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第3.5部:剣闘士編
78:開始の合図
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そして、リリィが帰ってこないまま数日が過ぎ――――今期の剣闘士ナンバーワンを決める試合の開会式が始まった。
出場者は三十二名のようだ。顔見知りはゴメクと甥のイークンが出場する。
会場の観覧席に座る俺とジーチャンは、名前を呼ばれ闘技場に出てきた二人に手を振った。
「次の出場者は……おい、何かの手違いじゃないよな?」
司会の声に会場がざわつく。出場者の名を呼ぶ司会も関係者を呼び出し、確認している。
「申し訳ございません、確認が取れました。続いての出場者はアオイ・ジール! 監獄街の警備団長、アオイ・ジール団長です!」
一層盛り上がる会場に現れたアオイは、前に会った時のような凛とした彼ではなく……薄汚れた防具に、無精ひげを生やし、髪は数日洗っていないのか……油で鈍色に光っていた。
そして、アオイは司会者のマイクを取り上げ――――
「あー、あー。アイル・クラウン、今度はお前が大切なものを失う番だ」
そうとだけ言って、司会者にマイクを投げた。
はあ? 一体なにが言いたいんだ?! アカネといるんじゃなかったのか??
理解が追いつかない。とりあえず、話を聞かなければ……。
もしかして、リリィが帰って来ないものアイツが――――。
「以上をもちまして開会式とさせていただきます! 第一試合は五分後となります……」
袖に下がる出場者たち。
「ジー、一人でも大丈夫だな?」
「えっ、あ……はぃ」
頭に浮かんでくるのは最悪の事態ばかり。
ジーチャンを一人、客席に残して選手の控え室に向かった。
*
「思ったより早く来たな」
控え室で食い物を貪るアオイは品性の欠片もない。
まるで俺が来たことすら、目の前の食べ物にしたらどうでもいいくらいに。
「アオイ、さっきのは何なんだ? どういうことなんだ?」
「まんまだよ、まんま。――ほれッ」
アオイが放り投げたのはリリィの魔法筆。
「……アオイ、お前。これをどこで……?」
「おいおい、アイル・クラウン。お前どうしちまったんだよ? その目ん玉と一緒にキンタ……」
「―――俺を怒らせるなよアオイ……。お前の出かたによっては、この闘技場ごと消し炭にする……」
アオイの胸ぐらを掴んだのはいつぶりだ……。こんな状況ですら、そんなことを思い出す俺は……一体。
「アイル……いや、リーダー。ひとまず、手を放してくれないか? 試して悪かった、話がある」
そう言った彼の瞳は、俺の知っているアオイに戻っていた。
アオイを掴む手から力が抜けるのを感じ。
冷静になった頭が状況を整理し、聞いた。
「リリィとアカネに何かあったのか?」
「あぁ、その話だ。勘が良くて助かる……二人が、いや三人が拉致された」
出場者は三十二名のようだ。顔見知りはゴメクと甥のイークンが出場する。
会場の観覧席に座る俺とジーチャンは、名前を呼ばれ闘技場に出てきた二人に手を振った。
「次の出場者は……おい、何かの手違いじゃないよな?」
司会の声に会場がざわつく。出場者の名を呼ぶ司会も関係者を呼び出し、確認している。
「申し訳ございません、確認が取れました。続いての出場者はアオイ・ジール! 監獄街の警備団長、アオイ・ジール団長です!」
一層盛り上がる会場に現れたアオイは、前に会った時のような凛とした彼ではなく……薄汚れた防具に、無精ひげを生やし、髪は数日洗っていないのか……油で鈍色に光っていた。
そして、アオイは司会者のマイクを取り上げ――――
「あー、あー。アイル・クラウン、今度はお前が大切なものを失う番だ」
そうとだけ言って、司会者にマイクを投げた。
はあ? 一体なにが言いたいんだ?! アカネといるんじゃなかったのか??
理解が追いつかない。とりあえず、話を聞かなければ……。
もしかして、リリィが帰って来ないものアイツが――――。
「以上をもちまして開会式とさせていただきます! 第一試合は五分後となります……」
袖に下がる出場者たち。
「ジー、一人でも大丈夫だな?」
「えっ、あ……はぃ」
頭に浮かんでくるのは最悪の事態ばかり。
ジーチャンを一人、客席に残して選手の控え室に向かった。
*
「思ったより早く来たな」
控え室で食い物を貪るアオイは品性の欠片もない。
まるで俺が来たことすら、目の前の食べ物にしたらどうでもいいくらいに。
「アオイ、さっきのは何なんだ? どういうことなんだ?」
「まんまだよ、まんま。――ほれッ」
アオイが放り投げたのはリリィの魔法筆。
「……アオイ、お前。これをどこで……?」
「おいおい、アイル・クラウン。お前どうしちまったんだよ? その目ん玉と一緒にキンタ……」
「―――俺を怒らせるなよアオイ……。お前の出かたによっては、この闘技場ごと消し炭にする……」
アオイの胸ぐらを掴んだのはいつぶりだ……。こんな状況ですら、そんなことを思い出す俺は……一体。
「アイル……いや、リーダー。ひとまず、手を放してくれないか? 試して悪かった、話がある」
そう言った彼の瞳は、俺の知っているアオイに戻っていた。
アオイを掴む手から力が抜けるのを感じ。
冷静になった頭が状況を整理し、聞いた。
「リリィとアカネに何かあったのか?」
「あぁ、その話だ。勘が良くて助かる……二人が、いや三人が拉致された」
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