【完結/R18】前世で王女だった女子大生は、近衛騎士の生まれ変わりの義兄に溺愛される

久藤れい

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18話

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 二人が甘い雰囲気で抱きしめあっていると、ふいにチャイムが鳴った。
 ピンポーンと鳴ったチャイムを無視しようしたが、そのあと追撃のようにさらに二回鳴って玲央がため息を吐きながら立ち上がった。

「玲央……」
「大丈夫だ」

 頭を撫でられる。水無瀬はまだなにかする気なのだろうか。彩花もまた浅く息を吐き身体を起こした。
 リビングに行った玲央の背を見送ると、なにやらインターホン越しに話した玲央がひょこりと寝室に顔をだして「別件だった。少し待っていてくれ」と告げる。

「別件?」

 この状況で優先する別件とはなんなんのか。
 少し面白くなくて眉間に皺を寄せた彩花の前で、ややおいて玄関が開く音がする。サインを、といっているので通販らしい。

「……通販なら、仕方ないのかなぁ……」

 再配達をお願いするのも手間だし、なにより配達員が足りていないと聞く。
 できるだけ一回で受け取るように彩花も実家でお願いされたことがあった。

(でも、あんなにいい雰囲気だったのに!)

 なんとなく解せなくて唸る彩花の元に、玲央が現れる。
 小さな段ボールを持っている玲央はどこか嬉しそうだ。

 そんなに心待ちにしていた通販だったのかと、気持ちが落ち着いていく。
 彩花に背を向け、白い机に段ボールを置く。ガムテープを剥がして中身を取り出した玲央をなんともなしに見ていた彩花は、彼が手に持っているものをみてぎょっと目を見開いた。

「え、それ」
「玩具に興味があるんだろう? 買っておいた」

 振り返った玲央ににこりと笑って告げられて彩花の顔から色がなくなる。
 バレているのは理解していたが、玲央が手にしている彩花が買ったものよりずっと大きくてドピンクなものをみると怖いという恐怖が沸いてくる。

 思わず凝視してしまった彩花の視線の意味をはき違えたらしく、玲央がしょんぼりと肩を落とす。

「彩花が買ったものと同じもののほうがいいかと思ったんだが、こういうのは全く同じものが二つあってもつまらないだろう?」
「え、や、その」
「今回はこれも使おうな」
「ま、まって!」
「待たない」

 凶悪な玩具を片手に迫ってきた玲央に、つい悲鳴を上げてしまう。
 玲央は穏やかに笑っているようで、少し怒っているようにも見えた。
 片手に玩具を持ったまま、反対の手で彩花の肩を押し、再びベッドに沈めた玲央は重い溜息を吐き出す。

「……どれくらい持っているんだ」
「え?」
「こういう玩具は、どれだけ買ったんだ?」
「!」

 玩具で遊ぶ淫乱だと勘違いされている事実に彩花の頬に朱が昇る。
 言い返そうと口を開くと噛みつくようなキスがふってきた。

「ふ、ん」

 鼻にかかった吐息を吐き出しながら、玲央の胸元に手を添える。
 いったん玩具をベッドに転がせたらしい玲央が、片手で彩花の服を脱がせにかかる。

 前世のドレスとは違って仕組みが簡単な洋服は玲央でも手早く脱がせられた。
 だが、妙にその手つきが慣れている気がして彩花は抗議を込めて玲央の胸元を叩く。
 残るはブラジャーとショーツだけという格好で、玲央を見上げる。

「ん……どうした?」

 唇を離すと互いの間に銀糸が伝わる。唇を舐める仕草にきゅんとしつつ、彩花は玲央を睨んだ。

「いままで何人、彼女がいたの?」
「……」
「答えて」

 強い口調で伝えると、玲央が視線を逸らす。そしてぽつりと。

「……五人」

 と答えられた。健全な男性として、それが多いのか少ないのか異性との交遊が少なかった彩花にはわからないが、自分以外の女を知っている事実が腹立たしい。
 明らかに機嫌を損ねた彩花に、慌てて玲央が弁明を口にする。

「付き合った人はいたが! 抱いたのは彩花が初めてだ!!」
「え?」

 ぱち、と瞬きをする。脱がせるのに慣れていたと思ったが、気のせいなのだろうか。
 彩花がまだ疑いの眼差しを拭えずにいると、玲央は大きな体を小さくして思いもよらぬ言い訳を口にした。

「そういう雰囲気になったことはあるが……勃たなくてな……」
「えっ」

 先ほどとは別の意味で驚愕の声が零れ落ちる。
 勃たない、とは。いまだって彩花が視線をずらせば凶悪なそれがスーツのズボンを押し上げているのに。
 戸惑う彩花に、玲央が泣きそうな顔で笑う。

「信じてくれ」
「……うん、信じるよ」

 愛する人にそう乞われて、信じない、なんて答えられるはずがない。
 彩花がこっくりと一つ頷くと、玲央は嬉しそうに笑った。

「じゃあ、続きをしていいな?」
「うん」

 確認の言葉にさらに頷いて、彩花は覆いかぶさってきた玲央の背に手を回す。
 彼の手がブラジャーを外し、ショーツを脱がせる。

 背を撫でられたので、一旦玲央の背に回していた手をどかすと、そのままブラジャーを取り上げられた。
 ベッド下に落とされたそれを眺めつつ、上下セットで可愛いものをつけていてよかった、としみじみと考える。

「ああ、綺麗だ……」

 夕日の差し込む室内で、薄明りの中見える彩花の裸身に玲央がうっとりとした声をあげる。
 生まれたままの姿になった彩花は、彼の下で恥ずかしくて胸元を両手で隠して身じろぎをしてしまう。

「……玲央も脱いで」
「ああ」

 頷いて玲央がスーツの上着とカッターシャツを脱ぐ。
 乱雑に床に投げ捨てられたそれらは皺になると後々面倒なのでは、と思ったがいま口に出すのは野暮だろう。

「下は脱がないの?」
「脱いだ方がいいか?」
「……うん」

 ズボンに手をかける気配のない玲央に問いかける。
 恥ずかしがりながらも一つ頷くと、玲央はベルトに手をかけた。

 かちゃかちゃとバックルの擦れる音がしてベルトが外される。そのまま一気に下履きと一緒にズボンを降ろした玲央は、上と同様に脱ぎ捨ててベッドの下に落とした。

 覆いかぶさってきた大きな身体の熱を感じながら、彩花はそっと目を閉じた。そんな彼女の秘所に、突然冷たくてぬるりとした液体がかかって驚いて目を開ける。

「なにっ」
「ローションだ。玩具と一緒に勝っておいた」

 目を白黒させる彩花の秘所に真剣な面差しでローションをかけた玲央が彼女の足を左右に開く。
 普段人に見せることのない蜜壺を嘗め回すように見つめた玲央は、そのままベッドに転がっていた玩具を手に取った。

「ま、まって!」
「待たない。こういうプレイが好きなんだろう?」
「あっ!」

 ぐいっと男性器を模した玩具が蜜壺に充てられる。
 ローションと合わさって、キスだけで感じて濡れていたそこはいとも簡単に玩具を咥えこんだ。

「あぁ!!」

 白い喉を仰け反らせて圧迫感に喘ぐ彩花を観察しながら、どこか冷えた口調で玲央が断じる。

「……一人では処女膜に届くほど深くは入れられなかったのは、幸いだな」
「ま、まって……!」

 玩具を買ったのは玲央に見つかったアレが初めてだ。自分で使ったこともない。
 誤解を解きたいのに、彩花が言葉を紡ぐより早く玲央が玩具のスイッチを入れてしまう。

「ぁあああ!!」

 彩花の中で上下に動く振動にたまらず嬌声が口から零れ落ちる。
 甘ったるい声をあげる彩花を冷ややかな見つめる眼差しに、ぞくりと背筋が粟だった。

(ごかい、ごかいを、とかなきゃ……!)

 わかっているのに、口からは淫らな喘ぎ声ばかりがでてしまう。
 快感を逃がすように身体をよじった彩花の胸元に、なにかが触れる。

「……?」

 違和感を覚えて視線を落とした彩花は、硬くなった頂きに玲央がテープでピンク色の玩具を張り付けているのをみてしまった。
 通販サイトで『ローター』と表示されていたそれを彩花の両胸につけて、それぞれのスイッチを玲央がいれる。

「ふ、あ、うぁあああっ!」

 一気に振動が上からも下からも彩花に襲い掛かる。
 その上、玲央が中に咥えこんだ玩具を彩花のイイところに充てようと動かすので襲い掛かる快楽の波が半端ではない。

「ま、って! やだ、やだあああ!!!」

 普段、どこまでも彩花に優しい玲央だが、彼女が玩具で自分を慰めてたと思い込んで、その事実に腹を立てている。
 否が応でも高められた身体を仰け反らせる彩花に、玲央が口角を吊り上げる。

「夜な夜な、隣の部屋から聞こえてくる自慰の声で自分を慰めていた俺の気持ちがわかるか?」
「え? あぁ! やあああ!!」

 思わぬ発言に玲央を見ようとしたのもつかの間、さらに強くなった振動に彼女の頭の中がスパークする。
 白い光が瞼の裏で弾けて、強制的な絶頂にはくはくと口を開け閉めする。

 つま先までぴんと伸ばした身体を弛緩させ、荒い呼吸を繰り返しながらベッドに沈んだ彩花は、涙ながらにようやく言葉らしき言葉を発した。

「……もん」
「うん?」
「やって、ないもん……!!」

 顔を横に向けて、そっぽを向くと溢れる涙がシーツに染みを作っていく。
 ぽろぽろと透明な涙を流しながら、彩花はしゃくりあげた。

「あれが初めて買ったやつだもん! 玲央が欲しかったけど言えなかったから! でも自分でやるのも限界だったから買っただけなのに……!」

 どうしてこんな責め苦を味わわなければならないのか。
 しくしくと涙を零し続ける彩花の上で玲央が息を飲んだのが伝わってくる。

「……俺が、欲しかった?」
「うん」
「自分では限界があった?」
「指が細くて、ロジェみたいにできなくて」
「……」

 黙り込んだ玲央の様子を不思議に思って、はらはらと涙を流しながら視線を向けると、彼は彩花の背がぞっと粟立つほど凄絶な色気のある笑みを浮かべていた。

「れ、れお……?」
「そうか、そうか……!!」

 心底嬉しそうに笑った玲央が彩花の中から玩具を引き抜く。
 「あぁん!」と擦れて声をあげた彼女の胸元からもローターを外して、性急にサイドテーブルから取り出したゴムを熱杭に着け、体重をかけるように覆いかぶさった。

「求めていたのは、俺だけじゃなかったんだな……!!」
「ぁん!!」

 ずぷん、と玩具では再現できない厚さと質量を持った固い熱杭が彩花を貫く。
 酸素を求めて口を開いた彩花を食べるように口づけをして、玲央が目を細める。

「彩花、あやか……!」
「んぅ……、れお……っ!」

 キスを交わす合間に互いの名前を呼びながら、二人はお互いを貪りつくした。





 彩花の体力が尽きるまで身体を重ねて互いの体温を楽しんだ二人は、甘い空気が漂う部屋の中で睦言を交わしていた。

「彩花、愛している」
「私もよ、玲央」

 額をあててにこにこと笑いあう。彩花は「いまさらだけど」と前置きをして現実に横たわる問題を口にした。

「私たちの関係、お母さんたちにどう説明したらいいかな?」
「うーん、まずは二人に離婚してもらおう。そしたら俺たちも結婚できる」
「たしかに」

 両親には心底申し訳ないけれど、彼らはすでに十五年結婚生活を楽しんだのだ。
 なら、次は彩花と玲央に幸せを譲ってくれてもいいはずだ。

 身勝手な持論を展開して笑う。ああ、高慢で身勝手、そのうえ自己愛が強い。
 けれど、仕方ない。彩花は前世ではアリエットで、アリエットは王女であったのだ。

 何より誰より優先されるべき立場にいた記憶は、彼女を少しだけ高慢にした。
 同じくらい、悲しい最期を辿った前世を思い出したからこそ、今世では愛する人と幸せになりたくて仕方ない。

(そのためなら、私も手段は択ばないわ)

 きっとそれは、玲央も同じだ。両親を説得するくらい、前世の身分の壁を考えればたやすいことに違いないから。
 彩花は玲央に甘えるようにすり寄って、笑み崩れたのだった。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 読んでいただき、ありがとうございます。
 本作は第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
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