魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ

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25:害獣

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 森へ入り、すぐのことだった。

「アイルさん……いえ、アイル伯父様。どうして出会って間もない私たちに良くしてくださるのですか?」
「ん? そりゃあ、伯父ってそういう生き物じゃないのか?」

 猫を被ることを辞めたジーチャンにそう答えた。リリィにも散歩中に教えていたから当然驚かない。

「ジーッ、その話はしばらく伯父様の様子を見てから話そうって言ってたじゃないか!?」

 妹の暴走に兄のイークンが一人あたふたしている。

「兄様、名家のクラウン家で伯父様がいくつの異名で呼ばれていたのか忘れたのですか? どうせ伯父様はとっくの昔に気づいてますわ」
「まあ、いいじゃないか二人とも……それよりも俺の花火と演奏はどうだった?」

「そこからかよ」と口にしたイークンを押しのけて、ジーチャンの賛美がしばらくのあいだ続いた。
 そして、聞く……なぜ一族を捨てたのかと。だが、俺はすぐに答えず質問する。

「なぁ二人は住民と領主、名家と呼ばれる貴族……この三つに分類された人間の何が違うかわかるか?」
「それは家柄が違いますわ。住民はゴミ以下ですもの」

 ジーチャンが答えた。

「そうだな……。領主や貴族たちは同じ人間種ではあるが住民とは呼ばれない。冒険者の階級だって馬鹿な住民たちをそそのかす為に、領主と貴族が用意したお飾りで俺らと彼らの呼び方は異なる。だから確かめたくなったんだよ。『共存しないと生きれない』状況になったらどうなるのかを……。俺の最後の異名知ってるだろ?」

 ――――『害獣がいじゅうアイル』

 故郷の賞金首の張り紙に俺はそう書かれていた。
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