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特権
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◇◆
「……っよし! とりあえず、ありすのキャラは職業ランクMAXの服飾士にしたから、採寸さえすればどんな服や装飾も使えるぞ」
「えっ??」
「えっ??」
珀斗兄は制作者の特権とやらで、ものの五分で私のアカウントを改造した。
「いやいやいや、実装前に職業ランクをMAXにするとか。何考えてるのよ!」
少しは私にも、ランクが上がった時の喜びを感じたい気持ちがあった。
「うんうん。わかるわかるその気持ち、やっぱり地道に上げてこそだよな。だがしかし、製作者たる者。既に完了しているものは過去なのだよ」
「いやいや、私。その過去知らないから」
また、珀斗兄の独自理論が始まった。
「まあまあ、そう言わずに。そこにある検索窓に何か入力してみ」
そう言われて、私は『不思議の国のアリス 服』と入力した。すると――、インターネット上に転がっている画像の一覧が出た。
「まさか……、これって」
嫌な予感がした私は珀斗兄の顔を見た。珀斗兄は両目をつぶり、人差し指を口元にして「シー」と言っていた。
そして、少しして……口を開いた。
「まあそもそも、溢れかえったこの世の中で何かをゼロから作ろうなんて発想が五流。今あるものを掛け合わせて二流。誰も掛け合わせてないものをやって一流。そして……自分でも、なぜそんなことが出来るのか……顕在意識なんかでは到底理解できない域が超一流だ」
珀斗兄の言っていることは理解できなかったが、鬼気迫る言葉に圧倒された。
「……って、コスプレはコスプレだから!」
私はそう言い返すことしかできなかった。
「まあまあ、ありすも自分でオリジナルの服を作ろうと思った時にわかるよ」
珀斗兄はたまに、こういったことを言う。まるで、私の未来を知っているような……。
「一体、何が言いたいのよ」
精一杯の悪あがきだとは……自分でもわかっていた。
「そうだな~。自分で理解できるうちは、その程度ってことだ。さあさあ、ここからが本番だ!」
そう言って、いくつかの画像をピックアップして必要な部位と不要な装飾をそぎ落とし。自分がふいに浮かんだ装飾を加えた。
私がゲーム内で作った衣装は『不思議の国のアリス』をベースにはしているが、そうというには余りにも安直で。だが、アリスの服とは分かるコスプレ衣装兼装備が出来上がった。
衣装以外にも、ハーフフィンガーのタクティカルグローブの手の甲には金属プロテクターを使い。黒光りしたミリタリーブーツは安全靴仕様だ。
これなら、フルダイブ出来るようになったときに中距離からナイフを投げることも出来るし、何なら股間に致命的なダメージを与えることもできる。
そして、珀斗兄が作った赤い花柄のリボンだ。
花柄が大きすぎて、赤いリボンにしか見えないが……それでも。お揃いの、赤い花柄のリボンなのだ。
「……っよし! とりあえず、ありすのキャラは職業ランクMAXの服飾士にしたから、採寸さえすればどんな服や装飾も使えるぞ」
「えっ??」
「えっ??」
珀斗兄は制作者の特権とやらで、ものの五分で私のアカウントを改造した。
「いやいやいや、実装前に職業ランクをMAXにするとか。何考えてるのよ!」
少しは私にも、ランクが上がった時の喜びを感じたい気持ちがあった。
「うんうん。わかるわかるその気持ち、やっぱり地道に上げてこそだよな。だがしかし、製作者たる者。既に完了しているものは過去なのだよ」
「いやいや、私。その過去知らないから」
また、珀斗兄の独自理論が始まった。
「まあまあ、そう言わずに。そこにある検索窓に何か入力してみ」
そう言われて、私は『不思議の国のアリス 服』と入力した。すると――、インターネット上に転がっている画像の一覧が出た。
「まさか……、これって」
嫌な予感がした私は珀斗兄の顔を見た。珀斗兄は両目をつぶり、人差し指を口元にして「シー」と言っていた。
そして、少しして……口を開いた。
「まあそもそも、溢れかえったこの世の中で何かをゼロから作ろうなんて発想が五流。今あるものを掛け合わせて二流。誰も掛け合わせてないものをやって一流。そして……自分でも、なぜそんなことが出来るのか……顕在意識なんかでは到底理解できない域が超一流だ」
珀斗兄の言っていることは理解できなかったが、鬼気迫る言葉に圧倒された。
「……って、コスプレはコスプレだから!」
私はそう言い返すことしかできなかった。
「まあまあ、ありすも自分でオリジナルの服を作ろうと思った時にわかるよ」
珀斗兄はたまに、こういったことを言う。まるで、私の未来を知っているような……。
「一体、何が言いたいのよ」
精一杯の悪あがきだとは……自分でもわかっていた。
「そうだな~。自分で理解できるうちは、その程度ってことだ。さあさあ、ここからが本番だ!」
そう言って、いくつかの画像をピックアップして必要な部位と不要な装飾をそぎ落とし。自分がふいに浮かんだ装飾を加えた。
私がゲーム内で作った衣装は『不思議の国のアリス』をベースにはしているが、そうというには余りにも安直で。だが、アリスの服とは分かるコスプレ衣装兼装備が出来上がった。
衣装以外にも、ハーフフィンガーのタクティカルグローブの手の甲には金属プロテクターを使い。黒光りしたミリタリーブーツは安全靴仕様だ。
これなら、フルダイブ出来るようになったときに中距離からナイフを投げることも出来るし、何なら股間に致命的なダメージを与えることもできる。
そして、珀斗兄が作った赤い花柄のリボンだ。
花柄が大きすぎて、赤いリボンにしか見えないが……それでも。お揃いの、赤い花柄のリボンなのだ。
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