3 / 6
3:めしうまクエストゲット
しおりを挟む
ビシオンとマッチングした日以来、文通を始めて早三週間――。
手紙の彼は会って話した時とは違う印象だ。
書かれている内容は明るい口調で、まるで元気な子供とやり取りしている気になる。
「……本当に同一人物か……?」
何とも気味が悪い。
新手の結婚詐欺かとも思えるほど、ビシオンの手紙には私を気遣う言葉で溢れていた。
婚活イベントでは私から「選んで」と言ったものの、実際にはもう二度と会うことは無いだろうと思っていた。
というのも、マッチングした二人には冒険者ギルドから『一時金』が出るのだ。
まあ、要するにデート費用である。
一時金と言っても返済の義務はなく、あくまでも国と冒険者ギルドの善意だ。
お金に困っているわけではないが、貰えるものはもらう――という『勿体ないオバケ』が私に囁くのだからしょうがない。
そして、仕事からの帰り道――。私に『勿体ないオバケ』が囁く――
「本当にこれっきりの関係で良いの??」
と。しかしながら、会うための口実がない。
また、ビシオンから手紙の返事はくるものの――一向に誘ってくる様子がないのだ。
(そういえば……勇者なんだっけ? あの人……)
私の足は自然と冒険者ギルドに向かっていた。
クエストの依頼表が張り出されたボードを前に。
(何度見ても、どれが良いのかわからん……。ドクロの数が多いのが良いのか、報酬が多いのが良いのか……??)
後からやってきた冒険者たちは次々とクエストの書かれた紙を持っていく。
冒険者登録したものの、私が過去に受注したのは【庭の草むしりを手伝って!!】というのを一回だけ。
そのクエストは三時間ひたすら、庭の草むしりをするというもの――。
腰の痛みと、暑い日差しに耐えながら行った――広い庭を持つ公爵のお家のメイドさんが出したそのクエストは……今思い出しても本当に地獄のようだった。
――――と、一つのクエストが目に留まった。
【迷宮の番人 ~ミノタウロス一体の討伐~】
他のクエストは群れだ、十体の討伐だと――やたら数が多いが『一体だけ』で良いなんて何てコスパ最高なのだろうと胸が高鳴った。
(それもドクロマークじゃなくて十字架マークで安全そう!! それに……こっちには勇者がついている! 余裕余裕!!)
そのクエスト表を手に、受付けに行くと同行者を聞かれ――。
気に弱そうな女性職員は胸をなでおろしたが何だったのだろう……。
ギルドからの帰り道――。
「ビシオン――めしうまクエストゲットしたわよ!!」
彼も見ているかは知らないが、月に向かって――そう叫ぶのだった。
手紙の彼は会って話した時とは違う印象だ。
書かれている内容は明るい口調で、まるで元気な子供とやり取りしている気になる。
「……本当に同一人物か……?」
何とも気味が悪い。
新手の結婚詐欺かとも思えるほど、ビシオンの手紙には私を気遣う言葉で溢れていた。
婚活イベントでは私から「選んで」と言ったものの、実際にはもう二度と会うことは無いだろうと思っていた。
というのも、マッチングした二人には冒険者ギルドから『一時金』が出るのだ。
まあ、要するにデート費用である。
一時金と言っても返済の義務はなく、あくまでも国と冒険者ギルドの善意だ。
お金に困っているわけではないが、貰えるものはもらう――という『勿体ないオバケ』が私に囁くのだからしょうがない。
そして、仕事からの帰り道――。私に『勿体ないオバケ』が囁く――
「本当にこれっきりの関係で良いの??」
と。しかしながら、会うための口実がない。
また、ビシオンから手紙の返事はくるものの――一向に誘ってくる様子がないのだ。
(そういえば……勇者なんだっけ? あの人……)
私の足は自然と冒険者ギルドに向かっていた。
クエストの依頼表が張り出されたボードを前に。
(何度見ても、どれが良いのかわからん……。ドクロの数が多いのが良いのか、報酬が多いのが良いのか……??)
後からやってきた冒険者たちは次々とクエストの書かれた紙を持っていく。
冒険者登録したものの、私が過去に受注したのは【庭の草むしりを手伝って!!】というのを一回だけ。
そのクエストは三時間ひたすら、庭の草むしりをするというもの――。
腰の痛みと、暑い日差しに耐えながら行った――広い庭を持つ公爵のお家のメイドさんが出したそのクエストは……今思い出しても本当に地獄のようだった。
――――と、一つのクエストが目に留まった。
【迷宮の番人 ~ミノタウロス一体の討伐~】
他のクエストは群れだ、十体の討伐だと――やたら数が多いが『一体だけ』で良いなんて何てコスパ最高なのだろうと胸が高鳴った。
(それもドクロマークじゃなくて十字架マークで安全そう!! それに……こっちには勇者がついている! 余裕余裕!!)
そのクエスト表を手に、受付けに行くと同行者を聞かれ――。
気に弱そうな女性職員は胸をなでおろしたが何だったのだろう……。
ギルドからの帰り道――。
「ビシオン――めしうまクエストゲットしたわよ!!」
彼も見ているかは知らないが、月に向かって――そう叫ぶのだった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる