【完結/R18】ヤンデレ絶倫王太子に身も心も溶かされています

久藤れい

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15話

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 かつかつと硬質な足音が静かな廊下に響き渡る。
 オスクロにいわゆるお姫様抱っこで抱きかかえられて揺られながら、ルーチェは胸元で両手を握りしめる。

(殺される……!)

 覚悟を決めてぎゅっと目を瞑る。足音が止まってどさりとベッドに降ろされた。
 ふわりと彼女を受け止めた弾力のあるベッドの質感に、そろりと目を開ける。

「おすくろ、さん」

 言い訳をしたいわけではなかった。ただ、自然とその名が口から零れ落ちたのだ。
 ルーチェの前で、彼女を犯し続けた非人道的な男は――泣いていた。
 ぼろぼろと透明の涙を流して、静かに膝をついた彼がベッドの上で戸惑う彼女に縋りつく。

「頼む、ルーチェ。私を捨てるな……!」

 必死に言い募られた言葉の意味を、すぐには理解できなかった。
 だって、ルーチェにとってオスクロは捨てる捨てない以前に、絶対的な支配者である。彼女に選択肢などあるはずがない。

 戸惑いを露わにするルーチェの白い手を握りしめて、さめざめとこの世の終わりのようにオスクロが嘆く。

「君を失ったら生きていけない」

(貴方は私を犯したのに?)

 大切に思っているのなら、どうしてそう扱ってくれないのか。
 ルーチェには理解できない。一方で、王族である彼にはなんらかの事情があるのだろうことも想像できてしまう。

 もしかしたら、貴族と庶民では常識がまるきり違うのかもしれない。
 特に、愛した女性への扱い方は。

「君だけが私の光なんだ」

 さらに続けられた言葉は愛の告白に似ていた。
 そっとルーチェが握られた掌を握り返すと、涙にぬれた空色の瞳が彼女に向けられる。

「君が死ぬなら、私も死ぬ」

 どんな言葉より、熱烈な愛を紡がれる。
 ああ、とその瞬間ルーチェは納得した。
 すとんと、今まで抱き続けた疑問が胃に落ちた感覚がしたのだ。

(この人は、寂しい人なのね)

 愛の在り方を知らず、愛の伝え方を知らず、愛の発散の仕方を知らない。
 精神が子供なのだ。中身は幼い子供であるのに、外側だけ不相応に成長してしまった。

 そんな状態で重責に耐えているから、可笑しくなってしまったのだろう。
 人のものを盗ってはいけません。そんな初歩的な教えがわからなくなるほどに。

(ごめんなさい、サンドル)

 内心で謝罪するのは、一度は愛した人。見捨てられて、それでも愛を信じた相手。
 けれど、この瞬間、この刹那。

 彼女はサンドルを切り捨てた。
 今どこで何をしているのかわからない男より、目の前で途方に暮れる子供を選ぶ。

「大丈夫よ」

 そっと手を伸ばす。形のいい黒い頭を胸元に抱え込んだ。
 よしよしと、街でよく見かける光景を思い浮かべ母親が子を慰めるように、頭を撫でる。

「大丈夫、よ」

 もう一度、言葉を繰り返す。ぽろぽろと嗚咽も上げずに泣き続けるオスクロがルーチェを抱きしめ返して。
 そうして、二人。ベッドの海に埋もれた。



 * * *



 ベッドに沈み込む。ふわふわの弾力を持ったベッドは二人分の重さを柔らかに受け止めた。
 ベッドの上に転がると、騎士によって乱暴に引き裂かれたベビードールを脱がされる。

 いつもならされるがままで、抵抗もしない代わりに積極的に脱ぎやすいように動いたりもしないが、今日ばかりは脱がしやすいように手を軽く上げた。

 目を見張ったオスクロが穏やかに笑う。
 慣れた手つきで無残な姿になったベビードールを脱がせ、ベッドの下に落とす。

 覆いかぶさってきたオスクロによって、ふるんと露わになった双丘に手がかかる。
 むにむにと柔らかく手の中で形を変えるふくらみを揉みしだかれる。
 すっかり彼に開発された身体は、それだけで敏感に快楽を拾って仕方ない。

「ん、ぁ……ふぁ」

 鼻にかかった息が抜ける。じれったさとくすぐったさも相まって、身体を捩ったルーチェに小さく笑ったオスクロの手がいったん離れた。

 あれ、と思って視線を向ければ、彼はいささか乱雑な動きで服を脱いでいく。
 ぽいぽいとベッドの外に放り出される服を熱に浮かされた眼差しで見つめる。

(今まで、気づかないことが多かったけれど)

 こうやって服を脱いでいることにすら気づけないほど、ルーチェは心を無にして彼を受け入れてきた。
 けれど、これからは違う。同意の上で成り立つ行為に変わるのだ。

「そんなに見つめられると、少し照れるな」

 言葉通りにはにかみながら告げられたセリフに笑みをこぼす。
 そっと手を伸ばすと、割れた腹筋に指先が触れる。

 サンドルは肉体仕事をしていただけあって、大きな身体をしていたが、対照的にオスクロは細身で引き締まった身体をしている。
 つぅと指先で腹筋をなぞると、小さな笑い声が零れ落ちる。

「くすぐったいよ、ルーチェ」

 前のめりになったオスクロが彼女に覆いかぶさり、額にキスを落とした。
 ちゅ、ちゅ、とリップ音を立てて顔中に振ってくるキスを受け入れる。

 今までは嫌悪すらあったというのに、心は穏やかだ。
 それどころか心地よくすらあって、小さくルーチェは笑い声をあげた。

「っ」

 オスクロが息を飲む音が耳朶に届く。
 同時にキスの雨が止まって、そっと目を開くと至近距離で空色の瞳を潤ませていた。

「オスクロさん……?」

 どうしたの。問いを口にしながらそっと頬に手を伸ばす。ルーチェが頬に添えた手にオスクロが手を重ねた。
 剣の修練の影響だろう、剣だこのある固い手のひらが温かく彼女の手を包む。

「夢のようだ」

 うっとりと告げられた言葉に、きょとんとルーチェは瞬きをした。
 不思議そうにしている彼女の様子に、オスクロがふわふわとした口調で言葉を重ねる。

「ルーチェが私に笑いかけてくれている。嬉しいよ」

 ちゅ、と鼻先にキスを落とされて、ルーチェは困ったように眉を寄せてしまう。
 無理やり暴かれて笑えというほうが無理だ。
 けれど、今は彼の心を知ったから。確かな愛がそこにはあるのだと心に触れられたから、忌避感はない。

「オスクロさん、貴方が欲しいわ」

 先ほどから、人には言えない場所がむずむずと疼いて仕方ないのだ。
 甘えた声でねだった彼女に、途端にオスクロが眉間に皺を寄せる。

「煽らないでくれ、我慢が出来なくなる……!」
「あっ」

 先ほどまで双丘を揉みしだいていた手が蜜壺に入れられる。
 すでに十分に濡れているそこはつぷんと彼の指先を受け入れた。

 しっかりとオスクロによって開発された身体は、指一本では物足りない。
 とはいえ、それを口にするのは恥ずかしい。
 悩ましげに眉を寄せたルーチェの表情をみたオスクロが微笑を浮かべて、さらに指を増やす。

「ああっ!」

 一気に三本に指が増えると、さすがに圧迫感がある。
 ばらばらと中で指が動かされ、彼が見つけ出したイイところを的確にこすられる。

「あっ、あっ、あぁあ!」

 絶頂の波が来ている。
 白い喉をのけぞらせて喘ぐ彼女の様子をつぶさに観察していたオスクロは、ふいに指を全て抜いた。

「え……?」

 きゅうと締め付ける先がなくなって切なげに収縮する秘所に、ルーチェは泣きそうな顔で彼を見た。
 ここまで快楽を与えられてイけないは、逆に辛い。

 オスクロの意図がわからず、戸惑いに揺れる瞳で見つめるルーチェの前で、体液で濡れた指先を舐めながら意地悪げに彼が笑う。

「今日は気分がいい。奉仕してあげよう」
「え、あっ!」

 ルーチェの足の間にオスクロが割って入る。
 そのまま顔をうずめたオスクロが、あろうことか秘所に舌を這わせる。
 ざらりとした人肌の舌先がぬちゅぬちゅと淫らな音を立てて、人が舐めるべきではない部位を舐めていた。

「や、やめっ、ああぁっ!」

 王太子であるはずのオスクロのあまりにもな行動に、咄嗟に止めようと手を伸ばす。
 だが、力の入らない指先は彼の頭を撫でるように触れただけだった。

 初めてされた。
 今まで散々身体を重ねてきたが、この行為は初めてだ。

 くちゅくちゅと淫靡な音が響く部屋の中で、背徳感が高まっていく。
 王太子であるオスクロに秘所を舐めさせている事実が、どうしようもなくルーチェの中の興奮を煽った。

「おや、ここももの寂しそうだ」
「ひぁ! ああぁああ!!」

 秘所を舐められながら、ぷっくりと膨らんだ花芯をぎゅうと指先で摘まみ上げられる。
 たまらず嬌声をあげてびくんと身体を跳ねさせてしまう。
 軽くイったのだと気付いた時には、ぜいぜいと荒い呼吸を繰り返していた。

「十分かな」
「あ、うあ」

 意味をなさない言葉を発して豊かな胸を上下させる。
 酸素を取り込もうと必死なルーチェの上に改めて圧し掛かったオスクロが、我慢できないといった様子でそそり立った己を見せつけてくる。

「ルーチェ、握って」
「は、い」

 そっと手を伸ばす。
 力加減を間違えないように意識しながら、手の中でどくどくと熱く脈打つ肉棒を上下に動かす。

「ん、あ」

 初めてするルーチェの奉仕は決してうまくないはずだが、オスクロには気持ちいいのだろう。
 快楽を拾ってくれることが嬉しくて、ルーチェが懸命に腕を動かし続けると、ぴゅるりと先走りが出る。

「も、いい」

 苦しげな声で止められて、言われた通りに手を離す。
 荒い呼吸を繰り返しながら、ぴとりとますます質量を増した男根が蜜壺に充てられた。

「イくよ……!」
「はい。――んああぁあ!!」

 ずぶん、と今までの我慢をすべて発散するように肉棒が突き立てられる。
 十分に慣らされたそこは抵抗することなくオスクロを受け入れた。

 下から何度も突き上げられる。一度絶頂を迎えてはいたが、さらに高みに上り詰めるように快楽を拾ってしまう。
 ふるふると揺れる胸元を突き出しながらよがる彼女の耳元で、オスクロが囁く。

「一緒にイこう」
「あ、あぁあああ!!」

 パン! と一層強く腰を打ち付けられた瞬間、脳裏で何かがはじけ飛ぶ。
 胎内でどくんと脈打った男根から白濁が吐き出されたのがわかった。
 白くスパークした視界で、これまでにないほどの快楽に意識が遠のいていく。

「おっと、まだだよ。もう少し頑張って」
「……あ、ぁあ!」

 だが、まだまだオスクロには足りないらしい。
 彼のような人を『絶倫』と呼ぶのだ、とどこで覚えたのかわからない知識がぐるりと脳裏を巡る。
 くたりと弛緩したルーチェの身体を抱きしめて、再び固くなった熱杭をオスクロが動かしだす。

「ん、んぁあ、ん!!」

 やっぱり意味をなさない音の羅列が白い喉が飛び出す。揺さぶられながら、快楽の海に沈んでいく。
 二人の行為は、ルーチェが意識を手放しても終わりはしない。





「ルーチェ、いい子だ」

 意識をなくしてくったりと横たわる汗ばんだ肌を撫でてやる。無理をさせてしまうが、慣れてもらうしかない。
 彼の欲求はこれでも収まっていないのだ。

「早く、子を孕んでくれ」

 ちゅ、とまだ薄い腹に口づけを通した。そこに命が宿る日を、今か今かと待ち望んでいる。
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