変態店長とバイトその１

CASE 1

「タイちゃん、来たわよー」

「うッス、タイちゃん様。お世話になるッス」

「あぁ～らぁ～、よくきたわねぇ～」

相変わらず慕われている店長。

数々の功績をあげ王都に召喚された数は両手では数え切れず、役人の不正を暴いては町中を賑わせ、魔術や薬剤に関してもいくつも研究レポートを提出し社会貢献に寄与している。

「ホーンホースの群れぇ？その作戦ならイケなくはなさそうだけど………前衛が突撃をいなせなかった時が心配ねぇ～。少し安くしとくから、ヒールポーションの上級薬、用意しときなさいよっ」

「やっぱり厳しいッスか。……まだまだ精進が足りないッス。命には代えられないッスからね、多めに買っていくッス」

「しゃーないよねー。私はいつもの他に何か準備した方がいいかなー？」

「う～ん、きちんと眠って魔力も回復してるみたいだし大丈夫だと思うわぁ～。強いて言うならマジックポーションを少し多めに持って行った方がぁ～いいかもねぇ～。多分ギリギリになると思うわぁ～」

「うーわ、マジっすかー。うーん、どうしよっかなぁー」

これから狩りに出かける冒険者たちと和気あいあいに話す店長。

しかし、みんな気付かないだろう。
この店長が下着代わりに『女物のネグリジェを着ている事』に。
そして、下は黒のブーメランパンツ。



たまたま早く目が覚めた俺は、手持ちぶさただったのでたまにはしっかり掃除しておこうと思い1時間早く魔法商店しごとばに出勤した。

その時見てしまったのだ。
外の窓から細マッチョに黒のブーメランパンツ一丁姿で

「う～ん、今日はピンクより淡いブルーの方が似合ってるわねぇ～。うん、これに決めたっ☆」

と、鏡の前で試着していたのを。




――――チリンチリーン―――

「はぁ～い。あっらぁぁ～、いらっしゃぁぁぁ～い」

「こちら、1割引きで11,700ゴールド、マジックポーションは2本で4,000ゴールドですね」

会計をしながら店長をチラ見する。
その尊敬のまなざしを受ける姿の中身がアレだと思いながら。

重ねて言うが、うちの店長は紛れもない変態である。