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異世界生活
第18話〜嵐〜
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昨日は晴天だったが、深夜にまた少し雪が積もったようだ。
取り敢えず早く起きる事は出来たので、すぐに会場へ向かい、スタジアムやコートを整える。
結果的に昨日の昼間の晴天で溶けてしまっている部分があったので、雪が降ったのは幸いであった。
早朝の6時ごろから8時半ごろまでかかってしまった。
観客席がとてつもない広さなので、清掃の時間がかかってしまった。
9時を過ぎるとぼちぼち人が入り始めて出店も店を開き始めた。
続々と観戦者や準々決勝進出者がスタジアムに入っていく中、俺はまた近くの温泉に入っていた。
汗だくで臭いままだと競技に集中できないからな。
なんだかんだ言い訳をしてフルーツジュースをまた飲みに来ただけとも言えるが。
お、レイラも到着したようだな。
風呂でさっぱりしたしそろそろ俺も入場するか。
出場者表を見るとSUOAMもちゃんと残っていることが確認できた。
早く当たってみたいものだな。
今日は第一試合からいきなり俺たちの出番のようだ。
相手は親子でCランクのグループとして活動しているここら辺では有名な二人だ。
最近来たばっかりの俺はまだ接点はなかったが、積極的に不人気のクエストをクリアしてくれるのでギルドも頭が上がらないようだ。
大歓声に包まれながら、入場を開始する。
実は昨日とは少しステージを変えてある。
今日は昨日のコートを崩して一つの大きいコートにしたのだ。
またコート内の雪壁や凹凸もさらに大きいものになって、より戦術の幅が広がり、よりエキサイトするよう工夫したのだ。
さらに観客全員が見えるように大きくしたという理由もある。
これによって会場全体数万人は同じ一つの試合で盛り上がるようになるというわけだ。
単純計算ではあるが昨日の二倍である。
人の声で身体中が揺れていると錯覚する程に凄まじさだった。
さて、スタート位置についた。
観客は固唾を飲んで見守る。
試合の開始のゴングが静寂の中からから響き渡り、会場は一気に盛り上がる。
俺たちは取り敢えず対策をされていない体で昨日と同じ作戦をする事にした。
レイラの歌が響き渡り、動きが鈍くなっているはずが、一向にその鈍くなった冒険者が見つからない。
流石にそれなりの対策は練られているようだ。
昨日はただバカ正直に突っ込んでくる相手だけだったのでこちらから探す必要もなくあっさりと勝つことができたが、今日は最初から姿を隠している。
姿がわからない以上相手を待つか相手を探しに行かなければならない。
どちらが先に焦れるかが勝負かもしれないな。
姿を消しながら雪の中を俺は進んでいく。
しかし姿は見えないが当然のことながらここに存在はしているため、足音が聞こえたり、足跡が残る。
死角になっているであろう雪壁をよじ登り、一旦わざと姿を見せる。
するとこちらの居場所がばれてしまったが、同時に高いところに出たことで、相手の位置を把握することができた。
やはり相手は焦れてきた俺たちを狙い撃つために凹凸に潜り込んでいた。
レイラに指示を出しながらもう一度姿を消す。
潜伏は非常に有効な手ではあったが、静から動へ移るには通常より時間がかかってしまう。
さらにその場を動けないことから、相手本位で競技が進んでしまう欠点もある。
狙う場所がハッキリしたこともあり、レイラの歌魔導は高い効果を発揮した。
こうなればあとは俺が落ち着いて二人に雪玉を当ててっと。
無事に試合が終了した。
対戦後に話を聞くと、昨日とステージが変わったので急遽考えた作戦だったらしい。
欠点を補う方法が確立できていたら危なかったかもしれないな。
さて、準決勝に駒を進めた俺たちは次の試合を観戦した。
次の試合はリロさんと相方のチームと小さい子供と大人のチームであった。
そしてその戦い方に俺は度肝を抜かれた。
リロさんは全く隠れようともせず、相手に近寄っている。
何か秘密があるのかと隠れ続けていた親子だが、一向に何かある気配がしないので痺れを切らして雪玉をリロさんに投げつける。
するとリロさんに当たる前に何かにぶつかって雪玉は粉々になった。
驚いているところに静かに近寄ってきたリロさんの相方が二人を撃破して危なげなく勝利していた。
あれは防御魔導を使っているな。
防御魔導は手の形が型にはまっていないと発動しないため、雪玉を投げる事は出来ない。
しかし絶対に雪玉に当たる事はないので最強の囮になれるという訳である。
これで準決勝の相手はリロさんたちのチームに決まった。
何も対策が浮かばないまま、30分ほどが過ぎた。
そろそろ準決勝が始まる。
ここで俺は素晴らしい作戦を思いついた。
今きているステルスの服をレイラに着せ、俺はただ単に厚着をしてスタート位置に着く。
始まりのゴングがなるやいなや俺は雪壁の裏にもう一つ雪壁を作った。
かなりの厚さにしてバレないように上手く作ったつもりだ。
ところどころ状況確認用の小さな穴を開けてあるが、外は明るく中は暗いため向こうからこちらを覗く事は出来ない。
俺は隙を伺い続けた。
案の定リロさんは防御魔法でゆっくりと歩いているが、隠れている俺とステルスの服で見えないレイラを見つける事は出来ない。
レイラがじっとしているすぐそばでリロさんの相方が通り過ぎたので雪玉を投げつけた。
無事に相方を除外すると、その突然のことにリロさんは防御魔導を解除してしまった。レイラが歌魔導で動きを鈍らせ、タイミングを伺っていた俺が一気に飛び出し雪玉を当てた。
奇策でなんとか勝つことが出来た俺たちは、会場にいる観客たちからとてつもない賞賛を貰った。
試合が終わるとリロさんに敗因を聞いてみた。
まあ聞いたものの大体わかってはいたが、突然のことに驚きすぎてしまって立て直すのが遅れたみたいだ。
実戦ではそんな事はないのだが、慣れない環境に慣れない競技をしていたのが仇となったようだ。
こうして無事に決勝までたどり着くことが出来た俺たちは、次の試合を観戦した。
反対ブロックの山は殆ど見ていなかったため、誰が勝ち上がっているかもわからなかったが、SUOAMが開始して直ぐに危なげなく勝利した。
実況に聞いてみると今まで一試合も接戦だった事はないらしい。
恐ろしいペアである。
てっきり俺はでかい方が囮で小さいすらっとした方が隙を見て倒しているのだろうと勝手に考えていたが、どちらも恐ろしい嗅覚で相手の場所を察知し、ピンポイントで当てている。
ステルスが効くのか不安になってきた。
俺とレイラは頭を抱えてしまうのだった。
決勝戦はお昼を挟んで13:30頃から始まるようにスケジュールを組んだので少し時間が空く。
この隙にステルスを使ってコソコソ出店に行こうとしたが、どういうわけかレイラに見破られ、軽いもので済ませるよう厳重な注意をされた。
昨日来てなかった店が出ていたので行こうとしたのだが、、、、。
お昼休憩も終わり、時間になったところで、俺は入場口に並ぶ。
向こう側には凸凹コンビが並んでいる。
ゴングが鳴った。
一斉に俺たちは先ほどの作戦に取り掛かる。
大きい方が物凄い勢いで雪壁に雪玉を投げてきた。
?!居場所がバレている?
そんなはずないとそのまま潜伏を続けるが、大男はこちらへと真っ直ぐに進んでいく。
これはまずいと思い、爆発魔法で目くらましをしてその隙に逃げることにした。
なんとか距離をとって隠れたのも束の間、またこちらに向かって走ってくる。
もうダメだと思い俺は雪玉を全力で投げる。
大男は雪玉を何かで跳ね返し、真っ直ぐにこちらへ雪玉を飛ばしてきた。それを避けようと横へ移動すると真上から雪玉が降ってきた。
全く気づかなかった俺はそのままダウンする。
今大会初のダウンである。
横を見るとレイラが丁度小さい方の男に当てられてダウンしているのが見えた。
この瞬間SUOAMの勝利が決定し、会場の熱気はピークを迎えた。
悔しかったが、対戦を終え、相手と少し話しをする。
「お疲れ様でした。
完全に気配を消してたつもりなんですけど、よくわかりましたね。」
「ああ、気配は消せても周りの空気までは消せてなかったからな。
空気がそこに居ることをしっかりと俺に教えてくれたんだよ。」
「はぁ、そうでしたか。
相方もステルスの服を着ながらあっさりと負けていたので完敗でした。
優勝おめでとうございます。」
話しながら、空気を消すとか、空気が教えてくれるとか難しいことについて少し考えるも、俺には言ってる意味が理解できなかった。
「ありがとな。
もう少し修行してもっと実力が上がったらうちに来るといい。
歓迎するぞ。」
うちに来る?
なんかの傭兵団でもやっているのか?
不思議な人である。
無事に試合が終わり、閉会式が始まる。
出場者の俺が渡すのは変だが、主催者なので優勝トロフィーと賞金を渡す役目になっていた。
優勝したSUOAMにトロフィーと賞金を渡す。
会場は彼らに惜しみない拍手を送った。
実況がインタビューを始める。
「おめでとうございます。
本日は如何でしたか?」
インタビューで大男と小柄な男は仮面を外した。
「そうだな。
やはり魔族をはじめとする沢山の種族が共存繁栄しているこの国を統べるものとして負けるわけにはいかなかったからな。
助手で秘書のクライには世話になった。」
一瞬の静寂の後、会場に激震が走る。
なんとか落ち着きを取り戻した実況が確認を取る。
「も、も、も、もももももしかして、、、、
魔王様であられますか、、?」
「ああそうだ。
いかにも俺がこのターリン魔王国連邦の魔王を務める者だ。」
?????!!!!!????
おいおい、なんでこんな辺鄙なところに魔王様がおいでになるんだ?
そもそも首都にいるんじゃないのか??
しかし思い返せば
チーム名であったSUOAMをひっくり返すと
MAOUS(魔王たち)
となるではないか。
これは一本どころか百本ほど取られてしまった。
会場が騒然とする中、二人は転移魔法で嵐のように去っていった。
かくして俺が企画した雪合戦トーナメントは終わりを迎えた。
この出来事はしばらくこの国中で語り継がれるのだった。
準優勝と惜しくも優勝はできなかったものの、あの魔王様に負けたのだから仕方がないな。
それにしても雪玉を跳ね返すあのカウンターは噂に聞く魔法というやつなんだろうか。
おばあさんの話では魔法の一部分が魔導であるという話であった。
魔法には型や属性はないらしく全ての力を思いのままに操ることが出来るらしい。
いつか魔法使いになりたいと思う俺であった。
祝勝会とはいかなかったが健闘会をレイラの家の食堂で開いてもらった。
魔王様と戦うことができただけでも光栄だとレイラのお父さんに言われた。
いまいち魔王様がどのくらい凄い人なのかはわからなかったが、今日身をもって体感した俺は、同感であった。
今日の健闘を讃えてくれたのか、露天風呂にはフルーツが浮いていた。
爽やかな香りでサッパリとしたお湯であった。
二日間働き詰めだった俺は泥のように眠った。
取り敢えず早く起きる事は出来たので、すぐに会場へ向かい、スタジアムやコートを整える。
結果的に昨日の昼間の晴天で溶けてしまっている部分があったので、雪が降ったのは幸いであった。
早朝の6時ごろから8時半ごろまでかかってしまった。
観客席がとてつもない広さなので、清掃の時間がかかってしまった。
9時を過ぎるとぼちぼち人が入り始めて出店も店を開き始めた。
続々と観戦者や準々決勝進出者がスタジアムに入っていく中、俺はまた近くの温泉に入っていた。
汗だくで臭いままだと競技に集中できないからな。
なんだかんだ言い訳をしてフルーツジュースをまた飲みに来ただけとも言えるが。
お、レイラも到着したようだな。
風呂でさっぱりしたしそろそろ俺も入場するか。
出場者表を見るとSUOAMもちゃんと残っていることが確認できた。
早く当たってみたいものだな。
今日は第一試合からいきなり俺たちの出番のようだ。
相手は親子でCランクのグループとして活動しているここら辺では有名な二人だ。
最近来たばっかりの俺はまだ接点はなかったが、積極的に不人気のクエストをクリアしてくれるのでギルドも頭が上がらないようだ。
大歓声に包まれながら、入場を開始する。
実は昨日とは少しステージを変えてある。
今日は昨日のコートを崩して一つの大きいコートにしたのだ。
またコート内の雪壁や凹凸もさらに大きいものになって、より戦術の幅が広がり、よりエキサイトするよう工夫したのだ。
さらに観客全員が見えるように大きくしたという理由もある。
これによって会場全体数万人は同じ一つの試合で盛り上がるようになるというわけだ。
単純計算ではあるが昨日の二倍である。
人の声で身体中が揺れていると錯覚する程に凄まじさだった。
さて、スタート位置についた。
観客は固唾を飲んで見守る。
試合の開始のゴングが静寂の中からから響き渡り、会場は一気に盛り上がる。
俺たちは取り敢えず対策をされていない体で昨日と同じ作戦をする事にした。
レイラの歌が響き渡り、動きが鈍くなっているはずが、一向にその鈍くなった冒険者が見つからない。
流石にそれなりの対策は練られているようだ。
昨日はただバカ正直に突っ込んでくる相手だけだったのでこちらから探す必要もなくあっさりと勝つことができたが、今日は最初から姿を隠している。
姿がわからない以上相手を待つか相手を探しに行かなければならない。
どちらが先に焦れるかが勝負かもしれないな。
姿を消しながら雪の中を俺は進んでいく。
しかし姿は見えないが当然のことながらここに存在はしているため、足音が聞こえたり、足跡が残る。
死角になっているであろう雪壁をよじ登り、一旦わざと姿を見せる。
するとこちらの居場所がばれてしまったが、同時に高いところに出たことで、相手の位置を把握することができた。
やはり相手は焦れてきた俺たちを狙い撃つために凹凸に潜り込んでいた。
レイラに指示を出しながらもう一度姿を消す。
潜伏は非常に有効な手ではあったが、静から動へ移るには通常より時間がかかってしまう。
さらにその場を動けないことから、相手本位で競技が進んでしまう欠点もある。
狙う場所がハッキリしたこともあり、レイラの歌魔導は高い効果を発揮した。
こうなればあとは俺が落ち着いて二人に雪玉を当ててっと。
無事に試合が終了した。
対戦後に話を聞くと、昨日とステージが変わったので急遽考えた作戦だったらしい。
欠点を補う方法が確立できていたら危なかったかもしれないな。
さて、準決勝に駒を進めた俺たちは次の試合を観戦した。
次の試合はリロさんと相方のチームと小さい子供と大人のチームであった。
そしてその戦い方に俺は度肝を抜かれた。
リロさんは全く隠れようともせず、相手に近寄っている。
何か秘密があるのかと隠れ続けていた親子だが、一向に何かある気配がしないので痺れを切らして雪玉をリロさんに投げつける。
するとリロさんに当たる前に何かにぶつかって雪玉は粉々になった。
驚いているところに静かに近寄ってきたリロさんの相方が二人を撃破して危なげなく勝利していた。
あれは防御魔導を使っているな。
防御魔導は手の形が型にはまっていないと発動しないため、雪玉を投げる事は出来ない。
しかし絶対に雪玉に当たる事はないので最強の囮になれるという訳である。
これで準決勝の相手はリロさんたちのチームに決まった。
何も対策が浮かばないまま、30分ほどが過ぎた。
そろそろ準決勝が始まる。
ここで俺は素晴らしい作戦を思いついた。
今きているステルスの服をレイラに着せ、俺はただ単に厚着をしてスタート位置に着く。
始まりのゴングがなるやいなや俺は雪壁の裏にもう一つ雪壁を作った。
かなりの厚さにしてバレないように上手く作ったつもりだ。
ところどころ状況確認用の小さな穴を開けてあるが、外は明るく中は暗いため向こうからこちらを覗く事は出来ない。
俺は隙を伺い続けた。
案の定リロさんは防御魔法でゆっくりと歩いているが、隠れている俺とステルスの服で見えないレイラを見つける事は出来ない。
レイラがじっとしているすぐそばでリロさんの相方が通り過ぎたので雪玉を投げつけた。
無事に相方を除外すると、その突然のことにリロさんは防御魔導を解除してしまった。レイラが歌魔導で動きを鈍らせ、タイミングを伺っていた俺が一気に飛び出し雪玉を当てた。
奇策でなんとか勝つことが出来た俺たちは、会場にいる観客たちからとてつもない賞賛を貰った。
試合が終わるとリロさんに敗因を聞いてみた。
まあ聞いたものの大体わかってはいたが、突然のことに驚きすぎてしまって立て直すのが遅れたみたいだ。
実戦ではそんな事はないのだが、慣れない環境に慣れない競技をしていたのが仇となったようだ。
こうして無事に決勝までたどり着くことが出来た俺たちは、次の試合を観戦した。
反対ブロックの山は殆ど見ていなかったため、誰が勝ち上がっているかもわからなかったが、SUOAMが開始して直ぐに危なげなく勝利した。
実況に聞いてみると今まで一試合も接戦だった事はないらしい。
恐ろしいペアである。
てっきり俺はでかい方が囮で小さいすらっとした方が隙を見て倒しているのだろうと勝手に考えていたが、どちらも恐ろしい嗅覚で相手の場所を察知し、ピンポイントで当てている。
ステルスが効くのか不安になってきた。
俺とレイラは頭を抱えてしまうのだった。
決勝戦はお昼を挟んで13:30頃から始まるようにスケジュールを組んだので少し時間が空く。
この隙にステルスを使ってコソコソ出店に行こうとしたが、どういうわけかレイラに見破られ、軽いもので済ませるよう厳重な注意をされた。
昨日来てなかった店が出ていたので行こうとしたのだが、、、、。
お昼休憩も終わり、時間になったところで、俺は入場口に並ぶ。
向こう側には凸凹コンビが並んでいる。
ゴングが鳴った。
一斉に俺たちは先ほどの作戦に取り掛かる。
大きい方が物凄い勢いで雪壁に雪玉を投げてきた。
?!居場所がバレている?
そんなはずないとそのまま潜伏を続けるが、大男はこちらへと真っ直ぐに進んでいく。
これはまずいと思い、爆発魔法で目くらましをしてその隙に逃げることにした。
なんとか距離をとって隠れたのも束の間、またこちらに向かって走ってくる。
もうダメだと思い俺は雪玉を全力で投げる。
大男は雪玉を何かで跳ね返し、真っ直ぐにこちらへ雪玉を飛ばしてきた。それを避けようと横へ移動すると真上から雪玉が降ってきた。
全く気づかなかった俺はそのままダウンする。
今大会初のダウンである。
横を見るとレイラが丁度小さい方の男に当てられてダウンしているのが見えた。
この瞬間SUOAMの勝利が決定し、会場の熱気はピークを迎えた。
悔しかったが、対戦を終え、相手と少し話しをする。
「お疲れ様でした。
完全に気配を消してたつもりなんですけど、よくわかりましたね。」
「ああ、気配は消せても周りの空気までは消せてなかったからな。
空気がそこに居ることをしっかりと俺に教えてくれたんだよ。」
「はぁ、そうでしたか。
相方もステルスの服を着ながらあっさりと負けていたので完敗でした。
優勝おめでとうございます。」
話しながら、空気を消すとか、空気が教えてくれるとか難しいことについて少し考えるも、俺には言ってる意味が理解できなかった。
「ありがとな。
もう少し修行してもっと実力が上がったらうちに来るといい。
歓迎するぞ。」
うちに来る?
なんかの傭兵団でもやっているのか?
不思議な人である。
無事に試合が終わり、閉会式が始まる。
出場者の俺が渡すのは変だが、主催者なので優勝トロフィーと賞金を渡す役目になっていた。
優勝したSUOAMにトロフィーと賞金を渡す。
会場は彼らに惜しみない拍手を送った。
実況がインタビューを始める。
「おめでとうございます。
本日は如何でしたか?」
インタビューで大男と小柄な男は仮面を外した。
「そうだな。
やはり魔族をはじめとする沢山の種族が共存繁栄しているこの国を統べるものとして負けるわけにはいかなかったからな。
助手で秘書のクライには世話になった。」
一瞬の静寂の後、会場に激震が走る。
なんとか落ち着きを取り戻した実況が確認を取る。
「も、も、も、もももももしかして、、、、
魔王様であられますか、、?」
「ああそうだ。
いかにも俺がこのターリン魔王国連邦の魔王を務める者だ。」
?????!!!!!????
おいおい、なんでこんな辺鄙なところに魔王様がおいでになるんだ?
そもそも首都にいるんじゃないのか??
しかし思い返せば
チーム名であったSUOAMをひっくり返すと
MAOUS(魔王たち)
となるではないか。
これは一本どころか百本ほど取られてしまった。
会場が騒然とする中、二人は転移魔法で嵐のように去っていった。
かくして俺が企画した雪合戦トーナメントは終わりを迎えた。
この出来事はしばらくこの国中で語り継がれるのだった。
準優勝と惜しくも優勝はできなかったものの、あの魔王様に負けたのだから仕方がないな。
それにしても雪玉を跳ね返すあのカウンターは噂に聞く魔法というやつなんだろうか。
おばあさんの話では魔法の一部分が魔導であるという話であった。
魔法には型や属性はないらしく全ての力を思いのままに操ることが出来るらしい。
いつか魔法使いになりたいと思う俺であった。
祝勝会とはいかなかったが健闘会をレイラの家の食堂で開いてもらった。
魔王様と戦うことができただけでも光栄だとレイラのお父さんに言われた。
いまいち魔王様がどのくらい凄い人なのかはわからなかったが、今日身をもって体感した俺は、同感であった。
今日の健闘を讃えてくれたのか、露天風呂にはフルーツが浮いていた。
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