結び契る〜異世界転生した俺は番いを得る

風煉

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第2話

義理の家族は愉快すぎる

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「えっと、ゼンブルさんって、面白い人、ですね……」
「気ぃ使わなくていいぞ、素直に頭がおかしいって言ってくれ」
「思ってたとしても口になんてできません……」
「だよなぁぁ……、ホントにすまねぇダイチ……」

食後、叱られた後に本日の狩りについて話があると、爺様にゼンブルパパとヒューイは連行されていく。
ちなみにその時、もう一度パパと呼んで送り出してあげると、罵声を浴びせてきたのだが、振り返った後ろ姿に見えた黒く細長い尻尾が旋回していた。
嬉しかったのか、そう考えこんでそれとなく話題にすると番いの柴犬は情けなそうに沈んでいる。
あの人、出会い頭からキャラが濃いとは思ったけど、強いまであるとかある意味チートなのかもしれない。

「い、いいじゃないですか! ゼンブルさんみたいな愉快な方だからヒューイも穏やかに……」
「何でもかんでも許して、最終的には力で黙らせればいいと教えた奴がか?」
「あっそれはちょっと違いますね」
「だろう? 本当、あいつは昔からそうなんだよ……。 ヒューイのこともあれは甘やかすだけで俺がなんとか軌道修正しても、無理やり戻しやがって……!」

家に残された俺とヒュペルお義父さんが食事の後片付けをしつつ、気を紛らわせようと話題を振ったものの、どうやら積年の雲泥とした思いがあったのだろう。
ぶつぶつと暗い顔で鬱屈した感情を吐き出すお義父さんの姿は、見てて居た堪れない。
しかも最愛の息子が、ドーベルマンパパと似たような思考になるよう溺愛されてきたとあらば、産みの親的にはなんとかしなければと躍起になるのは当然だ。
苦労しているのだろう、そう思える点をヒューイと生活していて感じることがある。

「あの、もしかしてヒューイって文字書けなかったりします?」
「……聞いたのか?」
「はい、文字を教えてほしいと聞いたら『ごめん、僕わからないんだよね! 喋れれば不都合はないでしょ?』と、隠す気もないようでして……」
「教えたんだよ、ちゃんと! それをあの大莫迦野郎が『文字なんて書けなくたって生きていける!』 とか言い出して、狩りを教えやがって!!!!」
「でもいざ教えたら、そっち方面で才能があったと……?」
「そうだよ、そうなんだよ……。 俺はあの子を普通の子にしたかったのに、あいつは……」

そう、ヒューイは文字が書けないということが婚姻式を迎えてから2週間ほど経過して判明する。
その時は仕方ないかと流したが、爺様やヒュペルお義父さんと話していく内に二人は文字が書けるのではと気がついた。
疑問点として、どうして最初から言葉は通じるのかと聞くと、意思を持った言葉であれば伝わるよう世界が自動的に変換してくれるからだという、さすが異世界、便利すぎる。
だがそれも話をするためだけの補助機能なので、実際の文字は爺様に教えてくれと頼み、今ではなんとか基本となる16文字は書けるようになった。
ここから文法やら発展していくのだが、先は長そうだと思う一方で、教師の三毛猫様が意気揚々と自作の分厚い教科書を渡してきた時は顔が引きつってしまう。
まぁ時間はたくさんあるし、それが今俺にできることだとしてせっかくだからと勉学に勤しんでいた。
とはいえヒューイが文字を書けないと分かったので、今からでも遅くはないはずと一つ決意する。

「あの、もしかしたら俺と一緒に勉強するとかなら、ヒューイもやる気になりますかね?」
「可能性はなくもないが、いいのか? あの子はどうにも一つの場所に落ち着いていられないようだから……」
「平気です! 近頃、家で勉強してると俺が頑張ってるのを見てたから、それとなく教えたりしてたんですよ。 けど俺も教育者としてはダメダメなので、爺様であれば今からでも遅くは……、あのっお義父さん?」

学ぶことは知恵のある生き物にとって最大の武器だ、活かさないのは勿体ないと俺は考えている。
ヒューイも熱心に文字を覚える俺に抵抗はあれど、『ダイチがそういうなら……』と嫌々ながらも書く練習を始めてくれた。
これならあとは無理なく進めればいいだろうと、念のため親御さんに話すとヒュペルお義父さんはすっとこちらを向いて両掌で俺の手を掴む。
無言でぶんぶんと握手しているのは、感謝されているのだろうかと思って顔を見ると、涙目だったのでその心労をいたわりたくなった。

「良かった、ホントにダイチが番いで良かった……! すまないがよろしく頼む、ゼンブルも懐柔できたお前ならあの子も納得するはずだからな!」
「はっ、はぁっ……、あのっお疲れさまです……」
「ありがとな、ホントにありがとな……」

号泣とまではいかないが、それでも感極まって涙するヒュペルお義父さんの面影はヒューイそっくりなので、少しだけドギマギする。
瓜二つとまではいかなくても、よく似ているのでたまに間違えそうになるのは、流石にマズイので呼び方は正確でなければと誓った。
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