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5話
「伯爵家出身の貴方が、どうしてアルベール様の後妻に収まったのかしら。とっても不思議だわ」
(その疑問は私が一番抱いているのよね)
リンダの問いに対する答えをエルミールは持ち合わせていない。彼女自身がアルベールに愛されている明確な理由を知らないためだ。
とはいえ、そんなことを口にすればさらに舐められる。
エルミールはにっこりと鉄壁の令嬢スマイルを浮かべて適当にリンダをあしらうことにした。
「さあ、どうしてでしょうね。アルベール様には大変良くしていただいているので、きっと心を射止める何かをしたのでしょう」
その『なにか』に欠片も心当たりはないのだがそれは言わなくていいことだ。
いずれアルベールから理由を聞きたいとは思っているが、それらは口にしなくてもいい。
いま必要なのは、エルミールがアルベールから大切にされているということを強調することである。
にこにこと微笑んで告げた彼女の言葉にリンダが悔しげに眉を顰める。
(公爵夫人の座に収まれなくて悔しいのはわかるけれど、八つ当たりをされても困るわ)
別に略奪婚をしたわけではないのだ。アルベールから打診を受けて、それに応じただけ。正規の手続きを経て公爵夫人となったのだから、後ろ暗いところなど一つもない。
とはいえ、火のないところに煙を立てるのが貴族社会でもある。
事実無根の噂を立てられる前に、凛としておかなければならない。
しかし、事実を告げたエルミールの言葉はリンダの勘に触ったらしい。
再び上から下まで値踏みをするように見つめられ、またも鼻で笑われる。
「アクセサリーはまだしも、黒いドレスだなんて。『黒猫令嬢』の自覚が出たのかしら? アルベール様を不幸にする前に、身を引いた方がいいのではなくて?」
(そのアルベール様の髪の色なんですけれど)
確かに黒いドレスを選ぶ際に、社交界でのあだ名が脳裏をよぎらなかったわけではない。
だが、楽しそうに布を選び「よく似合っている」と言ってくれたアルベールの言葉をこそ尊重したかったのだ。
フランシスだって「お義母様に黒はよく映えますね」といってくれていたのだから、決して可笑しくはないと思うのだが。
「それにしても地味なドレスだこと」
エルミールが身に纏っているドレスは、彼女の豊かな身体を少しばかり強調するようなものだ。
大人びたデザインとあわせて、年齢が上に見えるようになっている。
でもそれは、年上であるアルベールの隣に並んでも可笑しくないように、という彼女なりの配慮でもあるのだ。
他人であるリンダにどうこう言われる筋合いはない。
にこにこと微笑みながらもさてなんと言い返したものか、と思案していると背後から声がかかる。
「お義母様、こちらにいらしたのですね」
「フランシス様」
礼装を身に纏ったフランシスがにこやかに笑いながらエルミールを見つめている。
どろりと甘い視線を注がれると、まだ少しだけ身構えてしまう。だが、そんな感情はおくびにもだすことなく、エルミールも穏やかな笑みを浮かべた。
彼女の隣に並んだフランシスが腰に手を回してくる。
夫婦や婚約者のような距離の近さ。手つきにいやらしさはないが、あまりに身体が密着してどきりと心臓が跳ねる。
ただでさえフランシスは整った面立ちをした美丈夫なのだ。その上、熱の籠った視線を注がれると嫌でも心臓が早鐘を打ってしまう。
(私はアルベール様の妻なのよ……!)
うるさくなった心臓を抑えるために必死に自分に言い聞かせる。同い年とはいえ、義息子を意識しているなんて知られては困る。
これまた鉄壁の令嬢スマイルを浮かべてエルミールはあえていつもよりゆっくりと言葉を紡ぐ。
油断すると早口になってしまいそうだった。
「フランシス様、どうされたのですか?」
「お義母様の晴れ姿を見ようと探していたのです。父上はどちらに?」
「飲み物を取りに行かれたの」
「そうなのですね。では、父上が戻られるまで私がエスコートしましょう」
穏やかに微笑みながら言われると、嫌だともいえない。ふんわりと笑ってごまかしたエルミールは、刺すような視線を感じていた。
リンダである。彼女以外にも周囲の人々が注目しているのがわかる。
公爵令息であるフランシスはさすがに慣れているようだが、伯爵令嬢としてそこまで注目されない人生を歩んできたエルミールは少し負担に感じてしまう。
完全に蚊帳の外だったリンダに、ふいにフランシスが視線を向けた。そうして一言。
「ああ、いらしたのですか」
まるで興味がないといわんばかりに言い放たれた言葉に、リンダが唇を噛みしめる。
いままで視界に入っていなかったはずがないのに、眼中にないとあからさまに告げる言葉に、リンダの頬に朱が上った。
ドレスの裾を持ち上げ、軽く頭を下げられる。最低限の礼儀としてカーテシーをしてリンダが背を向けて去って行った。
「お義母様、あまり油断されないでください。貴女はいま公爵夫人なのです」
「ごめんなさい。迷惑をかけたわ」
「気にされる必要はありません」
窘める言葉にそっと視線を伏せる。腰に当てられた手に力がこもったのが分かった。案じてくれているのだろうと思いつつ、さすがに距離が近すぎることを指摘するべきか迷う。
「フランシス様、もう大丈夫です」
「そうですか?」
一言告げると、するりと密着していた身体が離れていく。
正面に立ったフランシスは悪戯気に笑った。十八歳という年齢より僅かに幼く見える無邪気な笑み。
「父上とダンスを踊った後、私とも一曲踊ってくださいませんか?」
「ええと」
夜会で異性とダンスを踊ることは間々あったが、義息子相手だとどうするべきか。
判断に困って視線を彷徨わせると、人ごみをかき分けてアルベールが戻ってきた。
「アルベール様!」
「すまない、待たせてしまった。……なにかあったのか?」
自然と声音が弾む。アルベールから手渡されたワインは深い色合いをしていた。お酒は成人後何度か口にしたが、口に合うものとあわないもので綺麗に分かれてしまった。
このワインはどちらだろうと考えている間に、頭上で会話が交わされている。
「父上、あまりお義母様をお一人にしないほうがいいかと」
「らしいな」
周囲にアルベールが視線を走らせたのと同時に、先ほどまでの肌を刺すような注目が散っていく。
少しだけ安心して、エルミールは渡されたグラスに口をつけた。
深い味わいのワインを一口口に含んで嚥下する。
のど越しが滑らかで味わいも深みがあって美味しい、そう思った瞬間。
「あ、ら」
エルミールの身体がぐらりと傾ぐ。一気に身体が火照って立っていられなかったのだ。
可笑しい、彼女はそこまで酒に弱くない。たった一口で泥酔した経験などない。
ふらつきしゃがみ込んだエルミールの手からフランシスが零しかけていたグラスをとった。
身体をアルベールに支えられ、熱っぽい息を吐く。
「エルミール?!」
「こ、れは……」
喉の奥から火でも吹きそうだ。体中が火照って熱を持っている。特にアルベールに触れられている箇所が、燃えるように熱い。
くらくらと熱に浮かされている頭で、必死にアルベールに異常を訴えた。
「ひかえ、しつへ……! だ、め、です……っ」
エルミールの公爵夫人としてお披露目の夜会で、失態をさらすわけにはいかない。
懸命の訴えにアルベールは即座に彼女を抱き上げた。
「フランシス、後は任せる」
「はい、父上」
逞しい腕の中は安心する。くたりと身体を預けたエルミールを抱いたまま、アルベールが会場を後にした。
ざわつくその場をフランシスがとりなす声をどこか遠くに聞きながら、熱い吐息を吐き出す。
アルベールが剣呑な雰囲気を纏っているが、どうしてなのか思考が回らない。
足音高く会場を出たアルベールが控室に着いたらしい。そっとソファに降ろされて、熱に潤んだ瞳で彼を見上げる。
いつも以上に魅力的に見える精悍な面差しには隠せない剣が宿っている。
違和感には気づいても、気遣う余裕など今のエルミールにはない。
「ある、べーるさま……」
ただ身体を侵す熱を発散するには、彼に頼るしかないのだと本能が告げていた。
(その疑問は私が一番抱いているのよね)
リンダの問いに対する答えをエルミールは持ち合わせていない。彼女自身がアルベールに愛されている明確な理由を知らないためだ。
とはいえ、そんなことを口にすればさらに舐められる。
エルミールはにっこりと鉄壁の令嬢スマイルを浮かべて適当にリンダをあしらうことにした。
「さあ、どうしてでしょうね。アルベール様には大変良くしていただいているので、きっと心を射止める何かをしたのでしょう」
その『なにか』に欠片も心当たりはないのだがそれは言わなくていいことだ。
いずれアルベールから理由を聞きたいとは思っているが、それらは口にしなくてもいい。
いま必要なのは、エルミールがアルベールから大切にされているということを強調することである。
にこにこと微笑んで告げた彼女の言葉にリンダが悔しげに眉を顰める。
(公爵夫人の座に収まれなくて悔しいのはわかるけれど、八つ当たりをされても困るわ)
別に略奪婚をしたわけではないのだ。アルベールから打診を受けて、それに応じただけ。正規の手続きを経て公爵夫人となったのだから、後ろ暗いところなど一つもない。
とはいえ、火のないところに煙を立てるのが貴族社会でもある。
事実無根の噂を立てられる前に、凛としておかなければならない。
しかし、事実を告げたエルミールの言葉はリンダの勘に触ったらしい。
再び上から下まで値踏みをするように見つめられ、またも鼻で笑われる。
「アクセサリーはまだしも、黒いドレスだなんて。『黒猫令嬢』の自覚が出たのかしら? アルベール様を不幸にする前に、身を引いた方がいいのではなくて?」
(そのアルベール様の髪の色なんですけれど)
確かに黒いドレスを選ぶ際に、社交界でのあだ名が脳裏をよぎらなかったわけではない。
だが、楽しそうに布を選び「よく似合っている」と言ってくれたアルベールの言葉をこそ尊重したかったのだ。
フランシスだって「お義母様に黒はよく映えますね」といってくれていたのだから、決して可笑しくはないと思うのだが。
「それにしても地味なドレスだこと」
エルミールが身に纏っているドレスは、彼女の豊かな身体を少しばかり強調するようなものだ。
大人びたデザインとあわせて、年齢が上に見えるようになっている。
でもそれは、年上であるアルベールの隣に並んでも可笑しくないように、という彼女なりの配慮でもあるのだ。
他人であるリンダにどうこう言われる筋合いはない。
にこにこと微笑みながらもさてなんと言い返したものか、と思案していると背後から声がかかる。
「お義母様、こちらにいらしたのですね」
「フランシス様」
礼装を身に纏ったフランシスがにこやかに笑いながらエルミールを見つめている。
どろりと甘い視線を注がれると、まだ少しだけ身構えてしまう。だが、そんな感情はおくびにもだすことなく、エルミールも穏やかな笑みを浮かべた。
彼女の隣に並んだフランシスが腰に手を回してくる。
夫婦や婚約者のような距離の近さ。手つきにいやらしさはないが、あまりに身体が密着してどきりと心臓が跳ねる。
ただでさえフランシスは整った面立ちをした美丈夫なのだ。その上、熱の籠った視線を注がれると嫌でも心臓が早鐘を打ってしまう。
(私はアルベール様の妻なのよ……!)
うるさくなった心臓を抑えるために必死に自分に言い聞かせる。同い年とはいえ、義息子を意識しているなんて知られては困る。
これまた鉄壁の令嬢スマイルを浮かべてエルミールはあえていつもよりゆっくりと言葉を紡ぐ。
油断すると早口になってしまいそうだった。
「フランシス様、どうされたのですか?」
「お義母様の晴れ姿を見ようと探していたのです。父上はどちらに?」
「飲み物を取りに行かれたの」
「そうなのですね。では、父上が戻られるまで私がエスコートしましょう」
穏やかに微笑みながら言われると、嫌だともいえない。ふんわりと笑ってごまかしたエルミールは、刺すような視線を感じていた。
リンダである。彼女以外にも周囲の人々が注目しているのがわかる。
公爵令息であるフランシスはさすがに慣れているようだが、伯爵令嬢としてそこまで注目されない人生を歩んできたエルミールは少し負担に感じてしまう。
完全に蚊帳の外だったリンダに、ふいにフランシスが視線を向けた。そうして一言。
「ああ、いらしたのですか」
まるで興味がないといわんばかりに言い放たれた言葉に、リンダが唇を噛みしめる。
いままで視界に入っていなかったはずがないのに、眼中にないとあからさまに告げる言葉に、リンダの頬に朱が上った。
ドレスの裾を持ち上げ、軽く頭を下げられる。最低限の礼儀としてカーテシーをしてリンダが背を向けて去って行った。
「お義母様、あまり油断されないでください。貴女はいま公爵夫人なのです」
「ごめんなさい。迷惑をかけたわ」
「気にされる必要はありません」
窘める言葉にそっと視線を伏せる。腰に当てられた手に力がこもったのが分かった。案じてくれているのだろうと思いつつ、さすがに距離が近すぎることを指摘するべきか迷う。
「フランシス様、もう大丈夫です」
「そうですか?」
一言告げると、するりと密着していた身体が離れていく。
正面に立ったフランシスは悪戯気に笑った。十八歳という年齢より僅かに幼く見える無邪気な笑み。
「父上とダンスを踊った後、私とも一曲踊ってくださいませんか?」
「ええと」
夜会で異性とダンスを踊ることは間々あったが、義息子相手だとどうするべきか。
判断に困って視線を彷徨わせると、人ごみをかき分けてアルベールが戻ってきた。
「アルベール様!」
「すまない、待たせてしまった。……なにかあったのか?」
自然と声音が弾む。アルベールから手渡されたワインは深い色合いをしていた。お酒は成人後何度か口にしたが、口に合うものとあわないもので綺麗に分かれてしまった。
このワインはどちらだろうと考えている間に、頭上で会話が交わされている。
「父上、あまりお義母様をお一人にしないほうがいいかと」
「らしいな」
周囲にアルベールが視線を走らせたのと同時に、先ほどまでの肌を刺すような注目が散っていく。
少しだけ安心して、エルミールは渡されたグラスに口をつけた。
深い味わいのワインを一口口に含んで嚥下する。
のど越しが滑らかで味わいも深みがあって美味しい、そう思った瞬間。
「あ、ら」
エルミールの身体がぐらりと傾ぐ。一気に身体が火照って立っていられなかったのだ。
可笑しい、彼女はそこまで酒に弱くない。たった一口で泥酔した経験などない。
ふらつきしゃがみ込んだエルミールの手からフランシスが零しかけていたグラスをとった。
身体をアルベールに支えられ、熱っぽい息を吐く。
「エルミール?!」
「こ、れは……」
喉の奥から火でも吹きそうだ。体中が火照って熱を持っている。特にアルベールに触れられている箇所が、燃えるように熱い。
くらくらと熱に浮かされている頭で、必死にアルベールに異常を訴えた。
「ひかえ、しつへ……! だ、め、です……っ」
エルミールの公爵夫人としてお披露目の夜会で、失態をさらすわけにはいかない。
懸命の訴えにアルベールは即座に彼女を抱き上げた。
「フランシス、後は任せる」
「はい、父上」
逞しい腕の中は安心する。くたりと身体を預けたエルミールを抱いたまま、アルベールが会場を後にした。
ざわつくその場をフランシスがとりなす声をどこか遠くに聞きながら、熱い吐息を吐き出す。
アルベールが剣呑な雰囲気を纏っているが、どうしてなのか思考が回らない。
足音高く会場を出たアルベールが控室に着いたらしい。そっとソファに降ろされて、熱に潤んだ瞳で彼を見上げる。
いつも以上に魅力的に見える精悍な面差しには隠せない剣が宿っている。
違和感には気づいても、気遣う余裕など今のエルミールにはない。
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