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第2話
息子の父に対する篤すぎる信頼
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「ほらっ、前から言ってたでしょ? ゼンブル父さんは別にダイチを嫌ってるわけじゃないって!」
その夜、一日の作業を何とか片付け、夕食と水浴びをしてから俺はヒューイと自宅へ戻っていた。
ニコニコと話す柴犬が相変わらず可愛いと見惚れてしまうが、今はそれよりも今日の顛末が気になるところである。
敵視されていると思っていた人が、実は俺に対しての好感度が振り切れていたようだが、ヒューイの言うような素振りは感じられなかった。
それはヒュペルお義父さんと爺様もそう思っていたらしく、あまりに素っ頓狂な行動に怒り散らす羽目になったのは俺としては居た堪れない。
第二次鼻血事件後も一悶着があって、狩りは不要と説かれ渋々納得するゼンブルさんが他の人たちと一緒に、獲物の解体作業に取り掛かろうとしていたので、社会勉強の一環として俺は見学することにした。
それを見てブツブツと文句を言いながら、ゼンブルさんが猪みたいな魔物を口から持って、真っ二つに裂いた時は血の気が引く。
こんなにグロいのかと唖然とするが、それを見た爺様が『そんな解体方法があるか、うつけ者が!?』と、杖で殴り飛ばしていたので違ったようだ。
どうやら良いところを見せたかったようだが、俺がいると暴走が止まらないようなので、大人しく下がることにする。
あとから聞いたが、俺がいなくなったらドーベルマンパパは心底悲しそうにしていたという、ホントによくわからない人だ。
「まぁ嫌われてないのは分かったけど、まだまだ心の距離はあるような……」
「そうかな? ヒュペル父さんも心配してるみたいだけど、平気だと思うよ」
あの父ありにしてこの子ありとはよく言ったものだ、昼間のお義父さんが涙目で脅迫じみたお願いをしてきたのも無理ないな。
俺が軌道修正できるのか疑問でしかないが、やれることはやってみようと思う。
「ヒューイって、ゼンブルさんに対してすごい信頼を寄せてるよな」
「うん! ゼンブル父さんはスゴイんだから!」
「例えば?」
「狩りで獲物を仕留めるときに急所の突き方とか、うるさい奴は力で黙らせていいとか……」
「うん?」
「あっ、そういえば昔に番いと初夜を迎えるときに、慌てず行為に到れるようにって練習をさせてくれるってーー」
「ちょっと待って、それやったの?」
「ううん。 ちょうどその時にヒュペル父さんが帰ってきて、ゼンブル父さんを連れていっちゃったからやらなかったんだよね。 次の日ぐらいにさせてもらえるかなって思ってたんだけど、大きな狩りに出かけてしばらく留守にするってヒュペル父さんと爺様に言われちゃって……」
ものは試しに話を聞いてみるが、とんでもない事実が浮上した。
あの人、よりにもよって実の息子と肉体関係を持とうとしてたんかい!? しかも故意で、あくまで親心とか余計に質が悪すぎる!?
恐らくだが、ヒュペルお義父さんに連行、しばかれて接触禁止でも言い渡されたのかもしれない。
ちなみに事の顛末を翌日、俺は爺様とお義父さんに聞いたが、反省も兼ねて爺様の家の地下室に閉じ込められていたそうだ。
あの家、地下室なんてあったのか、何に使ってるんだろう、知りたいような知りたくないような……。
だがこれはマズイと、俺は何とかヒューイの反感を買わないよう慎重に言葉を選び、説得することにする。
「ヒューイ、ゼンブルさんはいい人かもしれないけど、親の言うことが絶対に正しいとは限らないんだよ」
「そうかなぁ? ゼンブル父さんがそこまでおかしなことを言ってるとは思わないけど」
「いやっ肉親同士でセックスするとか、常識的に考えてありえないんだよ」
「セックスって、えっと、交尾のことをいうダイチの世界の言葉だっけ? でも相手がいなかったら仕方ないんじゃないの?」
「そういう場合は相手を探すために外へ行くものだろう? ゼンブルさんはヒューイ可愛さで、暴走しがちだから少しは疑うことを覚えた方が……」
「ねぇダイチ。 ダイチは、ゼンブル父さんのことが嫌いなの……?」
あれこれ言い過ぎたのか、ヒューイは耳を寝かせて沈んだ表情を浮かべ、俺がゼンブルさんに良くない感情を持っているのではと思ってしまったようだ。
はっきり言えば苦手だ、うんっ今日のことを含めると苦手を含めてあまり近づきたくない相手なのは間違いない。
そこまでなら良かったが、まさかヒューイに指導という性的教育を自らの体で試させようと聞かされたら、流石にキツかった。
ヒューイは嘘に敏感だとヒュペルお義父さんに言われてたこともあり、覚悟を決めて本音を伝える。
「……嫌いとは違う、苦手だよ、今は」
「それは、どう違うの?」
「嫌いっていうのは言ってしまえば、その人の存在そのものが気に食わないってことだけど、苦手っていうのはよく知らないからどうしたらいいのか分からないって、俺は考えてる。 分かるかな?」
「うん、何となく言いたいことはわかる……」
「ここでヒューイに聞きたいんだけど、今日までのゼンブルさんが俺に見せてた態度、あれはずっとどう思ってた?」
「父さんの態度……? えっと、何かしてた? 僕はね、ずっとダイチと仲良くなりたそうに見えてたよ?」
マジか、認識の相違があるとは思っていたけど、俺の予想以上にヒューイから見るゼンブルさんと俺から見るあの人の印象は180度違うようだ。
ただ気になったのは仲良くなりたそうに見えてた、という点だろうか。
素振りなんて全くなかったのにどうしてそう思うのか、その疑問をぶつけようとするより先に、目の前の番いは答えてくれた。
「確かに最初はその、殺意しかなかったと思う、それは間違いないから僕も止めたよ。でもその後はどちらかといえば、ダイチのことを知りたがってるように見えた」
「殺意、やっぱあったんだな……。 知りたがってるって、ゼンブルさんがそう言ってたのか?」
「言葉にはしてないけど、いつもダイチのことは気にしてるよ? 家で殴られてないか、夜は無理やりやらされてないかとかーー」
前からわかってたことだが、ヒューイの中ではゼンブルさんについてはある意味で神聖化されているのかもしれない。
子から見れば親は神にも等しいが、あの人の場合はどちらかというと殺戮を司る赤い神様ぽいが、口にはしなかった。
無体なことをすれば間違いなく殺られると、背筋が凍る思いに苛まれる俺だったが、風向きが少しずつ変化していく。
「最近だと、ダイチのことばっか聞いてくるよ? ちゃんと食べてるのかとか、寝られているのかとか、好きなものは何かとかね。 狩りの時も心なしか足取りが軽そうだし、まず第一にダイチが食べられるかどうか、心配してたから」
「でも、別にそう言ってるわけじゃないんだろう?」
「うん、でも分かるもん。 きっとね、ゼンブル父さんはダイチのことが大好きなんだろうなって!」
番い持ちにとって番いからの言葉は嘘偽りのないものだと、以前爺様が説明し、ヒュペルお義父さんもそうだと補強してくれた。
元よりヒューイが悪戯に俺へ嘘をつくとは到底思えないし、その言葉は紛れもなく真実なのだろう。
この子は物事を直感的に捉え、本質を見抜くだけの目を持っていると思うからだ。
それにしても、ゼンブルさんのことは俺としても疑心暗鬼な部分が多すぎるので、ここはある程度覚悟を決めた方がいいのかもしれない。
うん、明日お義父さんに相談してみようと考えていると柔らかい感触に包まれたので、見れば柴犬が俺に抱きついてきた。
「ダイチ、僕は僕の家族のことをダイチにも好きになってもらいたいんだ。 だから、ゼンブル父さんのことを信じてあげてほしいな」
「……うん、分かった。 ちょっと話してみるよ」
「えっへへ! ありがとダイチ!」
顔を寄せて頬擦りをするヒューイの頭を撫でて上げれば、嬉しそうに目を細め尻尾を振っている。
可愛いなぁと思う一方で、ムラムラと欲情が湧いてくるのでどうしょうもないなと考えるが、同じく火傷するくらい熱く硬いものが押し付けられた。
俺だけではないようだと、ムクムクと俺もまた雄を押し返すように硬くなっていき、俺たちは言葉なく口とマズルを重ね合わせる。
舌を絡め、強く抱きしめ合い、ゆっくりとベッドへ向かえばそのまま柴犬を押し倒した。
夜はこれからとばかり、俺たちは着ているものを脱ぎ捨て、交わるのだった。
その夜、一日の作業を何とか片付け、夕食と水浴びをしてから俺はヒューイと自宅へ戻っていた。
ニコニコと話す柴犬が相変わらず可愛いと見惚れてしまうが、今はそれよりも今日の顛末が気になるところである。
敵視されていると思っていた人が、実は俺に対しての好感度が振り切れていたようだが、ヒューイの言うような素振りは感じられなかった。
それはヒュペルお義父さんと爺様もそう思っていたらしく、あまりに素っ頓狂な行動に怒り散らす羽目になったのは俺としては居た堪れない。
第二次鼻血事件後も一悶着があって、狩りは不要と説かれ渋々納得するゼンブルさんが他の人たちと一緒に、獲物の解体作業に取り掛かろうとしていたので、社会勉強の一環として俺は見学することにした。
それを見てブツブツと文句を言いながら、ゼンブルさんが猪みたいな魔物を口から持って、真っ二つに裂いた時は血の気が引く。
こんなにグロいのかと唖然とするが、それを見た爺様が『そんな解体方法があるか、うつけ者が!?』と、杖で殴り飛ばしていたので違ったようだ。
どうやら良いところを見せたかったようだが、俺がいると暴走が止まらないようなので、大人しく下がることにする。
あとから聞いたが、俺がいなくなったらドーベルマンパパは心底悲しそうにしていたという、ホントによくわからない人だ。
「まぁ嫌われてないのは分かったけど、まだまだ心の距離はあるような……」
「そうかな? ヒュペル父さんも心配してるみたいだけど、平気だと思うよ」
あの父ありにしてこの子ありとはよく言ったものだ、昼間のお義父さんが涙目で脅迫じみたお願いをしてきたのも無理ないな。
俺が軌道修正できるのか疑問でしかないが、やれることはやってみようと思う。
「ヒューイって、ゼンブルさんに対してすごい信頼を寄せてるよな」
「うん! ゼンブル父さんはスゴイんだから!」
「例えば?」
「狩りで獲物を仕留めるときに急所の突き方とか、うるさい奴は力で黙らせていいとか……」
「うん?」
「あっ、そういえば昔に番いと初夜を迎えるときに、慌てず行為に到れるようにって練習をさせてくれるってーー」
「ちょっと待って、それやったの?」
「ううん。 ちょうどその時にヒュペル父さんが帰ってきて、ゼンブル父さんを連れていっちゃったからやらなかったんだよね。 次の日ぐらいにさせてもらえるかなって思ってたんだけど、大きな狩りに出かけてしばらく留守にするってヒュペル父さんと爺様に言われちゃって……」
ものは試しに話を聞いてみるが、とんでもない事実が浮上した。
あの人、よりにもよって実の息子と肉体関係を持とうとしてたんかい!? しかも故意で、あくまで親心とか余計に質が悪すぎる!?
恐らくだが、ヒュペルお義父さんに連行、しばかれて接触禁止でも言い渡されたのかもしれない。
ちなみに事の顛末を翌日、俺は爺様とお義父さんに聞いたが、反省も兼ねて爺様の家の地下室に閉じ込められていたそうだ。
あの家、地下室なんてあったのか、何に使ってるんだろう、知りたいような知りたくないような……。
だがこれはマズイと、俺は何とかヒューイの反感を買わないよう慎重に言葉を選び、説得することにする。
「ヒューイ、ゼンブルさんはいい人かもしれないけど、親の言うことが絶対に正しいとは限らないんだよ」
「そうかなぁ? ゼンブル父さんがそこまでおかしなことを言ってるとは思わないけど」
「いやっ肉親同士でセックスするとか、常識的に考えてありえないんだよ」
「セックスって、えっと、交尾のことをいうダイチの世界の言葉だっけ? でも相手がいなかったら仕方ないんじゃないの?」
「そういう場合は相手を探すために外へ行くものだろう? ゼンブルさんはヒューイ可愛さで、暴走しがちだから少しは疑うことを覚えた方が……」
「ねぇダイチ。 ダイチは、ゼンブル父さんのことが嫌いなの……?」
あれこれ言い過ぎたのか、ヒューイは耳を寝かせて沈んだ表情を浮かべ、俺がゼンブルさんに良くない感情を持っているのではと思ってしまったようだ。
はっきり言えば苦手だ、うんっ今日のことを含めると苦手を含めてあまり近づきたくない相手なのは間違いない。
そこまでなら良かったが、まさかヒューイに指導という性的教育を自らの体で試させようと聞かされたら、流石にキツかった。
ヒューイは嘘に敏感だとヒュペルお義父さんに言われてたこともあり、覚悟を決めて本音を伝える。
「……嫌いとは違う、苦手だよ、今は」
「それは、どう違うの?」
「嫌いっていうのは言ってしまえば、その人の存在そのものが気に食わないってことだけど、苦手っていうのはよく知らないからどうしたらいいのか分からないって、俺は考えてる。 分かるかな?」
「うん、何となく言いたいことはわかる……」
「ここでヒューイに聞きたいんだけど、今日までのゼンブルさんが俺に見せてた態度、あれはずっとどう思ってた?」
「父さんの態度……? えっと、何かしてた? 僕はね、ずっとダイチと仲良くなりたそうに見えてたよ?」
マジか、認識の相違があるとは思っていたけど、俺の予想以上にヒューイから見るゼンブルさんと俺から見るあの人の印象は180度違うようだ。
ただ気になったのは仲良くなりたそうに見えてた、という点だろうか。
素振りなんて全くなかったのにどうしてそう思うのか、その疑問をぶつけようとするより先に、目の前の番いは答えてくれた。
「確かに最初はその、殺意しかなかったと思う、それは間違いないから僕も止めたよ。でもその後はどちらかといえば、ダイチのことを知りたがってるように見えた」
「殺意、やっぱあったんだな……。 知りたがってるって、ゼンブルさんがそう言ってたのか?」
「言葉にはしてないけど、いつもダイチのことは気にしてるよ? 家で殴られてないか、夜は無理やりやらされてないかとかーー」
前からわかってたことだが、ヒューイの中ではゼンブルさんについてはある意味で神聖化されているのかもしれない。
子から見れば親は神にも等しいが、あの人の場合はどちらかというと殺戮を司る赤い神様ぽいが、口にはしなかった。
無体なことをすれば間違いなく殺られると、背筋が凍る思いに苛まれる俺だったが、風向きが少しずつ変化していく。
「最近だと、ダイチのことばっか聞いてくるよ? ちゃんと食べてるのかとか、寝られているのかとか、好きなものは何かとかね。 狩りの時も心なしか足取りが軽そうだし、まず第一にダイチが食べられるかどうか、心配してたから」
「でも、別にそう言ってるわけじゃないんだろう?」
「うん、でも分かるもん。 きっとね、ゼンブル父さんはダイチのことが大好きなんだろうなって!」
番い持ちにとって番いからの言葉は嘘偽りのないものだと、以前爺様が説明し、ヒュペルお義父さんもそうだと補強してくれた。
元よりヒューイが悪戯に俺へ嘘をつくとは到底思えないし、その言葉は紛れもなく真実なのだろう。
この子は物事を直感的に捉え、本質を見抜くだけの目を持っていると思うからだ。
それにしても、ゼンブルさんのことは俺としても疑心暗鬼な部分が多すぎるので、ここはある程度覚悟を決めた方がいいのかもしれない。
うん、明日お義父さんに相談してみようと考えていると柔らかい感触に包まれたので、見れば柴犬が俺に抱きついてきた。
「ダイチ、僕は僕の家族のことをダイチにも好きになってもらいたいんだ。 だから、ゼンブル父さんのことを信じてあげてほしいな」
「……うん、分かった。 ちょっと話してみるよ」
「えっへへ! ありがとダイチ!」
顔を寄せて頬擦りをするヒューイの頭を撫でて上げれば、嬉しそうに目を細め尻尾を振っている。
可愛いなぁと思う一方で、ムラムラと欲情が湧いてくるのでどうしょうもないなと考えるが、同じく火傷するくらい熱く硬いものが押し付けられた。
俺だけではないようだと、ムクムクと俺もまた雄を押し返すように硬くなっていき、俺たちは言葉なく口とマズルを重ね合わせる。
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