確信した。
亜蘭は
「兄貴の言う通り、犯人はお前だ。直紀」
そう言い切って、直紀は
「え!?、どうしてですか!?」
驚いて聞くと亜蘭は
「この料理、魚と野菜のニンニク炒めだが、
魚の焼き時間が3分半、野菜の焼き時間1分半、
その後野菜は蒸して、ニンニクを少し炒めた
らしいが、料理工程が少し多い。それに、
ニンニクが多くて魚の焼き時間が若干長くて
焦げ目をつけている。そしてピーナッツが
入っていて、この癖のある匂いの味付けは
お前にしか出来ねぇ」
説明を終えて、直紀は亜蘭の完璧な説明に腰を
抜かして何も言い返せず、亜蘭が
「どうしてピーナッツなんか入れた。樹は、
重度のピーナッツアレルギーで、もし食べると
アナフィラキシーショックを起こすんだぞ。樹と
長年一緒にいたお前なら知ってたはずだろ」
そう言うと直紀は
「悔しかったんです。同じ時期に就職して2人で
修行もしたのに、あいつの方が料理技術を
高めていって.....だから、僕の手で。」
白状した。亜蘭は直紀の胸ぐらを掴んで
「ふざけんな!」
怒鳴って
「確かに樹の料理技術は高くて、俺はあいつを
料理大会に俺と出場させようとしたけど
『俺は直紀と一緒に出たいです、あいつは俺の
相棒だから。なのでお断りします』
樹は、俺の誘いを断ってまでお前を信頼して
たんだよ」
樹と自分の思いを話すと直紀は
「そんな.....僕は、何て事を」
絶望して膝から崩れ落ちて、亜蘭は
「自分の料理技術で罪の料理を作るんじゃねぇよ」
悲しい表情で言い、蒼流に
「悪い蒼兄、警察呼んでくれ」
そう言うと蒼流は
「うん」
一言発して警察を呼ぼうとした時、東が嫌な予感を
感じて右眼を閉じて左眼で亜蘭を見ると、亜蘭が
銃で撃たれて倒れる光景が見えた。東が右眼を
開けた次の瞬間、銃声が聞こえて、東が
「ふせろ!、亜蘭!」
叫んで、亜蘭は瞬時にしゃがんで間一髪銃弾を
避けた。銃弾が飛んできた方向を見ると1人の
男性一般客が銃を持って立っていた。東は
男性客に一瞬で距離を詰めて一撃当てかけたが、
男性客は瞬時に避けて素早い蹴りを繰り出して
東に当てかけて、東は未来視を使って蹴りを
避けて後方に下がり、
(武闘経験者か)
そう思い、体勢を直して再度近づいて畳み掛けた。
その後、攻防を繰り返したが、東の未来視が
早くて戦闘技術が圧倒的に優れていて男性客の
腹部に拳技を当てて気絶させた。攻防戦が
終わると季楽羅が東の元に駆け寄り、
「東さん、大丈夫ですか!?」
心配すると東は
「ああ。大丈夫」
そう言い、季楽羅の頭にポンと手を置いた。
亜蘭も近寄って
「こいつ何だ?、何者だよ」
そう聞き、東が
「分からない、どうして亜蘭を狙ったんだ?」
そう言うと直紀が
「ごめんなさい、兄のせいで皆さんが危険な目に」
謝り、亜蘭が
「直紀の兄貴か?」
そう聞くと東が
「どうして亜蘭を?」
そう聞き、直紀は
「兄は、呆れる程の超ブラコンで、僕のために
こんな事をしたんだと思います。兄は
僕のためなら何でもするから」
そう言うと亜蘭が
「直紀、お兄さんと一緒に罪を償え。そして
いつか絶対俺の店に帰ってこい!」
笑顔で伝えて、直紀は謝りながら号泣した。
その後、直紀とお兄さんを警察に連れて行き、
事件は解決して5人で事務所に帰ると紫桜が
「そういえば亜蘭、店は良かったのか?」
そう聞き、亜蘭が
「ああ。少しの間休店する」
そう言うと季楽羅が
「そういえばあの時、亜蘭さん見ただけで
どうやって料理が分かったんですか?」
質問して、蒼流が
「あれは見たんじゃなくて、匂いを嗅いだんだよ」
そう言うと季楽羅は
「匂いだけであんなに鮮明に分かったんですか!?」
驚いて聞き、蒼流が
「亜蘭は、味覚と嗅覚が優れてるんだよ、だから
料理人として最高の逸材なんだ」
そう言うと季楽羅は
「春夏秋冬兄弟は五感がスゴいですね!」
感心して褒めた。その後、5人で話していると
亜蘭が
「じゃぁ、俺はそろそろ帰ろうかな」
そう言い、紫桜が
「私も明後日には海外に戻るから帰るとしよう」
そう言って、蒼流が
「僕も明日早いから帰ろうかなっ」
そう言うと東が
「ああ。皆で今度集まって、また飯でも食べよう」
提案して、季楽羅が
「そうですね!、それじゃぁ皆さん、
おやすみなさ~い」
そう言うと3人は帰って行った。3人が帰った後、
季楽羅が
「久しぶりに、2人きりですね」
そう言い、東が
「そうだね、最近立て込んでたから」
そう言うと季楽羅が
「東さん」
そう言いかけた時、扉をノックする音が聞こえて
季楽羅が扉を開けると....
探偵事務所『ソムリエ』を訪れていた。
事務所の扉をノックする音が聞こえて季楽羅が
扉に近寄り、
「は~い」
扉をノックした人物に答えて扉を開けた。
そこには、黒髪ツーブロヘアーの男性がいて
「兄さんいる?」
突然、聞いてきて強引気味に中に入って来た。
男性は中に入り、東を見た途端、
「久しぶり!、兄さん」
そう言い、東は男性を見て
「久しぶりだね。蒼流」
微笑んで言葉を返した後、
「急にどうした?」
質問すると男性は
「実は、依頼を頼みたいんだけど」
相談した。東は
「詳しく話を聞きたいから、一旦ここに座って」
そう言って近くのソファに座らせて
東は男性が座ったソファの真正面ソファに座ると
季楽羅が近寄り、
「あの~、東さん。この方は?」
質問してきて、東が
「彼は、弟の春夏秋冬 蒼流(ひととせそうる)」
紹介して季楽羅は
「東さん、弟がいたんですか!?」
驚いて聞き、東は
「ああ。」
一言、言って頷いた。すると蒼流が
「ねぇ兄さん、この可愛い子誰?」
唐突に聞いてきて東は
「僕の助手の愛乃紅 季楽羅」
紹介した。蒼流はニヤけた顔で
「もしかして兄さんの彼女?」
煽るように聞くと東は
「ところで、依頼って何?」
蒼流からの煽り言葉を無視して聞いた。蒼流は
「えーっと、僕に彼女ができないのは、
なぜですか?」
そう聞き、東は
「それ嘘だよね」
呆れた声で言うと蒼流は
「やっぱり、分かっちゃうかぁー」
そう言い、季楽羅が話に入ってきた。
「蒼流さんも東さんの眼の事、知ってるんですね」
「もしかして季楽羅ちゃんも兄さんの眼の事、
知ってるの!?」
「はい」
「初めて聞いた時は、びっくりしたでしょ」
「はい、最初は信じられなかったけど一緒に生活
するうちに、だんだん東さんの事が分かって
いったんです」
そう言うと蒼流は東に質問した。
「じゃぁ兄さん、季楽羅ちゃんの最期とか
見ちゃったの?」
「いや....見てない」
東は嘘を言った。その後、東は
「蒼流、そろそろ依頼の件、聞かせてくれる?」
そう聞き、蒼流は
「あ、そうだった」
依頼の事を思い出して話し始めた。
「最近、学校で怪しい現場を目撃したんだけど」
そう言ってスマホを見せた。スマホの画面には
学校の教師らしき人と生徒が何かを取引してる
写真が映っていた。写真を見た季楽羅が
「これ何を渡してるんですか?」
質問すると東が
「薬物」
咄嗟に呟いて、蒼流が
「さすが兄さん、一目見て分かっちゃうとは」
褒めると季楽羅が
「薬物!?」
2人の会話中の言葉に驚き、
「どうしてそんな物を」
そう言うと東が
「おそらく教師側は金目当て、学生側は勉強や
人間関係が嫌になって違法に逃げたか、
もしくは出来心、興味本位ってとこかな」
推理を言い、蒼流が
「そこまで推理できるとは、やっぱり
IQ200超えはスゴいね!」
感心して褒めると東は
「つまり、これを僕に解決してほしいって事か」
そう言い、蒼流は
「うん。僕のクラスメイトや親友まで、この教師に
薬物をすすめられて、どんどん依存していって
おかしくなっちゃって....」
落ち込んだ表情で言うと東は
「分かった。この依頼お受けします」
承諾した。蒼流が
「でも、どうするの?」
そう聞くと東は
「まずは情報集めのための調査が必要だな」
そう言い、季楽羅を見つめて
「よし季楽羅!、潜入調査だ」
咄嗟に言うと季楽羅は
「え?」
言葉の理解が追いつかなかった。
翌日、蒼流はなぜか季楽羅と登校していた。
蒼流が
「潜入調査なんて大丈夫かなぁ?、うちの教師に
バレたら何て言われるか」
不安声と表情で言うと季楽羅が
「確かに。それに潜入調査なんて私むいてないし、
20歳で年齢が蒼流さんと近いからって理由な
だけで」
そう言い、蒼流が
「そうだよね、しかも兄さんこそ、まだ24歳で
ギリギリ大学生に見えると思うけどなぁー」
そう話していると背後から
「おはよう蒼流ー!」
挨拶する声が聞こえた。振り返ると蒼流と同じ
大学の学生たちがいて、蒼流は
「おはよう健人、翼、梨奈」
挨拶を返すと片耳ピアスでセンター分けヘアーの
男性が
「あれ?、蒼流もしかして彼女?」
ニヤけながら聞くと蒼流は
「ちげぇよ、兄さんの彼女らしき人だよ」
そう言うとツインテールの女性が
「蒼流、兄貴いたの?」
そう聞き、蒼流は
「言ってなかったっけ?」
疑問口調で聞くとツインテールの女性は
「初耳だよ、今度紹介して!、蒼流に似てたら
顔は良いでしょ」
そう言い、蒼流が
「はいはい」
呆れ苦笑いしながら言って、異変に気づいて
「そういえば竜也は?」
質問すると学生3人は黙り込んだ。蒼流は3人の
様子を見て察して
「....そっか」
一言発して
「じゃぁ....また教室でな」
そう言い、季楽羅と先に学校に向かった。そして
学校に着くと季楽羅が
「あの~、さっきの竜也さんって」
気になって聞き、蒼流は
「竜也は薬物に手出しちゃって、依存しすぎて
おかしくなって、その後は....僕も知らない」
落ち込んだ暗い表情で言うと季楽羅が
「この事件、絶対に解決させましょう!」
そう言って蒼流を励ました。その後、2人は
教室に入り、授業開始時刻になり、教師が
入ってきたが、教師は東だった。東を見た蒼流と
季楽羅は立ち上がって指差して
「ええーーー!??」
驚いて叫ぶと東は
「君たち静かに!。もう授業時刻ですよ」
注意して2人を座らせて
「今日、鶴賀先生が体調不良で休みなので、私が
代理で来ました。相沢です。よろしく
お願いします」
自己紹介と挨拶を言うと季楽羅と蒼流は納得いかない顔をしていたが、他の学生は
「めっちゃイケメン!」「超カッコいい!」
「私、タイプ!」
口々に言っていた。そして授業が終わった後、
東が退室すると季楽羅と蒼流が東の元に駆け寄り、
「何で東さんがここにいるんですか!?」
「兄さんどうやって入ったの!?」
そう聞くと東は
「こっそり潜入したんだよ。人手は多い方が
良いから」
そう言い、季楽羅が
「確かにそうですけど....」
不機嫌気味な表情で言うと東が
「それで蒼流、薬物を渡してる教師って普段
どこにいるの」
そう聞き、蒼流は
「だいたい、いつも科学室にいるけど」
そう言うと東は
「分かった。僕は科学室に向かう。季楽羅は
その教師がどんな人なのか学生に聞いていって、
蒼流は科学室方面に誰か来ないか見張ってて」
指示して、科学室に向かおうとすると蒼流が
「待って兄さん」
呼び止めて、
「科学室の場所分かるの?」
そう聞くと東は
「大丈夫。ここに来る前にこの学校の地図含めて
全情報暗記したから」
そう言って科学室の方へ向かった。東が科学室に
入ると白衣を着た中年男性教師がいた。東は
教師に近づき、
「あなたが亀谷先生ですか?」
そう聞くと中年教師は
「はい。そうですが、あなたは?」
質問して、東は
「相沢です」
偽名を名乗り、亀谷は
「見ない顔ですが、あなたうちの学校の教師
ですか?」
疑うように聞くと東は
「はい。もちろんです」
嘘を言った後、亀谷は質問した。
「ところで相沢先生はどうしてここに?、どうか
されましたか」
「何か用が無いと来ちゃいけないんですか?、
私はただ、あなたとお話がしたくて
来ただけですよ」
「そうですか、お話とは何ですか」
「最近、学生の間で流行ってる事、何かご存知
ですか?」
「いえ、知りません」
「ドラッグという物が流行ってるらしいですよ」
「そ、そう....なんですか」
亀谷は若干動揺しながら言うと東が
「化学専門の教師なのにドラッグを知らないん
ですか?」
そう聞き、亀谷は
「いえ、もちろん知ってますよ」
そう言うと東は
「じゃぁ、どうして私が今話した学生の間で
流行ってる事に怒らなかったんですか」
強い眼力で聞き、亀谷は
「それは.....」
不安の表情で一言呟いて黙り込むと東が
「まあ、学生が勝手にやってる事だから私たち
教師には関係ないですよね」
笑顔で言うと亀谷は安堵の表情になり、
「そうですよね」
そう言った。そして、東は
「では、失礼しました~」
そう言い、科学室を出た。その後、潜入調査は
終わって事務所に帰り、東は入手した情報を
まとめて推理していたが、急に閃いて
「季楽羅、明日から活躍してもらうよ」
そう伝えて作戦会議を始めた。それから再び、
翌日も潜入調査を行い、1週間後に季楽羅に交渉を
してもらった。放課後になり、季楽羅1人で
科学室に行って亀谷に
「先生、私に希望をください」
そう言うと亀谷は季楽羅に小さな黒いケースを
渡した。その瞬間、
「バッチリ撮れましたよ、亀谷先生」
そう言う声が聞こえて、声の方向を見ると亀谷と
季楽羅の方にスマホを向けていた東がいた。亀谷は
「相沢先生、どうしてここに」
そう言うと東は
「ずっと隠れてたんですよ、あなたの犯行を
この眼で確認するために」
そう言い、亀谷が
「それで、何を撮ったと言うんですか」
焦るように聞くと東が
「あなたが生徒に薬物を渡す光景ですよ」
そう言い、亀谷は笑い出して
「何を言ってるんですか、私は薬物なんて
渡していませんよ」
そう言って、季楽羅がケースを開けて中身を
見ながら
「え!?」
疑い声で驚いた。東が近寄って確認し、
中に入ってたのは錠剤の薬のような物だった。
東が、その錠剤薬を確かめると眉を寄せて
「これは、サプリ?」
そう言った。亀谷は
「これを生徒に渡しただけでどうなるんですか?、
逮捕でもされるんですか?」
煽るように聞くと東は
「いや違う」
目線をそらして呟き、科学室の後ろにあった
ボードをどかして、その後ろにある本棚も
どかした。そこには隠し扉があり、東が扉を
開けようとした瞬間、亀谷が焦りながら
「やめろぉ!」
叫んで走って止めようとしたが、東はすぐに
扉を開けて部屋の中をスマホで撮った。東が
「これは、いったい何ですか~?」
煽るように言いながら大量に生えていた植物を
眼で観察して確かめた。東は
「これはチョウセンアサガオ、こっちはコカノキ、
こちらはセージ、そしてこっちはトリカブト、
こんなにも様々な危険植物を育てて
何をしていたんですか?」
そう聞くと亀谷は
「私は生物学の教師だ!、生徒に世の中には
こんな危ない植物がある事を教えていただけだ!」
若干焦りながら怒鳴ると東は
「僕に嘘は通用しませんよ」
そう言い、ある動画を見せた。その動画には、
亀谷が学生に薬物注射を打つ映像が映っていた。
他にも、たくさんの動画を見せて閲覧した動画
全てに亀谷が学生に薬物を飲ませる映像や薬物を
大量に渡す映像が映っていた。亀谷は
「こんなもの、どうやって」
そう言い、東は
「この校内の至る所にカメラを仕掛けさせて
もらいました。そのカメラには、あなたの犯した
罪が全て映っています。諦めて一緒に警察へ
行きましょう」
そう言うと亀谷は
「クソーー!!」
悔しがり、
「お前、何者だ」
質問した。東は
「僕は、眼異探偵です」
名乗ると季楽羅が東に近寄り、
「やったね東さん!、今回も見事解決!」
上機嫌に言い、2人でハイタッチをした。
そして、東が
「では、亀谷先生。一緒に警察へ行きましょうか」
そう言うと亀谷は
「もう何もかも終わりだ。動画が世間に出回って、
教師生活だけじゃなくて人生が終わるんだ」
絶望すると東が
「大丈夫です。ちゃんと罪を償えば、もう一度
やり直せます」
そう言ったが、亀谷は
「そんなの嘘だ、俺は、もうお終いだーー!」
狂ったように叫び出して、東は咄嗟の判断で
右眼を閉じて未来の光景を見た。その光景は、
亀谷が錠剤薬を大量摂取していて、東が
(まさか!)
そう思い、右眼を開けて左眼を閉じると亀谷が
科学室ではなく、外で頭から血を流して
死んでいる光景が見えた。そして、東が左眼を
開けて両眼で見た瞬間、亀谷が薬の入った瓶を
取り出して薬を大量摂取しようとしたが、事前に
未来を見ていた事で東は瞬時に動き、薬が入った
瓶を蹴り飛ばした。すると亀谷は科学室の窓から
飛び降りる勢いで窓際に走って行ったが、
東は一瞬で追いついて亀谷の側頭部に蹴りを
当てて気絶させた。その後、東は床に散らばった
瓶に入っていた薬を見て、匂うとベラドンナで
あると分かって亀谷を警察に連れて行き、事件は
解決した。
東と季楽羅は蒼流と事務所に帰り、蒼流が
「ありがとう兄さん!」
お礼を言い、東は
「ああ。その代わり報酬は多く貰うよ」
そう言うと蒼流は
「ええー、兄さん金貰わなくても腐る程
持ってるじゃん」
そう言い、東は
「安心しろ、冗談だよ」
笑いながら言った。
翌日、季楽羅が
「東さーん、今日は新作ケーキ作ったんですけど
食べてくれますか?」
そう聞くと東は
「ああ。ぜひ頂くよ」
そう言った。すると事務所の扉をノックする音が
聞こえて、季楽羅が扉の方に向かい、
「は~い」
そう言って、扉を開けると金髪オールバックで
怖顔の男性が
「東さんっ!」
焦った様子で入って来た。東が、男性を見て
「お久しぶりです、武尊さん」
そう言い、男性は
「ご無沙汰です!、東さん」
そう言うと季楽羅が扉を閉めて近寄り、
「東さん、この方は?」
質問して、東は
「この人は、鷹虎 武尊(たかとらたける)さん」
紹介した。武尊は季楽羅に
「初めまして!、東さんの女ですか」
そう言うと季楽羅は
「いやいや、違いますよ~」
顔を赤くして照れながら言った。そして、東が
「ところで武尊さん、どうしたんですか?」
質問すると武尊は
「愛梨が....」
震える声で言い、東は
「愛梨ちゃんに何かあったんですか!?」
そう言うと武尊は
「実は、3年前と同じ....」
そう言い、東は
(3年前.....まさか!)
勘づいて、
「あの時と同じ事件が?」
疑うように呟くと武尊は
「....はい」
そう言い、東は武尊に話を聞いた。武尊は
「今日も組みの奴らとカチコミに出てて香織も
今日は外に出てて愛梨を1人で家に置いてたんで
すけど、俺が帰ると愛梨がいなかったんです。
香織と一緒に出掛けたのかと思って電話したんで
すが、愛梨は一緒じゃないと言われて胸騒ぎが
して夜になっても帰ってこなくて家のポストを
見たら手紙と携帯があって、紙には赤字で『お前
の娘を貰う』って書いてたんです。そして、
1日ごとに娘の声を聞かせてやるが、13日後は
絶対に聞けと書いてました」
話し終えると東が
「あの時と全く同じですね」
そう言い、
「その手紙と携帯はありますか?」
手掛かりとして聞くと武尊は手紙と携帯を渡した。
東は2つを受け取って
「今日は、ひとまず帰って休んでください」
そう言うと武尊は
「でもっ!....」
不安な声で言いかけて、東は
「大丈夫です。愛梨ちゃんは僕が絶対に助けます」
そう言い、武尊を家に帰らせた。その後、
東は推理を始めたが、手掛かりが少なくて
悩んでいると季楽羅が
「あの~、東さん。今の話どうゆう事ですか?」
そう聞いてきて、東が
「武尊さんは一度、僕の依頼者になった人なんだ」
そう言うと季楽羅は
「え?」
一言発して、東は武尊との過去を話し出した。
「3年前、武尊さんの奥さんが同じ犯行で誘拐
された。その時も手紙と携帯が置いてあって
見ると、この手紙と全く同じ内容だった」
「でも犯人は、どうして1日ごとに電話をしたん
ですか?、居場所を教えるため?」
「いや。奥さんの断末魔を聞かせるためだよ。
電話をかけて奥さんの爪をペンチで剥いで
いったんだ」
それを聞いた季楽羅は言葉が出なかった。
沈黙が続いた後、季楽羅が
「どうして、13日後は聞かなきゃ
いけなかったんですか?」
恐る恐る聞くと東は
「爪を剥ぎ終わっていて焼却炉に入れて本当の
断末魔を聞かせるため」
そう教えて、季楽羅は
「でも、だったら何で13日後に?」
震える声で聞くと東は
「10日間で爪は剥ぎ終わって11日、12日で
眼球を潰すから....」
そう言うと季楽羅は
「そんな事が3年前に」
怯えながら言い、東は
「季楽羅が、ここに来たのは2年前だからね」
そう言うと季楽羅が
「奥さんは、助かったんですか?」
不安な表情で聞き、東は
「ああ。ギリギリ10日目で救えたよ」
そう言った。季楽羅は
「もしかして今回も、また同じ犯人が!?」
そう言い、東は
「いや、それはあり得ない。今犯人は捕まってる
から」
そう言うと季楽羅は
「そういえば武尊さんって、どんな人なんですか?
怖い雰囲気の人でしたけど」
そう言い、東が
「武尊さんは、極道だよ」
そう教えた。季楽羅は
「極道!?、そんな人に慕われてるなんて、東さん
スゴいですね!」
褒めると東は
「事件を解決して以来、なぜかスゴく仲良く
なっちゃって」
嬉しそうに言い、季楽羅が
「東さんって、ホントに何者ですか?」
そう聞くと東は
「僕は、ただの眼異探偵だよ」
そう言い、
「それはそうと、この事件をどう解決するかだ」
そう言って考え始めた。すると季楽羅が
「3年前と同じ解決法なら」
そう言いかけて、東は
「おそらく無理だと思う」
そう言い、季楽羅が
「どうしてですか?」
質問すると東は
「実は、その犯人は移動していたんだ。
キャンピングカーを使って、その中で香織さんを
傷つけていた」
そう言い、季楽羅は
「どうやって分かったんですか?」
そう聞くと東は
「音だよ。キャンピングカーは普通の車と
少し音が違ってるんだ。そして武尊さんの車も
エンジン音が特殊だったから武尊さんの車を
走らせて犯人と電話を繋げたまま犯人の車と
すれ違った瞬間の音を聞き逃さずに捕まえたんだ」
そう話すと季楽羅が
「どうやって、すれ違えたんですか?、犯人の車が
どこを走っているかなんて分からないはずだし」
そう言い、東は
「香織さんの声を聞かせるなら武尊さんの家の
周囲を走ってると思って2、3日見張り、
同じ場所を同じ車が走ってる事を確認して、
その車に目をつけて捕まえたんだ。捨て身の選択
だったけど僕が警察に変装して車を停まらせて
免許証チェックや内装チェックとか言って
犯人たちを車から出して、その瞬間を狙って
犯人たちに1撃ずつ浴びせて香織さんを助けた」
そう話し、季楽羅が
「じゃぁ、どうして今回はその方法が使えないと
思ったんですか?」
質問すると東は
「今回拐われたのは愛梨ちゃんだ。7歳の子供
1人にキャンピングカーを使うとは思えないし、
まず第1に移動犯なのかも分からない」
そう言い、季楽羅が
「じゃぁ、どうすれば....」
暗い表情で言うと東は
「でも絶対に助ける」
そう誓った。
翌日、東と季楽羅は武尊の家に行き、犯人からの
電話を待った。そして、電話がきて
『鷹虎さん、今からあんたの娘の声、聞かせて
やるよ』
そう言われた直後、
『うわぁーーー、痛い痛いっ、痛いよーー、
パパーーー、ママーーー』
子供の悲鳴が聞こえた。それを聞いた武尊は
激怒して
「やめろっ!!」
怒鳴ると犯人が
「それじゃぁ、また明日ー」
そう言い、電話が切れた。香織が
「東さん!、愛梨を助けてください!」
震える声で言うと東は
「今の数分で分かった事は、相手が変声機
(ボイスチェンジャー)を使っていた事だけ。
前回の犯人はそんな物使ってなかった」
そう呟き、推理を始めて
(それに車の揺れる振動音が聞こえなかった。
今回は屋内?)
そう考えて
「そういえば、前回の犯人は鷹虎 武尊と呼んでま
したが、今回の相手は鷹虎さんと言ってました。
何か心当たりはありませんか?」
そう聞くと武尊は
「いいえ、全く」
そう言い、東は悩んだ。その日は結局何も解けず、
事務所に帰った。
翌日になり、再び東と季楽羅は武尊の家に行き、
犯人との電話が終わり、東が推理をしたが、
何も解けず事務所に帰って考えて蒼流を呼んだ。
そして、3日目は東と季楽羅と蒼流の3人で行き、
蒼流が
「お久しぶりです、武尊さん」
挨拶して、武尊は
「ご無沙汰です!、蒼流さん」
そう言うと季楽羅が
「お2人知り合いだったんですか?」
そう聞き、武尊が
「はい。東さんの弟なので」
そう言って
「ところで今日は、なぜ蒼流さんまで?」
そう聞くと東が
「蒼流に協力してもらおうと思って連れてきたん
です」
そう言い、蒼流が何かの準備を始めた。そして
犯人から電話がきて、いつもの内容で終わると
東が
「蒼流、どうだった」
そう聞くと蒼流は
「ごめん、ダメだった」
謝ると東は
(妨害電波を出してたか)
そう考えると武尊が
「東さん、これはいったい」
質問してきて、東が
「犯人が電話してくる時の電波を拾って場所を
特定しようと思ったんですが、相手が妨害電波を
出してたのでダメでした」
そう言い、蒼流が
「僕、学校でこの分野専門だから機械類は強い方
なんですけど、妨害されたらさすがに手が
出せないです」
悔しそうに言うと武尊は
「そうすか....」
落ち込んで、東たちは事務所に帰り、作戦を
考えていると蒼流が
「そういえば兄さん、桜兄に協力してもらおっ!」
そう言い、東が
「今、紫桜は海外だから無理だろ」
そう言うと蒼流は
「兄さん知らないの?、桜兄帰って来たんだよ!」
そう言い、東は
「本当か!?」
そう聞くと蒼流は
「もし、僕が嘘ついてたら分かるでしょ」
苦笑いしながら言い、季楽羅が
「あの~、2人とも誰の話をしてるんですか?」
そう聞くと蒼流が
「兄さん、季楽羅ちゃんに桜兄の事話してないの?」
質問して、東は
「そういえば、話した事なかったね」
そう言うと蒼流は季楽羅に
「僕たちには、もう1人兄弟がいるの」
教えると季楽羅は
「え!?、もう1人いたんですか!?」
驚いて聞き、東が
「ああ。」
一言発して、
「それで蒼流、紫桜帰って来てるのか?」
そう聞き、蒼流が
「うん。久しぶりに帰ってきたから今は日本巡り
してると思う」
そう言うと東は
「今すぐ連絡しよう」
そう言ってスマホで誰かに電話をかけ始めた。
2時間後、事務所の扉をノックする音が聞こえて
東が扉を開けると金髪ロングで髪型は
センター分けポニーテールの筋肉質でガタイが
良い男性がいた。男性は
「久しぶり、兄さん」
そう言って中に入って来た。男性は季楽羅を見ると
「whoareyou?」
英語を言い、季楽羅が
「初めまして。愛乃紅 季楽羅です」
自己紹介すると男性は
「私は、春夏秋冬 紫桜(ひととせしおう)です。
nicetomeetyou」
自己紹介と挨拶をして握手した。季楽羅は
「よろしくお願いします。ところで紫桜さんは
何されてる方なんですか?、海外にいたって
聞いたんですけど」
そう言い、紫桜は
「通訳・翻訳、小・中・高校の日本語教師として
行ってました」
そう言うと東が
「紫桜、帰って来てさっそくで悪いが、お前の
力が必要だ」
そう言い、紫桜は
「仕方無いなぁー、後で美味い飯奢ってね」
そう言って、ソファに座って東から話を聞いた。
そして、季楽羅が蒼流に
「どうして東さん、紫桜さんの力が必要
なんですか?」
そう聞くと蒼流が
「それは、たぶん明日分かるよ」
そう言った。
4日目は、東と季楽羅と紫桜と蒼流で武尊の家
に行き、犯人から電話がくるのを待った。数分後、
電話がきて内容は全く同じだったが、通話が
終わった途端、紫桜が
「understood」
英語を言い、突然外に出てどこかに走り出して
東と蒼流と季楽羅がついて行き、着いた先は
使われていない廃ビルだった。そこに4人で入り、
紫桜が突然拍手をしながら叫び出すと男が
4人出てきた。男の1人が
「何だお前?」
そう聞くと紫桜は
「鬼さん、こっちだ~」
そう言い出してどこかに走り出した。男4人は
「待てこらー!」「ふざけんなぁー」
怒声で言いながら追いかけた。その隙に
隠れていた東たちはビルの奥に行った。すると
1人の少女の泣き声が聞こえた。声の方に
隠れながら行くと1人の男がナイフを持って
少女の隣にいた。それを確認した3人は行動して
蒼流が目の前に出て
「その子を離せ!」
そう言い、男は
「誰だお前!」
そう聞いていると背後から東に殴られて気絶した。
そして季楽羅が少女に近寄り、
「お嬢ちゃん大丈夫!?」
不安声で心配しながら聞くと少女は季楽羅の
腕の中で涙を流して
「怖かったよーー」
泣き叫ぶと季楽羅は
「もう大丈夫だよ」
優しい声で言い、少女を抱き締めた。その後、
東が蒼流に合図を出すと蒼流が
「クリアーーーー」
そう叫んで男4人から逃げていた紫桜が突然足を
止めて振り返り、ゴツい筋肉腕で男4人を一瞬で
薙ぎ払った。そして、紫桜は
「solution」
英語を言った。その後、パトカーがきて男5人は
警察に連れて行かれて少女は武尊と香織と再会
して3人で涙を流して抱き合った。武尊は
「東さん、本当にありがとうございました!」
お礼を言って事件は解決した。
それから事務所に帰り、季楽羅が
「紫桜さん、あの時どうして分かったんですか?」
そう聞くと蒼流が
「桜兄は人の何百倍も耳が良いんだ」
そう言い、季楽羅が
「でも、それでどうして分かったんですか?」
そう聞くと蒼流が
「電話で犯人や愛梨ちゃんの声を聞いてる間、
他の音を聴き取ってたんだよ」
そう言い、季楽羅は
「もしかして他の物音や車の走行音だけで
分かったんですか!?」
驚いて聞くと蒼流が
「うん!、うちの兄たちは視力と聴力がエグい
からね、兄さんは反則級の眼球持ちで桜兄は
人並み外れた耳を持ってるんだ~」
自慢気に言った。すると紫桜が
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嬉しそうに言い、4人でレストランに向かった。
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そう言い、蒼流が
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した男性が近寄って来た。その男性を見た途端、
東は
「久しぶりだな、亜蘭」
そう言うと男性は
「ああ。久しぶり!、兄貴」
そう言った。それを聞いた蒼流が男性を見て
「えぇ!?、亜蘭!、久しぶり」
そう言い、男性が
「久しぶり!、蒼兄」
そう言うと東が
「なぁ、紫桜お前わざとこの店選んだだろ」
そう聞き、紫桜は東とは目を合わさず、
「何の事?」
とぼけた表情で聞くと東は
「僕に嘘は通用しないよ」
そう言い、季楽羅が
「あの~、この方お知り合いなんですか?」
質問すると東が
「彼は、春夏秋冬 亜蘭(ひととせあらん)
僕らの弟だよ」
紹介して、季楽羅は
「えぇ!?、4人兄弟なんですか!?」
驚いて聞くと亜蘭が季楽羅を見て
「誰?、お前」
そう聞き、東が
「彼女は、僕の助手の愛乃紅 季楽羅」
紹介すると亜蘭は
「兄貴、助手なんか雇ったの?」
そう聞き、東が
「ああ。そうだけどお前こそ自分の店持ってた
んだな」
そう言うと亜蘭は
「まあな。長い間会ってなかったから俺の味
忘れてるかと思ったけど覚えてたんだな!」
嬉しそうに言い、蒼流が
「当たり前じゃん、兄さんは一度覚えたものは
忘れないんだから」
そう言うと亜蘭が
「でも、蒼兄は分かってなかったな」
煽るように言い、蒼流は
「ごめん、僕鈍いから。でもスゴく美味し
かったよ!」
そう言うと亜蘭は
「当たり前だろ!、世界1のシェフが作ったん
だから」
自画自賛しつつ、自慢気に言った。すると東が
「ところで紫桜、なぜここに連れて来た」
そう聞き、紫桜は
「久しぶりに兄弟で集まりたくなっちゃってさ」
そう言うと東は
「なるほどな」
渋々納得して、
「亜蘭、とても美味だった。ごちそうさま」
お礼を伝えると亜蘭は
「おう!、またいつでも食べに来てくれよ」
満足気な表情で言った。その直後、店の厨房で
悲鳴が聞こえて、声に気づいた東たちは
奥の厨房に向かい、そこで眼に入ったものは
料理人が1人泡を吹いて倒れている光景だった。
亜蘭が
「樹!」
名を呼んで近寄ろうとしたが、東が
「待て亜蘭!」
呼び止めて辺りを見渡して状況確認して
「これは、殺人未遂事件だ」
そう言った。それを聞いた季楽羅と蒼流と紫桜は
疑い気味な表情で驚き、亜蘭が
「殺人未遂、事件?」
そう言い、蒼流が東に
「どうゆう事、兄さん」
そう言うと東は
「散らかった食器と料理が、ヒントだよ」
そう言い、床に散らばっている食器と料理を
指差した。すると亜蘭が
「誰だ!、樹をこんな目にあわせた奴は」
怒鳴ると東が
「落ち着け亜蘭、推理して必ず犯人を見つけて
みせるよ」
そう言って、
「まずは救急車を呼んで、店を閉めて今日来た客
を帰さないで厨房にいた料理人を集めて」
指示していった。数分後、救急車がきて
倒れていた料理人は運ばれて他の料理人を集めて
亜蘭が
「まず今日、樹と同じ時間帯のシフトだった奴
誰だ」
質問すると3人の料理人が亜蘭の前に立ち、亜蘭が
「明里、叶太、直紀、お前ら樹と一緒にいて誰が
こんな事したのか見てねぇのか?」
そう聞き、3人は首を左右に振って
「見てません」
そう言ったが、東は一瞬で気づいて
「犯人は、あなたですね」
1人の料理人(直紀)を指差して、そう言った。
亜蘭は
「直紀が?」
疑いの表情で言うと直紀は
「違う!、僕は何も知らない!」
必死に言い、東が
「僕に嘘は通用しませんよ」
そう言うと亜蘭は
「本当に....お前が、やったのか?」
疑いながら聞いた。直紀は
「違います!、僕じゃありません!、亜蘭さん
こんな奴の言う事信用するんですか」
そう言うと亜蘭は
「ああ。もちろん信じるぜ、兄貴の眼は全てを
見破るからなぁ」
そう言い、直紀は
「違う!、本当に僕じゃない!、だいたい何で
根拠も無く嘘だって言える!」
そう言うと亜蘭が
「お前、いい加減認めろ」
そう言いかけ、東が
「亜蘭!、直紀さんの言う通りだ。嘘が見える
なんて言っても何の根拠にもならないし、
誰も信じる訳が無い」
そう言った。亜蘭は
「じゃぁ、どうすんだよ」
そう聞くと東は
「亜蘭、お前の力貸してくれ」
そう言い、全員で現場に行き、散らかっていた
料理を見て、東が
「これならお前が謎解いてくれるだろ」
そう言うと亜蘭が閃いて
「なるほどな」
そう言い、亜蘭は料理を匂い出して確信した。
亜蘭は
「兄貴の言う通り、犯人はお前だ。直紀」
そう言い切って、直紀は
「え!?、どうしてですか!?」
驚いて聞くと亜蘭は
「この料理、魚と野菜のニンニク炒めだが、
魚の焼き時間が3分半、野菜の焼き時間1分半、
その後野菜は蒸して、ニンニクを少し炒めた
らしいが、料理工程が少し多い。それに、
ニンニクが多くて魚の焼き時間が若干長くて
焦げ目をつけている。そしてピーナッツが
入っていて、この癖のある匂いの味付けは
お前にしか出来ねぇ」
説明を終えて、直紀は亜蘭の完璧な説明に腰を
抜かして何も言い返せず、亜蘭が
「どうしてピーナッツなんか入れた。樹は、
重度のピーナッツアレルギーで、もし食べると
アナフィラキシーショックを起こすんだぞ。樹と
長年一緒にいたお前なら知ってたはずだろ」
そう言うと直紀は
「悔しかったんです。同じ時期に就職して2人で
修行もしたのに、あいつの方が料理技術を
高めていって.....だから、僕の手で。」
白状した。亜蘭は直紀の胸ぐらを掴んで
「ふざけんな!」
怒鳴って
「確かに樹の料理技術は高くて、俺はあいつを
料理大会に俺と出場させようとしたけど
『俺は直紀と一緒に出たいです、あいつは俺の
相棒だから。なのでお断りします』
樹は、俺の誘いを断ってまでお前を信頼して
たんだよ」
樹と自分の思いを話すと直紀は
「そんな.....僕は、何て事を」
絶望して膝から崩れ落ちて、亜蘭は
「自分の料理技術で罪の料理を作るんじゃねぇよ」
悲しい表情で言い、蒼流に
「悪い蒼兄、警察呼んでくれ」
そう言うと蒼流は
「うん」
一言発して警察を呼ぼうとした時、東が嫌な予感を
感じて右眼を閉じて左眼で亜蘭を見ると、亜蘭が
銃で撃たれて倒れる光景が見えた。東が右眼を
開けた次の瞬間、銃声が聞こえて、東が
「ふせろ!、亜蘭!」
叫んで、亜蘭は瞬時にしゃがんで間一髪銃弾を
避けた。銃弾が飛んできた方向を見ると1人の
男性一般客が銃を持って立っていた。東は
男性客に一瞬で距離を詰めて一撃当てかけたが、
男性客は瞬時に避けて素早い蹴りを繰り出して
東に当てかけて、東は未来視を使って蹴りを
避けて後方に下がり、
(武闘経験者か)
そう思い、体勢を直して再度近づいて畳み掛けた。
その後、攻防を繰り返したが、東の未来視が
早くて戦闘技術が圧倒的に優れていて男性客の
腹部に拳技を当てて気絶させた。攻防戦が
終わると季楽羅が東の元に駆け寄り、
「東さん、大丈夫ですか!?」
心配すると東は
「ああ。大丈夫」
そう言い、季楽羅の頭にポンと手を置いた。
亜蘭も近寄って
「こいつ何だ?、何者だよ」
そう聞き、東が
「分からない、どうして亜蘭を狙ったんだ?」
そう言うと直紀が
「ごめんなさい、兄のせいで皆さんが危険な目に」
謝り、亜蘭が
「直紀の兄貴か?」
そう聞くと東が
「どうして亜蘭を?」
そう聞き、直紀は
「兄は、呆れる程の超ブラコンで、僕のために
こんな事をしたんだと思います。兄は
僕のためなら何でもするから」
そう言うと亜蘭が
「直紀、お兄さんと一緒に罪を償え。そして
いつか絶対俺の店に帰ってこい!」
笑顔で伝えて、直紀は謝りながら号泣した。
その後、直紀とお兄さんを警察に連れて行き、
事件は解決して5人で事務所に帰ると紫桜が
「そういえば亜蘭、店は良かったのか?」
そう聞き、亜蘭が
「ああ。少しの間休店する」
そう言うと季楽羅が
「そういえばあの時、亜蘭さん見ただけで
どうやって料理が分かったんですか?」
質問して、蒼流が
「あれは見たんじゃなくて、匂いを嗅いだんだよ」
そう言うと季楽羅は
「匂いだけであんなに鮮明に分かったんですか!?」
驚いて聞き、蒼流が
「亜蘭は、味覚と嗅覚が優れてるんだよ、だから
料理人として最高の逸材なんだ」
そう言うと季楽羅は
「春夏秋冬兄弟は五感がスゴいですね!」
感心して褒めた。その後、5人で話していると
亜蘭が
「じゃぁ、俺はそろそろ帰ろうかな」
そう言い、紫桜が
「私も明後日には海外に戻るから帰るとしよう」
そう言って、蒼流が
「僕も明日早いから帰ろうかなっ」
そう言うと東が
「ああ。皆で今度集まって、また飯でも食べよう」
提案して、季楽羅が
「そうですね!、それじゃぁ皆さん、
おやすみなさ~い」
そう言うと3人は帰って行った。3人が帰った後、
季楽羅が
「久しぶりに、2人きりですね」
そう言い、東が
「そうだね、最近立て込んでたから」
そう言うと季楽羅が
「東さん」
そう言いかけた時、扉をノックする音が聞こえて
季楽羅が扉を開けると....
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